「好きなひとが、できました」
天才アニメーターの初にして最後となった監督作。
漫画家・柊あおいの同名少女コミックをスタジオジブリがアニメーション映画化。映画『耳をすませば』。
1995年に公開された本作は、多くのジブリ作品のキャラクターデザインや作画を支えてきた大黒柱・近藤喜文が初監督を務めた作品です。
読書の好きな中学3年の少女・月島雫役を本名陽子が演じ、ジブリ作品『おもひでぽろぽろ』の主人公の少女期の声で声優としてデビューしています。
また1998年に46歳という若さで他界した近藤喜文監督にとって、最初で最後の監督作品となりました。
映画『耳をすませば』の作品情報
【公開】
1995年(日本映画)
【原作】
柊あおい『耳をすませば』
【監督】
近藤善文
【制作プロデューサー】
宮崎駿
【声の出演】
本名陽子、高橋一生、立花隆、室井滋、露口茂、小林桂樹、高山みなみ、山下容莉枝、中島義実、飯塚雅弓、千葉舞、久我未来、村野忠正、吉田晃介、白石琢也、菅沼長門、鮎川昌平、岸部シロー、他
【作品概要】
柊あおいの同名漫画を原作に制作されたスタジオジブリ作品。ジブリ作品の作画やキャラクターデザインを手がけていた近藤喜文が初監督を務め、1995年に公開されました。
読書好きな主人公・月島雫が、小説を書きながら天沢聖司との恋を通して成長していく物語です。天沢聖司の声を演じているのは、今注目の俳優・高橋一生。
また、本作は音にもこだわって制作されており、日本映画で初めてドルビーデジタルを採用した作品でもありますので、主題歌になっている「カントリー・ロード」の美しい音色にも是非耳を傾けてください。
映画『耳をすませば』のあらすじとネタバレ
月島雫は、読書が大好きでよく図書館で本を借りていました。
ある日、図書カードによく“天沢聖司”と書かれていることに気づいた雫は、彼がどんな人なのか気になり始めます。
すると、雫が借りた本の寄贈者に“天沢”という名が書かれていたため、雫はその寄贈者について尋ねてみることに…。
しかし、その人物に一歩近づきそうになった時、友人の夕子がやってきたので調べるのをやめてしまいます。
雫は彼女とベンチに座り、和訳したカントリー・ロードの歌詞と、替え歌のコンクリート・ロードの歌詞を見せて笑っていました。
雫が夕子と話しながら歩いていると、ベンチに本を置き忘れきたことに気づきます。
夕子を先に帰らせた雫はベンチに戻ると、置き忘れた本を読んでいる青年がいました。
青年は、雫が置き忘れた本であることに気づくと、彼女に向かって「コンクリート・ロードはやめた方がいい」と、からかいます。
遊び半分で作った歌詞をからかわれた雫は、「いやな奴!」と連呼して、コンクリート・ロードの歌詞を破り捨てました。
映画『耳をすませば』の感想と評価
『耳をすませば』の舞台になっているのは、東京多摩市にある聖蹟桜ヶ丘で、映画そっくりの街並みや風景が広がっています。
雫が、電車で出会った猫を追いかけるシーンにあった駅の改札や走った坂、地球屋や雫が住んでいる家も実在し、ラストでふたりが朝日を一緒に見た高台から見える景色は、夜は街の明かりが美しく広がり、昼間とは違う顔を見せて楽しませてくれます。
『風の谷のナウシカ』や『天空の白ラピュタ』など、ジブリ作品は異次元の世界を舞台したものが特徴的ですが、『耳をすませば』は、より視聴者に身近な世界観で描かれているのが魅力のひとつです。
繰り返し見るたびに色々発見できるという作品も多いのですが、『耳をすませば』は繰り返し見ることで自分自身も成長できる「成長型映画」。
また、悩みを抱えていたり置かれている立場、自分の成長と共になぜか違う世界観で見える不思議な作品です。同じシーンを何度も観ているのに、全く違う捉え方ができたり、様々な感動や衝撃を与えてくれるので、キャラクターの心情も別の角度から見えたりします。
誰もが持っていた”純真さ”を思い出させてくれる作品でもあり、作られた設定にはない貴重な作品である本作。学生の方は社会人になってから、社会人の方はもう少し歳を重ねてからご覧いただければ、その違いに気づくはずです。
まとめ
どの世代からも愛され、誰もが大切にしていたものを思い出させてくれる『耳をすませば』。
青春時代特有の悩みを乗り越えていく彼らの姿は、きっとあなたを前向きな気持ちにさせてくれるはずです。
ファンタジー性は少なく、現実的な世界が広がる青春映画なので、派手さはなくともきっとあなたの心に残る1作品になること間違いありません。
これを機に、もう一度青春を振り返ってご視聴してみてはいかがでしょうか?