連載コラム「最強アメコミ番付評」第4回戦
こんにちは、野洲川亮です。
映画『アベンジャーズ インフィニティ・ウォー』のBlu-rayをさっそく予約しました。そこで手元に届きましたら、再見して本コラムでも取り上げていきますね。
さて!今回は、いよいよ8月31日に公開となる『アントマン&ワスプ』の前に、連載第2回戦の『アントマン』考察に続き、アントマン2度目のシリーズ登場となった『シビル・ウォー キャプテン・アメリカ』を通して、キャラクターの魅力や、次作以降に起こり得る展開を考察していきましょう。
CONTENTS
『シビル・ウォー キャプテン・アメリカ』のあらすじと注目ポイント
『シビル・ウォー キャプテン・アメリカ』が公開されたのは2016年。
『キャプテン・アメリカ』シリーズ第3作、『マーベルシネマティックユニバース』としては第13作品目にあたります。
物語は『アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン』から一年後、トニー・スターク(アイアンマン)が生み出したウルトロンが世界に危機を及ぼしたことなど、「アベンジャーズ自身が危険な存在では?」として、世間から厳しい目を向けられるようになっていました。
国際連合は、アベンジャーズを国連統治下に置く「ソコヴィア協定」への署名をヒーローたちに迫ります。
キャプテン・アメリカを主とする協定反対派、アイアンマンを主とする賛成派に分かれ意見は対立、ソコヴィア協定の調印式で起こった爆弾テロをきっかけに、両派の溝は致命的に深まり、やがてヒーロー同士による直接対決へと繋がっていくこととなります。
本作の注目ポイントは、何といってもキャップ軍、アイアンマン軍に分かれたアベンジャーズの内戦(シビルウォー)の盛り上がりでしょう。
これまでの十数作で観客が目撃してきたヒーローたちの超能力がぶつかり合い、「推しヒーロー」同士が戦うことで「どっちが強いのか?このキャラの能力をここで出すか!」など…。
ファンが妄想してきたであろう夢対決が実現し、心躍る展開が連発されます。
前作の『キャプテン・アメリカ ウィンター・ソルジャー』からメガホンをとっているルッソ兄弟監督の硬質で、リズミカルなアクション演出も冴え渡っていて、冒頭のシークエンスから一気に作品世界へ引き込まれます。
そんなアベンジャーズの内紛、お家騒動に本作から参戦するのが、アントマン、スパイダーマン、ブラックパンサーの3人です。
ブラックパンサーが背負い、アントマン、スパイダーマンに無いもの
この初登場組である3人のヒーローたち(本作公開時点で単独作が公開されていたのはアントマンのみ)には、戦いに臨む決意に決定的な差がありました。
ブラックパンサーは前述した爆弾テロにより、父親の先代ブラックパンサーが命を落としました。
裏で仕組まれた陰謀で、その犯人を「キャップ軍」のウィンターソルジャーだと思い込んでいるブラックパンサーは、この内戦を仇討ちと位置づけ参戦しています。
初登場時点でブラックパンサーは、“戦わなければいけない運命”を背負ったのです。
対して、アントマン、スパイダーマンの二人は、他のヒーローたちのように、どうしても戦わなければいけない理由は持ち合わせていませんでした。
共に、キャップ、アイアンマンから内戦のために助力を求められたゆえの参戦でした。
内輪話にはなりますが、映画会社を跨いで、待望の初登場だったスパイダーマンには「興行的な理由」はありましたが…。
そんな「背負っていない二人」が参戦したからこそ、両軍の大バトルは大変魅力的なものとなりました。
友情、愛情、未来を賭けてシリアスに戦う他のメンバーと違い、軽いノリで参加している二人の存在が、戦いの最中にコメディ的シーンを入れ込むことを可能とし、バトルに奥行きを与えてくれています。
アントマンは前科者、スパイダーマンは思春期真っ盛りの高校生で、共にヒーローに成りたてです。
ヒーローとしてのアイデンティティーを確立していない二人ですが、それと同時に、いずれはこの二人にも「何かを背負って戦う時が来る」ことも予感されています。
アントマン、スパイダーマンは2作目で何を背負うのか
このように複雑な時期、複雑な形でアベンジャーズに参戦したアントマンとスパイダーマンですが、まだまだ何かを背負って戦うような存在にはなり得ていません。
『シビルウォー』後に公開された『スパイダーマン ホームカミング』においても、アベンジャーズへの過剰な憧れを抱き、一刻も早くスーパーヒーローになろうとしていましたが、最終的には、トニー・スタークからのアベンジャーズ加入を固辞し、高校生である自分の行動半径のみでヒーローをすることを決意します。
その後『アベンジャーズ インフィニティ・ウォー』で、なし崩し的にアベンジャーズ入りしてしまいます。
アントマンも同様に、第1作終了時では、ようやくヒーローとして歩き始めた存在に過ぎませんでした。
だからこそ、それぞれの第2作において彼ら二人が何と戦い、何を手にし、失うのか、それがヒーローとしての彼らにどのような変化を与えるのか、興味が尽きないポイントとなります。
『スパイダーマン』原作コミックで生まれ、旧映画版でも、もれなく使われてきている名セリフ、「大いなる力には、大いなる責任が伴う(“With great power, comes great responsibility”)」。
この言葉を実感させる展開は、間違いなく今後起こってくるでしょう。
『アベンジャーズ4』ではどんな登場を果たすのか
『アベンジャーズ インフィニティ・ウォー』では、アントマンは自宅軟禁中という理由で登場せず、スパイダーマンはサノスの「指パッチン」により非業の消滅となってしまいました。
しかし、どう考えても人類消滅の危機に際して登場しないことは不自然に思えました。
『アントマン&ワスプ』は、時系列的に『インフィニティ・ウォー』の前とされていますので、同じ理由で登場しなかったホークアイと共に、欠席の真相も明らかになるかもしれません。(彼らも「指パッチン」の餌食になっている可能性も充分あり得ますが、、、)
すでに来日したポール・ラッド(アントマン)や監督の記者会見でのコメントから、『アントマン&ワスプ』の結末は、『アベンジャーズ4』へ直結するものだと示唆されています。
そして、その展開こそが、この記事で書いてきたアントマンが「背負うもの」そのものかもしれません。
『アントマン&ワスプ』(2018)
次回の「最強アメコミ番付評」は…
いかがでしたか。
次回の第5回戦では、お待ちかね公開直後の『アントマン&ワスプ』を紹介していきます。
お楽しみに!