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【ネタバレ】映画『トラップ(2024)』あらすじ感想と結末評価。シックスセンスの監督が贈る父娘が遭遇する‟ライブ会場でのサスペンス”|B級映画 ザ・虎の穴ロードショー128

  • Writer :
  • 秋國まゆ

連載コラム「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」第128回

深夜テレビの放送や、レンタルビデオ店で目にする機会があったB級映画たち。現在では、新作・旧作含めたB級映画の数々を、動画配信U-NEXTで鑑賞することも可能です。

そんな気になるB級映画のお宝掘り出し物を、Cinemarcheのシネマダイバーがご紹介する「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」第128回は、M・ナイト・シャマラン監督が演出を務めた映画『トラップ』です。

消防士のクーパーは、溺愛する娘ライリーのために、彼女が夢中になっている世界的人気歌手レディ・レイブンのライブに連れていきます。

父親と共にライブ会場に到着したライリーは、最高の席に大感激。一方クーパーは、通常のライブではありえない、異常な数の監視カメラと警察官を見て違和感を抱きます。

口の軽い会場スタッフから事情を聞きだすクーパー。「ブッチャー」とよばれる残忍なシリアルキラーがここへ来るとのタレコミがあり、FBIと警察がこのライブというトラップを仕組んだというのです。

そのブッチャーの正体こそ、クーパーだった……。

映画『トラップ』のネタバレあらすじと作品解説をご紹介いたします。

【連載コラム】「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」記事一覧はこちら

映画『トラップ』の作品情報


(C)2024 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED

【公開】
2024年(アメリカ映画)

【監督・脚本】
M・ナイト・シャマラン

【キャスト】
ジョシュ・ハートネット、アリエル・ドノヒュー、サレカ・シャマラン、ヘイリー・ミルズ、アリソン・ピル、ジョセフ・ラングドン、スコット・メスカディ、マーシャ・ベネット、M・ナイト・シャマラン

【作品概要】
『シックス・センス』(1999)や『オールド』(2021)のM・ナイト・シャマランが、「シャマラン映画」という独自のジャンルを今も進化させ続け、キャリアと才能を捧げた集大成。M・ナイト・シャマランが監督・脚本を手がけるアメリカのサスペンス作品です。

『パール・ハーバー』(2001)や『ブラック・ホーク・ダウン』(2004)、『オッペンハイマー』(2024)などに出演するジョシュ・ハートネットが本作の主演を務めています。

女神の見えざる手』(2016)のアリソン・ピルが共演。

映画『トラップ』のあらすじとネタバレ


(C)2024 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED

アメリカ・ペンシルバニア。地元消防士のクーパー・アボットは、溺愛する娘のライリーのため、彼女が夢中になっている世界的人気歌手レディ・レイブンのライブに連れていきます。

ライブ会場は大勢の観客で賑わい、ライリーは憧れの歌手を間近で見られることに大喜び。

一方クーパーは、ライブ会場に設置された異常な数の監視カメラ、会場内外に続々と集まってくる大勢の警察官という、通常のコンサートでは考えられない厳重すぎる警備体制に違和感を抱きます。

クーパーは、ライブ会場の売店スタッフのジェイミーにそれとなく事情を聞きだしました。

口の軽いジェイミー曰く、12人の男女を切り刻んだサイコパスな連続殺人鬼「ブッチャー」がここへ来るというタレコミがあり、FBIと警察がブッチャー逮捕のため、このレディ・レイブンのライブという罠を仕掛けたというのです。

さらにクーパーは、ジェイミーから従業員カードを盗み、従業員しか入れない部屋に侵入。そこでちょうど作戦会議をしていた警官たちの目を盗んで警察無線を入手。

その警察無線を傍受し、FBIや警官たちの動きと、彼らが知るブッチャーの特徴を把握します。

実はこの娘思いの優しい父親であるクーパーこそが、ブッチャーだからです。

クーパーはライブ会場からの脱出方法を探します。しかしその一方で、ライリーに怪しまれないように、「優しい父親」でいなければなりません。

そんな中、クーパーが会場スタッフだと思って話しかけた相手が、まさかのレディ・レイブンの叔父でした。

レディ・レイブンと一緒にステージに立って踊り、彼女の楽屋にも行ける「夢見る少女」の座を望むライリーのため、娘と一緒にライブ会場から脱出するために、クーパーは娘が白血病と闘い克服したという嘘をでっち上げます。

その嘘を信じたレディ・レイブンの叔父の勧めで、ライリーは見事「夢見る少女」の座w獲得。夢見心地でレディ・レイブンの手を取り、彼女と同じステージに立ちました。

そんなライリーの姿をステージの裏から眺めたクーパー。彼女と一緒に歩いたステージ裏にも、FBIや警官たちがいるのを見て完全に逃げ道を失ったと気づきます。

するとクーパーは、なんとレディ・レイブンに自分がブッチャーであると告白したのです。

クーパーは、誘拐・監禁した22歳の男性スペンサーの姿をスマホで見せ、彼を一酸化炭素を使って殺されたくなければ、自分と娘をレディ・レイブンのリムジンに乗せてここから出せと彼女に要求します。

それを素直に受け入れたと思いきや、レディ・レイブンはライリーたちの自宅に行きたいと言い出したのです。

以下、『トラップ』ネタバレ・結末の記載がございます。『トラップ』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。


(C)2024 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED

喜ぶ娘の手前、クーパーは彼女の提案を受け入れざるを得ません。レディ・レイブンのリムジンに乗って帰宅したクーパーたちを、彼の妻レイチェルと息子のローガンが出迎えます。

さらにレディ・レイブンは、自分をもてなしてくれるクーパーの家族に、ブッチャーについて話します。

2週間前、FBIと警察から連絡があり、彼が今日のライブに来るということ。その証拠に、彼の隠れ家らしい空き家で、レディ・レイブンのライブチケットのレシートが見つかったこと。

ブッチャー逮捕のための作戦を指揮するFBIの凄腕のプロファイラー、ジョセフィン・グラントによると、犯人像は30代か40代前半の白人男性で、権力がある立場の人間。

犯行現場や隠れ家の緻密さから見て、ブッチャーは秩序を好み、強迫性障害を抱えている人間。強迫性障害を抱える人間ならば暗い色の車を好むはずであること。

そして、最初に自分の異常さに気づいた母親を恐れていること。

そう話した後、レディ・レイブンはクーパーたちの目を盗んで、彼のスマホを奪ってトイレに閉じこもりました。

家族にブッチャーの話をされた挙句、犯罪の証拠を握られ我慢の限界だったクーパーは、トイレのドアを強く叩いて、彼女にスマホを返せと詰め寄ります。

見たことないクーパーの異様さに困惑する家族。レディ・レイブンはひそかにスペンサーとコンタクトをとり、監禁場所の手掛かりを聞き出します。

そしてスマホでライブ配信をはじめ、ファンたちにスペンサーを助けるための協力を求めました。

さらにレディ・レイブンは、トイレのドア越しに、クーパーがブッチャーだと告げます。

クーパーがレディ・レイブンからスマホを取り戻した時、監禁場所に設置した監視カメラの映像にスペンサーの姿はありませんでした。

レディ・レイブンのファンの1人がちょうど、彼が監禁されているクーパーの隠れ家の向かいに住んでいたからです。

クーパーはレディ・レイブンを脅し、彼女を連れてレイチェルの車に乗り込み、ガレージから外に出ようとします。

レイチェルの車の隣に停められたクーパーの車は、グラントの推測どおり、漆黒でした。

レディ・レイブンは恐怖に震えながら、プロファイラーが言っていた彼の母親を演じ説得を試みるも失敗。

ガレージの扉が開き万事休すかと思いきや、クーパーが2階の部屋に閉じ込めたはずの彼の家族が、車の前に立ちふさがったのです。

クーパーが動揺している隙をついて、レディ・レイブンは車から脱出。ライリーたちをリムジンに乗せようとします。

そこへ、警察のSWATとFBIが現場に到着。クーパーが立て籠もった自宅を包囲します。

SWATが自宅に突入し、ブッチャーもといクーパーを逮捕。と誰もが思っていましたが、クーパーはキッチンの棚の裏に隠した、隣家の庭に通じるトンネルを使って包囲網を突破。

隣家の庭にいたSWAT隊員1人を負傷させ、SWAT隊員に成りすましてレディ・レイブンが乗り込んだリムジンを運転します。

クーパーは自宅から離れた場所で一時停車させ、レディ・レイブンに正体を晒したうえで彼女の手を後部座席の扉に手錠で拘束。隠れ家へと向かいました。

その道すがら、クーパーは消防法違反で多くの家が何年も空き家のままであることを利用して、自身の犯罪の隠れ家にしていたこと。

ステージ脇で待機するレディ・レイブンを見て、殺人衝動に駆られたことを語りだします。

「自分は完全」と思う人間を見るのは耐えられない。どんな人間も不完全で、心はバラバラなのだからと…。

レディ・レイブンは必死に自由な方の腕を伸ばし、後部座席の窓を開け、リムジンを珍しがって群がっていた群衆に助けを求めます。

さらにレディ・レイブンは、手錠を外そうと何度も強く引っ張り、繋がれていた鉄の棒を破壊。自力で外へ出ました。

ただでさえ目立つリムジンに、そこから出てきたレディ・レイブンの存在。クーパーは車を動かすことができません。

そこへ警察車両が駆けつけ、FBIとSWATはリムジンを包囲。タイヤ全輪をパンクさせて今度こそクーパーを追い詰めます。

しかし、リムジンの運転席にいるはずのクーパーの姿はなく、あったのはSWATのヘルメットと装備のみ。クーパーは助手席にあったレディ・レイブンのファンが着るパーカーに着替え、ひっそりと車から降り群衆に紛れていたのです。

レディ・レイブンとスペンサー、大勢の警官とFBIが見張るクーパーの隠れ家には、レイチェルがいました。

手はずどおり、ライリーとローガンはFBIによってレイチェルの妹の家に避難済み。レイチェルは避難せず、自宅で夫と対峙することにしたのです。

レイチェルは恐怖心を押し殺しながら、やってきた夫に事の経緯を語ります。

レイチェルは最初、夜遅くまで帰らず、自身にジュエリーの贈り物をする夫が浮気しているのではないかと疑いました。

クーパーの服についた洗浄液の臭い(消防署ではなく病院で使うもの)、以前隣人にパーティーを欠席した理由を言い訳にした時についた嘘(誰も嘘だと思わない説得力がある、ごく自然に流れるような嘘だった)。

クーパーを尾行して辿り着いた隠れ家の1つ(クーパーが何もせず考え事をしたり計画を立てたりするための場所)。

これらに気づいて、レイチェルはある考えが浮かびました。

クーパーの財布を調べた時に見つけたレディ・レイブンのライブチケットのレシートをわざと破って隠れ家に置く。

公衆電話を使って警察に「ひょっとしたら夫がブッチャーかもしれない」と通報。駆けつけた警察官がレシートを見つけて何か調べてくれるかもしれない、と……。

クーパーは、自分の正体に気づいた妻を殺そうとします。するとレイチェルから、これで最後になるからと、ライリーの成績がよかったお祝いとして作ったパイを一緒に食べないかと言われたのです。

クーパーはレイチェルと一緒にパイを食べながら、彼女に猛烈な怒りを抱いていると告白。被害者たちに対するものとは異なる、まるで内側から蝕まれ抑えることができないほどの純粋な怒りを……。

子供たちとの永遠の別れ、子供たちの成長を見届けられない。しかも終わり方が、「妻を殺害後、自殺」というあまりに凡庸であることだからだと、クーパーは言いました。

そんなクーパーの体に異変が……。実は、レイチェルは警察の隙を見て車にあったクーパーの鞄をとり、その中にあった薬(クーパーが被害者を落ち着かせる用に用意したもの)を粉状にしてパイに振りかけていたのです。

意識が朦朧とする中、クーパーは持ってきた凶器を手に、妻に近づきます。その時、クーパーの母親の声が聞こえてきたのです。

あなたのすべてが怪物じゃない。あなたは私の息子、それがあなたであり全てだ。

ついに、己の中の怪物に打ち勝ったあなたを受け入れるからこちらへおいで…と。

クーパーは複雑な表情で、母親の声がする方へ近づきます。とその時、隠れていたSWAT隊員が両側から、クーパーにテーザー銃を放ったのです。

しかしクーパーは気絶せず、SWAT隊員1人に襲い掛かってきたのです。そこへ、クーパーの母親を演じたグラントが、クーパーの正面からテーザー銃を放ちます。

クーパーはようやく床に倒れ、そのままFBIと警察に逮捕されました。そこへ彼の子供たちが、警察車両に乗ってやってきます。

ライリーは父親に、ローガンは母親にそれぞれ走って抱き着きました。クーパーはライリーを強く抱きしめ、妻のもとへ向かう娘の姿に後ろ髪引かれる思いで護送車に乗り込みました。

クーパーの家族が自宅に入ったのを見てから、FBIと警察はクーパーを連れてその場を立ち去りました。

クーパーは、隠し持っていたスポークを取り出し、両手にかけられた手錠を外します。

実は護送車に乗り込む前、倒れていたライリーの自転車を直すふりをして、自転車からスポークを1本抜き取っていたのです。クーパーは不気味に笑いました。

映画『トラップ』の感想と評価


(C)2024 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED

本作の最大の見どころは、物語の序盤で主人公のクーパーの正体がサイコパスな連続殺人鬼「ブッチャー」だと明かされることです。

クーパーは娘のライリーと仲が良く、彼女を喜ばせるために世界的人気歌手レディ・レイブンのライブへ連れていったり、娘の知らないところで娘を無視し仲間外れにしている娘の友達の母親と話をつけたりと溺愛しています。

そんなごく普通の優しい父親に見えるクーパーに、恐ろしい素顔があったなんてとても衝撃的。

しかも親子がいるライブ会場そのものが、ブッチャーを捕まえるためにFBIと警察が仕掛けたトラップであること。視聴者はFBIと警察が追っている犯人が誰か分かった上で、彼がどのように包囲網を突破するのかを見ることになります。

警察が犯人を追い詰め、視聴者は犯人の正体を推理するという普通のサスペンス作品の前提をひっくり返す、「警察視点ではなく犯人視点で、犯人が捕まらないように逃げ続けるスリル」。これを楽しめるところが、本作ならではの面白さです。

また、クーパーはただFBIや警察から逃げ回る犯人ではありません。

「警察はブッチャーの正体を知っているのか、どこを見ているのか、どの出口なら警備が手薄で脱出できるのか」という殺人犯としての考えと、どうすれば娘に怪しまれないのか」「父親として娘を喜ばせたい」という父親としての考え。

この2つの矛盾する考えがさらに物語を面白くさせ、視聴者も殺人鬼である彼を応援していいのかという倫理的な葛藤が残ります。


(C)2024 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED

そんなクーパーに罠を仕掛け、追い詰めていくFBIや警察。

遺体の発見現場の監視カメラの映像から、赤毛の男・平均的身長より大きい黒人男性・右腕に動物のタトゥーがある30代白人の男など様々な特徴の男=ブッチャーだとしか分かっていないのだと、クーパーは警察無線を聞いてほくそ笑みます。

しかし実は、一番正体を知られたくない・バレていないと思っていた妻のタレコミによって、クーパー=ブッチャーだと分かった上で、2万642人の観客のうち男性3000人を調べて捜していたのです。

しかもグラントは、クーパーが脱出するために何をするのか、彼が行動するより先に読んでいました。

そしてクーパーに殺されそうになるレディ・レイブンとレイチェルも、ただ彼に恐怖し逃げ惑うのではなく、クーパー逮捕のためにどう立ち回ればよいのかを考えながら、彼と駆け引きをしているのです。

この物語の後半に描かれる、クーパーとレディ・レイブン、クーパーとレイチェルとグラントの人間同士の駆け引き・心理戦が、視聴者をさらにハラハラドキドキさせ魅了していきます。

まとめ


(C)2024 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED

娘を溺愛する消防士の父親=子供の頃から怪物だった連続殺人鬼であるという事実が早い段階で視聴者に知らせたうえで、「犯人はどうやって逃げるのか」と犯人視点を想像しながら、犯人が追い詰められていく過程を楽しむ、予測不能の騙し合いサスペンス作品でした。

本作の見どころは、FBIや警察が犯人が誰か推理し追い詰めていく、普通のサスペンス作品の構成・前提を大胆にひっくり返した、「主人公=連続殺人鬼」という大胆な設定と、その事実を早くに視聴者に知らせるという本作ならではの面白い構成。

クーパー親子にとって楽しい思い出の場所となるはずだったライブ会場が、ブッチャーもといクーパー逮捕のためにFBIと警察、レディ・レイブンが協力して作った巨大な密室になるという舞台設定。

ジョシュ・ハートネットが演じるクーパーの、娘を思いやる「優しい父親」と「サイコパスな連続殺人鬼」という二面性。娘や家族に見せる優しい顔から、殺人衝動に駆られた時の不気味で恐ろしい顔を瞬時に切り替えるギャップです。

エンドクレジットの途中では、FBIと警察が7年に及ぶ捜査の末、ブッチャー=クーパーを逮捕したというニュースを見たジェイミーの姿が描かれています。

自分が知らず知らずのうちに犯人の逃走を手助けしたと知ったジェイミーは、もう二度と仕事場で誰とも口を聞かないと固く心に誓いました。

犯人が誰か推理するのではなく、犯人がFBIや警察からどうやって逃げるのかという他のサスペンス作品では味わえない独自の面白さを楽しみたい人、サスペンス作品が好きな人はぜひ一度ご鑑賞ください。

【連載コラム】「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」記事一覧はこちら



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