東野圭吾の小説『白鳥とコウモリ』が映像化され、2026年9月4日(金)全国公開!
“罪と罰”という核心的なテーマを重厚な物語で描いた東野圭吾の『白鳥とコウモリ』。
ミステリー小説の枠を超え、新たなファン層を拡大したとも言えるこの作品が、松村北斗と今田美桜のW主演で映画化されます。

(C)2026「白鳥とコウモリ」製作委員会
善良な弁護士が刺殺され、犯人が名乗り出て、事件は一件落着と思われたのですが……。容疑者の息子・倉木和真と、被害者の娘・白石美令は、互いの父の言動に違和感を抱きます。
「なぜ父は、殺人を犯したのか―?」「なぜ父は、殺されないといけなかったのか―?」。出会ってはいけない、容疑者の息子と被害者の娘が手を取り合って“事件の真実”を探るのですが……。
映画公開に先駆けて、小説『白鳥とコウモリ』をネタバレありでご紹介します。
小説『白鳥とコウモリ』の主な登場人物
【五代努】
警視庁捜査一課の刑事
【白石健介】
弁護士。刺殺死体で発見される
【白石美令】
白石健介の娘。事件の真相を探ろうとする
【倉木達郎】
白石健介の殺害を自供。
【倉木和真】
倉木達郎の息子。事件の真相を探ろうとする
【福間淳二】
33年前の東岡崎駅前金融業者殺害事件で逮捕され、獄中自殺する
【浅羽洋子】
門前仲町の「あすなろ」という店のオーナー。福間淳二は元夫
【浅羽織恵】
洋子の娘。離婚歴があり夫に預けた息子がいる
【安西知希】
織恵の息子。中学2年生
小説『白鳥とコウモリ』のあらすじとネタバレ

東野圭吾『白鳥とコウモリ』(幻冬舎)
2017年11月1日、港区の竹芝桟橋近くで違法駐車されていた車内から男性の刺殺体が発見されました。
財布や運転免許証など身元を保証するものがあり、被害者は弁護士の白石健介55歳と判明。家族は妻と美令という27歳の娘がいて、極めて平凡な生活を送っていたようです。
その日の被害者の足取りは、スマートフォンの位置情報からみると、朝南青山の自宅を出て事務所に出勤。
夜6時過ぎに車で江東区の富岡八幡宮近くに移動していました。ここで殺害され、車が放置された場所まで車で運ばれたと推測されました。
警視庁捜査一課の刑事・五代努は、この事件の捜査のため、白石の事務所に電話をかけてきた男・倉木達郎を訪ねることにし、彼が在住する愛知県三河安城に向かいました。
倉木達郎は現在66歳。妻は病死し、一人息子の和真は東京の大学を卒業してそのまま東京で就職していたので、一人暮らしでした。
法律相談のために白石事務所に電話をしたという達郎の説明に、五代は何となく引っかかるものを覚え、そばの柱に貼られた「富岡八幡宮」の札に気が付きました。
東京には息子のところに年に何回か行っているという達郎の言葉から、息子・和真の連絡先を聞き、日を改めて和真を訪ねました。
和真からは確かに、年に何回か父親が来ているとのことですが、父が東京で何をしているのかはわからないようでした。
その後の調べで、達郎は上京すると門前仲町の「あすなろ」という店に必ず行っていることが判明。「あすなろ」は浅羽洋子と浅羽織恵という母子で経営していました。
1980年代、洋子は福間淳二という男性と結婚して愛知県東岡崎に住んでいたのですが、1984年に「東岡崎駅前金融業者殺害事件」が起こりました。
詐欺まがいの悪徳商法を繰り返す灰谷という金融業者が何者かに事務所で殺された事件です。
この金融業者は悪徳商法を繰り返し、彼を恨んでいる被害者は何人もいたのですが、福間淳二もその中の一人でした。
騙されたお金を返してもらおうと事務所に行ったときに殺人がおき、はっきりとした証拠がないまま、福間淳二は逮捕されました。そして、留置場の中で首つり自殺をしたのです。
容疑者の自殺により、この事件はそのまま解決された形をとっていました。
残された福間の妻・洋子と娘は、その後どのような暮らしをしたのでしょうか。現在名乗っている浅羽という苗字は、洋子の旧姓でした。
五代がその事件の詳細をもっと詳しく調べていくと、倉木達郎と灰谷の接点までもが見えてきました。
倉木が車で灰谷と接触事故を起こし、怪我をしたと言う灰谷の怪我が治るまで、彼の運転手のような役割を担っていたというのです。
当然、事件のあった日も倉木は現場にいたのです。そして、福間という男が容疑者として逮捕され、獄中自殺したことも知っていました。
倉木はその後、福間の遺族が旧姓に戻して東京で暮らしていることを調べたのでしょう。冤罪を詫びる気持ちから、身分を隠して福間の妻と娘の様子を見守っていたと思われます。
愛知県のお土産を持参して常連客として店に行く倉木に、洋子たちも打ち解け、お礼にと富岡八幡宮のお札をあげたと、五代に言いました。
また、織恵は安西という男性と結婚し知希という息子がいるのですが、あることで息子を安西に預けて離婚したことも、倉木は知っていました。
倉木達郎の過去と浅羽母娘の関係が浮き彫りになってきた時、倉木は突然、33年前の岡崎での金融業者の殺害と白石弁護士の殺害の自供を始めました。
事件は解決したかに見えましたが、浅羽母娘は倉木に限ってそんなことはしないと全面的に倉木犯人説を否定します。
また、白石の娘・美令と倉木の息子・和真もそれぞれに、達郎の供述に嘘があると思って真相を探り始めます。
小説『白鳥とコウモリ』の感想と評価
殺人事件の犯人が逮捕され事件解決かと思われた後で、その事件に隠された本当の真実を、容疑者とされる男の息子と被害者の娘が探っていくというストーリーの『白鳥とコウモリ』。
ただのミステリー小説ではなく、後半で容疑者と被害者が入れ替わるという‟どんでん返し”が用意されています。
罪を犯した若き頃の白石健介にはそれなりの理由があり、殺人現場を目撃しながら見逃してやった倉木達郎。
彼は、事件の犯人として逮捕された福間淳二が自供しないまま獄中自殺したことで、良心の呵責に苛まれます。
時効となった過去の事件には、それに関わる複雑な人間関係があり、白石殺しの容疑者とされる倉木の息子・倉木和真と白石の娘・白石美令が結託して、その謎を暴いていきます。
過去と現在の事件が結びつき一挙に解決した時に2人に待ち受けた結末は、切なく哀しいものでした。
もしも自分が事件を起こしたら……。それを隠したい、あるいはその事実から逃れたいと誰もが思うことでしょう。
ですが、その時の判断を一つ間違えれば、事件に関わった人たちの人生の歯車を狂わすことになるのです。
人が己の良心と向き合って行動することの重要さがよくわかる本作において、真実を知るために行動を起こした和真と美令。アッと驚く結末でしたが、事件の真実と向き合う彼らの姿に感動します。
タイトルは、白と黒という対照的な色の鳥の名前が付けられています。「罪と罰」を想像したり、「どんでん返し」を連想させる見事なタイトルと言えるでしょう。
映画『白鳥とコウモリ』の見どころ
東野圭吾の人気小説『白鳥とコウモリ』が映画化決定!
監督を務めるのは、『あゝ、荒野』(2017)『正欲』(2023)などの岸善幸。脚本は『ある男』(2022)『愚か者の身分』(2025)といった作品に参加した向井康介が担当します。
注目は、これまで社会的に孤立した人々の生き様に鋭く切り込んできた岸善幸監督と、日本アカデミー賞最優秀脚本賞の受賞経験を持ち、2025年の『平場の月』や『悪い夏』といった作品を次々と生み出した向井康介がタッグを組んでいるところです。
2人の強烈なタッグによって、テーマである‟被害者や加害者の苦悩”をどのように表現するのかと、楽しみです。
主要キャストを演じるのは、松村北斗と今田美桜。複雑な感情表現が多いであろう本作での演技も見どころの一つとなっています。
映画『白鳥とコウモリ』の作品情報
【日本公開】
2026年(日本映画)
【原作】
東野圭吾『白鳥とコウモリ』(幻冬舎文庫)
【監督】
岸善幸
【脚本】
向井康介
【キャスト】
松村北斗、今田美桜
まとめ
東野圭吾原作の『白鳥とコウモリ』をネタバレ有りでご紹介しました。
容疑者の息子と被害者の娘が事件の真相を解き明かそうとする物語。事件の犯人が捕まった時が始まりで、事件の真相が判明したとき、2人の立場は見事に逆転します。
被害者遺族と加害者家族の苦悩が描かれた本作は、ミステリーというよりも、『手紙』(著者:東野圭吾)や『罪の声』(著者:塩田武士)のような心の機微を鋭く描く人間ドラマです。
複雑な胸中の2人のその後はどうなるのでしょう。原作の続編に加えて、映画でのW主演を務める松村北斗と今田美桜の演技にも期待が高まります。

































