連載コラム『映画という星空を知るひとよ』第297回
アメリカのロックバンド「ヴェルヴェット・アンダーグラウンド」の歌姫であり、ポップアートの旗手アンディ・ウォーホルのミューズとして1960年代に一世を風靡したドイツ出身のニコ。
映画『残響のメロディ 魂の放浪者ニコ、最後の旅路』は、ニコが1988年に49歳で亡くなる直前の2年間に焦点をあてた異色の音楽伝記ドラマです。
本作は、華やかなニコの伝説の裏側にある孤独と再生を描き出し、音楽映画であると同時に、ひとりの女性の晩年を描く人間ドラマとなっています。
『残響のメロディ 魂の放浪者ニコ、最後の旅路』は、2026年7月17日(金)よりキノシネマ新宿、池袋シネマ・ロサ、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開です。
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映画『残響のメロディ 魂の放浪者ニコ、最後の旅路』の作品情報

(C)2017 VIVO FILM / TARANTULA
【日本公開】
2026年(イタリア、ベルギー合作映画)
【原題または英題】
Nico, 1988
【監督・脚本】
スザンナ・ニッキャレッリ
【製作】
マルタ・ドンゼッリ、グレゴーリオ・パオネッサ、ジョゼフ・ルーショップ、バレリー・ブルノンビル
【撮影】
クリステル・フォルニエ
【キャスト】
トリーヌ・ディルホム、ジョン・ゴードン・シンクレア、アナマリア・マリンカ、サンドル・フュンテク、トマス・トラバッキ、カリーナ・フェルナンデス、カルヴィン・デンバ
【作品概要】
本作は、60年代に一世風靡した歌手のニコが1988年に49歳で亡くなる直前の2年間に焦点をあてた異色の音楽伝記ドラマです。
監督は、『キアラ』(2022)や『ミス・マルクス』(2020)で、数々の映画賞を受賞したイタリア人女性監督のスザンナ・ニッキャレッリ。
主演は、アカデミー賞外国語映画賞受賞作『未来を生きる君たちへ』(2010)や『罪と女王』(2020)などの国民的俳優のトリーヌ・ディルホム。共演に『グレゴリーズ・ガール』(1980)主演のジョン・ゴードン・シンクレアや、『4ヶ月、3週と2日』(2007)のアナマリア・マリンカなど、豪華な顔ぶれがそろいました。
2017年・第74回ベネチア国際映画祭のオリゾンティ部門にて最優秀作品賞を受賞。
映画『残響のメロディ 魂の放浪者ニコ、最後の旅路』のあらすじ

(C)2017 VIVO FILM / TARANTULA
アメリカのロックバンド、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの歌姫として知られるニコ。
ポップアートのの旗手アンディ・ウォーホルのミューズとして60年代に一世を風靡しました。
時は流れて、1986年。
イギリスのマンチェスターで孤独に暮らす40代後半のニコは、過去の名声から距離を置き、新しいマネージャーのリチャードやバンドとともにヨーロッパツアーへ出発しました。
しかしその旅は、彼女自身の不安定な精神や薬物依存、周囲との軋轢といった問題と向き合う過酷なものとなります。
母としての後悔と葛藤を抱くニコは、薬物依存と自殺未遂でフランスの更生施設に収容されている息子アリを引き取り、ツアーに同行させますが……。
映画『残響のメロディ 魂の放浪者ニコ、最後の旅路』の感想と評価

(C)2017 VIVO FILM / TARANTULA
本作は、過去に世界を一世風靡した歌姫ニコが死去する2年前の活動を描いた作品です。
絶大なる人気を誇っていたニコですが、今では世間から忘れ去られようとしていました。その栄光と衰退の日々の段差がニコを悩ませます。
新たな人生を踏み出そうとするニコ。「歌姫ニコ」の偶像から解き放されようと自分を「クリスタ(本名)と呼んで」と言うシーンから見えてくるのは、新たな人生を再生しようとする固い決意でした。
自分の心の内をわかってくれる人は少ないかもしれません。ニコはそんな胸の内を、歌に託して歌います。
ニコを演じ自ら歌唱も担当したのは、デンマークの国民的女優トリーヌ・ディルホム。
ハスキーでエネルギッシュ、でもどこか哀愁が漂う歌声で、「残響」という言葉でしか言い表せない孤独な印象を与えてくれました。
トリーヌ・ディルホムは、言葉では言い表せない思いを込めて歌い上げるニコを見事に体現。最後となった旅路を彩るにふさわしい勇姿をぜひ劇場でごらんください。
なお、本作では、80年代後半の空気感を演出するために、レトロで温かみのある印象を与える1:1のスクエアフォーマットを採⽤しています。
また、ニコやアンディ・ウォーホルなどの実際の映像素材を借りて編集したというフラッシュバック映像も用意され、これは必⾒です。
まとめ

(C)2017 VIVO FILM / TARANTULA
60年代に一世を風靡したドイツ出身の歌姫ニコ。その半生をつづった音楽伝記ドラマ『残響のメロディ 魂の放浪者ニコ、最後の旅路』をご紹介しました。
歌姫として人気を誇った時期を描いたものではなく、49歳でニコが亡くなる直前の2年間に焦点をあてた作品です。
ここに描かれているのは、ニコの華やかな栄光の時代ではありません。
過去の名声から遠ざかってのライブツアーの記録ですが、そこにはニコの薬物依存や不安定な精神、息子との関係性など、ニコの私生活もリアルに活写。
華やかな伝説の裏側にある孤独と一人の女性として再⽣をめざすニコの姿が浮き彫りにされています。
映画は、ニコの命日前日に公開されることが決定しました。
『残響のメロディ 魂の放浪者ニコ、最後の旅路』は、2026年7月17日(金)よりキノシネマ新宿、池袋シネマ・ロサ、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開されます。
星野しげみプロフィール
滋賀県出身の元陸上自衛官。現役時代にはイベントPRなど広報の仕事に携わる。退職後、専業主婦を経て以前から好きだった「書くこと」を追求。2020年よりCinemarcheでの記事執筆・編集業を開始し現在に至る。
時間を見つけて勤しむ読書は年間100冊前後。好きな小説が映画化されるとすぐに観に行き、映像となった活字の世界を楽しむ。


































