たった1台のシャーマン戦車と300人のドイツ軍部隊が激突する戦争アクションドラマ!
デヴィッド・エアーが脚本・製作・監督を務めた、2014年製作のアメリカの戦争アクションドラマ映画『フューリー』。
第二次世界大戦末期のヨーロッパ戦線で、徹底抗戦を繰り広げていたドイツ軍の部隊300人と、連合軍の米兵5人が乗るたった1台のシャーマン戦車が激突する物語とは、具体的にどんな内容だったのでしょうか。
他の部隊が全滅し、なんとか生き残ったシャーマン戦車が300人のドイツ軍の部隊と渡り合っていく、アメリカの戦争アクションドラマ映画『フューリー』のネタバレあらすじと作品解説をご紹介いたします。
映画『フューリー』の作品情報
【公開】
2014年(アメリカ映画)
【脚本・監督】
デヴィッド・エアー
【キャスト】
ブラッド・ピット、シャイア・ラブーフ、ローガン・ラーマン、マイケル・ペーニャ、ジョン・バーンサル、ジェイソン・アイザックス、スコット・イーストウッド、ジム・パラック、ブラッド・ウィリアム・ヘンケ、ケヴィン・ヴァンス、ゼイヴィア・サミュエル、アナマリア・マリンカ、アリシア・フォン・リットベルク、ダニエル・ベッツ
【作品概要】
『ワイルド・スピード』(2001)や『エンド・オブ・ウォッチ』(2012)、『スーサイド・スクワッド』(2016)などを手掛けた、デヴィッド・エアーが脚本・製作・監督を務めたアメリカの戦争アクションドラマ作品です。
「オーシャンズ」シリーズや『イングロリアス・バスターズ』(2009)、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(2019)などに出演する、ブラッド・ピットが主演と製作総指揮を務めています。
映画『フューリー』のあらすじとネタバレ
第二次世界大戦中、米軍の戦車は武装・装甲とも、敵対するドイツ軍の戦車よりも劣っていました。米軍の戦車乗員は、強大な敵戦車に撃破され、苦戦していました。
1945年4月。アメリカ合衆国・イギリス・フランス・ソ連・中国を中心とする連合軍は、ナチス・ドイツ心臓部に侵攻しましたが、ドイツ軍から激しい抵抗にあっていました。
ドイツの首相であり、国家社会主義ドイツ労働者党「ナチ党」の指導者アドルフ・ヒトラーは「総力戦」だと宣言し、男・女・子供を問わず、ドイツの全国民を兵として動員しました。
米軍の第3小隊に所属する米兵ドン・“ウォーダディー”・コリアー一等軍曹が車長を務める米軍の戦車「M4A3E8 シャーマン」、通称「フューリー号」は戦車小隊の第3小隊4輌と共に、徹底抗戦を続けるドイツ軍と戦い続けていました。
フューリー号に乗っているクルーはウォーダディーをはじめ、砲手のボイド・“バイブル”・スワンと装填手のグレイディ・“クーンアス”・トラビス、操縦手のトリニ・“ゴルド”・ガルシア。
副操縦手のレッドもいましたが、ドイツ軍との戦闘で死亡。さらにフューリー号以外の4輌が全滅。
ウォーダディーたちは連合軍のデポ(戦闘地帯から見て後方の軍の諸活動・機関・諸施設を総称したもの)へ戻り、戦死したレッドの後任として、8週間前に入隊したばかりの新兵ノーマン・エリソン二等兵を、新たな副操縦手として仲間に迎え入れます。
しかしノーマンは、以前はタイピストを務めていて戦車の中を見たことがなく、また戦車に乗ったことも戦場に出たこともありませんでした。
ウォーダディーはそんなノーマンの目の前で、デポで尋問予定のナチ党の親衛隊における武装組織「武装SS」の1人を見て、仲間を殺した武装SSに対する憎しみを顕わにし、「SSは1人残らず殺せ」と彼に命じました。
その後ウォーダディーたちは、戦車小隊の小隊長パーカー中尉と米兵のデイヴィッド軍曹、ビンカウスキ軍曹やピーターソン軍曹たち戦車小隊と共に、戦車小隊へ戦車10輌応援要請した米軍の第41連隊B中隊と合流すべく、ドイツに侵攻を開始。
ウォーダディーたち戦車小隊が縦列で行軍中、ノーマンは近くの木陰から敵らしき姿を目撃しますが、それが子供だったため仲間に警告しませんでした。
しかしそのせいで、木陰にいた少年兵たち「ヒトラーユーゲント(ナチス党公認のファシズム青少年組織)」に襲撃され、先頭を走っていたパーカーの戦車が破壊されてしまい、乗員もろとも火だるまにされてしまいました。
ウォーダディーはそんなノーマンを激しく叱責したのち、パーカーの代わりに小隊長として戦車小隊を率いて、B中隊が待つ合流地点へ向かいます。
合流地点へ到着後、ウォーダディーはB中隊を率いる“オールドマン”・ワゴナー大尉に会いに行き、前線の指揮を執る彼から今後の指示を請いました。
「この先にいる小隊が機銃掃射を受け、畑で足止めを食らっている。そこへ装甲車を贈る込んだが壊滅した。ドイツ軍の対戦車砲が3~4ヶ所にあるようだ」
「部下を救出し、敵を撃破しろ。敵を撃破した後に合流し、俺たちと一緒に町を制圧する」
ウォーダディーたち戦車小隊は、戦車の後ろに歩兵たちを歩かせながら畑へ前進。ドイツ軍対戦車砲陣地に入り、ドイツ軍の機銃掃射と対戦車砲と対峙します。
ウォーダディーの指揮の下、戦車小隊はマイルス軍曹たちB中隊の歩兵を後ろに隠したまま、対戦車砲を撃破。残る敵散兵を機銃掃射で一掃しようとします。
しかしその戦闘中、ノーマンは弾の装填に手間取ってしまい、危うく敵散兵から間近で銃撃されるところでした。
それをゴルドがカバーし、敵散兵を戦車で踏みつぶして戦車小隊はさらに前進。歩兵を展開し、生き残っている敵散兵と交戦させます。
ゴルドはノーマンに、踏みつぶした敵散兵を殺すよう指示しますが、「もう死んでいるのに何でまだ撃たなくちゃいけないんだ」と言い、ノーマンはドイツ兵を殺すことを躊躇するのです。
インカムで2人の会話を聞いていたウォーダディーは激怒し、ノーマンを連れて戦車を降り、捕虜となったドイツ兵を射殺するよう強要します。
「俺は乗員の命を守ると、ゴルドたちに約束した。それをお前が邪魔する」「ドイツ兵を殺せない奴は役立たずだ」
「捕虜となったドイツ兵を殺すことが間違っているかどうかは関係ない。ドイツ兵を殺すのが俺たちの任務だ。お前はドイツ兵を殺すためにここにいる」
ノーマンは拒否し激しく抵抗しますが、ウォーダディーは彼に力ずくで銃を持たせ、目の前に跪かせた捕虜を射殺させます。
初めて人を殺した恐怖に震えるノーマンに、ウォーダディー以外のゴルドたち4人が声を掛け、彼にこう言いました。
「ドンはとんだイカレ野郎だが、頼れる奴だ。俺たちは北アフリカ戦線前からの仲だ」「俺たちがこうしてずっと無事でいられるのは、彼のおかげなんだ」
そう、ウォーダディーたち5人は、北アフリカ戦線を生き抜いてきた歴戦の猛者でした。
映画『フューリー』の感想と評価
戦場で兵士として成長するノーマン
ノーマンはウォーダディーたち戦車小隊に配属される前は、ただタイプライターで文字を打っていただけのタイピストでした。
戦場に出た経験もなく、戦車の中も見たこともありません。おまけにノーマンは、銃の撃ち方も戦車の操縦の仕方も知りませんでした。
そんな8週間前に入隊したばかりの新兵ノーマンが、初めて戦車小隊として戦場に出て敵を戦車で蹴散らし、死のうが捕虜になろうがお構いなしに敵兵を殺さなくてはならない戦争の恐ろしさを体験するのです。
自分がもしもノーマンだったらと考えると、初めて人を殺したことと、理想とは程遠い過酷な戦場を見て恐怖に震えてしまうのも頷けます。
そんなノーマンが一人前の兵士として成長したきっかけは、制圧した小さな町の住民が、米軍と親睦を深めていると知ったドイツ軍と武装SSに爆撃された後です。
とても短い恋でしたが、それでも一時心を通わせたエマが爆撃によって死んでしまいます。武装SSやドイツ軍は、戦いを拒否した国民を子供であろうと関係なく絞首刑に処しました。
自国民であろうと惨殺していく武装SSとドイツ軍に、復讐心を燃え上がらせたノーマンに、もう助命を乞う敵兵を思いやる気持ちなど一切ありません。
ノーマンが物語の後半から、徐々に一人前の兵士として成長し、ウォーダディーたちから仲間として認められた場面はとても感激します。
絆を深めるウォーダディーたち
人を殺したことがないノーマンと、北アフリカ戦線を生き抜いてきた歴戦の猛者ウォーダディーたちは最初、敵兵や捕虜に対する考え方の違いから対立してしまいます。
それでもウォーダディーたちは決してノーマンを見放すことなく、戦い方や戦争の恐ろしさを教えていきました。
一度は戦場から逃げ出したくなったノーマンですが、ゴルドたちから聞いたウォーダディーの仲間想いな一面を知って、反発した彼らに対する気持ちに変化があったのでしょう。
ドイツの小さな町を制圧した後、ノーマンはまず、ウォーダディーと徐々に絆を深めていきました。
エマたちの家では、仲間外れにされた腹いせから、ゴルド・クーンアス・バイブルの3人がノーマンとエマに酷い嫌がらせをしてくるのです。
そこで一度、仲間たちに対して激昂したウォーダディーの姿を見て、ここでまさか仲間割れしてしまうのではないかと、観ているこちらが冷や冷やさせられます。
何とか仲間割れせずに、ウォーダディーたちはドイツ軍のドイツ軍の戦車「ティーガーI」1輌との一騎討ちを制し、十字路で300人の武装SS大隊相手に死闘を繰り広げていきました。
次々と襲ってくる敵の襲撃を退け、最後まで仲間と協力して戦い抜いたウォーダディーたち。絶体絶命のピンチに陥った時、彼らの仲間に対する熱き思いが画面越しに伝わってきて涙が止まりません。
まとめ
戦場に出たことも人を殺したこともない新兵が、歴戦の猛者が集う戦車小隊に配属され、300人のドイツ軍の大隊と激突するアメリカの戦争アクションドラマ作品でした。
本作の見どころは、米軍の戦車小隊とドイツ軍による激闘と、戦場の中で築かれたノーマンたちの絆、ドイツが誇るティーガー戦車VSシャーマン戦車による一騎討ちです。
ドイツ軍の戦車「ティーガーI」1輌と生き残った米軍の戦車「フューリー」による一騎討ちの場面では、互いに戦車砲を撃ち合います。相手の動きを観察し攻撃の手を考えていく緊迫感たっぷりの息詰まる攻防戦は、ハラハラドキドキします。
その後に続く何時間にもわたって繰り広げられる、ウォーダディーたちvs300人の武装SS大隊による十字路での激闘。圧倒的な戦力差にも関わらず、敵に大損害を与えることが出来たウォーダディーたちの快進撃は凄まじいです。
米軍の戦車小隊が敵国ドイツで、ドイツ軍と300人の武装SS大隊と激闘を繰り広げていく、緊迫感たっぷりの戦争アクションドラマが観たい人に、とてもオススメな作品となっています。