連載コラム「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」第124回
深夜テレビの放送や、レンタルビデオ店で目にする機会があったB級映画たち。現在では、新作・旧作含めたB級映画の数々を、動画配信U-NEXTで鑑賞することも可能です。
そんな気になるB級映画のお宝掘り出し物を、Cinemarcheのシネマダイバーがご紹介する「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」第124回は、バリー・レヴィンソン監督が演出を務めた、映画『アルトナイツ』です。
1957年、アメリカ・ニューヨーク。ギャンブラーで不動産屋という表の顔と、ニューヨークで最も悪名高い組織犯罪のボスという裏の顔をもつフランク・コステロが、自宅マンションで何者かに銃撃され重傷を負いました。
フランクは警察には言いませんでしたが、自分を殺そうと刺客を送り込んだ人物を知っていました。組織の副ボスのヴィト・ジェノベーゼ、幼馴染で悪友だった彼だと…。
些細な嫉妬と裏切りから対立するフランクとヴィトの対立を描いた、アメリカの伝記・犯罪ドラマ映画『アルトナイツ』のネタバレあらすじと作品解説をご紹介いたします。
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映画『アルトナイツ』の作品情報

(C) 2025 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTS RESERVED.
【公開】
2025年(アメリカ映画)
【脚本】
ニコラス・ピレッジ
【監督】
バリー・レヴィンソン
【キャスト】
ロバート・デ・ニーロ、デブラ・メッシング、コスモ・ジャービス、キャサリン・ナルドゥッチ、マイケル・リスポリ、マイケル・アドラー、エド・アマトルド、ジョー・バシーノ、アンソニー・J・ギャロ、ウォレス・ランガム、ルイス・マスティーロ、フランク・ピッチリーノ、マット・セルビット、ロバート・ウリコラ
【作品概要】
『トラブル・イン・ハリウッド』(2010)や『アウシュヴィッツの生還者』(2023)などを手がけたバリー・レヴィンソンが監督を務めた、アメリカの伝記・犯罪ドラマ作品です。
『ゴッドファーザー PART Ⅱ』(1974)や『タクシードライバー』(1976)、『マイ・インターン』(2015)など数多くの作品に助演・主演を務めるロバート・デ・ニーロが、ニューヨークに実在したイタリア系マフィア、フランク・コステロとヴィト・ジェノベーゼの2役を演じています。
映画『アルトナイツ』のあらすじとネタバレ

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1957年、アメリカ・ニューヨーク市。ギャンブラーで慈善活動や寄付までしている不動産屋のフランク・コステロが、自宅の高級マンションで男に銃撃され重傷を負いました。
銃弾はフランクの右耳後ろの頭皮を引き裂きましたが、奇跡的に後頭部に沿うように銃弾がカーブしたため、フランクは大事には至りませんでした。
フランクは、搬送先の病院に駆けつけたニューヨーク市警の刑事サレルノ巡査部長と彼の相棒マリンズから事情聴取を受け、銃撃犯は分からないと一貫して答えました。
ですがそれは嘘、フランクは自分を殺そうとした男、彼を刺客として送り込んだ男が誰か見当がついていました。
フランクの幼馴染で悪友、フランクの裏の顔であるニューヨークで最も悪名高い組織犯罪の副ボス、ヴィト・ジェノベーゼです。
フランクとヴィトはイタリア人で、共に父親が肉体労働者で安アパート暮らしという共通点があり、何をするにも一緒だったというほどとても仲良しでした。
フランクたちは父親のようにはなるまいと野心を抱き、9年生で学校を辞めて、「アルトナイツ」という社交クラブに入り浸るようになりました。
町のゴロツキである彼らに転機が訪れたのは、イタリア系マフィアのボスのラッキーの政治参入をサポートしたことでした。
やがてラッキーが逮捕され、ヴィトがボスに昇格。しかし2人を殺した殺人罪で追われる身になってしまい、フランクに自身の留守を任せ、イタリアへ国外逃亡しました。
飲食店の開業を考えていたフランクは、ヴィトに代わりボスの座についてから数年後、禁酒法をかいくぐって酒場を開業して大金を得ました。
合理的かつ慎重に事を進める性格で、常に人と折衝してきたフランクだからこそ得た成功でした。
最愛の妻ボビーとの子供が望めないと分かってからは、フランクにとって仕事が家族になり、大勢の政治家や景観を味方につけました。
ヴィトは第二次世界大戦終戦後、アメリカに帰国。国外逃亡中も含め、ヴィトに不利な証言をする証人はみな失踪するか死亡していたため、無罪放免となりました。
これで堂々とボスの座に返り咲ける。そう思っていたヴィトでしたが、15年という彼の不在は長く、その間に色々と変わってしまったのです。
フランクの下で15年間、平穏な繁栄や政治家との友情を築いてきた全米のギャングのボス60人以上は、ヴィトがボスの座に復帰することに反対しました。
しかもヴィトは、警察に見つかれば酒の密売よりも刑が重い麻薬の売買取引に手を出しており、麻薬を使った勢力拡大を目論んでいたのです。
フランクは、子供の頃の思い出が詰まった菓子店ならば落ち着いて話を聞いてくれるのではと思い、ヴィトをそこに呼び出して説得しました。
しかし、根っからのゴロツキで無鉄砲な性格のヴィトは聞く耳をもたず、フランクの説得は失敗。さらにヴィトとその周囲の人間は次々と問題を起こしていきます。
FBIは麻薬を最大の敵と位置づけ、次々と組織を摘発。連邦麻薬局のアンスリンガー長官らの尽力により、麻薬王のオルメントが逮捕されました。
それを報じたラジオに怒り、それを聞いていた手下たちに消せと命じたヴィト。
出世欲があるヴィトの手下は、ヴィトがそのラジオで犯罪撲滅を訴えた評論家であり、ラジオの司会者ビクター・リーゼルを消すことを望んでいると勘違いし、彼を襲撃。
リーゼルは顔面に硫酸をかけられ、両目を失明しました。
映画『アルトナイツ』の感想と評価

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穏健派で、合理的かつ慎重に事を進める冷静な性格のフランクと、短気で無鉄砲で暴力的なヴィト。
性格が正反対ながらもイタリア系マフィア、ニューヨークで最も悪名高い組織犯罪のボスにまで上り詰めるまで、彼らは何をするにも一緒にいるほど仲が良かったです。
フランクの方は、飲食店の開業を考えた時にヴィトに断られてから、彼と考え方が違うのだと気づいていました。
それも相まって、ヴィトが麻薬を使って勢力拡大しようとした時、フランクは彼と距離を置くきっかけになりました。
しかしヴィトは、フランクの性格は知っていながらもここまで考え方・生き方が違うとは知りませんでした。
だからヴィトは作中、フランクが自分が晴れて自由の身になった時に会いに来てくれなかったことに怒り、フランクに距離を置かれたことに寂しさを感じていました。
マフィアのボスでありながら愛妻家で暴力を好まず、妻と愛犬たちとの生活のために引退を考えている一面を持つフランク。
短気で暴力的な「ザ・マフィア」ながら、幼馴染に距離を置かれただけで寂しくなる意外な一面を持つヴィト。彼らのそれぞれの意外な一面にギャップ萌えします。
また、対照的なフランクとヴィトを本作の主演ロバート・デ・ニーロただ1人で演じており、そう見えないような演じ分けや、彼らの性格と雰囲気の違いをどう表現しているのかを見るのがとても楽しいです。
そしてフランクとヴィトの権力争いによる派手な銃撃戦ばかりではなく、組織内の駆け引き・裏切りや政治家との関係などマフィアの経営戦略に近い部分も描かれていてとても興味深い、本作の見どころの一つとなっています。
まとめ

(C) 2025 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTS RESERVED.
1950年代のニューヨークを舞台に、幼馴染であり悪友でもあったイタリア系マフィア、穏健派で合理的・冷静沈着なフランクと短気で暴力的で嫉妬深いヴィトの対立を、実話をベースに描いたアメリカの伝記・犯罪ドラマ作品でした。
本作の見どころはなんといっても、フランクとヴィトという性格もマフィアの経営戦略も違う2人を、ロバート・デ・ニーロただ1人が演じているところです。
本作の脚本は、ノンフィクション小説『グッドフェローズ』の原作者として知られるニコラス・ピレッジ。昔ながらのアメリカン・ギャング映画の雰囲気が強く、衣装・街並み・クラシックカーなど1950年代当時のニューヨークを再現した雰囲気作りがされています。
なので「ゴッドファーザー」シリーズや『グッドフェローズ』(1990)などの古典的なギャング映画が好きな人、ロバート・デ・ニーロが好きな人、昔のアメリカ映画や歴史ものが好きな人、派手なアクションより人間ドラマやマフィアの権力闘争が好きな人にはとても刺さる作品なので、ぜひ一度ご鑑賞ください。
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