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Entry 2021/01/03
Update

映画『ゴーンガール』ネタバレ感想と結末までのあらすじ。どんでん返しの後は先を読ませない展開に!|SF恐怖映画という名の観覧車135

  • Writer :
  • 糸魚川悟

連載コラム「SF恐怖映画という名の観覧車」profile135

「先を読ませない展開」はサスペンス映画のキモであると言えます。

近年では映画の宣伝文句として「どんでん返し」の存在をあらかじめ周知させることも珍しくありません。

しかし、「どんでん返し」は伏線を丁寧に積み上げてから物語をひっくり返してこそのものであり、「伏線の丁寧さ」と「先を読ませない展開」をしっかりと満たした作品は多いとは言えません。

今回はそんな「どんでん返し」を見事に成功させたサスペンス映画でありながら、人間の恐ろしさを描いた「恐怖映画」でもある映画『ゴーン・ガール』(2014)をネタバレあらすじを含めご紹介させていただきます。

【連載コラム】『SF恐怖映画という名の観覧車』記事一覧はこちら

映画『ゴーン・ガール』の作品情報


)2014 Twentieth Century Fox

【原題】
GONE GIRL

【配信】
2014年(アメリカ映画)

【監督】
デヴィッド・フィンチャー

【キャスト】
ベン・アフレック、ロザムンド・パイク、ニール・パトリック・ハリス、タイラー・ペリー、キャリー・クーン、キム・ディケンズ

【作品概要】
『セブン』(1996)や『ファイト・クラブ』(1999)で知られるデヴィッド・フィンチャー監督が製作したサスペンス映画。

本作は『アルゴ』(2012)など監督業としても活躍するベン・アフレックと、本作への出演が高い評価を受けたロザムンド・パイクが主演を務めました。

映画『ゴーン・ガール』のあらすじとネタバレ


)2014 Twentieth Century Fox

7月5日、5年目の結婚記念日を迎えるエイミーとニックですが、2人の仲は今や夫婦として破綻したものとなっています。

朝、ニックがバーから家に帰るとリビングが荒らされエイミーの姿が消えていました。

通報を受けやってきた刑事のボニーは、家の中のの至るところにある傷をチェックしていきます。

ボニーは部屋の状況から、エイミーの失踪を深刻な事態と考え事件として捜査を始めます。

ボニーはニックを聴取をすると、彼はエイミーの昼間の行動や友人の有無を知らないだけに留まらず血液型すら知りませんでした。

警察の捜査の間、ニックはバーを運営する妹のマーゴの家に泊まることにします。

一方、ボニーはニックの家のキッチンの血痕と、ニックとエイミーが結婚式に行っている宝探しゲームの1つ目のヒントと書かれた封筒を見つけます。

失踪から2日目、ニックは警察からの指示でエイミーの情報を呼びかける記者会見を行います。

エイミーを題材にした絵本で大成功を収めるエイミーの両親も記者会見に参加し、ニュースは瞬く間にアメリカ中で話題になります。

警察は20年前にエイミーと付き合い、接近禁止令を受けているデジーに注目しますが、あまりに古い情報であるため重要筋から外します。

ボニーはヒント1の封筒をニックに見せ、エイミーの残した謎を解いていくことで失踪前の行動がわかるとニックに謎を解かせることにします。

エイミーの残していたヒントはニックのオフィスや無人のニックの父の家を指し示していました。

捜査を続けるボニーはホームレス街にいる麻薬の売人にエイミーの写真を見せ、彼女が銃を買いに来たと言う情報を手に入れます。

失踪から3日目、教え子のアンディとの不倫がマーゴにバレたニックはニュースを見せられ、妻が失踪したにも関わらずニックに動揺が見られないことで世論が自身に批判的であることを知ります。

キッチンで行ったルミノール検査の結果、エイミーの多量の血痕の跡が発見され、ボニーは殺人の線を視野に含め始めます。

夜、ボニーからキッチンで発見された致死量とも思える血痕と偽装された現場について詰問されたニック。

さらに身に覚えのない多額の負債の存在とエイミーの生命保険が引き上げを挙げられ、ニックはボニーに疑われていることを確信。

弁護士を通さなければ何も話さないとニックは口を閉ざし、ボニーは立件する為にはエイミーの死体が不可欠であると考え捜査を続けます。

その夜、ボニーはニックの父の家の焼却炉からエイミーの日記を見つけます。

その日記には、ニックとの結婚生活が破綻していることや、ニックが邪魔になった自分を殺すかもしれないと言う恐怖が書き綴られていました。

一方、ニックはエイミーの残したヒントからマーゴの家の使われていない倉庫に行きつき、そこでエイミーの計画を知ります。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『ゴーン・ガール』のネタバレ・結末の記載がございます。『ゴーン・ガール』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

エイミーはニックが自身の財産に寄生するだけでなく浮気していることに激怒し、自身の殺害を偽装しその罪をニックに被せ、自身は死んだ身として新たな人生を送ろうとしていました。

計画の実行のため毎日血液を抜き、捏造した日記を書き、自身のクレジットカードでニックがギャンブルをしたように見せかけました。

7月5日、エイミーは言葉巧みにニックを家から追い出し、集めた血液をキッチンに撒き跡が残るように拭き残します。

さまざまな偽装工作を施し、エイミーはネットで足跡をつかせないように購入した車でミズーリを去りました。

一方、エイミーの企みに気付いたニックはマーゴにエイミーにハメられたことを話すと、夫婦間の殺人を受け持つ凄腕の弁護士ボルトを雇います。

失踪から5日目、ミズーリにやってきたボルトはエイミーの残したヒントの数々が全てニックの浮気を警察に掴ませるためのものであると気づくと、ニックに警察にアンディとの浮気について話すことを勧めます。

失踪から6日目、ボルトは警察が動きを見せなくなったことからニックを逮捕するための決定的な証拠を手に入れたと考え、ニックにワイドショーへ出演するように勧めます。

必ず批判されるとテレビへの出演に否定的になるニックでしたが、過ちを認める男を演じ世間の同情を勝ち取らなければミズーリには死刑があるとまでボルトに脅されます。

一方、辺境のモーテルに隠れ住むエイミーは隣人のグレタに大金を持っていることと変装を見抜かれ、金を強盗されてしまいます。

失踪から7日目、計画が狂い、次なる宿泊先すらままならない状況に追い込まれたエイミーはデジーに連絡を取り、彼に匿ってもらうことにします。

デジーの家へと招かれたエイミーはデジーが実業家として成功し豪邸に住んでおり、全室に監視カメラが存在することを知ります。

その頃、ニックはインタビュアーでありニックに批判的な意見を煽動するシャロンと相対し、インタビューの撮影が行われました。

失踪から8日目、シャロンによるニックのインタビューが放映されます。

インタビューの中でニックはエイミーから貰ったネクタイをつけ、自身の不貞と「良い夫」を演じようとしていたことを認め、夫婦生活の破綻が自身のせいだったことを自白します。

インタビューは世間に好評であり、ニックの好感度は上がり始めます。

しかし、成功の束の間にボニーが駆けつけ、証拠隠滅の容疑でマーゴを連行。

マーゴの無実を訴える為、ボルトの反対を押し切りボニーの取り調べを受けるニックは、暖炉から見つかった凶器にエイミーの血がついていたことを理由に殺人容疑で逮捕されてしまいます。

失踪から21日目、表向きデジーと仲良く暮らすエイミーはデジーの家の中の監視カメラの位置を全て把握し、ある計画を練っていました。

一方、ニックはボルトの尽力もあり公判までの間、保釈されます。

失踪から29日目、エイミーはデジーとの性行為の最中にデジーの首をナイフで切り殺害。

失踪から30日目、返り血だらけの状態でエイミーが帰宅します。

エイミーからデジーの精子とレイプの跡が見つかり、エイミーもデジーによる誘拐を供述。

縛られていたと供述したにも関わらず凶器をどこで手に入れたのかが腑に落ちないニックはエイミーによる謀殺であることを確信します。

全ての証拠がニックによる殺人を示唆していたことに疑問を持つボニーもまた、エイミーを不審に思います。

奇跡的な生還をした妻とその夫として表向き感動的に帰宅したエイミーとニック。

全てを知るニックがエイミーを問い詰めると、エイミーはニックのインタビューを見て惚れ直し戻ってきたと話します。

初めからニックのインタビューはエイミーが姿を表すようにエイミーに対して行ったものでした。

ニックはエイミーにデジーを謀殺したことを指摘し、騒動が収まり次第離婚すると言います。

しかし、エイミーはニックに対し自分の下を離れるのなら世論を操作し徹底的に追い詰めると脅迫。

帰宅から数日が経ち、ボルトは当面の危機が去ったことを理由にニックの弁護士を辞めます。

尚もボニーにデジーの殺害の件についての再捜査を頼むニックでしたが、エイミーを疑うボニーとは裏腹に捜査はFBIに引き継がれてしまっていました。

エイミーは奇跡の生還を果たした妻として人気になり、夫婦揃って自伝の販売等で成功を収めます。

帰宅から1ヶ月が経過し、エイミーはニックに妊娠を報告。

触れてすらいないとニックはDNA鑑定を求めようとしますが、すぐに自身がかつて精子バンクに精子を預けていたことを思い出します。

ニックはエイミーに世論を敵に回してでも離婚すると言いますが、彼女に子供もあなたのことを恨むと言われます。

ニックは良い夫婦を演じ続け、相手にもそれを求め、そして支配しようとしたこの関係を続けることの意味をエイミーに訪ねますが、それが結婚生活だと一喝されます。

子供が大人になるまでの18年間、偽りの夫婦生活を続けていくことを決めたニックはマーゴにいつまでも味方でいてほしいと吐露します。

夫婦の世間での人気は決定的となり、シャロンによるインタビューで夫婦生活が順調であることをアピールした2人は妊娠したことを報告。

ニックは夫婦生活とは相手が何を考えているかや何を感じているかを知ることが大事であると考えながら、今後どうなっていくのかを不安に思いました。

映画『ゴーン・ガール』の感想と評価


)2014 Twentieth Century Fox

「夫婦生活とは何か」と言う答えの出ない哲学的な問いと「サイコサスペンス」を組み合わせた異色の映画『ゴーン・ガール』。

本作は再鑑賞必須の映画であり、1度目と2度目で全く違った映画性を楽しめる作品でもあります。

初見時に注目して欲しい「ジャンルの変化」と再鑑賞時に注目して欲しい「社会への皮肉」。

それぞれの要素の特徴をピックアップしてご紹介させていただきます。

映画途中でガラリと変わるジャンル

本作の特徴はなんと言っても物語の「どんでん返し」にあります。

物語の序盤は「エイミーの失踪」をミステリー用語で言う「フーダニット(誰がやったのか)」に絞り「ミステリー」調に展開されていきます。

しかし、物語の中盤で「エイミーの失踪」の真実の様相が一変し、異常性を持ち合わせた犯人の内面と水面下での心理戦を描く「サイコサスペンス」映画へと変貌。

事件の様相をひっくり返すだけでなく映画のジャンルすらもひっくり返し、「前半と後半で観ている映画が違うのではないか」とすら思える程の衝撃を味あわせてくれます。

移り変わりやすい世論への皮肉

物語の序盤から中盤で、エイミーの夫ニックが「エイミーの失踪」の犯人として警察だけでなく世間にも疑われ始めます。

本作の犯人は「世論の操作」を得意とし、「世論の支持を受けること」を巡り水面下での心理戦が繰り広げられます。

物事の一面しか見えていないにも関わらず、マスコミによる扇動や関係者の証言一つで簡単に変わる「無関係の人」の心情。

演技や捏造された証拠の1つで変わるその心を本作は皮肉ると共に、登場人物の印象をあっさりと変えることで鑑賞している人自身も「無関係の人」のひとりであること痛感させられる、デヴィッド・フィンチャー監督による最大級の皮肉も感じさせてくれます。

まとめ


)2014 Twentieth Century Fox

本作への出演で高い評価を受けた主演のベン・アフレックとロザムンド・パイク。

「結婚生活への絶望」を象徴すると言える本作の生み出す、登場人物への疑心暗鬼の気持ちは2人の俳優の巧みな演技があってこそ。

ドイツの哲学者ニーチェは結婚生活を「長い会話」と定義し、夫婦間の会話の大切さを説きました。

相手が何を考えているかを推し量ることより、会話をしっかりとしていくべきだと日々の気持ちを改めたくなるようなサスペンス映画『ゴーン・ガール』。

「サイコサスペンス映画」としても「恐怖映画」としてもオススメの作品です。

次回の「SF恐怖映画という名の観覧車」は…

いかがでしたか。

次回のprofile136では、2021年公開映画の中から「SF」と「ホラー」映画の期待大の作品をピックアップし、注目点をご紹介させていただきます。

次回の掲載をお楽しみに!

【連載コラム】『SF恐怖映画という名の観覧車』記事一覧はこちら

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