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映画『廃用身』あらすじ感想と評価考察。キャスト染谷将太が主演!“映像化不可能”小説が描く画期的治療“身体のリストラ”をめぐる倫理の行方

  • Writer :
  • 菅浪瑛子

「映像化、絶対不可能!」と話題の衝撃作を、主演・染谷将太で映画化!

久坂部羊の小説デビュー作を映画化した映画『廃用身』が、2026年5月15日(金)より全国ロードショーを迎えます。

「廃用身」とは、麻痺などにより回復見込みがない手足のことを指します。デイケア「異人坂クリニック」の漆原院長は、「廃用身」の切除という“画期的”な治療を患者に提案しているというのです。

“身体のリストラ”により、「身体も心も軽くなった」「厳しい性格が柔らかくなった」など予想外の“好ましい副作用”が現れたと言いますが……。

外務省医務官を経て、在宅訪問医として終末医療の最前線に立ち続けてきた著者・久坂部羊自身の経験から生まれた衝撃の小説『廃用身』。

映像化不可能と言われた本作の映画化の監督・脚本は、自主製作映画『症例X』(2011)で第30回ぴあフィルムフェスティバル(PFF)の審査員特別賞を受賞し、第61回ロカルノ国際映画祭新鋭監督コンペティション部門に入選した吉田光希。

理想を追い求めるあまり狂気に走っていく漆原院長を演じたのは、『寄生獣』(2014)やチェン・カイコー監督の『空海 KU-KAI 美しき王妃の謎』(2018)など国内外で活躍する染谷将太。

漆原の医療に可能性を感じ、本の出版を打診する編集者・矢倉には北村有起哉、漆原の治療で人生を取り戻した高齢者・岩上を六平直政、漆原の妻・菊子を瀧内公美が演じました。

映画『廃用身』の作品情報


(C)2025 N.R.E.

【日本公開】
2026年(日本映画)

【監督・脚本】
吉田光希

【原作】
久坂部羊『廃用身』(幻冬舎文庫)

【キャスト】
染谷将太、北村有起哉、瀧内公美、廣末哲万、中村映里子、中井友望、吉岡睦雄、六平直政

【作品概要】
現役医師の作家・久坂部羊の同名デビュー小説を『家族X』(2011)『三つの光』(2017)などがベルリン国際映画祭をはじめとした多数の国際映画祭で評価された吉田光希監督が映画化。

「映像化不可能」と呼ばれた本作は、吉田監督が小説と出会って衝撃を受け、20年に渡って温め続け今回の映像化につながったといいます。

本作で合理性と狂気の狭間へと踏み込んでいく医師・漆原を演じるのは、『ヒミズ』(2011)で共演の二階堂ふみと共に、ベネチア国際映画祭のマルチェロ・マストロヤンニ賞(最優秀新人賞)を獲得した染谷将太。

共演には『逆火』(2025)の北村有起哉、『首』(2023)の六平直政、『由宇子の天秤』(2021)の瀧内公美など名優らが脇を固めます。

映画『廃用身』のあらすじ


(C)2025 N.R.E.

ある町にあるデイケア「異人坂クリニック」。異人坂クリニックでは、院長の漆原のもと、“画期的”な治療が行われ、その治療がお年寄りの間で、密かに広まっているといいます。

その治療とは、麻痺などにより、回復見込みがない手足、つまり廃用身を切除し、“身体のリストラ”を行なっているというのです。

噂を聞きつけた編集者・矢倉は、治療を受けたという患者にインタビューを行います。するとある患者は「身体も心も軽くなった」と言います。患者の介護をする家族からは「厳しい性格が柔らかくなった」という意見も。

予想外の“好ましい副作用”を聞いた矢倉はこの治療法に、老齢期医療に革命を起こす可能性を感じ取り、漆原に本の出版を提案します。

その矢先、異人坂クリニックのデイケアに関する内部告発が週刊誌に流出し、治療を受けた患者宅で起きた衝撃の事件により全てが暗転していき……。

映画『廃用身』の感想と評価


(C)2025 N.R.E.

“身体のリストラ”は誰のための治療なのか

高齢化が加速する現代社会において、終末医療や介護は大きな問題となっています。その背景には、介護する職員の不足や家族の負担も切り離せないものです。

廃用身とは、麻痺などにより回復見込みがない手足のことを指しますが、廃用身は人の身体にとって不必要なものなのでしょうか。

回復する見込みのない手足を切ることで、身体が軽くなり、介護負担も軽減し、残った身体への負担も軽減できると漆原院長は言います。

漆原院長の説明を受けて、合理的な治療のように思えるかもしれません。しかし、大きな違和感、恐怖を覚えた人もいるのではないでしょうか。

その根源にあるのは、人間が持つ倫理観ではないでしょうか。

人の身体を不必要なものとみなすことに対する嫌悪感や恐怖までも漆原は、多くの医療は最初は残酷だと受け入れられないこともあったが、次第に当然の治療として受け入れられていくと話します。本当にそうでしょうか。

本作が問いかけているのは、人が人であるための尊厳や倫理観と、医療のあり方、合理性の境界線の曖昧さ……高齢化が進む現代の私たちが向き合うべき課題と言えます。

まとめ


(C)2025 N.R.E.

外務省医務官を経て、在宅訪問医として終末医療の最前線に立ち続けてきた著者・久坂部羊自身の経験から生まれた衝撃小説『廃用身』。

映像化不可能と言われた本作を『家族X』(2011)『三つの光』(2017)の吉田光希監督が、染谷将太を主演に迎え映画化。

とあるデイケアクリニックで行われていた“画期的”な治療。それは、麻痺などにより回復見込みがない手足のことを指す「廃用身」を切断するというものでした……。

廃用身は不必要なものなのでしょうか。切断することで本当に「身も心も軽く」なれるのでしょうか。

異様で、悍ましさすら感じるクリニックの様子、拒絶を覚えるのはまだその治療法が馴染みのないものだから?それとも……

映画『廃用身』が突きつけるのは、高齢化が加速する現代社会が向き合うべき課題であり、加速する技術と倫理観の問題でもあります。

現代社会に鋭く切り込む映画『廃用身』は、2026年5月15日(金)より全国ロードショー。



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