『層間騒音』は騒音を元にした“音系”団地ホラー
韓国ならでは団地の事情や、『仄暗い水の底から』(2001)などを彷彿させる団地の恐怖を“騒音”をモチーフに描き出した『層間騒音』。
聴覚障害のあるソ・ジュヨンの元に、妹のジュヒが失踪したという連絡がきます。
かつて共に暮らしていた団地に戻り、手がかりを探すジュヨン。下の階の住人は夜になると「夜は静かにしてほしい」とジュヨンを脅し、何か知っていそうな警備員は婦人会会長に睨まれて話そうとしません。
騒音を立てているのは人か、それとも……。
聴覚障害のある女性ソ・ジュヨンを演じたのは、『空気殺人~TOXIC~』(2022)や『ミッション:ポッシブル』(2021)のイ・ソンビン。
ジュヒを探すジュヨンを手助けするジュヒの恋人・ギフン役を演じたのは、『シャーク 覚醒』(2021)やドラマ『ワンダフルデイズ』(2023-2024)のキム・ミンソク。
監督を務めたのは、本作が初長編作となったキム・スジンです。
映画『層間騒音』の作品情報

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【日本公開】
2024年(韓国映画)
【英題】
Noise
【監督】
キム・スジン
【脚本】
イ・ジェヒ、キム・ヨンファン、キム・スジン
【キャスト】
イ・ソンビン、キム・ミンソク、ハン・スア、リュ・ギョンス、チョン・イクリョン、ペク・ジュヒ
【作品概要】
騒音から始まる恐怖を描いた“音系”団地ホラー『層間騒音』は、短編映画『線』(2013)で監督デビューし、本作が初の長編監督作となったキム・スジンが監督を務めました。
聴覚障害のある女性ソ・ジュヨンは、『空気殺人~TOXIC~』(2022)や『ミッション:ポッシブル』(2021)のイ・ソンビン、ジュヒを探すジュヨンを手助けするジュヒの恋人・ギフン役は、『シャーク 覚醒』(2021)やドラマ『ワンダフルデイズ』(2023-2024)のキム・ミンソクが演じました。
そのほかのキャストには、ドラマ『梨泰院クラス』(2019)のリュ・ギョンス、『ザ・バッド・ガイズ』(2019)のチョン・イクリョン、『人質 韓国トップスター誘拐事件』(2021)のペク・ジュヒなど。
映画『層間騒音』のあらすじとネタバレ

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聴覚障害のあるソ・ジュヨンのもとに、警察から妹のジュヒが何日も連絡がつかないと言われます。
かつてジュヨンも暮らしていた団地に向かうと、部屋にジュヒの姿はなく、屋根は真っ暗な防音マットが張り巡らされていました。
ジュヨンは、騒音に神経質になり、騒音の犯人を突き止めると言うジュヒに嫌気がさし、妹から離れるため社員寮のある仕事を選んで家を出たのでした。
防犯カメラには、ジュヒがどこかに向かう様子は、映されていませんでした。警察は事件性がないと動いてくれません。
警備員に話を聞きに行くと、ジュヒが騒音の問題を訴えていたが「よりよって604号室なので……」と言い、ジュヨンは604号室で何かあったのかと、聞き出そうとします。
しかし、婦人会会長の登場により警備員は深く関与したくないのか、話すのをやめてしまいます。
1人で焦るジュヨンの元に、ジュヒの恋人だというギフンが訪ねてきます。
ギフンはジュヨンを手助けし、「妹を探しています」というチラシを作り配るのを手伝ってくれます。
そんななか、連日ジュヨンの家には「静かにしろ」と脅すような張り紙がつけられ、下の504号室の住人だという男性が「静かにしないと口を裂くぞ」など脅迫してきます。
しかし、ジュヨンは大きな音を立てたりはしていません。
映画『層間騒音』の感想と評価

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騒音から始まる恐怖を描いた“音系”団地ホラー『層間騒音』。
『#生きている』(2020)や『コンクリート・ユートピア』(2024)、『奈落のマイホーム』(2022)など団地を舞台にした韓国映画はいくつもあり、賃貸と持ち家の違いや、不動産価値など韓国ならではの事情が描かれてきました。
本作においても、「ゴミを不法投棄しているのは、どうせ賃貸の人だ」と婦人会会長が決めつけ、賃貸の住人の怒りを買うという場面がありました。
また、婦人会会長は、『コンクリート・ユートピア』にも登場し、都合の悪い部分は見ないようにする姿勢など本作の婦人会会長に通じる部分もある人物でした。
さらに団地は、邦ホラーにおいてもよく舞台となります。『仄暗い水の底から』(2001)、『クロユリ団地』(2013)、『N号棟』(2022)などが思い浮かぶでしょうか。
一軒家とは違い、団地やマンションなど集合住宅は、人の入れ替わりが多く、人が多く住んでいるということでトラブルも少なからずあります。
それだけでなく、一見無機質な同じ部屋が立ち並ぶ景観が、人の恐怖を誘うのかもしれません。
騒音に悩まされた経験がある人もいるかもしれません。気をつけていても神経質な人が過剰に苦情を言うケースもありますし、本当に騒音で日々悩まされているというケースもあるでしょう。
本作が面白いのは、怨霊の存在の恐怖だけでなく、ヒトコワの要素も入ったハイブリットホラーという点です。
804号室の住人の女性は、神経質な下の階の704号室の女性に苦情を言われ、苦しめられていました。そして仕方なく外で遊ばせていたら、娘がトラックに轢かれて亡くなってしまいます。
娘が亡くなった真実を受け入れられない女性の真実を知ってしまったため、ジュヒは殺されてしまいます。一方、804号室の女性とは別に、怨霊も存在しています。
それは、604号室の人物に殺された704号室の女性です。女性はまだ息があり、助けを呼び求めるため壁をどんどん叩いていたと言います。その姿を見た804号室の女性によってトドメを刺されます。
その恨みにより最後804号室の女性は襲われ、助けを求めるもジュヨンはその声を聞こうとせず見殺しにします。
ジュヨンの最後の選択は、何も聞かずに生きていくこと、それこそがこの団地で生きていくということなのかもしれません。
ある意味ジュヨンも最後は、団地に取り込まれていくのです。それはジュヒと生きるためにはそうする他ないからなのです。ジュヒは恐らくもう死んでいます。
ジュヨンはそれを認めようとせず、そのことを知っていたからこそ、804号室の女性は「私と同じだ」と言うのです。心のどこかで、分かっていたことを無かったことにしたのです。
そこに、生きている人間の怖さ、向き合わないことでしか生きていくことができない弱さがあるのです。しかし、どうでしょうか。
ジュヨンのように信じる、向き合わないことが自分にとっての幸せだとしたら……同じような選択をしてしまうかもしれないと思った人はいるのではないでしょうか。
まとめ

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騒音問題から始まる恐怖を描いた団地ホラー『層間騒音』。「層間騒音」とは、一般的に上の階から下の階への騒音のことを指します。
2025年にNetflixで配信された映画『84m2』は、騒音に悩まされる若者が犯人に仕立て上げられ、その奥にある事件に巻き込まれていく様子を描いたスリラーでした。
騒音の背景にあるのは、価格を安く抑えるための手抜き工事、そしてマンションの価値を上げるため、口封じをされる住人の姿でした。
その問題は『層間騒音』にも表れていました。『層間騒音』の団地は老朽化が問題となり、建て替え工事のため団地で問題を起こさないよう婦人会会長が目を光らせていました。
『84m2』では、駅が開通しマンションの価格が上がるのを見込んで問題を起こさないようにする人々の様子が映し出されていました。
騒音問題は、韓国だけではなく日本においても問題といえるでしょう。しかし、韓国では騒音だけでなく、マンションを簡単に引っ越すことはできない不動産や賃貸事情があります。
その上にソウル一極化による、ソウルの地価の高騰も関係しています。そのような韓国の社会情勢が垣間見えるのも面白い点と言えるでしょう。
また、ジュヨンは聴覚障害があり、補聴器をつけて生活をしています。しかし、時に補聴器を外し、音声認識アプリで文字起こしされた声を見て認識しています。
そのアプリが、目に見えない存在の声を拾うという現代的な演出も印象的でした。
その他にもビデオカメラが登場しますが、そのビデオカメラはスマートフォン連動し、撮影したデータを送っていたことで、ジュヨンが真実に気づくなど現代的な電子機器を使った演出も見事です。



































