Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

サスペンス映画

『エディントンへようこそ』あらすじ感想と評価考察。アリ・アスター監督が描く!コロナ禍の町の選挙戦が全米を巻き込むパンデミックスリラーへ変貌

  • Writer :
  • 松平光冬

『ミッド・サマー』のアリ・アスター監督が放つパンデミック・スリラー

へレディタリー 継承』(2018)、『ミッドサマー』(2020)のアリ・アスター監督とA24スタジオ製作による映画『エディントンへようこそ』が、2025年12月12日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国順次ロードショーされます。

ボーはおそれている』(2024)に次いでアスター監督とホアキン・フェニックス主演との再タッグが放つ、小さな町で起こったカオスな風刺劇の見どころをご紹介します。

映画『エディントンへようこそ』の作品情報

(C)2025 Joe Cross For Mayor Rights LLC. All Rights Reserved.

【日本公開】
2025年(アメリカ映画)

【原題】
Eddington

【製作・監督・脚本】
アリ・アスター

【共同製作】
ラース・クヌードセン、アン・ロアク

【製作総指揮】
レン・ブラバトニック、ダニー・コーエン、ティモ・アルジランダー、アンドレア・スカルソ、ハリソン・ハフマン、アレハンドロ・デ・レオン、タイラー・カンペローネ

【撮影】
ダリウス・コンジ

【編集】
ルシアン・ジョンストン

【キャスト】
ホアキン・フェニックス、ペドロ・パスカル、エマ・ストーン、オースティン・バトラー、ルーク・グライムス、ディードル・オコンネル、マイケル・ウォード

【作品概要】
へレディタリー 継承』(2018)、『ミッドサマー』(2020)のアリ・アスター監督が、『ボーはおそれている』(2024)に次いでホアキン・フェニックス主演で手がけたスリラー。

ニューメキシコ州の町エディントンを舞台に、住民たちの不満と不安に端を発した暴走を描きます。

主な共演は『ファンタスティック4 ファースト・ステップ』(2025)のペドロ・パスカル、『ラ・ラ・ランド』(2016)のエマ・ストーン、『エルヴィス』(2022)のオースティン・バトラー。

映画『エディントンへようこそ』のあらすじ


(C)2025 Joe Cross For Mayor Rights LLC. All Rights Reserved.

2020年のニューメキシコ州の小さな町、エディントン。コロナ禍でロックダウンとなり息苦しい隔離生活を余儀なくされる住民たちの不満と不安は、爆発寸前となっていました。

そんな中、保安官のジョーは、IT企業誘致で町を“救おう”とする野心家の市長テッドと、“マスクをするしない”の小競り合いから対立し、その勢い任せで市長選に立候補します。

ジョーとテッドの諍いの火は周囲に広がっていき、SNSはフェイクニュースと憎悪で大炎上。同じ頃、ジョーの妻ルイーズは、カルト集団の教祖ヴァーノンの扇動動画に心を奪われ、陰謀論にハマっていきます。

疑惑と論争と憤怒が渦巻くエディントンの選挙戦。はたしてその結果は……。

映画『エディントンへようこそ』の感想と評価


(C)2025 Joe Cross For Mayor Rights LLC. All Rights Reserved.

A24×アリ・アスター×ホアキン・フェニックスの強力トリオ再び

へレディタリー 継承』(2018)、『ミッドサマー』(2020)と予測不能なスリラーを次々発表してきたアリ・アスター監督と映画スタジオA24。

そしてオスカー俳優のホアキン・フェニックスを主演に迎えた2024年の『ボーはおそれている』は、そのあまりの不条理な展開に賛否両論を巻き起こしました。

そのアスターとフェニックスが再び組んだ『エディントンへようこそ』は、2020年のアメリカのニューメキシコ州の架空の町エディントンが舞台となります。

全世界が新型コロナウィルスのパンデミックに襲われる中、エディントンも例外ではなく、ロックダウン生活を強いられた町民たちは鬱屈とした日常を送る日々。そんな町内をパトロールしつつ、マスクを着用しない保安官のジョーに抗議をしたのが、市長のテッドでした。

妻ルイーズの元恋人ということもあって、以前からテッドが気に入らなかったジョーは口論に発展。勢い任せで次期市長選挙への立候補を決意します。

その一方で、ジョーとの夫婦仲が冷めきっているルイーズは心身に不安を抱えるあまり、過激な主張を唱える動画配信者ヴァーノンの扇動に心を奪われていくのでした。

正しいのは自分だけ

(C)2025 Joe Cross For Mayor Rights LLC. All Rights Reserved.

アスター監督は、コロナ禍でロックダウンとなっていた時期に、青春時代を過ごしていたニューメキシコで暮らしていた際に本作を構想。

コロナウィルスおよびワクチンに関する陰謀論、ジョージ・フロイド殺害事件に端を発したBLM(ブラック・ライヴズ・マター)、さらにはトランプ米大統領のヘイトスピーチを受けてのアンティファ、オース・キーパーズといった過激組織の扇動といった、家にこもってオンラインで時事ニュースを見ていた人たちの不安と恐怖を、そのまま脚本に起こしました。

ソーシャル・ディスタンスを推奨されていても個人の自由を主張する保守的なジョー、巨大データセンター建設が街に潤いをもたらすと考えるテッド、人種差別を訴える町民……。本作の登場人物たちは皆、自分が正しい、自分が信じるものが正義だと信じて疑いません。

彼らは悪人ではありません。でも、自分と意見が合わない者は敵対者と見なし、衝突していく――小さな町だからこそ、その衝突はすぐにコロナのように蔓延し、やがて暴走していきます。

ジョーを筆頭に町民たちによる暴走の先に待つ顛末に、驚くこと必至となるでしょう。

(C)2025 Joe Cross For Mayor Rights LLC. All Rights Reserved.

まとめ


(C)2025 Joe Cross For Mayor Rights LLC. All Rights Reserved.

本作はアメリカで今年7月、カンヌでは5月に上映されるも、「反応は真っ二つ。でもそれが狙いだった」と語ったアスター監督。

登場人物たちの会話の齟齬、いわゆるディスコミュニケーションがカオスを生んでいく――「それこそが現代の縮図だ」と監督が語れば、主演のホアキン・フェニックスも、「観客がこの映画を観て、今の世界を理解してくれることを願っている」とコメントしています。

今の世界をシニカルたっぷりに描いた本作を、その目でご確認下さい。

映画『エディントンへようこそ』は、2025年12月12日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国順次ロードショー

松平光冬プロフィール

テレビ番組の放送作家・企画リサーチャーとしてドキュメンタリー番組やバラエティを中心に担当。『ガイアの夜明け』『ルビコンの決断』『クイズ雑学王』などに携わる。

ウェブニュースのライターとしても活動し、『fumufumu news(フムニュー)』等で執筆。Cinemarcheでは新作レビューのほか、連載コラム『だからドキュメンタリー映画は面白い』『すべてはアクションから始まる』を担当。(@PUJ920219



関連記事

サスペンス映画

【ネタバレ】おんどりの鳴く前に|あらすじ感想と結末の評価解説。ルーマニア映画サスペンスが描く“善人の村”の闇と“鶏の説話”たち

ルーマニアの村を舞台に、人間の生々しい欲を浮き彫りにするサスペンス『おんどりの鳴く前に』! ルーマニア・モルドヴァ地方の静かな村。鬱屈した日々を送っていた中年の警察官イリエは、果樹園を営むことを夢見て …

サスペンス映画

【ネタバレ】スイートマイホーム|映画あらすじ考察感想と結末の評価解説。怖い小説原作との違いと意味ד覗き見る少女”が暴く“他人の不幸”の中を生きる者

映画『スイート・マイホーム』は2023年9月1日(金)より全国公開! 作家・神津凛子のデビュー作である同名小説を、俳優として活躍しながら映像制作活動も行い、初の長編監督作『blank13』(2018) …

サスペンス映画

【ネタバレ】ミステリと言う勿れ|映画あらすじ結末感想と評価解説。犯人の正体は?漫画“広島編”を描くドラマ続編でも整/菅田将暉の推理力は健在!

面倒くさすぎる性格の大学生、広島の地に立つ。 『月刊フラワーズ』で連載され、2021年には小学館漫画賞(一般向け部門)を受賞した田村由美による漫画シリーズ『ミステリと言う勿れ』。 2022年には菅田将 …

サスペンス映画

映画ギフト(2000)|ネタバレあらすじ結末と感想考察の評価。犯人の真相に隠された事件の謎をサムライミ×ケイト・ブランシェットで描く

サム・ライミ監督が描く超感覚サスペンス・ホラームービー! サム・ライミが監督を務めた、2000年製作のアメリカのサスペンス・スリラー映画『ギフト』。 アメリカ・ジョージア州の小さな町で子供3人と暮らす …

サスペンス映画

【ネタバレ】ザ・コンフィデンシャル|あらすじ感想と結末の評価レビュー。名優メル・ギブソンら豪華キャストが実話を基にした作品に挑む

豪華キャストで贈る衝撃の実話をもとにしたサスペンス・アクション! マイケル・オブロウィッツが脚本・製作・監督を務めた、2023年製作のアメリカのサスペンス・アクション映画『ザ・コンフィデンシャル』。 …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学