自殺した生徒の遺書がクラスに波乱を巻き起こす
ダンス&ボーカルグループ「THE RAMPAGE from EXILE TRIBE」の吉野北人が主演を務め、陽東太郎による同名コミックを実写映画化した衝撃の学園ミステリー。
「東京リベンジャーズ」シリーズの英勉が監督を、バラエティやドラマで活躍する放送作家・鈴木おさむが脚本を手がけました。
遺書を公開する度に明かされる真実と、クラスメイト全員の本性に翻弄される本作の魅力をご紹介します。
映画『遺書、公開。』の作品情報

(C)2024 映画「遺書、公開。」製作委員会 (C)陽東太郎/SQUARE ENIX
【公開】
2025年(日本映画)
【原作】
陽東太郎
【監督】
英勉
【脚本】
鈴木おさむ
【編集】
相良直一郎
【キャスト】
吉野北人、宮世琉弥、松井奏、志田彩良、髙石あかり、堀未央奈、忍成修吾
【作品概要】
ダンス&ボーカルグループ「THE RAMPAGE from EXILE TRIBE」のメンバーで『HiGH&LOW THE WORST』(2019)の吉野北人が主演を務める学園ミステリー。
「東京リベンジャーズ」シリーズの英勉監督が、陽東太郎原作のコミックを映像化しました。脚本はドラマ「奪い愛」シリーズなどで人気を博す放送作家・鈴木おさむが担当。
自殺したクラスの序列1位の女生徒の遺書をきっかけに、学級が崩壊していくさまをスリリングに描く衝撃作です。
宮世琉弥、松井奏、志田彩良、髙石あかり、堀未央奈ら実力派若手が顔を揃えます。
映画『遺書、公開。』のあらすじとネタバレ

(C)2024 映画「遺書、公開。」製作委員会 (C)陽東太郎/SQUARE ENIX
新学期の春、私立灰嶺学園の2年D組に、生徒24人と担任教師をあわせた全員の明確な順位を記した「序列」がSNSで送られてきます。
犯人がわからないまま半年が過ぎたある日、誰もが羨む人気者だった序列1位の姫山椿が、校内で謎の死を遂げました。
数日後、クラスの全員に姫山から遺書が届いたことをきっかけに、25人全員が自分の遺書をクラスメイトの前で公開することとなります。
彼らのドス黒い本性が次々とあぶりだされていきます。
映画『遺書、公開。』の感想と評価

(C)2024 映画「遺書、公開。」製作委員会 (C)陽東太郎/SQUARE ENIX
最後まで予測できないスリルに満ちたストーリー
ひとりの女子高生の自殺をめぐり繰り広げられる群像心理サスペンスです。最後の最後まで真実の予測がつかず、緊迫感あふれる中でストーリーが展開します。
ある日、送られてきたクラスの序列リスト。しかし、序列1位に輝いた椿が、トイレで自殺してしまいます。彼女が書いた一人ひとりのクラスメイト宛ての遺書が机の上に置かれていたことから、教室は混乱に陥りました。
その遺書を一通一通公開するたびに、クラスメイトの持つ闇があぶり出されていきます。恋人や親友の裏切り、1位だという理由で受けた理不尽な扱い、そのどれもが椿を死に追いやったかのように見えてきます。高校生たちそれぞれの持つ深い闇と、若さゆえの残酷なまでの陽気さと無関心に、冷や水を浴びせられたかのようなショックを受けることでしょう。
最後の遺書の公開が近づくほどに、より椿の死に近づく真実が見え始めます。なぜ、椿が自殺したのか。その原因を作ったのは誰なのか。
主人公の池永が最後に遺書を読み、椿の死の全貌がとうとう明らかとなります。序列リストを書いた者とリストを送信した者は異なり、遺書を書いた者とクラスメイトに渡した者も異なりました。さまざまな人間が関わったため、真実が見えにくくなっていたのです。
幼なじみの椿をよく知る池永は、遺書を書いたのが椿ではないことに気づきます。その事実が明かされた時に、一気に真実が明らかとなりました。筋が通ったストーリー展開に思わずうならされます。
真犯人の毒気に当てられる

(C)2024 映画「遺書、公開。」製作委員会 (C)陽東太郎/SQUARE ENIX
本作の一番の醍醐味は、イヤミスと呼ばれる後味の悪さです。志田彩良演じる真犯人・廿日市の抱える心の闇は、想像を超えるものでした。彼女の毒気に当てられて、しばらくは呆然とするかもしれません。
前半登場する生徒たちのオーバーリアクションな芝居とは対照的に、廿日市の告白シーンは静の印象です。最後の最後で物語にグッとリアリティが生まれ、前後半の対比が生きる構成となっています。
志田の秀でた演技力により、黒というよりむしろ無色透明で爽やかささえ感じさせる恐ろしい犯人像が浮かび上がります。ささやくようなやさしい声と、語られる残酷な内容とのギャップで、私たちは皆目眩を起こすような感覚を起こすのです。
廿日市は人間観察を趣味とする風変わりな女子高生です。彼女は序列を意図的に全生徒に流し、混乱を招きますが、決して愉快犯ではありません。また、人を窮地に陥れることに喜びを求める快楽犯とも違います。
彼女は「序列」をクラスに撒き、その行動によって事態が自分の予測通りに動くかどうかを、冷酷な目でじっと見ていました。どんな残酷な展開でも、心底面白がりながら。
もし廿日市が警察官になってプロファイリングを極めれば、大変な才能を発揮するのではないでしょうか。しかし、彼女の言動を見る限り、自分の能力を正の方向に役立てようという感じはまったく受けられません。
また、過去に起きた事件を捜査するのと違い、廿日市は自ら確信犯的に事を起こしています。落とした黒い墨が、自分の思い通りに人々を濁していくかどうかをじっと観察することが彼女の目的でした。
最後の独白の声に、悪びれた色はまったく見えません。「あー面白かった」と少女がもらした、気まぐれで思慮の浅い、残酷なほどに子供じみた吐息そのものです。
きっかけは、池永のことを「しょうちゃん」と呼ぶ椿が気に入らなかったから、というだけなのかもしれません。小さな虫の足をもいでから水たまりに誘導するかのような冷酷さに背筋が凍ります。
まとめ

(C)2024 映画「遺書、公開。」製作委員会 (C)陽東太郎/SQUARE ENIX
クラス序列1位の美少女の突然の自殺をきっかけに、クラスメイトらの心の闇があぶり出される心理サスペンス『遺書、公開。』。
1位らしく美しく生きようと一生懸命だったごく普通の女子高生が、黒い悪意に踊らされて死へと導かれていきます。糸を操っていたのは思いがけない人物でした。
人間誰しもが闇の部分を心に持っていますが、闇が異常に肥大してしまう人間がいるという事実。ファンタジーと言い切れない、人間の本質を突くリアルさが本作の魅力といえるでしょう。
廿日市に吸い寄せられていくかのように接近し続ける主人公・池永の姿にも不安を感じます。廿日市はお気に入りの池永に手を下そうとするのか、それとも守ろうとするのか、どちらなのでしょうか。
いずれにせよ、最後に発表された新たな序列で1位になった人間が、次なる標的なのかもしれません。



































