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Entry 2025/09/30
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『てっぺんの向こうにあなたがいる』あらすじ感想と評価レビュー。 吉永小百合主演作は 女性登山家の“人生の真実”を描く物語|TIFF東京国際映画祭2025-1

  • Writer :
  • 桂伸也

映画『てっぺんの向こうにあなたがいる』は第38回東京国際映画祭でオープニング上映後、2025年10月31日(金)より全国順次公開!

2025年10月27日(月)~11月5日(水)に開催される、第38回東京国際映画祭。

そのオープニング作品に選ばれた映画『てっぺんの向こうにあなたがいる』は、『北のカナリア』以来13年ぶりのタッグとなる監督・阪本順治×主演・吉永小百合のヒューマンドラマです。

女性初のエベレスト登頂が達成されてから50周年、その偉業を成し遂げた女性登山家の物語をベースに、「てっぺん」という偉業を成し遂げる女性の姿を、彼女の家族や友人たちとのつながりを通して描きます。

主演を務めた吉永は、本作で124本目の映画出演作を果たしました。また吉永とは『最高の人生の見つけ方』以来6年ぶりの共演となる天海祐希、ベテラン俳優として円熟した演技を見せる佐藤浩市らが名を連ね、物語に厚みを加えています。

【連載コラム】『TIFF東京国際映画祭2025』記事一覧はこちら

映画『てっぺんの向こうにあなたがいる』の作品情報


(C)2025「てっぺんの向こうにあなたがいる」製作委員会

【日本公開】
2025年(日本映画)

【監督】
阪本順治

【出演】
吉永小百合、のん、佐藤浩市、天海祐希、木村文乃、若葉竜也、工藤阿須加、のん、茅島みずき、和田光沙ほか

【作品概要】
世界最高峰エベレストの登頂に女性で初めて成功した登山家の田部井淳子の物語をモチーフに、人生のすべてを懸けて山に挑み続けた女性登山家の姿を描いたドラマ。

作品を手がけたのは『亡国のイージス』『エルネスト』『半世界』などの阪本順治監督。

主演は日本を代表するベテラン女優、吉永小百合。キャストにはほかに佐藤浩市、天海祐希、木村文乃、若葉竜也、工藤阿須加、のんらが名を連ねています。

映画『てっぺんの向こうにあなたがいる』のあらすじ


(C)2025「てっぺんの向こうにあなたがいる」製作委員会

1975年。エベレスト日本女子登山隊の副隊長兼登攀隊長・多部純子が、世界初となる「女性の世界最高峰エベレストへの登頂」に成功したニュースが日本を席巻しました。

その偉業の一方で、この出来事は家族、特に彼女の息子に深い影も落とすこととなりました。

しかし、純子の登山家としての挑戦は以後も続き、晩年には余命宣告を受けてもなお闘病の中で笑顔を絶やさず、周囲を巻き込みながら山に登り続けます。

純子が、最後に「てっぺん」の向こうに見たものとは……。

映画『てっぺんの向こうにあなたがいる』の感想と評価


(C)2025「てっぺんの向こうにあなたがいる」製作委員会

本作の物語の芯には、いわゆる歴史上で「偉業」として刻まれた出来事は決してクリーンな形で成し遂げられないこと、そしてその事実を人々がどう受け止め、新たな壁に向けて向き合っていくか、というポイントを示しています。

歴史上の出来事として、成し遂げられた事実、トピックスのみにクローズアップされがちな「偉業」。

単純によきことがなされたと思われてしまがちですが、意外にその裏にはその成果と思われる出来事が打ち消されるほど、暗い影を人々に落としてしまうことも少なくないのではないでしょうか。

本作のモチーフとして用いられるモデルの物語は、偉業を成し遂げたという喜ばしき場面を見せながらも、実はその歴史の裏に隠れている暗い部分にスポットを当てているイメージが強い印象。

それはある意味「偉業」、一つの目標を成し遂げたこと自体が必ずしも「よきこと」であるとはいえはないが、その暗い部分をも含めて乗り越えることで人々に明るい未来が切り開かれ、本当の「偉業」が達成されることを示しているといえるでしょう。


(C)2025「てっぺんの向こうにあなたがいる」製作委員会

この物語の中心となる主人公・多部純子は、「偉業」に向け猪突猛進する人物、というイメージですが、本作では「偉業」に伴うさまざまな問題、壁への悩みをそれほど表に出さずに過ごしてきたという人物像で描かれています。

物語の冒頭は、人生の終わりに近づきつつある多部が医師から余命宣告を受けるという、わりにショッキングな場面から幕を開けますが、吉永が演じたこの主人公は、一見どこか天然ボケみたいな感じのいでたちを見せつつ、奥に強い意志、生命感をただよわせており、物語のテーマに迫る人物像が見えるものとなっています。

またその「偉業」がなされた根源に、彼女に対して強い理解を示す人物がいたことにも注目。物語は「偉業」のイメージよりも、むしろ目標に向けて強い意志を持ち続けた彼女自身を尊敬し支えた人々がいたことで、彼女が目標にたどり着いたという点を重点として描いています。

確かにその目標を達成する価値はある。万人の理解は得られなくても、それを理解してくれる人物がそばにいることで、人間は大きな困難を乗り越えることができる。現代における、大きな壁に挑むということの意味を改めて示してくれる物語であります。

まとめ


(C)2025「てっぺんの向こうにあなたがいる」製作委員会

本作の見どころはやはり主演を務めた吉永小百合のたたずまい。年齢を重ねながらも、それを感じさせない若々しさ、瑞々しさこそが本作の主人公の特徴ですが、吉永の本作でのたたずまいは彼女に実際に会ったことのない人から見ても「彼女そのものだ」と思わせてしまうほどの魅力、説得力があります。

主人公の女性・多部淳子は、さまざまな偉業の影で、その裏に発生する対立や人間関係の衝突など、さまざまな問題に頭を悩ませますが、その「悩める」表情をほとんど表に出しません。

そしてその偉業すらも、達成までの執着を見せながらも「生きている上での、一つの出来事」とそこにしがみつく様子を見せず、「さっぱりした」性格の人物として物語に存在しています。

ベテランならではのバランスの良さと、若人のような目の輝き。本作に見られる吉永は、いまだそんな魅力にあふれており、改めて日本映画界のスターであることを感じさせる点に驚きを隠せないところでもあります。

映画『てっぺんの向こうにあなたがいる』は第38回東京国際映画祭でオープニング上映後、2025年10月31日(金)より全国順次公開!

【連載コラム】『TIFF東京国際映画祭2025』記事一覧はこちら







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