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【ネタバレ】この夏の星を見る|あらすじ感想と評価レビュー。辻村深月原作小説を基に《桜田ひよりらがコロナ禍の学生たちの友情と絆》に挑む

  • Writer :
  • 星野しげみ

コロナ禍で出会った仲間たちが過ごした、最高で二度と来てほしくない夏物語

世界がコロナ禍に襲われた2020年。学校も休校となり、部活動も制限された中高生たちが挑んだのは、オンラインで繋がった日本全国の仲間たちと天体観測を行う競技でした……。

辻村深月原作小説『この夏の星を見る』を、長編商業映画初監督となる山元環が映像化

コロナ禍で虐げられた青春を過ごす中高生たち。全国の知らない者同士だった彼らが、夜空に輝く星の観測を通じてマスクごしに声をかけあって、繋がって行きます。

コロナ禍がなければ出会うことのなかった仲間たちとの友情が繋がることに、未来への希望も見出すことが出来るのに違いありません

映画『この夏の星を見る』をネタバレありでご紹介します。

映画『この夏の星を見る』の作品情報


(C)2025「この夏の星を見る」製作委員会

【日本公開】
2025年公開(日本映画)

【原作】
辻村深月:『この夏の星を見る』(角川文庫/KADOKAWA刊)

【監督】
山元環

【脚本】
森野マッシュ

【総合プロデューサー】
松井俊之

【音楽】
haruka nakamura

【キャスト】
桜田ひより、水沢林太郎、黒川想矢、中野有紗、早瀬憩、星乃あんな、和田庵、萩原護、秋谷郁甫、増井湖々、安達木乃、蒼井旬、松井彩葉 ほか

【作品概要】
ショートフィルム『ワンナイトのあとに』(2019)や配信ドラマ『今日も浮つく、あなたは燃える』で話題を集めた山本環が、直木賞受賞作家・辻村深月の同名小説を映画化。長編商業映画初監督作品となりました。

本作では、コロナ禍で、これまでと違った日常生活を余儀なくされ、複雑な思いを抱える中高生たちの青春を、東京都渋谷区、茨城県土浦市、長崎県五島市を舞台に描きます。

『交換ウソ日記』(2023)の桜田ひよりが亜紗役で主演を務めました。亜紗の同級生役で水沢林太郎、長崎の学生役で中野有紗、『違国日記』(2024)の早瀬憩、東京の中学生役として星乃あんなや『怪物』(2023)で主役を演じ、2025年の『国宝』では主役の少年時代を演じた黒川想矢が出演。亜紗が所属する天文部の顧問役で岡部たかしが共演しています。

映画『この夏の星を見る』のあらすじとネタバレ


(C)2025「この夏の星を見る」製作委員会

2020年、日本で新型コロナウイルス感染症がまん延。政府は全国の小中学校高校に臨時休校を要請しました。

【茨城県・砂浦第三高校】

溪本亜紗(桜田ひより)は茨城県立砂浦第三高校の二年生。顧問の綿引先生(岡部たかし)のもと、天文部で活動しています。

亜紗は小学生の時、ラジオの子供向けの質問番組で「どうして月は一緒について来るのか?」と質問をしました。

電話番号もメールに記載していましたので、その時解説者として出演していた地学の専門家の綿引先生が電話をかけてきました。

先生は丁寧に説明してくれ、なおかつ番組が終わったあとでもメールに長文で返信をしてくれたのです。

亜紗はそれから天文に興味を持ち、砂浦第三高校に天文部があるのを知って入学してきたのです。もちろん、綿引先生がそこの教員をしているのも知っていました。

それからコロナが流行り、緊急事態宣言になって休校状態になりました。

2020年6月、やっと緊急事態宣言がとけて、久しぶりに亜紗は登校して天文部へ顔をだします。

部長の三年生の山﨑陽菜(河村花)と同級生の飯塚凛久(水沢林太郎)が部室にいました。天文学部のメンバーは亜紗をいれてこの3人です。

2019年からのコロナ禍で部活動が次々と制限され、楽しみにしていた合宿も中止になる中、メンバーたちは手作りの望遠鏡で星を捉えるスピードを競う「スターキャッチコンテスト」も今年は開催できないだろうと悩んでいたのです。

【東京・ひばり森中学校】

渋谷区。安藤真宙(黒川想矢)は渋谷区立ひばり森中学の一年生です。27人しかいない新入生のうち、唯一の男子であることにショックを受けています。

ひばり森中学では必ず部活に入らねばならないのに、好きなサッカー部は廃部寸前で学校に行くのがつまらなくてなりません。

そんなとき、同級生の中井天音(星乃あんな)に誘われて、理科部を見学に行きました。理科部にきていたチラシのなかで、茨城県の高校が主催する「スターキャッチコンテスト」というイベントチラシがありました。

興味を持った真宙は次の日、主催高の天文学部へ「中学生でも望遠鏡を作ってゲームができますか?」と電話をします。

電話に出たのは、亜紗でした。亜紗はとても喜び、綿引先生のもとへ走って行きます。

東京の中学生が興味を持ってくれたから、オンラインでイベントは出来るのではないか。
そんな希望が出て、もっと遠方の仲間を集めようと、中止になった修学旅行先の長崎にターゲットを絞りました。

【長崎・泉水高校】

長崎県五島列島の旅館の娘、泉水高校三年生の佐々野円華(中野有紗)は、吹奏楽部です。

コロナ禍のおり、旅館に他県からのお客が泊っていることで親友から距離を置かれ、やりきれない思いを抱えている時に、クラスメイトの武藤柊(和田庵)から天文台で星を見ようと誘われました。

行ってみるとそこには、武藤のほかに小山友悟(蒼井旬)もいました。

そこで星好きなもう1人、輿凌士(萩原護)の話がでたところで、3人は天文台の館長才津勇作(近藤芳正)からこの夏休みに茨城県の高校がやる「スターキャッチコンテスト」に参加してみないかと誘われます。

【東京・御崎台高校】

輿凌士は武藤や小山と同じく泉水高校に留学していましたが、休校期間中に実家の東京に戻って、今は御崎台高校の2年生になっていました。

御崎台高校の物理部には、真宙がサッカーチームにいた頃の先輩の柳数生(秋谷郁甫)もいました。

御崎台高校物理部顧問の市野はるか(朝倉あき)先生は、輿と柳のスターキャッチコンテストへの参加を見守ることにしました。

茨城県立砂浦第三高校では、呼びかけた東京と長崎の学校にオンラインでイベントの詳細を伝えようと準備をしていました。

そして「スターキャッチコンテスト」のオンライン説明会が実施。それぞれの学校で「オンラインスターキャットコンテスト」をすべき準備が始動します。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには映画『この夏の星を見る』ネタバレ・結末の記載がございます。映画『この夏の星を見る』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。


(C)2025「この夏の星を見る」製作委員会

コロナ禍明けの夏休みがやってきて、参加校はまず望遠鏡作りを本格的に始めました。

砂浦第三高校では、準備をしながら、JAXAの協賛であった宇宙飛行士の花井うみか(堀田茜)の講演会に行き、綿引先生と花井うみかが顔見知りだったことに驚ろいた話をしていました。

天文部としていった講演に、凛久はお姉さんと一緒に行ったそうです。その凛久ですが、ひとりで望遠鏡を急いで作ったりと、おかしな行動をとっていました。

その一方では、東京のひばり森中学も、長崎の高校も、コンテストの準備は着々と進んでいます。

そして「スターキャッチコンテスト」当日を迎えます。それはみなの力の集大成のイベントで、大成功でした。

その年の9月。茨城の亜紗は凛久から家の事情で転校することを聞きました。両親が離婚することになり、障がいのある姉の看護をするために母と一緒に香川へ引っ越すと言うのです。

今になって思うと、コンテストで望遠鏡を急いでつくっていたのも、早く望遠鏡を完成させて観測会に姉を連れて来たかったからだったのです。

そのころ、揺れ動く星仲間の間で、また一緒に何かできたらいいねという話がでていました。そして決まった次の企画は、ISS(国際宇宙ステーション)の日本実験棟「かなた」を観測すること。

夏休み以来、久しぶりに開いたオンライン画面に、五島天文台と渋谷のひばり森中学、御崎台高校の名前が表示されました。

会議は盛り上がります。結果として、12月にオンラインでつないで一緒に観測をすることになり、観測当日がきました。それぞれの地域の頭上をISSが通過していきます。

茨城のチームの頭上だけ曇っていますが、亜紗は晴れるように、一生懸命に念じました。「これがあれば私がやったことは正しいといえるから、これ以上私から何もかも奪わないで」と。

亜紗の願いが通じ、ISSが通過する少し前に風がふいて雲を吹き飛ばしてくれました。日本の各地で星空を見ていた仲間たちの歓声がパソコンからも上がります。

御崎台高校の市野先生が言いました。

「ISSからも見えている。夜景は特に。東京の空は星を観測するには明るいけれど、逆に宇宙からは見つけやすいのよと、妹が言っていました」。

宇宙飛行士の花井はるかは、市野先生の妹だったのです。御崎台高校のメンバーたちは驚きを隠せません。

茨城県立砂浦第三高生たちもまた、感動の渦にいました。凛久は「転校したくない」と涙をこぼし、つられて亜紗も涙ぐんでいました。

12月のISSの軌道を全国各地から見送った後、どこからともなく「来年の夏、またスターキャッチコンテスとやりませんか?」と、声が上がりました。

やろう! 卒業しても、転校しても、その時どこにいても、可能な限り集まろう。再びメンバーたちは燃え上がります。

そして、次の年のコンテストの日。各チームがオンラインで参加し、パソコンのあちこちから声が上がります。

「凛久、いるの?」「いるよ、香川だよ」

この夏の星に向けて、皆が今空を見上げているのです。

映画『この夏の星を見る』の感想と評価


(C)2025「この夏の星を見る」製作委員会

世界中に猛威を振るったコロナの脅威はまだ記憶に新しいところではないでしょうか。

コロナ禍により、全ての日常が変わってしまいました。マスクをつけることが常識となり、ソーシャルディスタンスという感染症対策がとられます。

学校は休校となり、部活動も存分に出来ない状態に……。人と人との接触や会話も制限され、握手もハグもできない日常生活が始まりました。

学生たちにとってはつまらない日々の連続でしたが、そんな毎日の中で、本作の主人公たちはオンラインで繋がって天体観測を行う競技を始めました。

オンラインなら、人と接することなくどんどんと仲間たちと語り合えます。コロナ禍の状況は、それまで会うことのなかった仲間たちと知り合い、深い絆を結ぶきっかけを作ったのです。

彼らは、貴重な青春時代を制限付きのマスク生活で過ごしているのですが、コロナに負けてはいません。

この時だからこそできることを自分たちで見つけて、一生懸命に取り組んでいきます。コロナによって失ったものは多いのですが、彼らが得たものも確かにあったと言えます。

よくある青春ストーリーだけではなく、コロナ禍を通して培われた出会いと友情に胸が熱くなる作品でした。

また、コロナ禍のために作中の中高校生たちは、ほとんど顔半分を隠したマスクをしていることも印象的です。

顔の表情が隠れるマスクをしながらも、桜田ひよりや水沢林太郎、黒川想矢、星乃あんなといった主要キャストたちの演技は実に生き生きしています。それは、彼らが感情を豊かに映し出しているきらきら輝く瞳を持っているからと思えます。

マスク使用の演技だからこそわかる若手キャストたちの表現力が、作品に華を添えているのも魅力のひとつとなっています。

まとめ


(C)2025「この夏の星を見る」製作委員会

原作にそって忠実に映画化された『この夏の星を見る』を、ネタバレありでご紹介しました。

感染症に対する恐怖からおこる家庭不和、外部の人間を招きいれる観光業に対する偏見や差別、友人と会えない退屈な日々といったコロナによってもたらされた禍の数々を抱える学生たちが、星を見ることでひとつに繋がり、未来への希望を繋ぎます。

物語の登場人物だけでなく、演じるキャストたちもまた、コロナ時代を耐え凌いできた世代です。皆でひとつのことをやり遂げて一緒に感動する喜びを、キャストたちも感じ取っていたのではないでしょうか。

最高で二度と来てほしくない夏! 願いにもにたキャッチコピーに、作品に関わった全ての人の思いが感じられる作品でした。




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