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Entry 2019/06/20
Update

【桜田ひよりインタビュー】劇場アニメ『薄暮』声優への初挑戦で得た様々な経験

  • Writer :
  • 桂伸也

映画『薄暮』は2019年6月21日(金)よりEJアニメシアター新宿、シネリーブル池袋ほかで全国ロードショー!

東北・福島県いわき市の豊かな自然を背景に描かれる、とある淡い恋心を描いたアニメ映画『薄暮』の中で、声優初挑戦を果たした桜田ひよりさん。


(C)Cinemarche

いわき市の自然の中でも、最も美しい風景の一つである薄暮を背景に、二人の高校生の揺れ動く恋心を描いた本作。

桜田さんは、東北の震災で傷つきながらも、初めての恋に色めき、そして揺れる気持ちに思い悩む主人公のピュアな女子高生役を演じました。

今回は、近年若くして本格的な女優として頭角を現し始めている桜田さんにインタビューを行い、初の声優チャレンジに対する思いや取り組み今後の活動に対する意欲的な姿勢などを語っていただきました。

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監督の後押しにより決めた出演

本作の主題歌・AZUMA HITOMI『とおく』MVにも出演された桜田さん

──本作への出演オファーを受けた際、どのような感想を抱かれましたか?

桜田ひより(以下、桜田):今回のお話をいただいた当初は、出演への不安が少なからずありました。

ですが、のちに山本監督とお会いした際に、監督は本作に対する情熱を語ってくださり、それを踏まえた上で「是非、桜田さんでやりたい」と仰って背中を押してくださったんです。

私は「その期待に応えてみよう」と思い、本作に参加させていただくことを決意しました。

“声の表現”という難しさ


(C)Yutaka Yamamoto/Project Twilight

──本作で初めて声優に挑戦されましたが、どのようなことに苦労されましたか?

桜田:声だけで感情を表現するということは、とても難しいということをまず実感させられました。

実写映画では表情や仕草、行動など複数の表現手段が存在しますが、声だけの表現においては声のトーンを微かに間違えるだけで、演じているキャラクターは全くの別人へと変わってしまいます。

私が演じた主人公の佐智ちゃんは、家族と過ごしている時、友達と過ごしている時、自分の気になる相手と過ごしている時など、相手によって言葉の調子や発声のスピード、対応の仕方といったものが繊細に、けれど大きく変化するんです。

ですから、「彼女の変化を表現しつつも、どうすれば“佐智”という同じ女の子を演じられるか」を課題にし、監督とディスカッションを重ねながらそのキャラクター像を作り上げました。

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キャッチボールが生んだ自然体


(C)Yutaka Yamamoto/Project Twilight

──本作でのアフレコはどのように進められましたか?

桜田:私自身の収録は2日間かけて行われました。

1日目は、他の声優さんが事前に録られた仮音声に合わせて一人だけで収録。2日目に、初めて加藤清史郎さんとともに収録させていただきました。そのため、実際にセリフの掛け合いをした共演者は、加藤さんだけでした。

一人だけの収録はテニスなんかの壁打ちとよく似ていて、自分の打った演技や感情というボールしか自分へと返ってこない。そして返ってくるボールには、他者の演技に呼応することで生じる感情の変化がとても少ない。その収録のスタイル、演技のスタイルに慣れるのには、本当に苦労しました。

一方で加藤さんとの収録では、キャッチボールのように、変化し続ける感情というボールを投げ合い、受け止め合うことができました。

そこには新しいものが生まれてきましたし、監督も「一人の時より二人の時の方が、より佐智っぽい、自然体な演技ができているね」と仰ってくださいました。

だからこそ、加藤さんとともに収録をさせていただくことができたのは本当に良かったです。

自分にとって大切な女の子


(C)Yutaka Yamamoto/Project Twilight

──ご自身が演じられた本作の主人公・佐智を桜田さんはどのような女の子だと捉えられましたか?

桜田:佐智ちゃんは自分の本音を伝えたり、感情を相手に伝えるのがすごく苦手な女の子です。そしてそれは、私と佐智ちゃんの似ている所でもあるんです。

山本監督からも、「佐智ちゃんのビジュアルと私のビジュアルは似ている」「自分の中で思い描いている佐智ちゃんの顔と似ていて、声もまた、自分が想像していた声と同じ声をしている」と指摘されていたんです。アフレコにおいても「そのままの桜田さんでやってほしい」というご指示をいただいたぐらいでしたから。

佐智ちゃんの深い一面を演じる中で、初めてのことをたくさん経験しましたし、それは本当に楽しい経験でした。だからこそ佐智ちゃんは、自分にとって大切な女の子になりました。

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成長を実感できた声優の仕事


(C)Cinemarche

──本作の収録を終えた今、どのような感想を抱かれますか?

桜田:「声優というお仕事は一体どういうものだろう?」と想像することはありましたが、まさか自分が挑戦することになるとは思ってもいませんでした。

以前からアニメを観るのが好きだった私にとって、声優は尊敬する憧れの存在であり、それを経験できるという嬉しさの一方で、「私で大丈夫かな?」という不安も抱きました。

実際、声優として初めて臨んだ収録現場には初めてのことが目白押しで、時には混乱してしまったこともあったんですが、監督をはじめスタッフの方々から様々なアドバイスをいただき、新しいことをどんどん吸収していきました。

そのおかげで、この作品とともに自分自身も成長できたんじゃないかなと思っています。また声優として出演できるご機会があれば、是非やらせていただきたいです。

本作での声優のお仕事もそうですが、どのお仕事にもその作品にしか得られない、その時にしか得られない貴重な体験が存在します。だからこそ、今後もいろんなお仕事に挑戦していきたいと考えています。

ヘアメイク:池上豪
スタイリスト: 福田亜由美(crepe)

桜田ひよりのプロフィール


(C)Cinemarche

2002年生まれ。

幼少よりモデルとしての仕事を主に活動を行っていましたが、2014年にドラマ『明日、ママがいない』に出演。この時に演じた児童養護施設に暮らす子ども役が評価され、話題を集めました。

以降、2017年には映画『東京喰種トーキョーグール』に出演。ドラマ&映画『咲-Saki-阿知賀編 episode of side-A』では初の主演を果たし、今後が最も注目される女優の一人として、さらなる注目を集めています。

インタビュー・撮影/桂伸也
構成/桂伸也

映画『薄暮』の作品情報

【公開】
2019年6月21日(日本映画)

【原作・脚本・監督】
山本寛

【キャスト】
桜田ひより、加藤清史郎、下野紘、島本須美、福原香織、雨宮天、佐倉綾音、花澤香菜

【作品概要】
アニメ『らき☆すた』などを手掛けた山本寛監督が、『blossom』『Wake Up,Girls!』と東日本大震災の復興プロジェクトとして手掛けてきた「東北3部作」の最終作にあたるアニメーション作品。

福島県を舞台に、バイオリンの演奏が得意な女子高校生と絵を描くことが好きな男子高校生の恋模様を描きます。

『咲-Saki- 阿知賀編 episode of side-A』シリーズ、『東京喰種トーキョーグール』などに出演した桜田ひよりがヒロイン・佐智に抜擢。本作が彼女にとって声優初挑戦となります。

またヒロインが出会う少年・祐介を『忍たま乱太郎』などの加藤清史郎が務め、下野紘、島本須美、福原香織、雨宮天ら人気声優陣も出演に名を連ねています。

映画『薄暮』のあらすじ


(C)Yutaka Yamamoto/Project Twilight

バイオリンを得意とする女の子・小山佐智(桜田ひより)は、福島県いわき市に住む女子高生。幼いころからバイオリンを続け、高校では音楽部に所属しています。

まもなく訪れる文化祭にて、部内の友人らとともに弦楽四重奏を組んで発表するため、日夜練習に明け暮れていました。

一方で、彼女は2011年3月11日に発生した東日本大震災で心に傷を負い、友人や家族との間に距離を置きながら毎日を過ごしていました。そしてバスで遠出し、一人で過ごす時間を作るのが彼女の日課となっていました。

そんなある日、いつものようにバスを待っていると、道端に一人の男子高校生が。画材道具を持った彼は佐智に、この近辺に絵のモチーフとなるような美しい場所はないかとたずねます。

雉子波祐介(加藤清史郎)と名乗った彼は、震災によって実家が帰還困難区域となり、その結果いわき市に避難してきた人間の一人でした。彼は当たり前の景色が失われてしまう現実を目の当たりにし、“美しい今”を残すために絵画制作を始めたと佐智に明かします。

祐介の思いに深く共感した佐智。こうして二人は放課後、バス停で待ち合わせては“美しい場所”を探すという秘密の時を過ごすようになります。

その中で二人は価値観を共有し、やがて恋心が芽生えますが、ある日佐智は祐介のスケッチブックの中に、一枚の絵を発見。その絵をめぐり、二人の関係は新たな展開を迎えるのでした…。

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