連載コラム『映画という星空を知るひとよ』第263回
ある夏に起きた「幼児車内置き去り事件」を通して、家族と社会の歪みをあぶり出したヒューマンサスペンス『はらむひとびと』。
俳優の相馬有紀実が企画・プロデュース・主演を務めた本作で、育児や主婦の社会復帰など身近な問題を問いかけます。
主役のひとり郁美役は、実力派の瀬戸かほが務め、CMなどを手がけてきた中嶋駿介監督が取りまとめました。
映画『はらむひとびと』は、2025年7月11日(金)より新宿武蔵野館ほか全国順次公開。
映画公開に先駆けて、本作をご紹介します。
映画『はらむひとびと』の作品情報

(C)はらむひとびとパートナーズ
【日本公開】
2025年(日本映画)
【監督・脚本・編集】
中嶋駿介
【脚本】
富安美尋
【主題歌】
「hand」グソクムズ (Sony Music Labels Inc.)
【企画・プロデュース】
相馬有紀実
【エグゼクティブプロデューサー】
中嶋駿介
【出演】
相馬有紀実、瀬戸かほ、浅香航大、前原瑞樹、磯西真喜、野田瑛仁、石本径代、中野周平(蛙亭)、山口森広 、中野健治、藤田仁平、倉田奈純、野島健矢、山本いちか、五辻真吾、深月信之介、百里香、岩村航輝、永口紗也香
【作品概要】
本作は、ある夏に起きた幼児車内置き去り事件を通して、家族と社会の歪みをあぶり出したヒューマンサスペンスです。
『じょっぱり 看護の人 花田ミキ』(2024)などにも出演した俳優の相馬有紀実が企画・プロデュース・主演を務め、中編映画やMV、CMなどを手がけてきた中嶋駿介監督が取りまとめました。
『ストレージマン』(2022)などの瀬戸かほが郁美役、ほかに浅香航大、前原瑞樹が共演しています。
映画『はらむひとびと』のあらすじ

(C)はらむひとびとパートナーズ
3歳の息子・ゆうりを育てる亜湖。
仕事優先の夫の雅人にも頼れず、社会から隔絶されていく日々の中で、育児ノイローゼに陥っています。
一方、広告会社に勤める郁美は、有名コピーライターの夫・俊介との間に望まぬ妊娠をしてしまいます。
実は亜湖と郁美は高校の同級生でした。偶然再会した2人は、互いの境遇に共感。
亜湖のことを心配した郁美が、亜湖の育児を手伝い、亜湖は働くことにしました。
亜湖は育児ノイローゼから回復の兆しを見せ、都美もゆうりとの交流を通じて母になる覚悟を抱き始めます。
ですが、そんな矢先に、ゆうりの置き去り事件が発生してしまいます。
映画『はらむひとびと』の感想と評価

(C)はらむひとびとパートナーズ
本作の冒頭、いきなり夏の暑い日差しが照り付ける車と、鍵がかかって車内に閉じ込められた子どもが苦しそうに「ママ」と呟く様子が映し出されます。
俗に言う「幼児車内置き去り」です。本作は、母親の亜湖とその友人の郁美視線でこの出来事に至るまでの物語を展開。
結婚して1児の母となった亜湖は、仕事で多忙な夫の支援は得られず、3歳という反抗期の息子の言動に振り回される毎日を送っていました。自分が社会から切り離されるのではないかという不安を抱え、家庭から外に出たいと思うようになります。
一方の郁美は、バリバリ働くキャリアウーマン。夫は子供はいらないと言っており、自分自身も子供はあまり好きではありません。なのに、望まぬ妊娠をしていることに気が付きます。
母親であることでノイローゼになった亜湖と、母親になることをためらう郁美。子どもを孕むように、その胸中には自分の境遇を不幸に思ったり、不満に思ったりする気持ちが芽生えていました。
やがて亜湖一家にとんでもない災いが降りかかります……。
‟小さな生命”を宿し育てなけらばならない宿命を背負っている女性たちなのに、何が彼女たちを苦しめたのでしょうか。
実生活でも1児の母である亜湖役の相馬有紀実は、子を想い錯乱状態になる亜湖を熱演。育児の悩みや母親としての苦しみを鮮明に表現していますので、お見逃しなく。
まとめ

(C)はらむひとびとパートナーズ
映画『はらむひとびと』は、対照的な生き方をする2人の女性を主役に、家族と社会の歪みを鋭く暴き出す、衝撃のヒューマンサスペンス。
ある夏に起きた「幼児車内置き去り事件」の背景で重要な登場人物の母親・亜湖の境遇が詳細に描かれ、事件に至るまでの状況が赤裸々に映し出されます。
この事件はなぜ起こったのでしょうか。 その責任は本当に“母親だけ”のものなのでしょうか。ポスターにも書かれた作品の問いかけに、深く考えさせられることでしょう。
映画『はらむひとびと』は、2025年7月11日(金)より新宿武蔵野館ほか全国順次公開。
星野しげみプロフィール
滋賀県出身の元陸上自衛官。現役時代にはイベントPRなど広報の仕事に携わる。退職後、専業主婦を経て以前から好きだった「書くこと」を追求。2020年よりCinemarcheでの記事執筆・編集業を開始し現在に至る。
時間を見つけて勤しむ読書は年間100冊前後。好きな小説が映画化されるとすぐに観に行き、映像となった活字の世界を楽しむ。



































