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【ネタバレ】パディントン3(映画2025)あらすじ感想と結末の評価考察。“消えた黄金郷の秘密”とは?松坂桃李演じる《英国一の紳士なクマ》の故郷ペルーでの大冒険

  • Writer :
  • 菅浪瑛子

児童小説『パディントン』の大人気・実写映画化シリーズ第3作!

ブラウン一家とロンドンに住むパディントンの元に、故郷・ペルーから一通の手紙が届きます。その手紙によると、ルーシーおばさんの元気がないと書いてあります。

心配になったパディントンは、ブラウン一家と共に故郷のペルーへ。そうしてペルーのジャングルを舞台に、家族の絆が試される大冒険が始まります!

マイケル・ボンドによる児童小説を実写映画化した大人気シリーズの第3作目は、舞台をロンドンからペルーに変え、さらにパワーアップして帰ってきました。

パディントンの声を務めるベン・ウィショーをはじめ、ヒュー・ボネビル、マデリーン・ハリスとシリーズお馴染みのキャスト陣が顔を揃えるほか、サリー・ホーキンスが務めていた母・メアリーは、本作でエミリー・モーティマーが担当します。

本シリーズは、毎度豪華なゲスト俳優陣が登場することで話題ですが、なんと本作ではアントニオ・バンデラス、オリビア・コールマンが登場します。

映画『パディントン 消えた黄金郷の秘密』の作品情報


(C)2024 STUDIOCANAL FILMS LTD. – KINOSHITA GROUP CO., LTD. All Rights Reserved.

【日本公開】
2025年(イギリス映画)

【原題】
Paddington in Peru

【パディントン創造】
マイケル・ボンド

【原案】
ポール・キング、サイモン・ファーナビー、マーク・バートン

【監督】
ドゥーガル・ウィルソン

【脚本】
マーク・バートン、ジョン・フォスター、ジェームズ・ラモント

【キャスト】
ヒュー・ボネビル、エミリー・モーティマー、ジュリー・ウォルターズ、マデリーン・ハリス、サミュエル・ジョスリン、ジム・ブロードベント、カルラ・トウス、オリビア・コールマン、アントニオ・バンデラス、ベン・ウィショー、イメルダ・スタウントン

【日本語吹替版キャスト】
松坂桃李、古田新太、吉田羊、三戸なつめ、斎藤工

【作品情報】
パディントンの声を務めるベン・ウィショーをはじめ、ヒュー・ボネビル、マデリーン・ハリスとシリーズお馴染みのキャスト陣が顔を揃えるほか、母・メアリー役には、サリー・ホーキンスに代わってエミリー・モーティマーが担当。

さらにブラウン一家がペルーで出会うガイド役にアントニオ・バンデラス、その娘・ジーナ役にカルラ・トウス、老グマホームの院長にはオリビア・コールマンと豪華なゲスト俳優陣が登場します。

日本語吹替版キャストも、パディントン役の松坂桃李をはじめ、古田新太、三戸なつめ、斎藤工と1作目・2作目に引き続きお馴染みのメンバーが担当します。さらに、今回老グマホームの院長の吹替として吉田羊が参加します。

映画『パディントン 消えた黄金郷の秘密』のあらすじとネタバレ


(C)2024 STUDIOCANAL FILMS LTD. – KINOSHITA GROUP CO., LTD. All Rights Reserved.

ロンドンでブラウン一家と暮らすパディントンは、とうとうパスポートを手にします。晴れて英国民の一員になったパディントンに、近所の皆からコウモリ傘のプレゼントをもらいます。

そんなパディントンの元に、故郷のペルーから手紙が届きます。老クマホームの院長からでした。ホームにいるルーシーおばさんの様子がおかしいというのです。

不安になったパディントンに、メアリーは家族皆でペルーに行こうと提案。ブラウンさんはペルーはリスクが大きいと不安になりますが、新しい会社のボスに「リスクと友達になること」と言われたことを思い出し、ペルー行きを許諾します。

老クマホームに着いたパディントンは大慌てでルーシーおばさんを探しますが、院長に「ルーシーおばさんが行方不明になった」と言われます。

ルーシーおばさんの手がかりを見つけ、遺跡に向かったことがわかったパディントンとブラウン一家は、遺跡に向かって出発します。院長は、メアリーに何かあった時のお守りと言ってペンダントを渡します。

パディントンとブラウン一家は、遺跡があるというジャングルまで案内してくれる船を探していると、クールな船が飛び込んできました。ガイドもクールな男性で皆気に入りますが、ブラウンさんだけ不機嫌そうな顔をしています。

ハンター・カボットと名乗るガイドと、その娘で船を操縦するジーナは、目的地が遺跡だと知ると難色を示しますが……パディントンが人を探していると訴えると承諾します。

どこかミステリアスで、一族にまつわる何かを隠している様子もあるハンター。その秘密を、パディントンとブラウン一家は知りませんでした。

何もない遺跡と思われていますが、そこには言い伝えによると「エル・ドラド(黄金郷)」があると言われています。そしてその鍵を握るブレスレットと全く同じものを、パディントンが手にしていたのです。

ハンターは、そのブレスレッドの古の文字を解読するから貸してほしいと言います。ハンターは一族の因果で、エル・ドラドに眠っているというインカ帝国の黄金に取り憑かれていました。一度は娘のジーナのために諦めると言ったものの、やはり一族の因果で諦めきれずにいました。

エル・ドラドに向かうのはやめようとハンターを説得するジーナでしたが、ハンターはジーナを騙して陸地に降ろし、船を先に進めますが、解読に夢中になるあまり操縦を忘れただけでなく途中で川に落ちてしまいます。

ハンターもジーナもいないことに気づかないパディントンとブラウン一家は、朝ごはんを待っています。やがて様子を見に行ったパディントンは、2人がいないことに気づき、無線で知らせようとしますが、そのまま舵を触ってしまい、船は岩が多い地帯に突き進んでしまいます。

船が揺れてブラウン一家は2人がいない上に、危険な岩場に突き進んでいることに気が付きますが、気づいたときにはどうすることも出来ず、救命具を探します。

何とか救命具をつけ、溺れずに陸地に辿り着きましたが、そこはジャングルです。パディントンはジャングルの勘を頼りに突き進みますが、ロンドン暮らしで勘が鈍り迷子になってしまいます。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『パディントン 消えた黄金郷の秘密』ネタバレ・結末の記載がございます。『パディントン 消えた黄金郷の秘密』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。


(C)2024 STUDIOCANAL FILMS LTD. – KINOSHITA GROUP CO., LTD. All Rights Reserved.

その頃、老クマホームでは1人残ったバードさんが、院長の様子がおかしいと思い、何か裏があると探っていました。

そして、オルガンの裏の隠し部屋に気づきます。「まるで悪者のアジトみたいだ」と言うバードさんに院長は「告白します、私はシスターはあるまじきことをしました」と言います。

メアリーに渡したペンダントは、ただのペンダントではなく発信機だったのです。一家が全く違う方向に向かっていることに気づいた院長は探しに行くと言います。「歩いてジャングルに行けないはずでは?」とバードさんが聞くと、歩いていくのではないと、院長はキーを取り出します。

ジャングルでは、パディントンは皆が寝ている中1人彷徨い、かつてルーシーおばさんが、「今度迷子になった時は吠えるのよ、どこにいても見つけに行く」と言ってくれたことを思い出します。

パディントンが吠えると、しばらくして声が返ってきます。「ルーシーおばさんだ!」と声を辿っていきます。

すると、そこにハンターも現れ、2人でエル・ドラドの入り口がある遺跡に辿り着きますが、そこにルーシーおばさんの姿はありません。

パディントンは、返ってきた声は全て自分のこだまだったことに気づき肩を落とします。そんなパディントンの背後でハンターは一族に唆され、パディントンを殺めてエル・ドラドの黄金を独り占めしようとしていました。

パディントンとはぐれたブラウン一家は、ハンターに置いていかれたジーナと合流。そして、ジーナから一族の呪いの話を聞きます。ハンターを止めようと先に進みますが、ハンターが独り占めしようと橋を切り落としたせいで先に進めなくなってしまいました。

そこに航空機に乗った院長とバードさんが現れます。壊れそうな航空機に不安を隠せないブラウンですが、「1980年代に教皇がペルーを訪れた時も乗っていた航空機だから、祝福されている」と院長は呑気に言います。

しかし、着陸準備を始めた途端、車輪がうまく出ず、手動で動かすハメに。ブラウンがハッチを開けると、そこには大きな蜘蛛が!

蜘蛛が苦手なブラウンは躊躇いますが、やるしかないと心に決めハンドルを回して車輪を出しますが、今度は木にぶつかり前方が見えなくなってしまいます。すると、兄のジョナサンが自作のグッズを使って葉をどかします。

家族皆が協力して何とかパディントンを助けにやってきたブラウン一家。

そこで院長が突如正体を明かします。何と、ハンターの従姉妹だと言うのです。同じく一族の呪いに取り憑かれていました。

全ては院長が仕組んだことだったのです。ルーシーおばさんをわざと川に置き去りにし、パディントンを呼び寄せ、エル・ドラドまで案内させたと言うのです。

ジーナを人質に取り、院長はハンターに手を引くように言います。しかし、一族の呪いにより、ハンターは娘を選ぶことができずにいました。

そんなハンターにパディントンは強い眼差しで見つめ、「何より大事な宝は娘のはずだ」と諭します。ハンターは正気に戻り、不意をついて院長を攻撃し、ジーナを救出します。

パディントンは、ブレスレットを使ってエル・ドラドへの扉を開けます。そこに広がっていたのは、一面のオレンジ畑でした。エル・ドラドの宝とは、このオレンジ畑のことだったのです。

そして、エル・ドラドにはクマの集落があり、そこにはルーシーおばさんの姿もありました。ルーシーおばさんは、パディントンがやってきた日のことを話します。

なんとパディントンは、エル・ドラド生まれのクマだったのです。迷子になり、川に流されていたところをルーシーおばさんに救われました。その時につけていたのが例のブレスレットであり、エル・ドラドのクマは迷子になっても帰ってこられるよう、ブレスレットをしているのです。

「私を探すはずが、自分の故郷を見つけたのね」とルーシーおばさんは笑って言います。

故郷のクマたちと仲良くしているパディントンを見て、メアリーは涙ぐみ、パディントンが故郷に残る選択をすることを覚悟していました。

しかし、パディントンの口から出てきたのは「ロンドンに残ってもいいですか?」という言葉でした。

「ここには仲間がいます。でも、ブラウン一家は僕の家族です」

ペルーの旅を通して、家族の絆が深まり、それぞれ新しい道へと突き進んでいくのでした。

映画『パディントン 消えた黄金郷の秘密』の感想と評価


(C)2024 STUDIOCANAL FILMS LTD. – KINOSHITA GROUP CO., LTD. All Rights Reserved.

児童小説『パディントン』を映画化した大人気シリーズ3作目『パディントン 消えた黄金郷の秘密』。本作はロンドンを舞台にした1〜2作目とは違い、パディントンの故郷・ペルーが舞台になっています。

ロンドンとは違うジャングルに覆われたペルー。そこで生まれ育ったはずのパディントンは、ジャングルの勘をすっかり失っていました

パディントンはロンドン市民として受け入れられた嬉しさと同時に、どこか故郷への思いがよぎり、ざわざわしています。まさにパディントンは、自分自身というものを見失っている、迷子と言えます。

そんなパディントンがペルーの大冒険を通して見つけたのは、エル・ドラドという本当のルーツでした。

ペルーからやってきて、ブラウン一家に出会ったことでロンドン市民へとなっていくパディントンの姿は、様々な移民の姿とも重なります。新たな文化を知っていくと同時に、自分の主軸、ルーツを見失ってしまうような不安、言葉にできぬ曖昧で複雑な胸中をパディントンを通して描き出しているのです。

どちらも自分にとって大切なもので、架け橋として自分がいること、大切な家族が自分にとっての居場所であることにパディントンが気づきます

そんなパディントンのルーツ探しの旅と同時に描かれるのは巣立ちです。

冒頭から、ジュティーが大学受験を控え忙しいことや、ジョナサンは自分の研究を用いて部屋にこもっていることが描かれます。以前のように家族がリビングで共に過ごす時間は減り、各々が部屋にこもっている、そんなことに1番寂しさを感じているのがメアリーでした。

家族で過ごしたいとペルーへの旅行を1番に提案したメアリー。旅の中でも家族で過ごそうとかつてやっていたゲームを持参しますが、旅行中もジュディーは大学受験に集中し、ゲームをしてくれません。

それでも目の前の危機に対して皆で協力して何とかしようとする姿に、メアリーは変わらぬ家族の姿を感じて涙ぐみます。

旅を通して、メアリーは子供の巣立ちを受け入れていきます。それは、巣立っても、変わらない家族の姿があることを感じられたからかもしれません。

まとめ


(C)2024 STUDIOCANAL FILMS LTD. – KINOSHITA GROUP CO., LTD. All Rights Reserved.

ちょっぴりおっちょこちょいだけれど紳士なクマ、パディントン。今回も彼のおっちょこちょいっぷりが満載で、ブラウンをはじめとした家族のお茶目な一面もコミカルで見ていて笑顔になれます。

しかし、本作の魅力はそれだけではありません。いざという時は家族のために頑張れるブラウンをはじめ、家族皆勇気があり、家族を見捨てることはしません

ひとり心細そうにしていたパディントンに声をかけ、家に招き入れたメアリー。そんなブラウン一家だからこそ、パディントンは安心して、ロンドンでの生活を送ることができたのです。

その優しさは、決して綺麗事やフィクションの話だと切り離してはいけません

少しの優しさで少しでも世界は変わることができる、そう感じさせてくれる映画があることが人々にとって大きな救いであることを改めて感じさせてくれるのです。



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