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【ネタバレ】映画『サイレントナイト』あらすじ結末感想と評価考察。名匠ジョン・ウーが放つ“全編ノーセリフ”のリベンジ・バイオレンス【すべての映画はアクションから始まる53】

  • Writer :
  • 松平光冬

連載コラム『すべての映画はアクションから始まる』第53回

日本公開を控える新作から、カルト的に評価された知る人ぞ知る旧作といったアクション映画を時おり網羅してピックアップする連載コラム『すべての映画はアクションから始まる』。

第53回は、2025年4月11日(金)より新宿バルト9、グランドシネマサンシャイン池袋ほか全国公開中の『サイレントナイト』。

『男たちの挽歌』(1986)、『フェイス/オフ』(1997)などを手がけたアクション映画の巨匠ジョン・ウー監督による、声を失った男の復讐劇を全編セリフなしで描いたリベンジアクションを、ネタバレありでご紹介します。

【連載コラム】『すべての映画はアクションから始まる』記事一覧はこちら

映画『サイレントナイト』の作品情報

(C)2023 Silent Night Productions, Inc. All Rights Reserved

【日本公開】
2025年(アメリカ映画)

【原題】
Silent Night

【製作・監督】
ジョン・ウー

【製作】
ベイジル・イバニク、エリカ・リー、クリスチャン・マーキュリー

【脚本】
ロバート・アーチャー・リン

【撮影】
シャロン・メール

【編集】
ザック・ステーンバーグ

【音楽】
マルコ・ベルトラミ

【キャスト】
ジョエル・キナマン、スコット・メスカディ、カタリーナ・サンディノ・モレノ、ヨーコー・ハマムラ

【作品概要】
『男たちの挽歌』でアクション映画界にその名を轟かせたジョン・ウー監督によるリベンジアクション。彼にとっては約20年ぶりとなるアメリカ映画となります。

主演はリメイク版『ロボコップ』(2014)、「スーサイド・スクワッド」シリーズ(2016~21)のジョエル・キナマン。「キッド・カディ」名義でラッパーとして活動するスコット・メスカディ、『そして、ひと粒のひかり』(2004)のカタリーナ・サンディノ・モレノらが脇を固めます。

『リベンジ 極限制裁』(2007)で原案を務めたロバート・アーチャー・リンが脚本を、編集を『マトリックス』(1999)でアカデミー賞を受賞したザック・ステーンバーグがそれぞれ担当。

映画『サイレントナイト』のあらすじとネタバレ

(C)2023 Silent Night Productions, Inc. All Rights Reserved

2021年のクリスマスイブ、妻サヤや幼い息子テイラーとともに庭で遊んでいたブライアンは、ギャング同士の銃撃戦に巻き込まれ、テイラーが流れ弾に当たり命を奪われてしまいます。

怒りのあまり逃走したギャングを追跡するブライアンですが、一味の1人で全身タトゥーだらけの男に喉を銃で撃たれ、一命は取り留めたものの声帯を失うのでした。

年が明けて退院するも、絶望のあまり荒んだ生活を送り続けていたブライアンは、4月に入り復讐を決意。事件を捜査していた巡査部長のデニス・ヴァッセルに会おうと訪ねた警察署で、タトゥーの男が一味のリーダーのプラヤであると知ります。

来たる22年12月24日をギャング殲滅の日と決めたブライアンは肉体改造を開始。格闘術や銃刀の扱い方を学ぶ一方で、中古車に武装を施していきます。そんな黙々と作業する夫との距離感を感じたサヤは別居することに。

イブまで残り一月となった11月24日。身体も射撃の腕も完璧に仕上げたブライアンは、ギャングの1人を捕まえ、一味の詳細を書かせます。

そして運命のクリスマスイブ。サヤに手紙を書き、テイラーの墓前におもちゃの列車を供え、デニスに一味のデータを置いていったブライアンは、警察とギャングの抗争の場に現れ、一味を始末していきます。

手下が撮影したスマホでブライアンの正体を知ったプラヤは、荒くれ者のルイズを筆頭とする仲間に報復を命じるのでした。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『サイレントナイト』のネタバレ・結末の記載がございます。本作をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。
(C)2023 Silent Night Productions, Inc. All Rights Reserved

襲い来るルイズたちとのカーチェイスの末に仕留めたブライアンは、プラヤがいる本拠地に。一方、ブライアンから貰ったデータを辿ったデニスも追随します。

プラヤがいる最上階を目指し、ショットガンとベレッタを武器に一味との銃撃戦を繰り広げるブライアンですが、深手を負います。しかしデニスの助けを受けながら、追ってきたルイズを仕留めます。

ついにプラヤと対峙したブライアン。ミラーボールに彩られた室内での銃撃となり、銃弾を浴びながらもプラヤの首を絞め、息の根を止めます。

天井にぶら下がるミラーボールに成長していくテイラーの姿を見て取り、安堵に包まれてこと切れるブライアン。

後日、テイラーの墓の周りをおもちゃの列車が走る前には、ブライアンからの手紙を読むサヤの姿が。手紙には悲しみに暮れる現状を変えたかったという思いと、妻への感謝が綴られていました──。

セリフ無しが生んだ“新しい言語”

(C)2023 Silent Night Productions, Inc. All Rights Reserved

監督デビュー作の『カラテ愚連隊』(1973)を皮切りに、『男たちの挽歌』、『フェイス/オフ』、『M:I-2』(2000)など、アクション映画にこだわってきたジョン・ウー。本作『サイレントナイト』は、『ペイチェック 消された記憶』(2004)以来となるアメリカ資本作となります。

殺された息子の敵討ちというストーリー自体は『フェイス/オフ』と同じな本作。脚本を担当したロバート・アーチャー・リンは、やはり息子を失った男の復讐譚『リベンジ 極限制裁』の原案を手がけています。

しかしながら本作の大きな特徴は、復讐を誓う主人公ブライアンが声を失ってしまったという点。息子を殺した犯人によって声帯を奪われるも、電気式人工喉頭の使用を拒み、妻のサヤとはSNSメッセージでやり取りするように。それに伴い、主要人物の大半がセリフを喋らない手法がとられています。

ウーは「セリフのない映画を作るのは難しかった」としつつも、「セリフがないから、すべてをビジュアルで語る必要がある。戦いのシーンだけでなく、音やパンチの衝撃、さらにはカーチェイスまで、すべてを観客に情報を伝えるための“新しい言語”として使った」と述懐します。

それにしてもブライアン役のジョエル・キナマンは、『ロボコップ』で全身が機械化されれば、『The Silent Hour(原題)』(2024)では聴覚障碍になったりと、身体に難を抱える役どころをよく演じています。

『The Silent Hour(原題)』(2024)

盤石の“ジョン・ウーテイスト”

(C)2023 Silent Night Productions, Inc. All Rights Reserved

セリフなしアクションこそ斬新ですが、ディティールではウーらしさもしっかり抑えています。

まず何といってもガンファイト。ベレッタPx4やグロックなどの短銃から、AK-47、サブマシンガン、ショットガンなどの長銃を駆使した銃撃戦は、ウー作品に欠かせません。

ここで面白いのは、十八番である二丁拳銃アクションを披露するのが、主人公のブライアンではなく脇役のデニスな点。これは、ウー作品の大ファンというデニス役のスコット・メスカディ(=キッド・カディ)たっての希望だったとか(なお、敵役プラヤを演じたヨーコー・ハマムラも二丁拳銃を披露)。

カーチェイスに関しても、バレエのようなドライビングテクニックを盛り込んでいるのは、高校時にダンスをしていたウーの経験がモノを言っていますし、クリスチャンであるウーの宗教観や、ブライアンとデニスのブロマンス的共闘など、どれもこれも“ジョン・ウー・テイスト”にあふれています。

ただ、これまたウー作品では外せない“白い鳩”は羽ばたいておらず、不思議(不満?)に思った方もいるでしょう。でも実は違う形で登場しています。

まず、自暴自棄になったブライアンが飲む酒は「DUVA」という銘柄ですが、これはスウェーデン語で「鳩」を意味し(スウェーデンはジョエル・キナマンの出身国)、さらにはデニスが勤務する警察署名の「ラスパロマス」も、スペイン語で「鳩」を意味します。

(C)2023 Silent Night Productions, Inc. All Rights Reserved

本作撮了後、ジョン・ウーはすぐさま『ザ・キラー ジョン・ウー 暗殺者の挽歌』(2024)に着手。これはアメリカ進出するきっかけとなった『狼 男たちの挽歌・最終章』(1990)のセルフリメイクで、長年の念願だった企画です。

2026年には80歳の大台に乗るウーですが、アクション映画界に革新をもたらした第一人者として、今後も気勢を上げて新たな見せ方を模索してほしいものです。

次回の『すべての映画はアクションから始まる』もお楽しみに。

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松平光冬プロフィール

テレビ番組の放送作家・企画リサーチャーとしてドキュメンタリー番組やバラエティを中心に担当。『ガイアの夜明け』『ルビコンの決断』『クイズ雑学王』などに携わる。

ウェブニュースのライターとしても活動し、『fumufumu news(フムニュー)』等で執筆。Cinemarcheでは新作レビューの他、連載コラム『だからドキュメンタリー映画は面白い』『すべてはアクションから始まる』を担当。(@PUJ920219)


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