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【ネタバレ】目撃|あらすじ感想と結末評価レビュー。クリント・イーストウッド代表作のサスペンスで手に汗握る大統領の犯罪を暴く!

  • Writer :
  • 谷川裕美子

名うての大泥棒が大統領の悪事を暴く

マディソン郡の橋』(1995)『ミリオンダラーベイビー』(2004)のクリント・イーストウッドが、監督・製作・主演を務めるサスペンス映画。ある泥棒が忍び込んだ家で、大統領が犯した殺人を目撃したことから、国家権力に追われる様をスリリングに描きます。

共演はジーン・ハックマン、エド・ハリス。

追われる者となった大泥棒が、正義の怒りに燃えて追う者に変貌する様に胸が熱くなる一作です。

映画『目撃』の作品情報


(C)Warner Bros. Entertainment Inc.

【公開】
1997年(アメリカ映画)

【原作】
デヴィッド・バルダッシ

【監督】
クリント・イーストウッド

【脚本】
ウィリアム・ゴールドマン

【編集】
ジョエル・コックス

【キャスト】
クリント・イーストウッド、ジーン・ハックマン、エド・ハリス、ジュディ・デイヴィス、ローラ・リニー、デニス・ヘイスバート、ビル・バートン、スコット・グレン

【作品概要】
1996年発表のデイヴィッド・バルダッチによる同名小説を原作に、『マディソン郡の橋』(1995)『ミリオンダラーベイビー』(2004)名匠クリント・イーストウッドが映画化。監督・製作・主演を務め、上質なサスペンスを生み出しました。イーストウッド監督の第17作目にあたります。

一人の泥棒がある邸宅に忍び込んだ際、大統領が犯した殺人を目撃したことから、国家権力に追われることとなります。

悪徳大統領役をジーン・ハックマンが好演。共演はエド・ハリス、ジュディ・デイヴィスほか。

映画『目撃』のあらすじとネタバレ


(C)Warner Bros. Entertainment Inc.

優秀な老泥棒のルーサーは、ハイテクを駆使して現職大統領リッチモンドを後援する富豪サリヴァンの屋敷に忍び込みます。

しかし、盗みの最中にリッチモンド大統領と不倫相手のサリヴァンの妻・クリスティが部屋に入ってきたため、ルーサーは慌てて隠し部屋に身を潜めました。

酔ったリッチモンドはクリスティに暴力をふるいました。反撃しようと彼女はナイフで大統領に切りかかります。大統領の叫び声を聞いた警護員のビルとティムは、クリスティを射殺しました。その一部始終をルーサーは見てしまいます。

大統領補佐官のグロリアは事件のもみ消しを決め、警護員らに証拠隠滅を命じます。しかし、彼らは事件の証拠となるナイフを落としたことに気づかないまま、部屋を出て行きました。

ルーサーはナイフを拾って、窓づたいに逃げ出します。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには映画『目撃』ネタバレ・結末の記載がございます。映画『目撃』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。


(C)Warner Bros. Entertainment Inc.

事件の担当のセス刑事は、泥棒による犯行を疑いながらも、指紋がすべて消されていたことや、セキュリティを破って侵入した犯人が窓から逃走するなど様々な不審な点があることに疑問を抱いていました。彼は、高度な技術を持つ泥棒の中から、近隣に住み土地勘のあるルーサーに目を付けて接触します。

ルーサーは身を守るために高飛びすることに決め、娘のケイトに別れを告げます。国外逃亡の準備を追えたルーサーは空港に向かいました。しかし、恩人であり、クリスティの夫であるサリヴァンを横に、大統領が事件を非難する会見映像をテレビで見たルーサーは、「人でなしめ」と呟き、逃げずに闘うことを決心します。

ルーサーは証拠品のナイフの写真をグロリアに送りつけました。ビルは事件をもみ消したグロリアを非難しますが、ティムはルーサー暗殺に名乗り出ます。サリヴァンも妻の仇を討つために、殺し屋を雇いました。

セス刑事はケイトに父親が危険であることを告げ、守るためだと説得して会う約束を取り付けさせます。ケイトとの待ち合わせのカフェにルーサーが現れました。殺し屋とティムが狙撃しようと銃を向けますが、窓の光が反射して狙いがそれて、周辺は大騒ぎとなります。

逃げたルーサーは、自分が無実だと告げるためにケイトに再び会いに行き、事件の真相をすべて教えました。

ルーサーはその後、リッチモンドの筆跡を真似たカードと共にクリスティのネックレスをグロリアに送りつけます。それを知ったリッチモンドは激怒し、ケイトの暗殺をティムに命じました。

セス刑事からの情報でケイトの危機をかぎとったルーサーは娘の元に駆けつけますが、すでにケイトは車ごと崖に突き落とされて重傷を負っていました。病室にまで追ってきたティムを、待ち構えていたルーサーは頸動脈に薬剤を投与して殺害します。

ルーサーは運転手になりすましてサリヴァンに接触し、妻殺害の犯人が大統領であることを教えて、証拠品のナイフを手渡しました。怒りに燃えたサリヴァンは大統領室を訪れます。

一方、ルーサーの助言でクリスティの通話履歴を調べたセス刑事は真実を知り、グロリアを逮捕します。ビルは謝罪の手紙を残して自殺しました。

ルーサーが病院に戻ると、テレビではサリヴァンが会見を開いていました。彼は大統領がナイフで自殺したと話します。

ルーサーはケイトの病室に戻り、愛娘をスケッチし始めました。

映画『目撃』の感想と評価


(C)Warner Bros. Entertainment Inc.

国家権力に正義の泥棒が立ち向かう

名匠クリント・イーストウッドと監督・制作・主演を務める極上サスペンスです。

イーストウッド演じる腕利きの泥棒・ルーサーが、忍び込んだ家で大統領が愛人を殺害する現場を目撃してしまったところから物語が始まります。

大統領という絶対的国家権力を前に、一度は国外逃亡を決心したルーサー。しかし、殺した女性の夫であり、自身の恩人であるはずのサリヴァンを横に従えて開いた非道な会見映像を見た瞬間、考えを翻します。それは、「こんな悪人に負けてたまるか」という強い怒りからでした。

ルーサーは大泥棒ですが、人を殺めたことはなく、勲章をいくつも受章している名士でもありました。大統領を決して許さないという正義のもと、ルーサーは勝負を仕掛けます。

捜査を担当するセス刑事はすぐにルーサーに目をつけ、娘のケイトを味方に引き入れてルーサーをおびき出します。

しかし、ルーサーを狙うのは警察だけではありませんでした。大統領警護員のティムとサリヴァンの雇った殺し屋が狙撃しようと銃を構えます。緊迫感溢れるこのシーンは大きな見どころです。

その後、ケイトが命を狙われ重傷を負ったことにより、ルーサーの怒りに完全に火が付きます。彼と娘の深い絆も本作の魅力です。激しい怒りと深い憎しみ、そして娘への愛情からルーサーは初めて人を殺めます。

そして、大統領にとどめを刺す役は、誰よりもその権利を持つサリヴァンに委ねるのです。ここにもルーサーの侠気がよく現れています

緻密な構成と激しいアクション、そして豊かな人間ドラマを兼ね備えた名作です。

名優3人の見事な掛け合い


(C)Warner Bros. Entertainment Inc.

主演のイーストウッド監督と共に作品を支えるのが、リッチモンド大統領役のジーン・ハックマンとセス刑事役のエド・ハリスです。この三本柱が本作を見事な魅力で彩ります。

ハックマンはアカデミー賞受賞作『許されざる者』(1993)でもイーストウッド監督と組んだ盟友です。本作当時67歳でありながら、若い愛人を前に素晴らしい色気を放っています。

悪役をこれほど憎々しく、それでいてチャーミングに演じられる俳優は他にいないでしょう。イーストウッド監督の期待に存分に応える演技で観る者を魅了します。

エド・ハリスが演じるセス刑事は、敏腕でありながらどこか抜けたところがあり、作品を和ませます。ルーサーの娘のケイトと今後恋愛関係に陥りそうな明るい未来を感じさせる役柄です。鋭さと人の良さを併せ持つセス刑事を、エド・ハリスが抜群のバランス感覚で好演しています。

大統領補佐官を演じるジュディ・デイヴィスのアンニュイな笑顔や、生真面目な警護員のビル、狙撃の腕をひけらかさずにいられないティムなど、個性的な脇を固める面々からも目が離せません。

まとめ


(C)Warner Bros. Entertainment Inc.

クリント・イーストウッドとジーン・ハックマン、エド・ハリスという名優3人がいぶし銀の演技を見せる名作サスペンス『目撃』

いくつものターニングポイントを経て、主人公の泥棒・ルーサーが国家権力に真正面から立ち向かう様になっていきます。知恵を度胸で勝負を挑み、愛する娘を守り抜く姿に胸熱くなることでしょう。

イーストウッド監督ならではの骨太な展開に最後まで魅了される極上の一作です。



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