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Entry 2019/02/19
Update

クリント・イーストウッド映画『運び屋』あらすじネタバレと感想。俳優復帰作は『グラン・トリノ』と表裏一体!

  • Writer :
  • 村松健太郎

映画『運び屋』は2019年3月8日(金)全国ロードショー

2014年、ニューヨーク・タイムズ・マガジンに掲載された「シナロア・カルテルが雇った90歳の運び屋」。

映画『運び屋』はその1本の記事をベースに、イーストウッドが“伝説の運び屋”と称された老人に扮して描かれる、驚きの実話をもとにした物語です。

クリント・イーストウッドが約10年ぶりに自身の監督作品に主演したことでも話題になっています。

ブラッドリー・クーパーのほか、ローレンス・フィッシュバーン、アンディ・ガルシアら実力派が集結し、前代未聞の実話に挑みました。

クリント・イーストウッド監督・主演の映画『運び屋』は2019年3月8日(金)全国ロードショーです!

映画『運び屋』の作品情報


(C)2018 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED, WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC

【公開】
2019年(アメリカ映画)

【原題】
The Mule

【製作・監督】
クリント・イーストウッド

【脚本】
ニック・シェンク

【キャスト】
クリント・イーストウッド、ブラッドリー・クーパー、ローレンス・フィッシュバーン、マイケル・ペーニャ、ダイアン・ウィースト、アンディ・ガルシア、イグナシオ・セリッチオ、アリソン・イーストウッド、タイッサ・ファーミガ、ユージン・コルデロ、ローレン・ディーン、グラント・ロバーツ、ピート・バリス、ロバート・ラサード、ソウル・ウエソ、リー・コック、ノエル・G、クリフトン・コリンズ・Jr.、ダニエル・モンカダ、ポール・リンカーン・アラヨ

【作品概要】
87歳の老人がひとりで大量のコカインを運んでいたという実際の報道記事をもとに、長年にわたり麻薬の運び屋をしていた孤独な老人の姿を描いたドラマ。

クリント・イーストウッドが約10年ぶりに自身の監督作品に主演したことでも話題になっています。

共演にブラッドリー・クーパー、ローレンス・フィッシュバーン、マイケル・ペーニャ、ダイアン・ウィースト、タイッサ・ファーミガ、アンディ・ガルシア、そして実の娘であるアリソン・イーストウッドと、豪華キャストが名を連ねています。

初監督作品『アリー/スター誕生』(2018)でオスカーも賑わしているブラッドリー・クーパーは『アメリカン・スナイパー』(2015)で、ローレンス・フィッシュバーンは『ミスティック・リバー』(2004)でイーストウッド監督作品に出演済みですが、両作品ともイーストウッドは監督に専任していて、本作で念願の共演を果たしたことになります。

映画『運び屋』のキャラクターとキャスト


(C)2018 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED, WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC

アール・ストーン(クリント・イーストウッド)
朝鮮戦争から帰国後は百合栽培に全てをささげてきた老人

メアリー(ダイアン・ウィースト)
アールの妻。家族を顧みないアールをすっかりあきらめている

アイリス(アリソン・イーストウッド)
アールの娘、結婚式にアールが来なかった時以来絶縁状態

ジェニー(タイッサ・ファーミガ)
アールの孫娘

コリン・ベイツ捜査官(ブラッドリー・クーパー)
麻薬取締官、謎の運び屋を追う

主任特別捜査官(ローレンス・フィッシュバーン)
コリンの上司

トレビノ捜査官(マイケル・ペーニャ)
コリンの相棒

ラトン(アンディ・ガルシア)
麻薬カルテルのボス

映画『運び屋』のあらすじとネタバレ


(C)2018 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED, WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC

朝鮮戦争退役軍人アール・ストーンは帰国後、高級百合の栽培・生産に生涯を捧げてきました。

その一方で、家庭や家族のことは顧みず、娘の結婚式より百合の品評会を優先するほどでした。

それから10年。

アールの百合農場はインターネット販売業者との競争に敗れ倒産、農園も屋敷も差し押さえられてしまいました。

居場所を失ったアールに、あるメキシコ系の男が声をかけます。

アールが過去数十年でアメリカ40州以上を車で走りまわり、違反切符を一度も切られたことがないことを知った男は、麻薬の運び屋をしないかと誘います。

違法行為であることはうすうす分かっていたものの、思わぬ高収入にアールは運び屋家業を開始。

やがて、アールは新車を購入、自宅を取り戻し、退役軍人協会に寄付もしてと華やかな生活を取り戻します。

以下、『運び屋』ネタバレ・結末の記載がございます。『運び屋』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。


(C)2018 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED, WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC

一方、麻薬取締官のコリン・ベイツは謎の大物運び屋を追い続けますが、そのしっぽすらつかめずにいました。

まさか80代後半の優良ドライバーの老人が運び屋とは思ってもいませんでした。

アールの堅実な仕事ぶりにメキシコの麻薬カルテルのボス・ラトンはアールをとても気に入り自分の豪邸にも招くほど。

しかし、ベイツの捜査の手は徐々に進み、またラトンが部下に殺されるなどカルテルの締め付けが厳しくなり、アールの仕事の環境も大きく変わっていきます。

ある大仕事をしているアールのもとに、妻のメアリーが危篤状態だという一報が入ります。

アールは仕事を投げうって妻の最期を看取るのでした。

そして、アールは逮捕されます。

全ての罪を認めて収監されたアールは、刑務所内での農場で百合を育てる日々を送っています

映画『運び屋』の感想と評価


(C)2018 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED, WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC

生きる伝説クリント・イーストウッドが帰還!

イーストウッドは2012年に公開された『人生の特等席』の主演があったものの、これはイーストウッドから映画製作を学んだロバート・ローレンツが監督した作品でした。

ですので、自身の監督作品での主演は2008年の『グラン・トリノ』以来となります。

『グラン・トリノ』以降もイーストウッドはほぼ年に一作というハイペースで作品を発表し続けていますが、俳優としては『グラン・トリノ』をもって引退宣言をしていました。

ところが、10年の時を経て、まさかの帰還です。

しかも『グラン・トリノ』と『運び屋』、どちらも“クルマ”と“老い”というものが映画の大きなピースになっているところも意味深。

イーストウッド自身もこの『運び屋』は『グラン・トリノ』と表裏一体の作品だと語っています。

しかも面白いのが70代後半で主演した『グラン・トリノ』では、朝鮮戦争からの老帰還兵(この設定も『運び屋』との共通点です)は最後は車と共に老いを受け入れ、若い世代のために死んでいきます。

しかし、それから10年経ち『運び屋』の主人公は自分のためにクルマと共に生きていきます。

まとめ


(C)2018 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED, WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC

10年前に引退宣言をした、ハリウッドの生ける伝説的な老優が、アッと驚く実に軽やかな足取りでスクリーンに還ってきました。

いよいよ、仙人のような域に達し始めたクリント・イーストウッド。

今後もどんな驚きを与えてくれるんでしょうか。

『グラン・トリノ』と表裏一体の、実話をもとにした前代未聞の映画『運び屋』。

クリント・イーストウッド監督・主演の映画『運び屋』は2019年3月8日(金)全国ロードショーです!


(C)2018 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED, WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC

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