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『青春ジャック 止められるか、おれたちを2』あらすじ感想と評価解説。若松孝二監督が立ち上げたミニシアターを舞台に“映画の虜”になった人々を描く

  • Writer :
  • 谷川裕美子

映画『青春ジャック 止められるか、おれたちを2』は2024年3月15日(金)よりテアトル新宿ほか全国順次公開

若松孝二監督が代表を務めた若松プロダクションの黎明期を描いた映画『止められるか、俺たちを』(2018)の続編『青春ジャック 止められるか、おれたちを2』が、2024年3月15日(金)よりテアトル新宿ほか全国順次公開されます。

若松監督が名古屋に作ったミニシアター「シネマスコーレ」を舞台に描いた青春群像劇です。

監督は前作の脚本を務めた井上淳一。若松孝二役の井浦新、木全純治の東出昌大をはじめ、芋生悠、杉田雷麟、コムアイ、有森也実、田中要次、田口トモロヲ、門脇 麦、田中麗奈、竹中直人など豪華キャストが集結

若松監督に憑依したかのような井浦新の見事な演技、映画という難しい世界に心奪われた人々の熱い思いなど、見どころたっぷりの本作の魅力をご紹介します。

映画『青春ジャック 止められるか、おれたちを2』の作品情報


(C)若松プロダクション

【公開】
2024年(日本映画)

【監督・脚本】
井上淳一

【編集】
蛭田智子

【キャスト】
井浦新、東出昌大、芋生悠、杉田雷麟、コムアイ、田中俊介、向里祐香、成田浬、有村也実、田中要次、田口トモロヲ、門脇麦、田中麗奈、竹中直人

【作品概要】
1980年代に若松孝二監督が名古屋に作ったミニシアター「シネマスコーレ」を舞台に、映画に心を吸い寄せられた若者たちの希望を描く青春群像劇。

若松プロの門を叩いた井上淳一が監督・脚本を務めます。

主人公の若松孝二を前作に続き井浦新、映画館支配人の木全純治を東出昌大が好演。

メインキャストを務める芋生悠、杉田雷麟のほか、コムアイ、有森也実、田中要次、田口トモロヲ、門脇 麦、田中麗奈、竹中直人ら豪華キャストが集結しました。

映画『青春ジャック 止められるか、おれたちを2』のあらすじ


(C)若松プロダクション

熱くなることがカッコ悪いと思われるようになった1980年代。ビデオの普及によって人々の映画館離れが進む中、若松孝二はそんな時代に逆行するように名古屋にミニシアター「シネマスコーレ」を立ち上げます。

若松は、結婚を機に東京の文芸坐を辞めて地元名古屋でビデオカメラのセールスマンをしていた木全純治に会いに行きました。若松は木全を映画館の支配人に抜てきします。

そんなシネマスコーレには、金本法子、井上淳一ら映画に人生をジャックされた若者たちが吸い寄せられてきました。

木全は若松に振り回されながらも、飄々とした明るさで経済的危機を乗り越えていき…。

映画『青春ジャック 止められるか、おれたちを2』の感想と評価


(C)若松プロダクション

映画に心を奪われた者たちが生み出す熱い空気感が、なんともいえずに心地よい作品です。

若松孝二監督になりきった井浦新の演技が秀逸で、思わず目を奪われてしまいます。荒っぽい気性ながら、人情味にあふれた奥深い言葉を紡ぐ若松監督。今なお彼が人々を魅了し続けている理由に気づかされることでしょう。

東出昌大が、ミニシアターの支配人に抜擢された気のいい明るい性格の木全純治を好演。まったく性格の違う若松監督と生み出すケミストリーが楽しませます。

そのほか、多くの苦しい現実と向かい合いながら映画への夢を追う金本、浪人生ながら心のまま若松監督のもとに弟子入りする井上ら、若者たちの苦悩も本作の大きな見どころです。

ただで起きないために転ぶ踏まれても汚れても咲き続ける。本作のキャッチコピーには、夢へ続く道に必死で踏みとどまろうとする人々の思いが投影されています。

ノスタルジーを感じさせる熱気と共に、映画に挑み続ける者と夢破れて去って行く者の苦悩がリアルに映し出され、才能がすべての世界の容赦ない厳しさに、胸締め付けられずにいられません

映画という高い山の頂に輝く光に憧れ、がむしゃらに登っていく人々への畏敬の思いを新たにする作品です。

まとめ


(C)若松プロダクション

若松孝二監督が立ち上げたシネマスコーレの黎明期を描いた秀作『青春ジャック 止められるか、おれたちを2』

映画に心を奪われて生きる人々の、喜び、悲しみ、苦悩などさまざまな思いが交錯するさまを温かな視線で描きます。

挑戦し続ける人生の素晴らしさに胸打たれるに違いありません。

『青春ジャック 止められるか、おれたちを2』は2024年3月15日(金)よりテアトル新宿ほか全国順次公開です。



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