闇夜に起きた怪奇な事件。唯一の“目撃者”は盲目の男――
韓国年間最長No.1記録を樹立した、映画『梟ーフクロウー』が、2024年2月9日(金)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町ほかにて全国ロードショーとなります。
韓国の史実に残された最大の謎に迫る、<全感覚麻痺>サスペンス・スリラーの見どころをご紹介します。
映画『梟ーフクロウー』の作品情報
【日本公開】
2024年(韓国映画)
【原題】
올빼미(英題:THE NIGHT OWL)
【監督・脚本】
アン・テジン
【製作総指揮】
キム・ウテク
【撮影】
キム・テギョン
【編集】
キム・サンミン
【キャスト】
リュ・ジュンヨル、ユ・ヘジン、チェ・ムソン、チョ・ソンハ、パク・ミョンフン、キム・ソンチョル、チョ・ユンソ
【作品概要】
『金の亡者たち』(2019)、『毒戦 BELIEVER』(2019)のリュ・ジュンヨル主演のサスペンススリラー。朝鮮王朝時代の記録物「仁祖実録」(1645)に残された史実をベースに、ジュンヨル演じる盲目の鍼医が遭遇する事件の顛末を描きます。
共演に、ジュンヨルも出演した『タクシー運転手~約束は海を越えて~』(2017)のユ・ヘジン、テレビドラマ『愛の不時着』(2019~20)のパク・ミョンフンなど。
監督は、1,000万人以上もの観客を動員した『王の男』(2005)で助監督を務め、本作で長編監督デビューを果たしたアン・テジン。
本国韓国では年間最長No.1 記録を樹立し、百想芸術大賞映画部門、韓国映画評論家協会賞など、各映画賞において25冠もの栄誉に輝きました。
映画『梟ーフクロウー』のあらすじ
1645年、朝鮮王朝時代。盲目の鍼医ギョンスは、弟の病気の医療費を稼ぐために、卓越した鍼術能力を認められ宮廷で働くことに。
その宮廷に、第16代国王・仁祖(インジョ)の長男で、人質として清(後の中国)に8年間抑留されていた昭顕(ソヒョン)世子が帰郷します。ところがある夜、そのソヒョンが暗殺される様をギョンスは、‟目撃“してしまいます。
制御不能な狂気が迫る中、追われる身となったギョンスは昼夜に隠された真相を暴くために、闇を駆けることに――。
映画『梟ーフクロウー』の感想と評価
李氏朝鮮時代の1645年、36年の清による朝鮮侵略に端を発した丙子(へいし)の乱の後、清の人質となっていた第16代国王インジョの世子ソヒョンが帰郷します。
久しい再会に最初こそ喜ぶ両者でしたが、やがて明王朝との関係を保ちたいインジョと、清と友好関係を築いて朝鮮の変容を受け入れるべきと主張するソヒョンは対峙。そして再会からわずか2か月後、病を抱えていたソヒョンは急死してしまいます。
死因は病気によるものとされるも、その実は父インジョにより暗殺されたとも云われており、『チュノ~推奴~』(2010)や『華政』(2015)など、その怪死に迫った時代劇ドラマもいくつか作られているほど。
本作『梟ーフクロウー』もこの謎をベースにしており、監督・脚本はこれで長編デビューをはたしたアン・テジンです。
「歴史的な可能性に、映画的な創造を加えることによって作られた映画」と本作について語るテジン監督。ソヒョン暗殺説を「歴史的な可能性」とするならば、「映画的な創造」とは、怪死を目撃した唯一の人物が盲目の鍼医だったという点にあります。
生活費と病を抱えた弟の治療費のために宮廷で働くことになった鍼医ギョンス。実は彼にはある秘密があり、その秘密をソヒョンに気づかれるも、逆に信頼を得るように。
そんな矢先、ソヒョンの死を目の当たりにしたギョンスが真実を知らせようと試みるも、インジョを筆頭とする周辺人物たちが蠢く陰謀により、逆に命の危険に晒されることとなります。
「本作は、実際(ファクト)の歴史と架空(フィクション)のキャラクターを結び付けた物語である“ファクション”である一方で、スリラーの要素もある」との監督の言葉どおり、息をもつかせぬ緊張感に満ちた展開が繰り広げられます。
まとめ
抱えてきた秘密から、自らを「卑しい者」と蔑んで生きてきたギョンス。盲目の主人公といえば剣客の座頭市やアメコミヒーローのデアデビルがいますが、鍼術能力こそ優れているも、ギョンスは普通の人間です。
しかし追われながらも彼は、ある事を機に“目覚め”ていきます。
ギョンス役のリュ・ジュンヨルとインジョ国王役のユ・ヘジンは、『タクシー運転手~約束は海を越えて~』を含め、本作で3度目の共演。両者の演技合戦も見どころの一つでしょう。
最初から最後まで予想できない展開を、観る者に約束します。
映画『梟ーフクロウー』は、2024年2月9日(金)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町ほかにて全国ロードショー。