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Entry 2023/06/30
Update

『オオカミの家』あらすじ感想と評価考察。“ミッドサマー”アリ・アスター絶賛アニメーションは“ホラー・フェアリーテイル”!

  • Writer :
  • 谷川裕美子

ストップモーション・アニメ『オオカミの家』は2023年8月19日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開

チリの2人組監督クリストバル・レオン&ホアキン・コシーニャの初長編作品ストップモーションアニメ『オオカミの家』が2023年8月19日(土)よりシアター・イメージフォーラムほかで全国順次公開されます。

2018年・第68回ベルリン国際映画祭フォーラム部門でカリガリ映画賞、第42回アヌシー国際アニメーション映画祭で審査員賞を受賞しました。

ピノチェト軍事政権下のチリに実在したコミューン「コロニア・ディグニダ」に着想を得て制作され、『ミッドサマー』(2020)のアリ・アスターからも絶賛されました。アリ・アスターが製作総指揮を務めた短編『骨』も同時上映となります。

チリ南部のある施設から逃走し、森の中の一軒家で二匹の子ブタと出会った娘マリアの身に起きる悪夢のような出来事を描いた“ホラー・フェアリーテイル” アニメーションです。

平面から立体まで自由自在に表現を変えながら、唯一無二の世界観が広がる本作の魅力について詳しくご紹介します。

映画『オオカミの家』の作品情報


(C)Diluvio & Globo Rojo Films, 2018

【日本公開】
2023年(チリ映画)

【監督】
クリストバル・レオン、ホアキン・コシーニャ

【脚本】
クリストバル・レオン、ホアキン・コシーニャ、アレハンドラ・モファット

【出演】
アマリア・カッサイ、ライナー・クラウゼ

【作品概要】
クリストバル・レオンとホアキン・コシーニャの二人組による初の長編映画。

チリ南部のある施設から逃走し、森の中の一軒家で二匹の子ブタと出会った娘マリアの身に起きる悪夢のような出来事を描いた“ホラー・フェアリーテイル” アニメーションです。

企画段階から完成までに5年の歳月を費やしており、ワールドプレミアとなった第68回ベルリン国際映画祭ではカリガリ映画賞を、第4 回アヌシー国際アニメーション映画祭では審査員賞を受賞するなど世界各国で数々の賞を受賞し注目されました。

『ミッドサマー』(2019)のアリ・アスターは、「『オオカミの家』のような作品が作られたことは、過去に一度もない!」と絶賛して自ら二人にコンタクトをとり、今回同時上映となる短編『骨』の製作総指揮に名乗りを上げ、さらに自身の最新作『Beau is Afraid』内の12分にも及ぶというアニメ・パートも彼らに依頼しています。

映画『オオカミの家』のあらすじ


(C)Diluvio & Globo Rojo Films, 2018

美しい山々に囲まれたチリ南部のドイツ人集落。“助け合って幸せに”をモットーとするその閉ざされたコロニーに、動物が大好きなマリアという美しい娘が暮らしていました。

ある日、ブタを逃がしてしまったマリアは、100日間誰とも喋ってはいけないというきびしい罰に耐えられず、集落から脱走してしまいます。

オオカミを恐れてマリアは一軒家に逃げ込み、助けを求めます。そこで彼女は2匹の子ブタに出会い、「ペドロ」「アナ」と名付け世話をすることにしました。

しかし、ほっと一息ついたところに、森の奥から彼女を探すオオカミの声が聞こえはじめます。

マリアの恐怖に呼応するように、子ブタは恐ろしい異形の姿に変わり、家は悪夢のような禍々しい世界と化していき…。

映画『オオカミの家』の感想と評価


(C)Diluvio & Globo Rojo Films, 2018

悪夢の中にいるかのような、異空間を味わえる作品です。予測不可能な美しくもグロテスクな世界観にただただ圧倒されます

ドイツ人による閉鎖的なコロニーから逃れたひとりの女性マリアが、一軒家に逃げ込んだところから物語が始まります。優しくかわいらしいマリアのささやき声で物語は進行します。

彼女はそこで2匹の子ブタと出会い、名前をつけてかわいがり始めました。外にはオオカミがいるため、家からは決して出られません。そんななか、室内は次第に禍々しいものへと変わっていきます。

ふたりの監督の表現する、どこまでも広がっていくイマジネーションに翻弄されることでしょう。平面だった世界がスルリと3Dに変化したと思ったら、さらに平面と立体が組み合わさるなどさまざまな手法を駆使し、非現実の異形の世界が展開ます。

マリアは不思議な異空間に迷いこんだのでしょうか。それとも、そこは閉鎖的なコロニーで暮らしてきたマリア自身が生み出した狂気の世界なのでしょうか。

一方のオオカミは終始穏やかな男性の声で、人間の言葉を用いてマリアに語り掛け続けます。

細部までこだわりがつめこまれた画面に思わず見入ってしまうことでしょう。スリラーの鬼才アリ・アスターが何度も本作を観返した気持ちがよくわかります

ぎっしり背景が描きこまれた絵本を何度もめくり直したくなるのと同じで、家具や壁の飾り、食器、すべてのこだわりを見尽くしたくなってしまうのです。何度見返したとしても、そのたびに見落としていたものに気づかされるに違いないほど、クリストバル・レオンとホアキン・コシーニャは膨大な情報を画面に詰め込んでいます

オオカミの存在は恐ろしいのですが、すっかり姿を変えた子ブタをかわいがり続けるマリアにも恐怖を覚えます。作品を通して通奏低音のように映し出されるのは、ぞわぞわさせられる恐怖感です。

オオカミは果たして本物のオオカミなのでしょうか。それとも、オオカミに象徴される何か別の存在なのでしょうか。最後まで続くスリルと恐怖をお楽しみください。

まとめ


(C)Diluvio & Globo Rojo Films, 2018

ひとりの娘が迷い込んだ一軒家の中で繰り広げられる非現実の世界を、恐ろしくも魅力的に映し出す『オオカミの家』。悪夢の中に放り込まれたのかと錯覚させられるような、摩訶不思議な世界観です。

表には恐ろしいオオカミが待ち構えているため、家にいることが苦痛になっても、一歩も外には出ることができない主人公マリアの苦悩がヒリヒリと伝わってきます。

かわいがっていた子ブタとともに辿る彼女の運命の行方を、ハラハラしながら見守ってください。

ホラーアニメ映画『オオカミの家』は2023年8月19日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開です。





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