Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

ラブストーリー映画

Entry 2018/06/02
Update

ホン・サンス映画『それから(2018)』あらすじとキャスト。劇場情報も

  • Writer :
  • 西川ちょり

今、世界一センセーショナルな監督と女優、名匠ホン・サンスとキム・ミニが紡ぐ男女の可笑しみを目撃せよ!

ホン・サンス監督の『それから』は、6月9日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷ほかで全国順次ロードショー

映画『それから』の作品情報


(C)2017 Jeonwonsa Film Co. All Rights Reserved.

【公開】
2018年(韓国映画)

【原題】
The Day After

【監督】
ホン・サンス

【キャスト】
クォン・ヘヒョ、キム・ミニ、キム・セビョク、チョ・ユニ、キ・ジュボン、パク・イェジュ、カン・テウ

【作品概要】
韓国の名匠ホン・サンス監督が『お嬢さん』のキム・ミニを主演に迎え、出版社で働く女性が社長の愛人と間違えられたことから起こる騒動を美しいモノクロ映像でユーモラスにつづり、男と女の可笑しみを浮き彫りにする。

映画『それから』の主要キャスト


(C)2017 Jeonwonsa Film Co. All Rights Reserved.

キム・ミニ(ソン・アルム役)のプロフィール

関連映像:『正しい日 間違えた日』(2015)

キム・ミニは、1982年3月1日生まれ。ソウル出身の女優

中学時代からモデルとして活躍。

ドラマ『学校2』(1999)に抜擢され、女優としてのキャリアをスタートさせます。

当初は人気先行で演技に関しては酷評されることも多かったのですが、テレビシリーズ『グッバイソロ』の台本に出逢い、出演を直訴。演技開眼し、高い評価を受けました。

宮部みゆきの小説『火車』を原作としたした『火車 HELPLESS』(2012/ピョン・ヨンジュ監督/TV)での演技がパク・チャヌク監督の目に留まり、『お嬢さん』(2016)に抜擢されます。

『お嬢さん』の演技で、青龍映画賞最優秀女優賞、ディレクターズ・カット・アワードの最優秀女優賞を受賞。国際的にも高く評価されました。

ホン・サンス監督と初めてタッグを組んだのは、2015年の作品『正しい日 間違えた日』。

作品は第68回ロカルノ国際映画祭でグランプリを受賞し、キム・ミニは、釜山映画評論家協会賞最優秀女優賞を受賞しています。

以降、ホン・サンス監督の『夜の浜辺でひとり』(2017)、『クレアのカメラ』(2017)、本作『それから』(2017)に出演し、今やホン・サンス作品のミューズとして、次々と傑作を誕生させています。

『夜の浜辺でひとり』では韓国人女優としては初の快挙となる第67回ベルリン国際映画祭銀熊賞(最優秀女優賞)に輝きました。

最新作は、第68回ベルリン国際映画祭出品のホン・サンス監督と組む5回目の作品『草の葉たち(Grass)』(2018)。

クォン・ヘヒョ(キム・ボンワン役)のプロフィール

関連映画:『3人のアンヌ』(2012)

クォン・ヘヒョは、1965年11月6日生まれのソウル出身の俳優

漢陽大学演劇映画科を卒業し、舞台を中心に活動。

1994年ドラマ『愛をあなたの胸に』で人気を博し、日本でも大ヒットした『冬のソナタ』のキム次長役、『私の名前はキム・サムスン』の料理長役などで広く知られています。

ドラマや映画に欠かせない名バイプレイヤーとして活躍しています。

映画の出演作は、オ・ギファン監督『ラスト・プレゼント』(2001)、イ・ヨヌ監督『僕らの青春白書』(2014)、オム・テファ監督作『隠された時間』(2016)などがあります。

大ヒット作『新感染 ファイナル・エクスプレス』のヨン・サンホ監督が2014年に発表した長編アニメーション映画『我は神なり』では声の出演もしています。

ホン・サンス監督作品は、『3人のアンヌ』(2012)、『あなた自身とあなたのこと』(2016)、『夜の浜辺でひとり』(2017)に出演しています。

『それから』で2017年釜山映画評論家協会賞主演男優賞を受賞。

本作で妻役を演じたチョ・ユニとは、実生活でも夫婦です。

映画『それから』のホン・サンス監督とは

関連映画:『豚が井戸に落ちた日』(1996)


1961年10月25日生まれ。ソウル出身。

韓国中央大学で映画制作を学んだ後、アメリカに留学。カリフォルニア芸術工科大学で美術学士号(BFA)、89 年シカゴ芸術学院で美術修士号(MFA)を取得。勉学の合間をぬって多くの短編映画を制作しました。

その後フランスに滞在。シネマテーク・フランセーズに毎日のように通い映画鑑賞に没頭する日々を送りました。

1996年、『豚が井戸に落ちた日』で長編劇映画デビューを果たします。

ソウルの片隅で生きる4人の男女の生き様をシリアスなタッチで描いた作品は批評家や国際映画祭で絶賛されました。

バンクーバー国際映画祭でドラゴン&タイガー賞を、ロッテルダム国際映画祭でグランプリを受賞しています。

1998年の『カンウォンドの恋』はカンヌ国際映画祭ある視点部門でワールド・プレミア上映され、2000年の『秘花 ~スジョンの愛~』は、カンヌ国際映画祭ある視点部門に正式招待されました。

いずれも国際的に評価され、2004年には、フランスとの共同製作で『女は男の未来だ』を発表。2005年の『映画館の恋』と二作続いてカンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品されました。

関連映像:『女は男の未来だ』(2015)

ホン・サンス監督作品は、多くが男女の恋愛模様を会話形式で描いており、その独特のタッチは、ヨーロッパの批評家や観客に、“韓国のウディ・アレン”、“韓国のゴダール”、“エリック・ロメールの弟子”などと称されています。

『アバンチュールはパリで』(2008)から、『3人のアンヌ』(2012)、『ヘウォンの恋愛日記』(2013)まで7年連続で作品をカンヌ、ヴェネチア、ベルリンの3大映画祭に正式出品。韓国を代表する監督の一人として国際的にも高く評価されています。

日本では2012年に「ホン・サンス/恋愛についての4つの考察」と題して『よく知りもしないくせに』(2009)、『ハハハ』(2010)、『教授とわたし、そして映画』(2010)、『次の朝は他人』(2011)の四作が特集上映されました。

そのトークイベントで加瀬亮と意気投合したことをきっかけに、2014年、加瀬亮主演の『自由が丘で』が生まれました。

2015年には、『正しい日 間違えた日』が第68回ロカルノ国際映画祭グランプリと主演男優賞をダブル受賞。主演女優キム・ミニとの不倫スキャンダルが世間を騒がせましたが、以後もキム・ミニとタッグを組み続けています。

『夜の浜辺でひとり』(2017)は、第67回ベルリン国際映画祭主演女優賞(銀熊賞)に輝き、『それから』(2017)が、第70回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に、『クレアのカメラ』(2017)も同映画祭のアウト・オブ・コンペティションに正式出品。

最新作「草の葉たち(Grass)」(2018)は第68回ベルリン国際映画祭フォーラム部門に正式出品されるなど世界的な活躍が続いています。

関連映像:『夜の浜辺でひとり』(2017)

映画『それから』のあらすじ


(C)2017 Jeonwonsa Film Co. All Rights Reserved.

アルムは、小さな出版社“図書出版 カン”に勤めることになりました。

著名な評論家でもあるボンワンが社長をつとめている会社です。

ボンワンは、毎日、早朝に出勤し夜遅くまで帰らないので、妻は浮気を疑っていました。

アルムの初出勤の日、事務所に踏み込んできた女に、アルムはいきなり殴られてしまいます。浮気の証拠を見つけたボンワンの妻が、アルムを夫の愛人だと勘違いしたのです。

妻に責められたボンワンは、不倫の相手は外国に行ってしまい、居場所は知らないと答えます。

夜、ボンワンはお詫びをしたいといってアルムを食事に誘いました。アルムは仕事を辞めると告げますが引き止められます。

ところがそこに、アルムの前任者でボンワンの浮気相手であるチャンスクが突然姿を現しました。

チャンスクはアルムに出版社を辞めてほしいと言い出し、さっきは引き止めたボンワンまで辞めてくれと頼みだす始末。あまりの理不尽さに憤るアルムでしたが、数冊の本をもらい出版社を後にします。

それから……。

ボンワンの評論が有名な賞を受賞しました。アルムがお祝いを伝えるために、“図書出版 カン”を訪れてみると…。

本作を上映する劇場情報


(C)2017 Jeonwonsa Film Co. All Rights Reserved.

【北海道・東北地区】
北海道 シアターキノ 7月予定

【関東・甲信越地区】
東京都 ヒューマントラストシネマ有楽町 6月9日〜
東京都 ヒューマントラストシネマ渋谷 6月9日〜

【中部・北陸地区】
愛知県 センチュリーシネマ 6月9日〜

【近畿地区】
大阪府 シネ・リーブル梅田 6月9日〜

京都府 京都シネマ 7月予定

兵庫県 シネ・リーブル神戸 夏予定

【九州・沖縄地区】
福岡県 KBCシネマ 順次

*上記に記載された劇場情報は6月1日現在のものです。作品の特性からセカンド上映や順次公開されることが予想されます。お近くの映画館をお探しの際は必ず公式ホームページをご確認ください。

まとめ


(C)2017 Jeonwonsa Film Co. All Rights Reserved.
加瀬亮を主演に撮った『自由が丘で』(2014)以来、久しぶりにホン・サンス作品が公開されます。

しかも、本作『それから』を皮切りに、『夜の浜辺でひとり』、2015年の作品で日本公開が待たれていた『正しい日 間違えた日』、再びイザベル・ユペールを起用した『クレアのカメラ』と立て続けに4作品が上映されるのです!

そしてどの作品も、今やホン・サンス作品のミューズとなったキム・ミニが主演しています。キム・ミニといえば、パク・チャヌク監督の『お嬢さん』での熱演を記憶している方も多いでしょう。

ホン・サンスの作品は、登場人物がお酒を飲んだり、何かを食べながら、会話を交わしている場面がやたら多いという印象があります。

ユーモラスで、どこかとぼけたような雰囲気を漂わせながら、男女の恋愛を絶妙なタッチで描くその作品はめっぽう面白く、毎回その旨さに舌を巻くのですが、ホン・サンスはキム・ミニはどのように撮っているのでしょうか!?

夏目漱石の作品のタイトルから取られたという『それから』は、圧倒的な美しさのモノクロームの世界が展開します。

今年の夏はホン・サンスが熱い!

『それから』は、6月9日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷ほかで全国順次ロードショーされます!

関連記事

ラブストーリー映画

映画『パリの恋人』あらすじネタバレと感想。オードリー・ヘプバーンの名作ミュージカルの見所

永遠の妖精オードリー・ヘプバーンが、パリを舞台に歌って踊るミュージカル映画。 ミュージカル映画の金字塔『雨に唄えば』のスタンリー・ドーネン監督と、オードリー・ヘプバーンが初めて組んだ作品です。 オード …

ラブストーリー映画

映画『劇場版おっさんずラブ』あらすじネタバレと感想。ドラマ最終回のその後は五角関係へと突入!?

映画『劇場版おっさんずラブ LOVE OR DEAD』は2019年8月23日(金)より全国ロードショー公開! SNSを中心に日本で社会現象を巻き起こした大人気ラブコメドラマ『おっさんずラブ』がついに劇 …

ラブストーリー映画

ロス・タラントス~バルセロナ物語~|あらすじ感想と評価解説。世界的ダンサーのカルメン・アマジャのフラメンコシーンに圧倒されるスペイン版“ロミオとジュリエット”

映画『ロス・タラントス~バルセロナ物語~』は2023年7月28日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか限定上映 2023年7月28日(金)より、2度のアカデミー賞外国語映画賞ノミネートで知られるフ …

ラブストーリー映画

『フットルース』ネタバレあらすじ結末と感想評価の解説。名曲とダンスと共にケヴィン・ベーコンの華麗なステップと身体能力に見惚れる!

若者たちの熱気あふれるロックな青春 ロックもダンスも禁止されている保守的な田舎町に越してきた青年が卒業ダンスパーティーを企画し、閉塞的な町を変えていく爽やかな青春映画です。 主人公のレンを演じるのはケ …

ラブストーリー映画

映画『夕霧花園』感想評価とレビュー解説。阿部寛が海外マレーシアの主演作品で“自分らしさ”を発揮する

映画『夕霧花園』は2021年7月24日(土)より全国順次ロードショー! 阿部寛出演、戦後のマレーシアを舞台にとある日本人庭師が一人の女性との出会い、そして激動の中でたどり着いた愛の姿を描いた映画『夕霧 …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学