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Entry 2023/02/20
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映画『ラフラフダイ』あらすじ感想と評価解説。“笑い死にという奇病”が蔓延する世界で人として生きて死ぬためにはどうすべきか

  • Writer :
  • 谷川裕美子

映画『ラフラフダイ』は2023年4月15日から21日まで東京・K’s cinemaにてレイトショー上映、全国順次公開

映像制作チーム・シネマ健康会の松本卓也の監督作『ラフラフダイ』が2023年4月15日から21日まで東京・K’s cinemaにてレイトショー上映され、その後全国順次公開されます。

笑いながら突然死してしまう奇病「笑い死に」が流行し、笑うことが禁じられ、感情を殺す薬を飲むようになった世界が描かれます。長野県飯田市でのロケが敢行されました。

出演はむかい誠一、イグロヒデアキ、遠藤史崇、平川亜音、中田陽子、遠山雄。まるで世紀末を思わせるような恐ろしい奇病の蔓延した世界が描かれますが、コロナ禍を生きる私たちにとっては既視感満載の一作となっています。

人間らしく生きるために必要なこととは何か。深いテーマに迫る本作の魅力についてご紹介します。

映画『ラフラフダイ』の作品情報


(C)2023 シネマ健康会

【公開】
2023年(日本映画)

【監督・脚本】
松本卓也

【出演】
むかい誠一、イグロヒデアキ、遠藤史崇、平川亜音、中田陽子、遠山雄

【作品概要】
ダイナマイト・ソウル・バンビ』(2022)の松本卓也作品。構想から10年を経て、不安と葛藤が交差するオリジナルストーリーを制作しました。

笑いながら突然死してしまう奇病「笑い死に」が全世界で拡大した世界を描きます。感染を恐れて感情を殺す薬を飲み、心を失った世界でも、自由に生きることを選ぶ人々。感情を失ってまで生きたいか、感情を持ったまま死ぬかという究極の問いが描かれます。

撮影は全編長野県飯田市で行われました。新型コロナウイルス感染拡大で不安渦巻く現代に放つ問題作です。

出演はむかい誠一、イグロヒデアキ、遠藤史崇、平川亜音、中田陽子、遠山雄。

映画『ラフラフダイ』のあらすじ


(C)2023 シネマ健康会

大幅に犯罪が減少したというニュースが流れるなか、少女のマナがふっと笑いました。両親は慌てて彼女を叱りつけ、薬を飲ませます。

笑いながら死んでいく恐ろしい奇病「笑い死に」が世界中で蔓延してから2年。人々は死を避けるために、笑うことを禁じられ、感情を抑える薬を服用していました。

大量の食材を買い込んで山奥の建物に向かう渡辺。そこの部屋では笑いがあふれていました。

そんな中、渡辺のもとに、路頭に迷った子がいるので受け入れてやってほしいという電話が入ります。

渡辺を待っていたのは、家族の写真をじっと見つめる少女・マナでした。

映画『ラフラフダイ』の感想と評価


(C)2023 シネマ健康会

人は何を大切に生きるべきか

笑いながら突然死してしまう恐ろしい奇病「笑い死に」を描く問題作『ラフラフダイ』。

なんと10年もの間松本卓也監督が構想を温めてきた作品だというのですから驚きです。まるで新型コロナウィルスのパンデミックを見通していたかのようなストーリーとなっています。

実際には、コロナの蔓延により監督自身も恐怖のなか、撮影を行うことができなかったといいます。しかし、2021年の後半になり、今こそ発表するときだと腰を上げたそうです。

企画自体が長く温められて高温になり、マグマのような熱さを持った作品として完成したと語っています。

本作に出てくるのはごく普通の人たちです。しかし、世の中の人たちのほとんどが死を恐れて笑いを封じ込めているのに対し、彼らは笑うことをはじめ、自分の感情のままに生きることを大切に思う人々でした。

人の大きな能力のひとつが「笑う」ということだと言われています。ほかの動物には存在せず、人間だからこそ成し得る高度な行為なのだそうです。

笑いを忘れたら人間と言えるのか。心を失ってまで生きる価値は本当にあるのか。そんな深い問いが作中を通して投げかけられます。

コロナを経験した私たちには、本作をとても絵空事として見ることはできません。

マスクによって相手の表情は見えず、マスクをつけている側も感情を表すことを諦めてしまっています。欧米の習慣だった握手やハグ、キスなどのスキンシップだけでなく、親密になる機会である飲食さえ禁じられて人と人のつながりが希薄になってしまった現在。重なる点はあまりにも多く感じられることでしょう。

本作の渡辺らは山奥にある元合宿所に身を寄せ合い、力を合わせて楽しい共同生活を送っています。そこは笑いの絶えない楽園です。

人口の5分の1が亡くなるという恐ろしい病気ですから、登場人物たちの多くは身近な人の死を経験し、心に大きな傷を負っていました。

ふとした瞬間に悲しみにとらわれながらも、彼らの醸し出す空気は穏やかでやさしく、明るい光に満ちています。

自分で生き方を選びとるには、何か事が起きても受け入れる強さと覚悟が必要だということを教えてくれる作品です。

まとめ


(C)2023 シネマ健康会

コロナ禍を生きる私たちにとって身近に感じずにはいられない問題作『ラフラフダイ』。「笑い死に」という恐ろしい病をテーマにしながらも、前向きに生きる勇気をもらえる温かな作品です。

「笑って死にたい」と、多くの人たちが思っていることと思いますが、本作では「笑うと死ぬ」という逆転現象が起きています。道端で笑っていると、駆けつけた警察官に連行されてしまうのですから、恐怖以外の何物でもありません。

笑うという人間にとって大切な行為を捨てて生きるか、それとも自分の感情を大切にして生きていくか。

人として生き、そして死んでいくために何が大切なのかを、見つめ直すきっかけになる一作です。

松本卓也の監督作『ラフラフダイ』は2023年4月15日から21日まで東京・K’s cinemaにてレイトショー上映、その後全国順次公開予定です。



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