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【映画ネタバレ】トロイ|あらすじラスト感想と結末の評価解説。原作叙事詩との違いはアキレスら英雄の“人間”の姿に

  • Writer :
  • 秋國まゆ

古代ギリシャのトロイア戦争を映画化させたスペクタクルアクション!

ウォルフガング・ペーターゼンが製作・監督を務めた、2004年製作のアメリカのスペクタクルアクション映画『トロイ』。

敵対するトロイとスパルタの間に和平が結ばれた日、トロイの王子パリスがスパルタの王妃と恋に落ち、彼女を略奪。激怒したスパルタ王メネラオスの相談を受けた兄アガメムノンは、これを口実にトロイを征服せんとギリシア連合軍でのトロイ侵攻を決定します。

その戦いの中で、ギリシャ軍最強の戦士アキレスがパリスの兄ヘクトル王子と対決するという物語とは、具体的にどんな内容だったのでしょうか。

ブラッド・ピット主演映画『トロイ』のネタバレあらすじと作品解説をご紹介いたします。

映画『トロイ』の作品情報


(C)2004 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.

【公開】
2004年(アメリカ映画)

【原作】
ホメロス『イリアス』

【監督】
ウォルフガング・ペーターゼン

【キャスト】
ブラッド・ピット、エリック・バナ、オーランド・ブルーム、ダイアン・クルーガー、ショーン・ビーン、ブライアン・コックス、ピーター・オトゥール、ブレンダン・グリーソン、ジュリー・クリスティ、ローズ・バーン、サフロン・バロウズ、ジュリアン・グローヴァー、ギャレット・ヘドランド、ジェームズ・コスモ、オウェイン・イオマン、ヴィンセント・リーガン、タイラー・メイン

【作品概要】
『U・ボート』(1981)のウォルフガング・ペーターゼンが監督を務め、紀元前8世紀末の吟遊詩人ホメロスの叙事詩『イリアス』を基に描いた、アメリカのスペクタクルアクション作品。

「オーシャンズ」シリーズのブラッド・ピットが主演を務め、『ブラックホーク・ダウン』(2001)のエリック・バナや「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズのオーランド・ブルームらキャスト陣と共演しています。

映画『トロイ』のあらすじとネタバレ


(C)2004 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.

今から3200年前、ミュケナイ(ギリシャ・ペロポネソス地方アルゴリダ県アルゴス=ミキネス市の古代都市)の王アガメムノンは戦の末、ギリシャの国々をまとめ同盟国とし、目標はテッサリア(ギリシャ中部の地域)を残すのみとなりました。

一方、アガメムノンの弟でありスパルタの王メネラオスは、長年の戦に疲れ、ギリシャの強敵トロイとの和平を模索していました。しかし、ギリシャ軍最強の戦士アキレスは、兵士を駒としか見ないアガメムノンに不満を抱いているため従順ではなく、同盟を壊しかねない脅威になりつつありました。

ギリシャ・テッサリア。アガメムノンは軍を率いるテッサリアの王に、互いに最強の戦士を出し、両軍の戦いに決着をつけようと提案します。

これを快諾したテッサリアの王は、テッサリア軍最強の戦士ボアグリアスを呼びました。対してアガメムノンは、アキレスの名を叫びましたが、彼は家で寝ていたためにその場にはいませんでした。

すぐに迎えの者を送り、アキレスをテッサリアに来させたアガメムノンでしたが、彼に「遅い」と文句を言ってしまったことで、アキレスはやる気が失われてしまいます。

見かねたアガメムノンの家臣が仲裁に入ります。アキレスは「自ら戦う国王の姿を見てみたいものだ」と嫌味を言ってから、ボアグリアスとの一騎討ちに挑みました。

ボアグリアスとアキレスの戦いは一瞬で決着がつきました。自分より身長が高いボアグリアスに、アキレスは横から飛んで首筋を切りつけ勝利しました。

その頃、ギリシャ・スパルタの港では、幾度となく戦ってきたトロイとスパルタの間に、和平が結ばれました。

ところが、トロイの王子パリスがスパルタの王妃ヘレンと禁断の恋に落ち、トロイに連れ帰ったことでその和平は白紙となってしまいます。

パリスの兄であるトロイ最強の戦士ヘクトルはこれに激怒するも、結局弟可愛さで彼を守ることを決意。兄弟の帰還を出迎えた父にしてトロイの王プリアモスも、恋多き男だった息子が初めて本気になった相手であるヘレンを快く受け入れました。

無論、ヘレンの夫であるメネラオスはこれに激怒し、ミュケナイにいるギリシャ諸王国の盟主である兄アガメムノンに、ヘレンを取り戻す手伝いをしてほしいと頼みます。

快諾したアガメムノンはこれを口実に、難攻不落のトロイを攻め落とし、エーゲ海の支配者になろうと画策。ギリシャ連合軍によるトロイ侵攻を決断します。

その戦いに必要不可欠の戦力であるアキレスには、彼が唯一聞く耳を貸す彼の親友であり、ギリシャの島イタケーの王を務めるオデュッセウスを使いに出し、説得させようとします。

「アガメムノンに従って戦に出たくない」と最初は断ったアキレスでしたが、オデュッセウスのためならばと参戦を決意。歴史に名を残すため、自分を尊敬する従弟パトロクロスを伴い、家臣ミュルミドンと自身の部隊を率いてトロイへ侵攻しました。

以下、『トロイ』ネタバレ・結末の記載がございます。『トロイ』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。


(C)2004 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.

敵襲を知らせる鐘が鳴り響き、ヘクトル率いるトロイ軍は急ぎ浜辺と城門前で迎撃態勢に入ります。トロイに侵攻してきたギリシャ連合軍の兵は5万、トロイ軍より2倍以上の多勢でした。

先に浜辺に到着したアキレス率いるギリシャ軍の精鋭部隊が先陣を切り、浜辺を守るトロイ兵を蹴散らし、トロイの守護神である太陽神アポロンの神殿へ攻め込みます。

アキレスたちはパリスの従妹であるトロイの巫女ブリセイスを捕らえ、他の神官と巫女は皆殺しに。そして、救援に駆けつけたヘクトルにアキレスは再戦の約束をし、その日は神殿から引きあげました。

しかしアガメムノンは、今日の戦いを勝利に導いたアキレスの功績を讃えず、「戦利品」だとして彼からブリセイスを取り上げ、兵卒に慰み者として与えてしまいます。

アキレスは自分のものにならないブリセイスに興味を抱いていたため、これに激怒。両者の関係の破綻は決定的なものとなってしまい、アキレスは今回の戦への参加を放棄します。

最初はアキレスも他の軍人と同じく、戦うことしか頭にない男だと思っていたブリセイスでしたが、捕虜である自分を丁重に扱う彼に対し、徐々に心を許してゆきます。アキレスとブリセイスは、次第に心惹かれ合うようになりました。

一方、敗戦を喫したトロイ。パリスは軍議の場で、「祖国とそこに住まう民を守るために、自分がメネラオスと一騎討ちの勝負をしてこの戦いに決着をつける」と言い出します。

それを聞いた父プリアモスは、建国時から代々に渡ってトロイの王が受け継いできた宝剣を、愛のために戦う息子パリスに授けました。

開戦から2日目。トロイ軍とギリシャ連合軍が固唾を飲んで見守る中、スパルタの勇者であるメネラオスに決闘を申し込んだパリスは、愛のための戦いに挑みます。

しかし、これまで一度も戦に出たことがないパリスでは全く歯が立たず、防戦一方でした。

ついには盾もトロイの宝剣も取り上げられ、窮地に陥るパリス。すっかり怖気づいてしまった彼は、ヘクトルの足に縋りつき、助けを求めました。

ヘクトルはそんな弟を守るため、約束を反故にしてメネラオスを殺してしまいます。これに激怒したアガメムノンは、ギリシャ連合軍の軍勢に一斉攻撃を命じました。

しかし圧倒的な兵力差があるにも関わらず、アキレスたちを欠いたギリシャ連合軍は、ヘクトル率いるトロイ軍に打ち負かされてしまいました。

3日目の朝、ついにギリシャへの帰郷を決意したアキレスの元に、オデュッセウスがやってきます。

トロイ軍との戦いに勝利するために、どうしてもアキレスと彼の部隊の力が必要でした。それを分かっていても素直に和解を申し出られないアガメムノンの代わりに、オデュッセウスがアキレスに彼との和解を申し出たのです。

どうしてもアガメムノンを許せないアキレスは、親友の言葉にも聞く耳を持ちません。

自軍の窮状にも関わらず、アガメムノンが嫌だという理由で戦わず帰国しようとするアキレスに呆れ果てたパトロクロスは、驚くべき行動に出ます。なんとアキレスの鎧兜を被り、彼に成りすましてミュルミドンたちを率いて、トロイ軍との戦いに参戦したのです。

彼をアキレスだと思い込んでしまったミュルミドンたちは、彼と共に先陣を切りました。ギリシャ連合軍も士気を取り戻し、ヘクトル率いるトロイ軍を迎え撃ちます。

ヘクトルはアキレスと交わした再戦の約束を果たすべく、決闘を申し込みました。しかし、自分が斬った相手がアキレスではなく、パトロクロスだったことに衝撃を受けます。それは、2人の戦いを見ていた両軍の兵士もです。

両軍はパトロクロスの死をもって、この日の戦いをやめました。


(C)2004 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.

ミュルミドンからパトロクロスが死んだことを知らされたアキレスは激怒し、たった1人で城壁前まで戦車を走らせ、ヘクトルの名を呼び続けます。

こうなることを予期していたヘクトルは死を覚悟し、父と一緒に戦ってきた家臣、弟、妻と幼い息子の順に別れを告げたのち、アキレスとの決闘に挑みました。

激闘の末、アキレスはヘクトルの左の首筋と心臓に剣と槍を突き刺し、従弟の仇を討ちました。それでも怒りは収まらず、アキレスは彼の死体を戦車で引きずりまわし、自軍の陣地へと持ち去ってしまいました。

その日の夜。プリアモスは単身で、ギリシャ連合軍の陣地を訪れます。アキレスに、息子の遺体を返してほしいと頼むためです。

「息子が目を開けて、お前に閉じられるまでずっと息子を愛していた。せめてもの慈悲をくれ」「体を清め、黄泉の川に渡るための銭をあの子の瞼の上に置かせてくれ」「我々は敵同士だが、少しでもその敵に礼を示してもよかろう」と涙ながら懇願するプリアモス。

彼の勇気と哀しみに心を動かされたアキレスは、「すぐに会おう、友よ」とヘクトルに言って彼の遺体を布でくるみ、ブリセイスと共にトロイへと送り返しました。

その際、アキレスはプリアモスと密約を交わしました。「ヘクトル王子を讃えて、彼を弔うためにかかる12日間、我々はトロイへの攻撃を控える」と………。

4日目。トロイとの一時休戦を勝手に決められてしまったことを知ったアガメムノンは、「何て裏切りだ」とアキレスに憤慨。ヘクトルという指揮官を失ったトロイ軍に、今こそ攻め込むべきだと叫びました。

しかし、指揮官ヘクトルを失ったとはいえ、まだトロイには難攻不落の城壁が。たとえ兵力を増強したとて容易に破ることはできず、「もはや勝算なし」とトロイ軍が撤退の準備を進める中、オデュッセウスは起死回生の作戦を思いつきます。


(C)2004 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.

それから12日後。疫病で死んだ兵士と、海の神ポセイドンへの捧げものとして使われる巨大な木馬を浜辺に残し、ギリシャ連合軍は姿を消しました。嫌な予感がしたパリスは、プリアモスにこの木馬を焼くよう進言しますが、彼はその木馬を城に運び入れるよう家臣たちに命じました。

その日の夜。木馬の中からオデュッセウス率いる部隊が出てきました。彼らは城壁の見張り役を殺し、制圧しました。そして、オデュッセウスは松明を使って城壁の外に合図を送ると、そこには待機していたギリシャ連合軍がいました。

オデュッセウスが考えた作戦。それは、木馬を置いて撤退したと見せかけて隣の海岸へと移動し、木馬が城内に運び込まれたら中に隠れていた兵士が門を開け、待機していた軍勢でトロイに攻め込む、というものでした。

その作戦の全容を知ったアキレスは、ミュルミドンたちを先に国に帰し、ブリセイスを助けるために木馬の中に乗り込みます。

トロイの都は瞬く間に炎上し、ギリシャ兵による一方的な虐殺と破壊が民を襲います。その中でパリスは、トロイ人の青年アイネイアスにトロイの宝剣とヘレン、ヘクトルの妻子たちを託し「トロイ人がこの宝剣を持つ限り、未来はある。民を守り、新たな家を作れ」と脱出させます。

ギリシャ連合軍の勢いは止まず、ついに城の門が破られます。トロイ軍は死を覚悟して彼らを迎撃するも敗退し、トロイ王プリアモスもアガメムノンによって刺殺されてしまいます。

プリアモスを殺害した後、アガメムノンはパリスを探し回っていたブリセイスを捕らえますが、逆に刺殺されてしまいました。そして彼女を探し求めていたアキレスは、兵たちに殺されそうになっているブリセイスを助け出します。

そこへ、同じくブリセイスを探していたパリスが現れます。ヘクトルを殺された復讐に燃えるパリスは、迷うことなくアキレスに向けて矢を放ちます。

左足の踵を射抜かれ、思わず仰け反るアキレス。さらにパリスが放った4本の矢が、アキレスの腹部に命中します。

崩れ落ちたアキレスを抱きしめるブリセイス。アキレスは戦うだけの人生に安らぎを与えてくれたことへの感謝を伝え、もうじき滅びるトロイから脱出するよう促して息絶えました。

翌日、戦を無事生き延びたオデュッセウスはギリシャ連合軍の兵士たちとともに、アキレスの遺体を弔いました。

オデュッセウスは、もしも自分の物語が後世で語られることがあれば、この戦いは伝説となり、アキレスたちの名は英雄として語り継がれるだろうと確信し、あることを願いました。

それは、英雄として語り継がれるであろうヘクトルやアキレスと同じ時代に生きたこととを伝えてほしいという、切なる願いでした。

映画『トロイ』の感想と評価


(C)2004 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.

ギリシャ軍最強の戦士アキレス

ギリシャ軍の最強の戦士であるアキレスは、ブリセイスと出会い恋に落ちるまで、本当に戦いのことだけを考え、猛者たちと戦うことこそ生き甲斐だと感じていた人生を送っていました。

しかし、ブリセイスと出会ったこのトロイ軍との戦いにて、アキレスは愛のために戦うということを知りました

それまでのアキレスも強かったですが、物語の後半に見せる彼はさらに強かったですし、また1人の男として成長した姿を見せてくれます。

その一方で、自分を尊敬してくれている従弟パトロクロスが死んだことを知り、復讐の鬼と化してヘクトルに決闘を申し込むアキレスの姿は、彼の心情を思えば悲しくもあり、また死体を引き摺りまわしながら自軍の陣地に帰還する彼の姿はとても恐ろしいです。

復讐に燃えるトロイの王子パリス


(C)2004 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.

トロイの王子パリスがスパルタの王妃ヘレンと禁断の恋に落ち、彼女をトロイに連れ帰ったことで、トロイ軍とギリシャ連合軍による戦いが始まりました。

最初こそ自責の念を感じ、メネラオスとの一騎討ちにて決着をつけようとしたパリスでしたが、彼に滅多打ちにされて初めて死の恐怖を味わい、兄のヘクトルに縋りつき助けを求めるという無様な姿を晒してしまいます。

それからというもの、パリスは密かに弓矢の練習をしていました。パリスは剣の腕はからっきしですが、弓の腕は一流で素晴らしいものでした。

そしてついに、トロイ軍の最強の戦士であるヘクトルですら敵わなかったアキレスを、パリスは百発百中の弓の腕で射抜いて倒しました

1人の戦士として成長したパリスの姿は、アキレスと負けず劣らず格好良いです。

まとめ


(C)2004 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.

ギリシャ軍の最強の戦士アキレスと、トロイ軍最強の戦士ヘクトルが激突するトロイア戦争を描いた、アメリカのスペクタクルアクション作品でした。

本作の見どころは、トロイ軍とギリシャ連合軍によって繰り広げられるド迫力のトロイ戦争と、パリスとヘレン、そしてアキレスとブリセイスの禁断の恋です。

また本作は、ホメロスの叙事詩『イリアス』などで描かれる神々と英雄の織りなすギリシャ神話ではなく、あくまで架空の人物のドラマとしてのトロイア戦争を描いたものとなっています。

本作の主人公であるアキレスも神の庇護を受けた英雄としてではなく、あくまで普通の武将として描かれていました。

だからアキレスは、ギリシャ神話では弱点とされている踵を、ギリシャ神話同様、トロイア戦争でパリスに射抜かれても死には至らなかったのではないかと考察できます。

アキレスたち登場人物の人間性を強調した、ギリシャ神話とは少し違うトロイア戦争を描いたスペクタクルアクション映画が観たい人に、とてもオススメな作品です。




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