連載コラム「SF恐怖映画という名の観覧車」profile171
配信開始から1週間で『ストレンジャーシングス 未知の世界 シーズン4』(2022)が持つ記録を塗り替え、Netflixで「1週間で最も視聴された英語テレビシリーズ」となったドラマ『ウェンズデー シーズン1』(2022)。
コミック・アニメ・実写映画などさまざまな形で人気を誇る「アダムス・ファミリー」シリーズのスピンオフドラマとして製作された本作。原作のダークな雰囲気とキャラクター性をミステリーに上手く組み込み、シリーズ初見の人にも楽しめる作品となっていました。
今回はそんなミステリーとしての魅力を持つ『ウェンズデー シーズン1』で明かされなかった要素から、来るシーズン2の内容を予想・考察していきます。
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CONTENTS
ドラマ『ウェンズデー シーズン1』の作品情報
【配信】
2022年11月23日(Netflix独占)
【原題】
Wednesday
【総監督】
ティム・バートン
【キャスト】
ジェナ・オルテガ、グウェンドリン・クリスティー、リキ・リンドホーム、ジェイミー・マクシェーン、ハンター・ドゥーハン、パーシー・ハインズ・ホワイト、エマ・マイヤーズ、ジョイ・サンデー、ジョージー・ファーマー、クリスティーナ・リッチ、ムーサ・モスタファ
【作品概要】
雑誌「ザ・ニューヨーカー」に1937年から連載されたチャールズ・アダムスによる1コマ漫画『アダムス・ファミリー』の登場人物の一人、ウェンズデー・アダムスを主人公としたスピンオフドラマ。
『ビートルジュース』(1988)や『チャーリーとチョコレート工場』(2005)を手がけたティム・バートンが総監督を務め、『ザ・ベビーシッター キラークイーン』(2020)で主要キャストを務めたジェナ・オルテガが主人公のウェンズデーを演じました。
ドラマ『ウェンズデー シーズン1』のあらすじ
弟をイジメた生徒に過剰すぎる仕返しをしたことで、退学を言い渡されたアダムス家の長女ウェンズデー。
両親の母校である、獣人やセイレーンと言った特殊な能力を持つ生徒の集まる「ネヴァーモア学園」への強制転入が決まり、特に母に対する強い反発心を持つウェンズデーは学園からの脱走を考え始めます。
しかし、近隣の街ジェリコの住人たちとのトラブルを内包するこの学園の生徒が残忍な方法で殺害されたことで、ウェンズデーは事件に強く惹かれることになり……。
ドラマ『ウェンズデー シーズン1』の続編を予想・考察!
シーズン1で残され続けた謎
ウェンズデーはジェリコの街で発生していた連続猟奇殺人事件の犯人とその目的を暴き出し、すでに実行されてしまった虐殺計画を仲間たちと共に阻止しました。
殺人の実行犯である“ハイド”ことタイラーと、彼を影で操っていた復讐者マリリンを捕まえたことで、事件のすべては解決したかに思えましたが、シーズン1には解消しきっていない「謎」がいくつか残されています。
その中でも最大の「謎」は、ウェンズデーが言及した彼女につきまとう「ストーカー」の存在。
ウェンズデーは「ストーカー」こそがタイラーとマリリンを裏で操っていた人物であると予想し、事件はまだまだ終結していないと考えました。
そして事件に関連し、なおかつ明らかにされていない要素は他にもいくつか存在しています。
第2シーズンの鍵を握るのはゼイヴィア?
物語の中盤から終盤にかけて、ウェンズデーに好意を寄せる幼馴染ゼイヴィアは“ハイド”の絵を描いていたことから、ウェンズデーに”ハイド”と疑われ一時的に拘置所へと送られます。
後にタイラーが“ハイド”であると判明し、ゼイヴィアが見ていないはずの“ハイド”を描けた理由が彼の“夢”を見る能力に起因することが分かり、ウェンズデーとゼイヴィアは和解しました。
しかし、ゼイヴィアの“絵を具現化する能力”以外の能力は本人の語り以外で描写されたことはなく、「実は彼は能力とは別に“ハイド”の姿を実際に見ていたのでは?」と考えることも現時点では可能です。
さらに物語のラストで「ストーカー」からの連絡に使われた携帯は、俗世嫌いのウェンズデーに対してゼイヴィアが贈った物であり、彼以外その携帯の連絡先を知りませんでした。
このことからゼイヴィアは、シーズン1終了の時点において最も「ストーカー」の疑惑が強い存在……あるいは、再びウェンズデーにそう誤解されしまう役回りとして、第2シーズンでも重要になると推測できます。
指導者なき街と学園を次に「支配」するのは?
劇中ではウェンズデーとイーニッド、ウェンズデーとビアンカのように関係性に進展があった組み合わせが存在する一方で、未解決の問題を抱える人間関係も残されました。
特に学年でも優秀な成績を修める人気者のビアンカは、セイレーンの“人を操る力”を悪用するカルト宗教の母親を持ち、セイレーンの力を使って学校で人気者になったことを触れ回ると脅しを受けていたことは忘れてはいけません。
ビアンカは今期限りで学校を辞め、カルト宗教の手伝いを行うことを約束しており、次期が描かれる続シーズンでは彼女の学園への復帰の有無が物語序盤では鍵となると考えられます。
学長が死亡し講師マリリンも逮捕され、市長ウォーカーも死亡したことで、街も学園も指導者が不在となったジェリコとネヴァーモア学園。
“ハイド”だったタイラーの父親である街の保安官ドノバンは、一番恐れていた息子による暴走とどう向き合うのか、そして新たな指導者とそれぞれが抱える解決していない悩みがどう展開されていくのか。
すべてを搔き乱す「ストーカー」の存在と、空気を読まずに物事に立ち入るウェンズデーによる物語が楽しみなシーズン2となりそうです。
まとめ
ウェンズデーがマリリンに刺され命を落としかけた時、ウェンズデーは母モーティシアからもらった首飾りによって先祖のグッディと同化し、力を得た上で傷を治しました。
ウェンズデーにとっては不測の事態でしたが、「ストーカー」がクラックストーンとグッディの確執やウェンズデーの家系について知っていた可能性をふまえると、、“ハイド”による一連の殺人はウェンズデーとグッディの同化を目的として引き起こされたとも考えられます。
街にとっての英雄であると同時に差別主義者の虐殺者であるクラックストーンと、彼を殺害した「のけ者」のグッディ。来たるシーズン2でも、「人間」と「のけ者」を巡る「偏見」と「差別」から生まれる憎悪の物語が展開されることが予想されます。
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