Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

ヒューマンドラマ映画

映画『マリッジカウンセラー』あらすじ感想と考察解説。“名優”渡辺いっけいと実力派女優の松本若菜が強力なタッグを組んだハートフルコメディ

  • Writer :
  • 谷川裕美子

昭和のオヤジが結婚相談所で奮闘する『マリッジカウンセラー』が2022年10月28日(金)に公開

いつくしみふかき』(2020)の渡辺いっけいが主演を務めるヒューマンコメディ映画『マリッジカウンセラー』が、ロケ地の愛知県で2022年9月16日(金)より先行公開された後、2022年10月28日(金)より刈谷日劇(刈谷市)で公開されます。

マッチングアプリでの婚活が大流行りの現代ですが、昔ながらの結婚相談所の仲人たちの奮闘を描く一作です。

渡辺演じる昭和のオヤジとタッグを組む相談員を演じるのは、大ブレイク中の松本若菜。ふたりの軽妙な掛け合いから目が離せなくなります。

観る者すべてを幸せな気持ちにしてくれる極上の一作をご紹介します。

映画『マリッジカウンセラー』の作品情報


(C)2022「マリッジカウンセラー」フィルムパートナーズ

【公開】
2022年(日本映画)

【脚本】
松井香奈

【監督】
前田直樹

【出演】
渡辺いっけい、松本若菜、宮崎美子、青山倫子、坂口涼太郎、円城寺あや

【作品概要】
長編映画2作目となる前田直樹が監督を務めるヒューマンコメディ。前田監督の強い希望を受けて松井香奈が脚本を担当しています。

映画『いつくしみふかき』(2020)の渡辺いっけい演じる結婚相談所に出向することになった昭和のオヤジ・赤羽が、相談所に集まる悩める人々の力になるために奮闘するさまをコミカルにハートフルに描く一作です。

結婚相談所を切り盛りする結衣役を、映画『大綱引の恋』(2021)などで活躍目覚ましい松本若菜が演じ、渡辺と息の合った掛け合いで楽しませます。

共演は宮崎美子、青山倫子、坂口涼太郎ほか。

映画『マリッジカウンセラー』のあらすじ


(C)2022「マリッジカウンセラー」フィルムパートナーズ

大手不動産会社勤務の赤羽昭雄。昔気質の彼は、部屋の内見でも気づかぬうちにセクハラ発言をしてしまい女性客に逃げられてしまいます。

会社からの辞令で結婚相談所「とわえもあ」に研修にやってきた赤羽は、カリスマ仲人である母の後を継いだ時田結衣と出会います。

彼女は依頼者に寄り添い、生涯を添い遂げられるようなパートナーを見つけてあげたいという想いで仕事に向き合っていました。

突然のことに困っている結衣の前で、赤羽は過去の栄光を自慢げに話し始めます。彼女は赤羽のこわい顔と男尊女卑思想に拒否反応を起こし、怒って入院中の母に電話をかけますが、母は笑って受け流しました。

仕方なく仕事の手順を結衣は赤羽に説明しますが、依頼人を物件扱いして面談をぶちこわす彼にあきれ果ててしまいます。

お見合いに立ち会った赤羽が、人の手を借りなければ結婚できないといって依頼人たちをバカにするのを聞いた結衣は、あなたの言うことは、すべてセクハラだと言って怒って立ち去ります。

久しぶりに会社に立ち寄った赤羽は、自分の荷物が片隅に片付けられているのを見て肩を落としました。

その後、赤羽は会社に返り咲くために「とわえもあ」での仕事に精を出すようになります。

そんな中、入院中だった結衣の母が帰宅します。元気にふるまう母でしたが、彼女の身を結衣は案じていました。

赤羽は少しずつ仕事に慣れ始め、依頼者に寄り添うようになっていきます。

一方の結衣は、自分の腕に自信が持てずにいました。

映画『マリッジカウンセラー』の感想と評価


(C)2022「マリッジカウンセラー」フィルムパートナーズ

人と人の繋がりを温かく見つめる爽快ストーリー

結婚相談所を舞台に繰り広げられる、親会社から出向してきた中年男性と相談所を切り盛りする女性のコンビの奮闘記『マリッジカウンセラー』。観終えた後は、きっと「観てよかった!」と素直に思える心温まる爽快ストーリーです。

女性キャラクターの魅力を引き出す演出力で知られる前田直樹監督が、グローバルな視点で日本独特の仲人文化を活写し、世界に発信できる映画を生み出しました。

前田監督の強い希望により脚本を担当することになった松井香奈が、柔らかな感性で味わい深いストーリーを紡いでいます。

名優・渡辺いっけいが演じるのは過去の栄光を自慢して回る時代錯誤な男性で、気づかぬうちにセクハラ発言を連発してしまう昭和のオヤジ。対して松本若菜演じる彼のバディとなる結衣は、依頼人のパートナー探しに真摯に向き合うまじめで優しい女性です。

初めは反発しあっていたふたりが一緒に仕事をしていくうちに起こしていく魅力的な化学反応から目が離せなくなります

コミカルなふたりの掛け合いが一番のみどころですが、そのほかにちりばめられた小ネタも笑いを誘います

坂口涼太郎演じるモテないチェリー青年の勘違い話には笑いが止まらなくなるはず。女性の付き合い方に対するとんでもない話が飛び出し、それを聞く渡辺のあぜんとした表情がなんともいえない味わいを醸し出します。

そんな困った青年に肩入れせずにはいられない人のよい熱血漢の赤羽。観るほどに、赤羽を愛さずにはいられなくなります

笑いの一方で胸に迫るリアルで感動的なエピソードも満載です。40才を超えた女性ならではの婚活での切実な悩みや、一緒に生きていく相手に一番大切なのは肩書ではないという真実などなど。

実は心の傷を持っていた赤羽と結衣というふたりが、人々を幸せな結婚に導くために必死に頑張る姿から大きな勇気をもらえる一作です。

まとめ


(C)2022「マリッジカウンセラー」フィルムパートナーズ

名優・渡辺いっけいと、いま最も注目される実力派女優の松本若菜が強力タッグを組んだハートフルコメディ『マリッジカウンセラー』

セクハラ発言連発だった時代錯誤の中年男と、相談員としての腕に自信を持てずにいる女性が、結婚したい人たちの力になるために奮闘するさまをユーモラスに描き出します。

現代社会での結婚することの難しさ、恋愛に臆病な人たちの心理、恋愛や結婚に大切なものとはなにかということが丁寧に描かれるとともに、さまざまな婚活を通して人間同士が心通じ合うというのはどういうことなのかが浮き彫りになる作品です。

婚活に努力したいと集まって来た人たちは、赤羽や結衣が寄り添い励ましたことで勇気を振り絞り、幸せをつかんでいきます。

相談所に限らず、話を聞いてくれて背中を押してくれる存在のありがたさや、人が人を支える力の大きさについて改めて実感させられるに違いありません

もし今踏み出すことをためらっている人がいてこの作品を観たら、想う相手が存在する幸せを抱きしめながら、思わず一歩を踏み出したくなることでしょう。

ヒューマンコメディ映画『マリッジカウンセラー』は、ロケ地の愛知県で2022年9月16日(金)より先行公開された後、2022年10月28日(金)より刈谷日劇(刈谷市)で公開です。




関連記事

ヒューマンドラマ映画

映画『世界でいちばん長い写真』あらすじとキャスト。上映される劇場情報も

映画『世界でいちばん長い写真』は、2018年6月23日(土)より、シネ・リーブル池袋、イオンシネマ全国順次ロードショー。 『ストロベリーナイト』や『プラージュ』など数々の作品が映像化される作家・誉田哲 …

ヒューマンドラマ映画

橋本環奈映画『小説の神様』結末をネタバレ内容解説。小余綾詩凪の謎と秘密の真相とは⁉︎

映画『小説の神様 君としか描けない物語』は2020年10月2日(金)より全国ロードショー。 2020年版「このミステリーがすごい!」「本格ミステリ・ベスト10」「2019ベストブック」の3冠を受賞し、 …

ヒューマンドラマ映画

『ブラック・クランズマン』感想と内容解説。スパイク・リーというニューヨーク派映画監督の孤高と才能

映画『ブラック・クランズマン』は2019年3月22日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国公開 1970年代後半、アメリカコロラド州のコロラドスプリングズで黒人として初めて警察官に採用されたロン …

ヒューマンドラマ映画

三澤拓哉映画『ある殺人、落葉のころに』モンゴル人と日本人の特徴を活かし合う交流

三澤拓哉監督の映画『落葉のころ』には香港人の撮影監督ティムのほかにも外国人スタッフがいました。 三澤監督と香港人の撮影監督ティム 東京芸術大学に映画を学ぶために留学中の内モンゴル人のトリグルです。 ト …

ヒューマンドラマ映画

『博士の愛した数式』ネタバレあらすじ感想と結末の解説評価。名言とオイラーの公式で紐解く数学博士の人生に関するつぶやき

小川洋子原作を映画化した『博士の愛した数式』をご紹介! 映画『博士の愛した数式』は、『阿弥陀堂だより』(2002)『雨あがる』(2000)『峠 最後のサムライ』(2022)の小泉堯史監督が、2006年 …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学