大人気スパイアクション映画「007」シリーズ第2作!
テレンス・ヤングが監督を務めた、1963年製作のイギリス・アメリカ合作のスパイアクション映画『007/ロシアより愛をこめて』。
「007」こと英国情報局秘密情報部「MI6」の敏腕諜報員ジェームズ・ボンドが、クロアチア・サグレブからブルガリア・ソフィア、イタリア・ヴェネツィアからイスタンブール。バリからロンドンへ縦横無尽に駆け回り、世界を股にかけたスパイの危険なゲームに身を投じていく姿とは、具体的にどんな姿だったのでしょうか。
前作『007/ドクター・ノオ』(1963)の続編となる、「007」シリーズ第2作目『007/ロシアより愛をこめて』のネタバレあらすじと作品解説をご紹介いたします。
CONTENTS
映画『007/ロシアより愛をこめて』の作品情報
【公開】
1964年(イギリス・アメリカ合作映画)
【原作】
イアン・フレミングの小説『ロシアより愛をこめて』
【監督】
テレンス・ヤング
【キャスト】
ショーン・コネリー、ダニエラ・ビアンキ、ロバート・ショウ、ペドロ・アルメンダリス、ロッテ・レーニャ、マルティーヌ・ベズウィック、ヴラデク・シェイバル、ウォルター・ゴテル、バーナード・リー、デスモンド・リュウェリン、ロイス・マクスウェル、ユーニス・ゲイソン
【作品概要】
前作『007/ドクター・ノオ』(1963)のテレンス・ヤングが監督を務めた、イギリス・アメリカ合作のスパイアクション作品。
原作はイギリス人のスパイ小説・冒険小説家イアン・フレミングの小説『ロシアより愛をこめて』で、「007」シリーズ第2作目です。
本作の邦題は1972年に再上映された時、『007/危機一髪』から『007/ロシアより愛をこめて』に変更されました。
前作『007/ドクター・ノオ』(1963)に引き続き、ショーン・コネリーが主演を務め、初代ジェームズ・ボンドを演じています。
映画『007/ロシアより愛をこめて』のあらすじとネタバレ
対諜報活動・テロ・復讐・搾取を専門とする巨大組織「スペクター」は、ある計画を企んでいました。
それは、ソ連の在トルコ暗号部の女性部員と英国の諜報部員を使って、ソ連から新型暗号解読機「レクター」を盗み出すことです。
そして、レクターを餌にして英国情報局秘密情報部「MI6」を罠に嵌め、死んだスペクターの幹部ドクター・ノオの仇討ちをするという、スペクターにとって一石三鳥となる計画でした。
スペクターのボスであるブロフェルドは、この計画の発案者である「No.5」ことクロンスティーノと、スペクターの新人構成員「No.3」を私室に呼び出し、早速計画を実行するよう命じます。
ところかわって、イギリス・ロンドン。MI6の部長であるMは、MI6のトルコ支局の局長ケリム・ベイからある要請を受けました。
それは、ソ連の諜報部員タチアナ・ロマノヴァが持つレクターを渡す代わりに、彼女を英国へ亡命させるというものでした。
ただそれには、「007」ことMI6の敏腕諜報員ジェームズ・ボンドに、英国までタチアナを護衛して欲しい、という条件がありました。
MI6はこれが何者かによる罠であると知りつつも、ボンドをイスタンブールへ派遣することにしました。
イスタンブールに到着後、ボンドはバルカン半島の隠れ家にいるケリムに会いに行きました。
しかし、話を終えたボンドが滞在先のホテルへ向かった直後、その隠れ家が突如爆発。爆弾は部屋の壁に仕掛けられていたのですが、幸い、ケリムは愛人と一緒に壁から離れた場所にいたため無事でした。
これを受け、ボンドはケリムの元へ再度訪問。彼から「ソ連から攻撃を受けた」と聞かされます。
その真偽を確かめるべく、ボンドはケリムに連れられ、隠し通路を使ってソ連領事館の下へ向かいました。
そこには、建設省が地盤沈下を理由に調査しに来たことに便乗して、ケリムが海軍からせしめた潜望鏡が設置されていました。
潜望鏡を使い、ソ連領事館内の会議室の様子を窺うボンドとケリム。その結果、会話こそ聞こえないものの、陸軍諜報部長ワシリー将軍とソ連の保安局の局長コスロフスキー、保安局員のベンツとタチアナが、ケリムの宿敵であるブルガリア人の殺し屋クリレンクと話をしているところを目撃しました。
隠れ家に爆弾を仕掛けたのは、ソ連に雇われたクリレンクの仕業だと推測したボンドたちは、ひとまずブルガリア人と敵対している、ジプシーと呼ばれてきた集団のうちの主に北インドのロマニ系に由来し中東欧に居住する移動型民族「ロマ人」の棲み処に身を寄せることにしました。
ケリムの友人であるロマ人の長老と共に、ボンドたちが宴を楽しんでいると、そこへ突如クリレンク率いる武装集団が襲来。ロマ人の男たちと協力し、ボンドたちはクリレンクたちと激しい銃撃戦を繰り広げていきます。
銃撃戦の最中、ボンドは物陰に隠れた男に窮地を救われました。そして銃撃戦の末、ボンドたちはクリレンクたちを撃退。
ロマ人の長老が捕虜を問い詰めた結果、クリレンクの狙いはケリムの命であることが判明。これに確信を持ったボンドたちは決着をつけるべく、クリレンクの隠れ家へ向かいます。
ケリムの息子たちに協力して貰い、ボンドたちはクリレンクを隠れ家から炙り出しました。
そして、ボンドが持つ赤外線照準器を搭載した25口径のAR7型狙撃銃を使って、ケリムの手で決着をつけました。
その後、ホテルの部屋に戻ったボンドは、寝室のベッドに裸で忍び込んだタチアナと出会い、熱い夜を過ごしました。その様子を、誰かに覗かれているとも知らずに………。
翌日。ボンドとタチアナは観光客を装い、聖ソフィア寺院にて、タチアナが持つソ連領事館の見取図の受け渡しをしようとします。
その時、ボンドはタチアナを尾行する諜報員の姿を目撃。諜報員を監視するボンドでしたが、一瞬目を離した隙に、諜報員は何者かによって殺害されてしまいました。
その後、ボンドはケリムに会いに行き、死んだ諜報員から回収した見取図と、ケリムが持つソ連領事館の設計図を照合しました。
さらにボンドは万が一に備え、タチアナにレクターについて問い質します。その会話を録音したテープをMI6本部に送り、ボンドはタチアナが見たレクターが本物であることを確かめました。
後日。ボンド・ケリム・タチアナの3人は、ソ連領事館からレクターを盗み出す作戦を決行。催涙ガス入りの爆弾を使って爆発騒ぎを起こし、その混乱に乗じてレクターを盗み出します。
無事レクターを盗み出したボンドたちは列車に乗り、ブルガリア国境近くへ。そこから飛行機に乗り換え、アテネを経由しロンドンへ向かうことにしました。
映画『007/ロシアより愛をこめて』の感想と評価
ボンドとタチアナの恋模様
本作のボンドガールであるタチアナは、クレッブの命によってボンドを誘惑し、敵に誤報を与えることを目的としてボンドに接触します。
ボンドも当初、友人となったケリムの命を狙う殺し屋と繋がっていたタチアナを疑っていました。ですが行動を共にしていくにつれて、2人は互いに惹かれ合っていきました。
新型暗号解読機「レクター」を巡るスペクターとの戦いによって、ボンドたちの愛は一度引き裂かれそうになります。ですがタチアナは、スペクターの構成員となったクレッブに計画のために利用されていただけでした。
それによってボンドは何も疑うことなく、心の底からタチアナを愛することが出来ました。それはタチアナも同じだから、ボンドを助けるためにクレッブを撃ったのでしょう。
互いへの愛が大きくなっていくにつれて、任務をとるか愛をとるかで葛藤していくボンドとタチアナの燃え上がる恋模様は、観ているだけで胸がドキドキします。
レクター強奪とボンド殺害を目論む巨大組織「スペクター」
物語の序盤から登場した巨大組織「スペクター」。レクターを盗み出す計画は、前作『007/ドクター・ノオ』(1963)にて月面ロケット発射の妨害を阻止し、スペクターの幹部ドクター・ノオを殺したボンドへの復讐も兼ねていました。
無事成功すれば、簡単にレクターを手に入れられるだけでなく、それをソ連に返却して大金を得る、そしてドクター・ノオの仇討ちもできるという、まさに一石三鳥の計画でした。
そうなるには、美女に弱いボンドがタチアナの誘惑に負け、スペクターの思惑通りに動いてくれることが必須条件です。
ですが、さすが007。最初から敵の罠だと勘づいて警戒していたボンドは、タチアナの誘惑に負けず、グラントはおろか、スペクターからの追手を次々と撃退していきます。
前作『007/ドクター・ノオ』(1963)同様、ボンドにまんまとしてやられてしまったスペクターですが、さすがにこれで終わることはないでしょう。スペクターとボンドの次の戦いが、どんなものか楽しみです。
まとめ
「007」ことMI6の敏腕諜報員ジェームズ・ボンドが、世界を股にかけたスパイの危険なゲームに身を投じていく、イギリス・アメリカ合作のスパイアクション作品でした。
前作『007/ドクター・ノオ』(1963)にて、明かされた巨大組織「スペクター」の存在。本作ではスペクターの構成員たちや、訓練施設の様子が描かれています。
そしてなんといっても、作中ではスペクターのボスであるブロフェルド自身が登場しているのです。ですが、愛猫を愛でるブロフェルドの腕や後ろ姿しか描かれていないため、アンソニー・ドーソン演じるブロフェルドの正体は未だ謎のまま………。
ということはつまり、ボンドとスペクターの戦いはまだ終わっていないことを意味しているのではないでしょうか。
また、ボンドとグラントによる戦いは作中で一番スリリングなアクション場面ですが、2人を演じるショーン・コネリーとロバート・ショウの格好良さに、男女問わずうっとりと見惚れてしまうことでしょう。
たたみかけてくる連続のアクション場面と、スパイのスリリングな駆け引きが描かれている、映画史上最高に面白いスパイアクション映画が観たい人に、とてもオススメな作品です。