連載コラム「邦画特撮大全」第108章
今回の邦画特撮大全はVシネクスト『機界戦隊ゼンカイジャーVSキラメイジャーVSセンパイジャー』を紹介します。
2022年2月27日に最終回を迎えたスーパー戦隊シリーズ第45作『機界戦隊ゼンカイジャー』(2021~2022)と、前作『魔進戦隊キラメイジャー』(2020~2021)が競演するクロスオーバー作品です。
毎年恒例となった新旧戦隊のクロスオーバー作品である本作を通じて、テレビシリーズ最終回からおよそ2か月ぶりに帰ってきた機界戦隊ゼンカイジャー。そんなゼンカイジャーたちがキラメイジャーと一緒に、どんな勇姿を見せたか紹介していきます。
さらになんと、『海賊戦隊ゴーカイジャー』(2011~2012)からキャプテン・マーベラス、『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』から夜野魁利/ルパンレッドも登場しています。
CONTENTS
映画『機界戦隊ゼンカイジャーVSキラメイジャーVSセンパイジャー』の作品情報
【公開】
2022年(日本映画)
【監督】
山口恭平
【脚本】
香村純子
【キャスト】
駒木根葵汰、浅沼晋太郎、梶裕貴、宮本侑芽、佐藤拓也、小宮璃央、木原瑠生、新條由芽、水石亜飛夢、工藤美桜、庄司浩平、増子敦貴、世古口凌、森日菜美、福圓美里、鈴木崚汰、松田颯水、水瀬いのり、岡本信彦、立花慎之介、長嶝高士、榊原郁恵
【作品概要】
スーパー戦隊シリーズ第45作『機界戦隊ゼンカイジャー』と第44作『魔進戦隊キラメイジャー』のクロスオーバー作品。2大戦隊のキャスト陣の大集合に加え、『海賊戦隊ゴーカイジャー』からキャプテン・マーベラス/ゴーカイレッドの小澤亮太、『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』から夜野魁利/ルパンレッドの伊藤あさひも客演。
監督は『魔進戦隊キラメイジャー』のメイン監督・山口恭平、脚本は『機界戦隊ゼンカイジャー』のメインライター・香村純子が担当しています。
映画『機界戦隊ゼンカイジャーVSキラメイジャーVSセンパイジャー』のあらすじとネタバレ
トジテンドとの戦いを終え、並行世界を旅する五色田介人/ゼンカイザーたちゼンカイジャー一行。
キラメイジャーたちの暮らす“キラメイトピア”から、自分たちの住む世界へ帰ってきた彼らを出迎えたのは、ステイシーとクリスタリアの女王となったマブシーナでした。
キカイトピアとキラメイトピアのゲートをつなげようと考えているステイシーとマブシーナの2人。
マブシーナは2つの世界を繋ぐ儀式に必要な、4つ揃えると願いを叶えられる石“カナエマストーン”を探してほしいとゼンカイジャーたちに頼みます。
旅の途中、ブルーン/ゼンカイブルーンは持ち前の好奇心からカナエマストーンを1つ回収していました。喜ぶ一同でしたが、突如現れた夜野魁利/ルパンレッドにカナエマストーンを奪われてしまいます。
一方、熱田充瑠/キラメイレッド、射水為朝/キラメイイエロー、速水瀬奈/キラメイグリーンの3人は、海賊がカナエマストーンを持っているという情報を得て“ゴーカイトピア”へ向かっていました。
3人はキャプテン・マーベラス/ゴーカイレッドと、カナエマストーンを賭けて戦いに。しかしストーンを奪ったのは“金色”の海賊であり、マーベラスはストーンを持っていませんでした。
一方、ゼンカイジャーはストーンを奪った魁利を追います。
マジーヌ/ゼンカイマジーヌの忘れ物を届けにたまたま現れたクリスタリア宝路/キラメイシルバーの助けで、ストーンを取り戻すゼンカイジャー。
しかし心を入れ替えたはずのトジテンド戦闘員・クダックがゼンカイジャーを襲撃します。
映画『機界戦隊ゼンカイジャーVSキラメイジャーVSセンパイジャー』の感想と評価
『機界戦隊ゼンカイジャーVSキラメイジャーVSセンパイジャー』は、タイトルにある2大戦隊に加え、“センパイジャー”こと『海賊戦隊ゴーカイジャー』から『騎士竜戦隊リュウソウジャー』までの10大戦隊の歴代レッドが客演するというクロスオーバー作品。
2021年度の戦隊シリーズであり、ファンからは「ゼンカイ脳」と呼び親しまれた『機界戦隊ゼンカイジャー』の突飛な展開の物語をベースに、ファンサービスに満ち溢れた娯楽作品となっています。
まず「“焼き肉屋空間”に閉じ込められた両戦隊が、焼肉を食べ終わるまで脱出できない」なんていう物語は、ゼンカイジャーでなければ実現しなかったでしょう。まさに「ゼンカイ脳」が全開です。
さらに、もはや押切時雨/キラメイブルーのアイコンになってしまった万力の登場には、ファンは思わず笑ってしまうでしょう。またゼンカイジャーは歴代戦隊の力を使えますが、テレビシリーズ同様に「まさか?」と思う使い方が本作でもされています。
また焼肉奉行ぶりを見せるガオーン/ゼンカイガオーンと射水為朝/キラメイイエローのように、戦隊同士の化学反応を楽しむスーパー戦隊VSシリーズ作品でもある本作。
中でもファンを喜ばせたのは、ゾックスとマーベラスによる世界海賊と宇宙海賊の対決と共闘でしょう。『機界戦隊ゼンカイジャー』の劇中で明言されているように、ツーカイザーのデザインはゴーカイジャーの海賊版。海賊版=ツーカイザーとオリジナル=ゴーカイレッドの共演は、ファンが見たかったものの具現化のひとつです。
また全体の物語はカナエマストーンを巡る“お宝争奪戦”であるため、お宝に関連したキャプテン・マーベラスと夜野魁利の客演は妥当な人選です。変身前の姿で登場した歴代レッドは前述の2人のみでしたが、クライマックスのセンパイジャー登場場面では当時のライブラリ音声が使用されるという、ファンにとっては嬉しい演出となっています。
まとめ
『機界戦隊ゼンカイジャーVSキラメイジャーVSセンパイジャー』は「VS」と冠しているものの、戦隊同士で戦う場面はむしろ少なく、ゼンカイジャーとキラメイジャーの両戦隊の良い意味でワチャワチャしたやりとりが楽しい娯楽作となっています。
両作品のファン、またそれぞれの作品のファンには観て損のない作品であり、また鑑賞後には確実に焼肉が食べたくなる作品となっています。
『機界戦隊ゼンカイジャーVSキラメイジャーVSセンパイジャー』は2022年4月29日からの期間限定上映を経て、DVDとBlue-rayが2022年9月28日に発売されます。