映画『パティ・ケイク$』は、4月27日(金)より、HTC渋谷、新宿シネマカリテほかにてロードショー!
2018年日本公開される映画で、文句ナシおすすめで面白い作品は、サンダンス映画祭発!ラップ女子の感涙サクセスストーリー『パティ・ケイク$』。
正直言って秀作映画『スリー・ビルボード』を超えるほどの“愛”に満ちた作品は現れないと決め込んでいたが、音楽映画『パティ・ケイク$』を2018ランキングおすすめベスト級のウルトラ最高ムービー!
CONTENTS
1.映画『パティ・ケイク$』の作品情報
【公開】
2018年(アメリカ映画)
【原題】
Patti Cake$
【脚本・監督】
ジェレミー・ジャスパー
【キャスト】
ダニエル・マクドナルド、ブリジット・エバレット、シッダルタ・ダナンジェイ、ママドゥ・アティエ、ワス・スティーブンス、サー・ンガウジャ、MCライト、キャシー・モリアーティ
【作品概要】
困難な状況に置かれながらもラップでの成功を夢見たパティの奮闘する様子を描いたサクセスストーリー。サンダンス映画祭では、かつて類のないほど映画配給の上映権の激しい争奪戦となり、注目を集めたラップ音楽の秀作。
パティ役で主演を務めたのは、『シークレット・デイ』のダニエル・マクドナルド。この作品のためにラップの猛特訓で挑んだ熱演が見どころろ。
パティの母親役を『エイミー、エイミー、エイミー!こじらせシングルライフの抜け出し方』のブリジット・エバレット、パティの祖母役を『レイジング・ブル』のキャシー・モリアーティが演じています。
長編映画初監督となるジェレミー・ジャスパーが演出した監督を務めたほか、脚本や劇中の楽曲も手がけています。
2.映画『パティ・ケイク$』のあらすじ
何も良い出来事などないパトリシア・ドンブロウスキーにとっては、地元ニュージャージーは掃き溜めのような街。
家族といえば、アルコール依存症で金ばかりをせびる母親と、認知症も見えはじめた車椅子の祖母ナナとの3人暮らし。
23歳となったパティは、憧れのラップの神様O-Zのように名声を手に入れ、地元や家族から離れることを夢みていました。
しかし、現実は金ナシ職ナシの挙句、その見た目の体型からも「ダンボ!」と街に住む若者から嘲笑されるパティ。
でも、やはり彼女にとってヒップホップ音楽は魂の叫びであり、パティの周囲のすべてを詩の言霊にする奇跡を起こす“魔法”ようなものでした。
しかし、そんなパティのラップに思う情熱とは裏腹に、バンドオーディションに出場しても落選止まり。
彼女の心の奥底の言霊など、誰の心に届くことはありませんでした。
音楽活動が上手くいかずに気を落ちするパティにとって、常に勇気付ける声をかけてくれるのは、唯一の親友で音楽仲間の理解者のジェリ。
ある日、パティは夜の街角で行われるフリースタイルラップ・バトルを見に出かけます。
親友ジェリはパティにキラーPとして、ラップ女王の存在力を見せつけろと参加を促します。
自信を持てずにいたパティでしたが、バトルに出場する因縁の相手であるラッパーを、彼女の渾身のライムで打ち負かします。
ダンボと揶揄されるパティでしたが、クールな彼女の才能に相手の男は思わず暴力に出ます。
たまたま深夜のパトロールで巡回する警察に救われたパティ。
しかも、その警察官はパティと揉めごとの絶えないアルコール依存の母親の幼なじみでした。
パティはその際に母親が、かつてミュージシャンであったことを知りますが…。
3.映画『パティ・ケイク$』の感想と評価
2018年に入り、あなたはどのような映画をご覧になりましたか。
米国アカデミー賞の作品賞や監督賞を獲得した、一人暮らしの孤独な中年女性の怪しい恋を見つめた『シェープ・オブ・ウォーター』でしょうか。
それとも、人魚の少女が捕食する人と恋に落ちてしまう『ゆれる人魚』。
あるいは、邦画で再上映されてなお人気の高い、アンモナイト好きで孤独の妄想に耽る女性が真の大切な人に気付く『勝手にふるえてろ』かな。
これらの作品は、ヒロインを主人公に誰かに強く惹かれて恋愛をしたり、また、何かの状況に夢想するミュージカルシーンが印象的な映画であったことは記憶に新しいのではないでしょうか。
見どころ① 女性たちの誰もが可憐で強い!
今回ご紹介する音楽映画『パティ・ケイク$』でも、主人公パティの恋愛感情や夢見る乙女心の夢想は登場します。
そのことは安易に少女的趣味なことだと指摘することではなく、女性の魅力を活かして価値観を映画にすると、心の弱さや強さに付随して、娯楽性の高い映画になる傾向があるのかもしれません。
また、本作の演出を務めたジェレミー・ギャスパー監督は、自ら脚本をしたため、劇中で使用される楽曲のオリジナル音楽を熟す多才ぶりですが、今の地位に到るまで安定した暮らしではなかったようです。
ジェレミー監督は映画『パティ・ケイク$』の物語性と同じように、大学を卒業した後に両親と同居しながら、病気を患った祖父母の世話をしながら、場末の飲食店でのライブ活動で生活を食いつないだという、実体験に基づいた脚本を執筆しました。
その生まれ育った場所の体験を活かした本作について、ジェレミー監督はこう述べています。
「パティは私の妹のようなものです。私が23歳で体験していたことを劇中でパティも体験しています。私が生涯を捧げるヒップホップと、私を育ててくれたニュージャージーの大きく力強い女性への憧れ、そして私の実体験を組み合わせて、誰も見たことがないような伝説的なニュージャージー・ガール=パティが生まれました。私は、自分の人生で出会った女性たちとニュージャージーの両方に捧げる作品を作りたかったのです」
監督の思いを丈の強さ、「生涯を捧げるヒップホップと、私を育ててくれたニュージャージーの大きく力強い女性への憧れ」とあり、そのことを“人生で出会った女性たちと生まれ育ててくれた場所”に捧げると言っています。
そんな真意からも本作『パティ・ケイク$』に登場する女性は、誰もが美しく、可憐でいて強い存在として女性たちが描かれている特徴的です。
女性たちの深い感情のひだに要注目です。
見どころ② 母親と子ども成長
祖母ナナ役を演じたベテラン女優のキャシー・モリアーティは、ジェレミー監督が自分にナナ役をうまく表現してくれると信じられていたこがとても嬉しかったそうです。
またキャシーは本作のシナリオは、彼女が演じる祖母ナナを含む3人の女性が共に成長し、離れて行き、そしてそれぞれの人生がどうなるのかを描いた親子3世代の映画だと見抜いていました。
そのことはこの作品を観れば一目瞭然ですが、女性たちの親子3人それぞれが口から生まれ出たように口が達者。
時に口喧嘩もしますが、祖母ナナが孫のパティのラップに聞き惚れる場面や、母親バーブは常にパティの身だしなみを気にしたり、またパティが髪をオシャレに切ってもらうことでバンド活動に挑むくだりなど、見逃せないシーンばかりです。
さらには、娘パティの役柄にジェレミー監督は、典型的な若手女優や認知度が高い女優の起用することに、まったく興味がなかったようです。
パティ役を演じたダニエル・マクドナルドと初めて会った時の印象をジェレミー監督はこのように語っています。
「パティのような人物にスポットライトをあてた映画はそう多くありません。面白い親友役やおどけ役としては当てはまるかもしれないが、今回は映画の主役なのです。パティが誰かということは私には明白でした。 ダニエル・マクドナルドに会った瞬間、彼女が適役だと分かりました。彼女は私がずっと頭の中で描いていたパティそのものでした。見た目は少女だが、強さも持ち合わせていて彼女しかないと感じました」
監督が述べたように、「見た目は少女だが、一方で強さを持つ」というパティの存在に、きっと、あなたは魅了されますよ。
単に年齢を重ねた親が子を育てるといった価値観のみでなく、お互いに成長し合うというそが、家族なのかもしれませんね。
優しいパティを通して、祖母ナナや母親バーブどのように成長するのか。泣き笑いを含む心地よい作風を見せてくれますので、見逃さないでくださいね。
見どころ③ 昨今の映画テーマである「多様性」とバンドメンバーたち
本作では昨今の映画で多く見受けられる「多様性の共有する」というテーマも、読み取ることができます。
ダニエル・マクドナルドが務めた主人公パティは、「ダンボ」と太った体型を揶揄され馬鹿にされています。
それでもパティが自分の価値観で音楽活動をするなかで、ジッタルタ・ダナンジェイ演じる薬局で働く親友ジェリだけではなく、新たな音楽仲間のメンバーとなる移民であろう黒人バスタード役のママドゥ・アティエを加入させます。
ほかにも社会から忘れ去られる弱者である人物の驚きの加入を見せるあたり、排他的ではない多様な価値観の共有は明らかなようです。
人格を見ずに行われる差別や偏見や、社会的な地位の弱者な者たちが音楽を通じて社会に一撃を与えていく。
この展開こそが、サクセスストーリーであり、ラップの言霊が魂となってソウルフルに生きていくことが描かれているのです。
それぞれの異なる違いを個性やユニークさだと認め合うことで、弱者は強者にはない真の意味での仲間との関係を見出していきます。
そのきっかけが、“女性という柔軟である心の持ち主である”という意味も大きいように思います。
ジェレミー監督は多様な価値観のあり方をこのように述べています。
「この映画はヒップホップと自分を育ててくれたおしゃべりで大柄のニュージャージーの女性たちに贈る2時間のプレゼントです。寛大で音楽の虜で夢を見ながらも他のことはどうでもいいと思っているような彼らへの熱烈な呼びかけです。
脱出したくて心がうずきながら現実の重さにつながれ身動きできないとしても、心の底からやりたいことであれば、はみ出し者で集まった家族みたいな友達を見つけることが大切だ」
やはり、「女性」と「多様性」に注目することがメッセージの映画。
それが『パティ・ケイク$』のようですね。
まとめ
ジェレミー・ギャスパー監督の女性たちに捧げる渾身の一作『パティ・ケイク$』。
本作は音楽映画としてだけでなく、2018年に公開される最高ベスト級な作品です!
ニュージャージーに住みながらラップのミュージシャンを目指す23歳のパティ。
彼女は一緒に暮らすアルコール依存症の母親バーブや認知症になった車椅子の祖母ナナの暮らしの面倒を見ながらも、自身の抱いたラップの女王として活躍を夢見る乙女です。
パティの親友で良き理解者ジェリは彼女の才能を見抜き、このように紹介します!
映画『パティ・ケイク$』予告編
「ひれ伏したまえ、女王様がいらっしゃる!紹介しようミス・パトリシア・ドンブロウスキー。またの名をパティ・ケイク、またの名をキラーP!!」
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