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Entry 2021/12/07
Update

映画『シングル・オール・ザ・ウェイ』ネタバレあらすじ感想と結末評価。LGBTQをラブコメディとしてマイケル・メイヤー監督が描く|Netflix映画おすすめ75

  • Writer :
  • 秋國まゆ

連載コラム「シネマダイバー推薦のNetflix映画おすすめ」第75回

2021年12月2日(木)にNetflixで配信され、マイケル・メイヤーが監督を務めた、2021年製作のアメリカのLGBTQを題材にしたラブコメディ映画『シングル・オール・ザ・ウェイ』。

「早くパートナーを見つけて幸せになって欲しい」

そう願う家族を安心させるため、主人公は恋人のフリを頼んだ親友とクリスマスに帰省するも、2人の計画と思いは思わぬ方向へ向かってしまう姿とは、具体的にどんな内容だったのでしょうか。

恋のキューピッド役を買って出た家族と、仲良しの親友と一緒にクリスマスを過ごす主人公に、恋のハプニングが続出していく、映画『シングル・オール・ザ・ウェイ』のネタバレあらすじと作品解説をご紹介いたします。

【連載コラム】「Netflix映画おすすめ」記事一覧はこちら

映画『シングル・オール・ザ・ウェイ』の作品情報


Netflix映画『シングル・オール・ザ・ウェイ』

【配信】
2021年(アメリカ映画)

【脚本】
チャド・ホッジ

【監督】
マイケル・メイヤー

【キャスト】
マイケル・ユーリー、ファイリーモン・チェンバース、キャシー・ナジミー、ルーク・マクファーレン、ジェニファー・クーリッジ、バリー・ボストウィック、ジェニファー・ロバートソン、マディソン・ブリッジス、アレクサンドラ・ビートン

【作品概要】
『マイ・フレンド・フリッカ』(2006)や『かもめ』(2018)などを手掛けた、舞台演出家マイケル・メイヤーが監督を務めた、LGBTQを題材にしたラブコメディ作品です。

人気海外ドラマ『アグリー・ベティ』(2006~2010)のマーク・セントジェームス役で知られる、俳優マイケル・ユーリーが主演を務めています。

映画『シングル・オール・ザ・ウェイ』のあらすじとネタバレ


Netflix映画『シングル・オール・ザ・ウェイ』

アメリカ・ロサンゼルスに暮らすソーシャルメディアストラテジスト(ソーシェルメディアにおいて、対象となる企業や個人の価値、プレゼンスをあげる職分のこと)のピーター・ハリソンは、外科医である彼氏ティムを、故郷ニューハンプシャー州ブリッジウォーターにいる家族に紹介することを楽しみにしていました。

ピーターの親友でありルームメイトのニックは、フリーランスの便利屋として働いていました。

「家のイルミネーションを頼みたい」と依頼してきた女性の家で作業していた際、ニックはそこへ帰ってきた女性の夫がティムであることを知ってしまいます。

ニックから、ティムが既婚者であり、自分が不倫相手であることを知ったピーターは激怒し、彼と破局。

12月16日。ティムを含めて7回失恋を経験したピーターは自暴自棄となり、「もう恋愛なんてしない。実家にいる家族のそばで暮らして、(夢である)植物店を開く」と宣言します。

ところが、家族には「恋人を紹介する」と電話で言ってしまったため、ピーターは後に引けなくなってしまったのでしょう。

ただ男運が悪く人と上手く付き合えないメンヘラだと、家族に誤解され大騒ぎされるのを防ぐべく、ピーターはクリスマスは1人で過ごす予定だと言うニックに、「恋人のフリをして、一緒にクリスマスに帰省してくれないか」と頼み込みます。

ニックは悩んだ末、緊急時用にと貯め込んでおいた、『エメットを救え』という絵本で大成功した時の印税から明日乗る飛行機の航空券代を捻出し、彼と一緒に帰省することにしました。

12月17日。絵本のモデルとなったニックの愛犬エメットは、カリフォルニアにあるペットホテルに預け、ニックはピーターと一緒に空港へ。

ブリッジウォーターに到着し、ピーターの家へ帰省したピーターとニックを出迎えたのは、トナカイの角を着けたピーターの母親キャロルでした。

2人が帰省してくれて大喜びのキャロルは、ピーターたちが偽の恋人関係を発表する前に何かを察したのでしょう。

ピーターへの早めのクリスマスプレゼントとして、キャロルは地元のフィットネスジムに入ったばかりのインストラクター・ジェームズとのブラインドデートを手配しました。

ブライドデートを嫌がるピーターでしたが、「早くパートナーを見つけて幸せになって欲しい」と願うキャロルとニックに説得され、渋々ジェームズとブラインドデートしてみることにしました。

そう話すピーターたちの元へ、続々とピーターの親族が集まってきました。ピーターの父親ハロルドとピーターの姉妹リサとアシュリー、そしてリサたちのそれぞれの家族と、ピーターの叔母サンディです。

ピーターの家族は、ピーターが明日、ジェームズとブラインドデートすることに大賛成。一方、ハロルドと、リサの娘ソフィアとダニエラは、ピーターとニックをくっつけようと画策します。

12月18日。ピーターはお節介なニックに叩き起こされ、渋々ジェームズが働くフィットネスジムへ向かいました。

ピーターの予想を上回るセクシーでハンサムなジェームズに、ピーターは思わず見惚れてしまいます。

ジェームズの勤務終わりに、近くの喫茶店に場所を移したピーターたち。ピーターはまず、何故この街に住んでいるのか尋ねました。

この前イーグルヒアでスキーインストラクターになり、タダでスキーができるほか、インストラクターとして人に教える喜びを知ったジェームズ。

彼は当時本業のジムの仕事と掛け持ちをしており、ボストンと行ったり来たりする生活を送っていましたが、その仕事にも飽きてブリッジウォーターに引っ越すことを決意。

ブリッジウォーターに引っ越して早々、今のフィットネスジムのインストラクターとして働くことになり、自由にスキーができる生活にとても満足していました。

初めてのブラインドデートを楽しんだピーターたち。ジェームズと別れた後、ピーターはワインを買いに行った店で、同じくワインを買いに来ていたニックと遭遇。

ジェームズとのブラインドデートの感想を聞いたニックは、ピーターが彼のことを気に入ったのだと悟り、「偽彼氏として複雑な思いだ」と彼に告げます。

帰宅後、ピーターはデート後半で買ったクリスマスツリーを、ニックとリサの夫トニーと一緒にリビングに置いて飾りつけをしました。

実はキャロル以外、「クリスマスツリーはツリーの香りがして、グリーンでなきゃ落ち着かない」と考えており、彼女が既に飾りつけした白いクリスマスツリーは、内心不満だらけだったからです。

当然、キャロルは違うクリスマスツリーが飾られていることについて不満げでしたが、ピーターのブラインドデートの結果を聞いて、怒りが吹っ飛びました。

しかもジェームズも、ピーターのことを気に入ったみたいで、「明日一緒にスキーしに行かないか」とデートに誘ってくれたのです。内心喜ぶピーターと、2人の恋を応援するキャロルたちは大喜び。

一方、ニックと、ピーターとニックがくっつけばいいと思っているハロルドたちは、どこか複雑そうな表情を浮かべていました。

ハロルドは、キャロルが飾った方のクリスマスツリーをガレージに運ぶ際、ニックに手伝いを頼み、彼にこう言いました。

「私は、(ピーターは)君と一緒になればいいと思っていた」「ピーターが私たち家族に紹介したのは、ニックしかいない。父親目線で見ればわかる、ピーターは君といる時が一番幸せそうだ」

こっそり2人の後をつけていたソフィアたちも、ドアから顔をのぞかせて、「じいじに賛成。2人は一緒になるべき」と言いました。

12月19日。ピーターは、ジェームズとのスキーデートを満喫。スキー場でこっそりキスするほど、2人の仲は進展していきますが、ピーターはせっかく帰省したのに、大事な家族と一緒に過ごせないことに少し寂しさを感じていました。

以下、『シングル・オール・ザ・ウェイ』ネタバレ・結末の記載がございます。『シングル・オール・ザ・ウェイ』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。


Netflix映画『シングル・オール・ザ・ウェイ』

ジェームズの車で家まで送ってもらったピーターは、玄関前でトナカイの耳を着けて出迎えてくれたニックに、その胸の内を明かします。

「(10日間の帰省のため)時間は限られているのに残念だ。デートもしたいし彼氏も作りたい、と同時に予定に縛られず、リサたち家族と一緒に過ごしたい」

「彼氏か家族か、板挟み状態で生きるのは嫌だよ」「(それが両立できる)ここへ本当に戻ってきたいと思っている」

「まだ会って2日だから、本気でジェームズが好きか分からない。だけど、やっと前に進める気がする」

玄関前で話し合うピーターたちをよそに、リビングでは家族会議が開かれていました。議論内容は、ピーターとニックをくっつけるか、ジェームズとの恋を応援すべきか否かです。

リサたち家族は、ピーターはニックとくっつくべきだと考えていますが、キャロルはジェームズをピーターに紹介した手前、2人をくっつける恋のキューピッド役を買って出ることは複雑そうな様子。

また、ピーターの胸の内を明かされたニックも、複雑そうな様子でした。「好きでもない仕事に高いアパートの家賃、大事なのは(ロサンゼルスで出会った)君だけ」とピーターに言われ、ニックも「君が故郷へ帰ってしまったら、僕も寂しいよ」と伝えます。

12月20日。サンディが脚本・演出・主演を務めるページェント(野外劇のこと)の準備が難航し、ピーターとニックがお手伝いとして参加することになりました。

職業柄、政策の指揮を執ることに長けているピーターと、何事も器用にできるニックのおかげで、ページェントの準備は順調に進んでいきます。

12月22日。ピーターは雇い主のラクランから、「この前撮影した髭剃りクリームの広告の件だが、インフルエンサーじゃなくて一般の人で撮影し直してほしい」と言われてしまいました。

3ヶ月かけて作り上げた撮影を、たった1日でやり直せと言われたピーター。新たにモデルを探そうにも、この時期はモデル事務所自体が閉まっていて、お手上げ状態でした。

12月23日。そこでハロルドは、「ニックをモデルとして起用したらどうか?」と提案します。これがピーターたちをくっつけるきっかけになればというハロルドの魂胆など露知らず、ピーターはニックをモデルに撮り直すことにしました。

ここ数日間、ページェントの準備で自然と一緒にいる時間が長くなった2人は、この撮影中少しロマンチックな雰囲気に。なったかと思えば、ピーターはジェームズと3度目のデートへ行ってしまいます。

その後、ニックはちょうど、便利屋としての仕事が入り、近所へ出かけてしまいました。そんな2人を見てじれったくなったのでしょう。

リサとその家族は、何としてでもピーターとジェームズの仲を引き裂き、ニックとくっつけようと画策します。

その結果、ニックはピーターへの恋心を自覚し、ピーターもジェームズにニックの話ばかりしていることを指摘されて、ニックのことを特別に想っていることを自覚しました。

12月24日、クリスマスイブ。ソフィアとダニエラは、ページェントの衣装やメイクについて相談するという口実を使い、次はピーターにニックへの恋心を自覚させようとします。

それに対しピーターは、「ニックのことが好きなのかもしれない。でももし上手くいかなかったら、彼を失うかもしれない。そんなの嫌だ」と答えました。

12月25日、クリスマス。ついにページェント『イエス・キリストもビックリ!』本番を迎えました。

ピーターから招待を受けたジェームズや、ピーターたち家族、街の人たちが見守る中、見事ページェントは大成功を収めました。

観劇中、観客席にいたジェームズは、舞台袖で寄り添うピーターたちを見て、失恋したことを悟りました。

ページェント終了後、ニックはピーターに思いきって告白しました。ピーターがブリッジウォーターに戻りたいと言った日、ニックはピーターのことが好きだと自覚したことを。

ピーターもニックの告白は嬉しい気持ちでいっぱいでしたが、どうしても破局となった場合、彼との友情を失ってしまうかもしれないという恐怖心が拭いきれません。

そんなピーターがニックに言えるのは、「家族がいるここに戻ってきたい」ということだけでした。

するとそこへ、ジェームズが登場。ページェント成功を祝し、リサのダーツバーで打ち上げすることになったことを伝えに来たのです。

ピーターはジェームズと、ニックと3人で行くつもりでしたが、ニックは「ペットホテルにいるエメットの様子を聞きたいから」と言って断りました。

ニックがロサンゼルスに戻る準備をしているとは露知らず、ピーターはジェームズと一緒に、除雪車の男ケビンが大熱唱する打ち上げに参加し、今後の関係について話し合います。

「君はこっち(ブリッジウォーター)に戻ってきたがっている。というか、一度自分の口から言ってみる必要があったんじゃない?“僕らは合わない”って」

「会うのは楽しいけれど、(ニックには)敵わないよ」「前に家族や他の人には目に見えているけれど、君たち2人には見えていない特別な何かがあるって僕が言ったの、覚えてるよね」

「好きな植物のことを話しているよりも、ニックのことを話す君の目はキラキラ輝いている」「それに今日、君たちが一緒にいるのを見て確信した」

「でも僕は、君のこと…」「好きだよね、僕も君が好き。多分、君が僕たちの間に何かあるって思い込もうとした理由の1つは、ここへ戻ってきたいっていう願望」

「無理に僕を取り込もうとしなくたって、君には大事な人たちがいるじゃないか。家族とニックが」「恐れるな、飛び込め」

ジェームズに背中を押され、ピーターはニックに想いを伝えようと帰宅しましたが、そこにニックの姿はありません。

荷物もないことから、ピーターはニックが、ロサンゼルスに帰ってしまったのではないかと思い、急いで車で空港へ向かいます。

しかしその道中、賃貸として出す予定の金物店に、ピーターたちが借りたレンタカーを発見。空港へ向かおうとしていたニックは、この街での最後の仕事を請け負っていたのです。

慌てて金物店に駆け込んだピーターを、優しく出迎えるニック。売りに出すための塗装の塗り直しを頼まれた彼は、ピーターに初めてのクリスマスプレゼントを贈ります。

「ここに戻る君へ、これがクリスマスプレゼント。安く貸してもらえるから最初の半年は僕が持つ。念願だった植物の店をここで開きなよ」

「資金は絵本が売れた時の金。その金を使わず貯めていたのは、大事なもののため。つまり君のことだ」

そう話すニックに、ピーターも想いを伝えます。「僕も愛している、前からずっと」

互いにそばにいられなくなることを恐れ、互いへの想いを自覚したピーターたち。熱い思いの丈をぶつけ合った2人は、熱いキスを交わし結ばれました。

その後、帰宅したピーターたちは、家族と一緒にクリスマスパーティーを行い、プレゼント交換して楽しんでいました。

そこでニックは、自身の絵本を気に入ってくれているアシュリーの息子サイモンとサムに、帰省中に仕上げた絵本の続編『クリスマスホテルのエメット』の初稿をプレゼントしました。

その初稿には、「ピーターとニックとエメットは、ニューハンプシャーに引っ越しました」と書かれており、ピーターたちは本当に引っ越してくることを家族に発表しました。

ピーターたちが結ばれたこと、彼らがここへ引っ越してくること両方に、家族全員大喜びでした。

映画『シングル・オール・ザ・ウェイ』の感想と評価


Netflix映画『シングル・オール・ザ・ウェイ』

10日間の帰省期間中、ピーターたちは偽の恋人関係を演じるのかと思いきや、最初に会ったキャロルに見抜かれてしまったことで、その必要は無くなります。

ピーターと、キャロルの紹介で出会ったジェームズとの恋模様は、観ているこちらまでドキドキしてくるほど初々しく、また微笑ましいです。

このままピーターはジェームズと結ばれ、今度こそ幸せなクリスマスを過ごせるのかと思いきや、昔からニックとくっつけばいいのにと願っていた家族が、恋のキューピッドを買って出たことで事態は急展開を迎えます。

ロサンゼルスで出会ってから9年、大事な親友として友情を育んできたピーターたちが、家族のおかげで互いへの恋心を自覚しました。

結ばれるにあたって、ロサンゼルスとニューハンプシャーで離れ離れになってしまうことや、友情を失ってしまうことへの恐怖心を抱くピーターの姿は切ないです。

その切なさを拭い去るほどのハッピーエンドと、ピーターとニックが互いに意識し合い、愛の告白をする場面は、胸のときめきと感動による涙がとまりません。

嘘が真実となり、ピーターたちが恋人になったことと、ニューハンプシャーへ引っ越してくることを発表する。2人を応援し続けてきた家族にとって、これほど嬉しいクリスマスプレゼントはないでしょう。

まとめ


Netflix映画『シングル・オール・ザ・ウェイ』

親友に恋人のフリを頼み、クリスマスに故郷へ帰省した主人公が、恋のキューピット役を買って出た家族のおかげで、内に秘めた恋心を自覚していくラブコメディ作品でした。

本作の見どころは、ピーターとニックの親友以上の特別な関係性と、2人の恋模様。そんな2人をくっつけようと画策する家族の姿です。

LGBTQの人にとって、家族や大切な誰かに自分の性や恋を認めてもらうことはとても困難なもの。本作をきっかけに、ピーターの家族みたいにLGBTQの人のことを理解し受け入れ、幸せを願ってくれる人たちが増えたら、ピーターたちみたいに世界中がハッピーエンドを迎えられることでしょう。

ピーターたちと同じLGBTQの人はもちろん、LGBTQではない人にとっても2人の純愛に胸をときめかせ、ジェームズの失恋に涙する物語となっています。

観た人の心が温まる、笑いあり涙ありドキドキありの新感覚ラブコメディ映画が観たい人に、とてもオススメな作品です。

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