前作からの正統進化と衝撃のラストに震える第2弾
人を喰らう宇宙生物が人に寄生するという、SFホラーをイメージさせる物語が話題となった映画『ヴェノム』(2018)。
しかし、映画内では記者のエディに寄生した”ヴェノム”は、凶悪な見た目とは裏腹にワガママな子供のような言動が目立ち、そのギャップに多くの鑑賞者が釘付けとなりました。
今回はそんな意外な方向性の魅力が爆発した映画『ヴェノム』の続編『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』(2021)を、ネタバレあらすじを含めご紹介させていただきます。
CONTENTS
映画『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』の作品情報
【日本公開】
2021年(アメリカ映画)
【原題】
Venom: Let There Be Carnage
【監督】
アンディ・サーキス
【脚本】
トム・ハーディ、ケリー・マーセル
【キャスト】
トム・ハーディ、ウディ・ハレルソン、ミシェル・ウィリアムズ、リード・スコット、ナオミ・ハリス、スティーヴン・グレアム
【作品概要】
マーベル・コミックに登場するキャラクター”ヴェノム”を主人公に描いた映画シリーズ第2作。
本作から「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズでゴラムを演じるなど、俳優やアクターとして有名なアンディ・サーキスが監督を務め、『スリー・ビルボード』(2018)のウディ・ハレルソンがヴィラン役として参加しました
映画『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』のあらすじとネタバレ
1996年、聖エステスの館で拘束されるクレタス・キャサディは、愛する女性フランシス・バリソンが特異な能力を持つがゆえに無理矢理研究施設へと連行されていく様子を見ていることしか出来ませんでした。
バリソンは自身の口から人を死に至らしめるほどの音波を出す能力を使い、同行するFBIのマリガンを攻撃しますが、揉み合いになり目を撃たれます。
現在、マリガンはバリソンを死んだと考えていましたが、彼女はレイヴンクロフト研究所と呼ばれる「能力者」を隔離・研究する秘密施設に囚われています。
記者のエディ・ブロックは体内に「シンビオート(共生体)」と呼ばれる宇宙生物の”ヴェノム”を宿しており、その存在がバレないように日々を過ごしていました。
ヴェノムは人の脳とチョコレートを好み、一方でエディは平穏無事な生活を求めてヴェノムに人を食べてはいけないと言うルールを強いていましたが、2人の限界はもはやすぐそこまで迫っています。
ある失敗から一流記者としての立場を失い落ちぶれていたエディは、何故か連続殺人鬼の死刑囚クレタスに気に入られ、マリガンに新情報を手に入れることと引換えにクレタスの監房に足を運ぶことを許可されます。
クレタスはエディにファンへのメッセージを記事にするように求め、エディはスクープを狙い誰も知らない彼の独白を条件にメッセージを引き受けました。
メッセージは記事として公開され、その記事はバリソンの元にも届きます。
なかなかクレタスから新情報を引き出せないエディでしたが、ヴェノムがクレタスの監房の壁に描かれていた絵が実在する岬を指していることに気づきます。
ヴェノムが見つけ出したその場所からはクレタスによる殺人遺体が大量に発見され、エディは一流記者として返り咲くと共にクレタスの早期死刑執行が決まります。
元恋人のアンが医師のダンと結婚することが決まり、傷心するエディのもとにクレタスから手紙が届きます。
そこにはクレタスが幼少期に祖母と母を殺害し、父に虐待され、送られた矯正施設で出会った女性とすら離されてしまったことが書かれており、最後に自身の死刑執行の要因となったエディとの面会を要望していました。
死刑執行前にクレタスと対面したエディはクレタスに虐待の被害者と言う共通点から「似たもの同士」と呼ばれます。
エディは冷静に否定しますが、クレタスの言動が罵倒に移行するとしびれを切らしたヴェノムがクレタスを攻撃。
ヴェノムを抑えようとするエディの手にクレタスは噛み付きますが、なんとかエディは刑務官に見咎められる前にヴェノムを押さえ込み、その場を去りました。
家に戻ったエディはヴェノムの身勝手さに辟易し、一方で自由な行動を取ることの出来ないヴェノムも、エディの臆病な性格を罵倒し、2人は大喧嘩の末にヴェノムがエディの肉体から去ります。
一方、死刑執行の最中、エディの手に噛み付いたことで共生体が体内に入ったクレタスは”カーネイジ”を宿し、囚人から刑務官に至るまで刑務所内の全ての人間を虐殺し脱獄。
ひとりの生活を楽しむエディのもとにマリガンからクレタス脱獄のニュースが届き、死刑に追い込んだ人間として復讐されることを警戒するエディは、クレタスの次の狙いがバリソンの救出であることに気づきマリガンに報告します。
その頃、道行く人を惨殺しながらレイヴンクロフト研究所にたどり着いたクレタスは、研究員を殺害しバリソンを救出していました。
クレタスの願いを叶えたことで彼の体内に住むカーネイジは、産みの親であるヴェノムを殺すという自身の願いをクレタスに実行させます。
血の結婚式として、クレタスが恨むエディとバリソンが恨むマリガン、そしてカーネイジの目的であるヴェノムを大聖堂で殺害することにします。
映画『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』の感想と評価
エディとヴェノムの掛け合いが光る異色のバディムービー
人の脳かチョコレートからしか得ることの出来ない成分を主食とする宇宙生物の”ヴェノム”。
しかし、人の命を深くは考えない残虐とも言える性質を持つ一方で、本作のヴェノムは音楽を口ずさみながらエディを元気づけるために料理を振る舞います。
一方、記者としてスクープを求めながらも、人の死を許容できない真っ当な倫理観を持つ新聞記者のエディは、そんなヴェノムの気性の荒さに常に悩まされながら平穏とは呼びがたい日々を過ごしています。
お互いに鬱憤を抱える2人が喧嘩しながらも共通の敵”カーネイジ”へと挑んでいく本作は、ヴェノムとエディの関係性に前作よりもフォーカスが当てられていました。
ヴェノムが適合できる肉体はエディしかおらず、半ば強制的に共生関係となっている2人ですが、本作はお互いがお互いでなければいけない理由を見つける物語でもあり、バディムービーとしての魅力が前作よりもさらに光っていました。
ネタバレ注意!意外な作品と繋がる衝撃のラスト
アメコミ映画といえば近年破竹の勢いを見せる「アベンジャーズ」シリーズこと「MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)」が思い浮かぶ人も多いはずです。
権利の都合上、同じ「マーベル・コミック」のキャラクターであれど”スパイダーマン”関連の登場人物は、特例として参加したスパイダーマンを除き「MCU」に参加することが難しいとされてきました。
しかし、本作のラストではトム・ホランドが演じる「MCU」に登場するスパイダーマンが明確に画面に登場し、スパイダーマン関連の登場人物が「MCU」の世界線に加わったことが示唆されていました。
「MCU」スパイダーマンの3作目となる『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2022)では、別の世界線が”ドクター・ストレンジ”によって繋げられた影響で、過去にトビー・マグワイアやアンドリュー・ガーフィールドが演じた別の世界観でのスパイダーマンシリーズのヴィランが登場することが明らかになっています。
実はヴェノムの基となる”シンビオート(共生体)”は過去に『スパイダーマン3』(2007)に登場しており、スパイダーマンを見て「こいつだ」と呟いたヴェノムが『スパイダーマン3』と関連しているのかが今後のポイントとなるでしょう。
まとめ
本作によって意外すぎる作品群との繋がりが突如明らかになったヴェノムシリーズ。
もちろん、本作は単体作品としてヴェノムとエディの掛け合いや、ウディ・ハレルソン演じるクレタスの狂気など観るべき要素の多いエンタメ成分盛りだくさんの1作となっています。
大迫力のバトルが画面いっぱいに描かれるアクションエンタテイメント映画『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』を、ぜひ劇場で楽しんでみてください。