連載コラム「邦画特撮大全」第100章
今回の邦画特撮大全は、映画『仮面ライダー平成ジェネレーションズFINALビルド&エグゼイドwithレジェンドライダー』(2017)を紹介します。
今年2021年夏に開催され好評を博した特集上映「KAMEN RIDER FILM ARCHIVE vol.1」。その第2弾となる「KAMEN RIDER FILM ARCHIVE vol.2」が渋谷TOEIにて2021年11月26日(金)より開催されます。
今年2021年は『仮面ライダーフォーゼ』放送10周年ということもあり、仮面ライダーフォーゼの登場する映画作品が多数ラインナップされています。
本作『仮面ライダー平成ジェネレーションズFINALビルド&エグゼイドwithレジェンドライダー』は、当時放映されていた『仮面ライダービルド』(2017)と前作『仮面ライダーエグゼイド』(2016)のクロスオーバー作品ですが、福士蒼汰演じる仮面ライダーフォーゼの主人公・如月弦太朗も登場していました。
CONTENTS
映画『仮面ライダー平成ジェネレーションズFINALビルド&エグゼイドwithレジェンドライダー』の作品概要
【公開】
2017年(日本映画)
【原作】
石ノ森章太郎
【脚本】
武藤将吾、高橋悠也
【監督】
上堀内佳寿也
【キャスト】
犬飼貴丈、飯島寛騎、渡部秀、福士蒼汰、佐野岳、西銘駿、赤楚衛二、高田夏帆、瀬戸利樹、松本享恭、岩永徹也、松田るか、小野塚勇人、甲斐翔真、黒崎レイナ、土屋シオン、柳喬之、滝裕可里、木山廉彬、三浦涼介、田中卓志、水上剣星、前川泰之、大槻ケンヂ
【作品概要】
『仮面ライダービルド』と『仮面ライダーエグゼイド』のクロスオーバー作品。両作のメインキャストで現在多数の話題作に出演する犬飼丈貴、飯島寛騎、赤楚衛二、瀬戸利樹らが総出演したほか、渡部秀、福士蒼汰、佐野岳ら歴代仮面ライダーもゲスト出演。敵役となる最上魁星にはバンド「筋肉少女帯」の大槻ケンヂがキャスティングされました。
脚本は『3年A組‐今から皆さんは、人質です‐』(2019)の武藤将吾、アニメ『ルパン三世 PARTⅣ』(2015)の高橋悠也の共同執筆。監督は『騎士竜戦隊リュウソウジャー』(2019)のパイロット監督の上堀内佳寿也。
映画『仮面ライダー平成ジェネレーションズFINALビルド&エグゼイドwithレジェンドライダー』のあらすじとネタバレ
桐生戦兎/仮面ライダービルドは夢の中で、仮面ライダーエグゼイドと戦い、その力をフルボトルに収めます。
目を覚ました戦兎にはそんな記憶はありませんでしたが、“エグゼイド”のボトルは手に入れていたようで、戦兎と行動を共にする石動美空の手によって浄化されていました。
そんな中、敵であるスマッシュが出現し、戦兎と相棒の万丈龍我/仮面ライダークローズは急行。しかし敵の姿はいつもと異なっており、戦兎の夢に現れたものと同じ姿をしていました。戦兎は仮面ライダーエグゼイドのボトルを使って敵を倒して行きます。
そこへ新たな敵・カイザーが現れました。カイザーを追う万丈でしたが、カイザーの操る謎の巨大装置“エニグマ”によって、どこかへ飛ばされてしまいます。
敵・バグスターの出現に宝条永夢/仮面ライダーエグゼイドたちは出動しますが、永夢はビルドに力を奪われたため変身できません。仲間たちがバグスターを一掃した後、リバースカイザーと名乗る敵が現れます。
リバースカイザーはエニグマを起動させ、仮面ライダービルドの世界と仮面ライダーエグゼイドの世界を融合し世界を滅ぼそうと計画していたのです。
カイザーは永夢の仲間全員から変身能力を奪って去って行きました。そして永夢たちの前に、エニグマによってエグゼイドの世界へ飛ばされた万丈が現れます。
一方、戦兎の前にはエグゼイドの力を返すよう、永夢の仲間パラド/仮面ライダーパラドクスが迫っていました。
パラドは2年ものあいだ戦兎を探していたようで、どうやら2つの世界で時間の流れが違っているようです。戦兎はその間の記憶を失っているため身に覚えが全くないのでした。
そんな戦兎とパラドの前に石動惣一が現れました。美空の父であり戦兎の後見人でしたが、敵組織・ファウストの幹部ブラッドスタークの正体であり、戦兎たちの前から姿を消していたのです。
石動によればカイザーの正体は最上魁星という研究者。並行世界の存在を提唱し、並行世界移動装置エニグマを開発していたのです。そして最上の助手がライダーシステムを完成させた悪魔の科学者・葛城巧でした。
戦兎は調べていく中でエグゼイドの持つ“ムテキゲーマー”の力がエニグマの障害となることに気付きますが、葛城も2年前にそのことに気付き最上の計画を止めるためエグゼイドの力を奪ったのです。
戦兎とパラド、永夢と万丈はエニグマを止めるためそれぞれの世界で活動を開始。
映画『仮面ライダー平成ジェネレーションズFINALビルド&エグゼイドwithレジェンドライダー』の感想と評価
『仮面ライダービルド』(2018)は異なる2つの要素を用いて変身する仮面ライダーでした。そして前作『仮面ライダーエグゼイド』は医者とゲームのダブルモチーフの仮面ライダーです。
そのため本作『仮面ライダー平成ジェネレーションズFINAL』は、異なる2つの要素を合わせるというコンセプトのもとに製作されています。
まず物語は仮面ライダービルドの世界と仮面ライダーエグゼイドの世界を強制的に融合させ、世界を滅ぼそうとする敵の野望の打倒でした。敵の最上魁星もそれぞれの世界に存在し、最終的には合体を果たします。
また最上の融合体であるバイカイザーは右半身が赤、左半身が青で、仮面ライダービルドと対応したカラーリングです。
本作で桐生戦兎/仮面ライダービルドと行動を共にするのが『仮面ライダーエグゼイド』の登場人物パラド/仮面ライダーパラドクスですが、仮面ライダーパラドクスも赤と青の配色のライダーであり、こちらもビルドに対応した選定であると思われます。
最上が開発した並行世界移動装置“エニグマ”。巨大な腕に大きな目を持つ異形のデザインですが、これは『宇宙鉄人キョーダイン』(1977)に登場する闇将軍ガブリンがモチーフです。
仮面ライダーフォーゼが登場するということから、過去の石ノ森作品のキャラクターをリファインしたものとなりました。
『仮面ライダーフォーゼTHE MOVIE みんなで宇宙キターッ!』(2012)には、前述の宇宙鉄人キョーダインをはじめ、『大鉄人17』(1977)などをモチーフとしたキャラクターが登場しており、エニグマのデザインはそうした経緯によるものです。
本作の最大の特徴はやはり仮面ライダーオーズや仮面ライダーフォーゼら、歴代仮面ライダーの客演です。本作の歴代仮面ライダーの登場場面は非常に巧緻なものでした。
本作は『仮面ライダービルド』の第14話・第15話に間に位置するエピソードです。この時、赤楚衛二演じるビルドの相棒、万丈龍我/仮面ライダークローズは仮面ライダーになったばかりの時期でした。
本作の主人公・桐生戦兎の立ち位置は、歴代ライダーの同じくすでにヒーローです。本作は万丈龍我の成長物語として構成されており、歴代ライダーの多くは万丈を導くメンターとして単なる顔見世にとどまらず有機的にその効果を発揮しているのです。
まとめ
歴代仮面ライダーが大集合した『仮面ライダー平成ジェネレーションズFINALビルド&エグゼイドwithレジェンドライダー』(2017)。
単なる顔見世にはとどまらず、物語の導き手という重要な役割を担っていました。歴代ライダーは設定やキャラクターをしっかりと理解した上で登場しているため、各作品のファンが納得する形での登場となっています。
本作『仮面ライダー平成ジェネレーションズFINAL』が多くのファンから愛されているのも納得です。
仮面ライダー映画の特集上映、「KAMEN RIDER FILM ARCHIVE vol.2」は渋谷TOEIにて2021年11月26日(金)より開催。
本作『仮面ライダー平成ジェネレーションズFINALビルド&エグゼイドwithレジェンドライダー』は、2021年11月26日(金)~11月28日(日)の3日間の上映です。