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Entry 2021/09/17
Update

映画『プラトーン』ネタバレ感想とあらすじ結末の評価解説。監督の実話を基に意味を見失う戦争の現実を伝える

  • Writer :
  • 秋國まゆ

オリバー・ストーン監督が自らの体験を基にベトナム戦争を描いた衝撃作!

オリバー・ストーンが脚本・監督を務めた、1986年製作のアメリカのR15+指定の戦争ドラマ映画『プラトーン』。

1967年、ベトナム戦争下のベトナムを舞台に、最前線小隊「プラトーン」に配属された若い志願兵が戦争の狂気を体験していく姿とは、具体的にどんな内容だったのでしょうか。

ベトナム戦争の緊迫感に満ちた戦場と、若い志願兵を待ち受けていた過酷な現実を、オリバー・ストーン監督の実体験に基づき描いた戦争ドラマ映画『プラトーン』のネタバレあらすじと作品情報をご紹介いたします。

映画『プラトーン』の作品情報


PLATOON(C)1986 ORION PICTURES CORPORATION. All Rights Reserved

【日本公開】
1987年(アメリカ映画)

【脚本・監督】
オリバー・ストーン

【キャスト】
チャーリー・シーン、トム・ベレンジャー、ウィレム・デフォー、ケヴィン・ディロン、フォレスト・ウィテカー、フランチェスコ・クイン、ジョン・C・マッギンレー、キース・デヴィッド、デイル・ダイ、ジョニー・デップ、リチャード・エドソン、ポール・サンチェス、コーリー・グローヴァー、マーク・モーゼス、トニー・トッド、レジー・ジョンソン、ボブ・オーウィグ、デヴィッド・ニードルフ、ポール・サンチェス、クリス・ペダーソン、クリス・カスティリェホ、J・アダム・グローヴァー、コーキー・フォード、イワン・ケイン、テリー・マキルヴェイン、アンドリュー・B・クラーク、ケヴィン・エシェルマン、ピーター・ヒックス、ロバート・ガロッティ、マーク・エベンホック、クラリサ・オルタチオ、オリバー・ストーン

【作品概要】
『コナン・ザ・グレート』(1982)や『スカーフェイス』(1983)などの脚本を手がけ、『ウォール街』(1987)や『7月4日に生まれて』(1989)などを監督したことで知られるオリバー・ストーンが脚本・監督を務めたアメリカの戦争ドラマ作品です。

ベトナム帰還兵であるオリバー・ストーン監督が、アメリカ陸軍の偵察隊員であった頃の実体験を基に描いた作品でもあり、1987年第59回アカデミー賞で作品賞・監督賞など4部門に輝きました。

主演を務めるのは、「メジャーリーグ」シリーズや『キング・オブ・ハーレー』(1992)、『ナインイレヴン 運命を分けた日』(2017)などに出演するチャーリー・シーンです。

映画『プラトーン』のあらすじとネタバレ


PLATOON(C)1986 ORION PICTURES CORPORATION. All Rights Reserved

1967年、激戦のベトナムに若い志願兵クリス・テイラーが、他の新兵たちと一緒にやって来ました。

テイラーは名前も聞いたことのない街に住み、貧困層の黒人やその他少数民族が、白人に比べて劣悪な扱いを受けているアメリカのために戦っている姿を見ます。「彼らこそ、真のアメリカ人だ」と讃える一方で、貧困層の若者が戦場に駆り出されていくことに憤りを感じていました。

「名もない平凡人でいたい。でも兵士だった祖父や父のように、国のために尽くしたい」と思ったテイラーは、両親の反対を押し切って大学を中退し、アメリカ陸軍に志願しました。

1967年9月。テイラーは、カンボジア国境付近に駐屯するアメリカ陸軍第25歩兵師団の最前線小隊「プラトーン」に配属されました。

プラトーンは、戦鬼と化した鬼軍曹であるボブ・バーンズ2等軍曹と、まだ人間らしさを残したゴードン・エリアス3等軍曹の2人が取り仕切っており、若い小隊長は全く干渉できませんでした。そんなプラトーンに入隊早々配属されたテイラーに待ち受けていたのは、想像を超える過酷な戦争の現実でした。

朝から晩まで塹壕用の穴を掘り続け、充分な休息もとれずに、鬱蒼とした密林のジャングルの中を歩かされ続ける毎日。雨が降り注ぐ密林のジャングルに入り、地雷を仕掛け敵を待ち伏せ、銃撃戦を繰り広げた末に仲間が1人死んでしまった夜……。

思い描いていた理想とは程遠い、過酷な戦争の現実を思い知ったテイラーは、アメリカ陸軍に志願したことを後悔します。ですが、そんな極限状態の中で、テイラーはさまざまな出自の若い隊員たちと共に麻薬を嗜んだり、酒を飲んで大騒ぎしたりして、徐々にプラトーンの一員として隊に溶け込んでいきました。

1968年1月1日。カンボジアの国境付近で、敵対する北ベトナム軍が攻撃に出てきたことで、南ベトナム側のアメリカ軍との衝突が増加。プラトーンは爆撃や待ち伏せで侵攻する北ベトナム軍に対抗する中で、小隊はベトナム人の小さな集落を発見します。

プラトーンは2人1組になり、その集落を調査した結果、爆弾が仕掛けられていることが判明。また地図と重要書類が入った箱に、爆弾が仕掛けられていたとは気づかなかった、隊員のサンダーソン(サンディ)とサルが死亡します。

さらに川下の村に敵が出現したことを受け、バーンズは工兵隊が駆けつけるまでの間、集落に隊員4人と衛生兵を待機させ、残りの隊員で村の調査に向かうことにしました。ところが、調査に向かうプラトーンの隊員マニー・ワシントンが、突如隊から姿を消してしまいます。

バーンズ率いる調査隊は、マニーの捜索も兼ねて川下の村へ調査に向かいます。その途中で、喉を切られ絶命しているマニーの遺体を発見しました。

敵が出現した川下の村は古い村で、村人は敵に不意を突かれて呆然としていました。バーンズだけは落ち着きを払っており、そんな彼の冷静な態度は、テイラーたちを心服させました。

川下の村をくまなく調べた結果、チェコ製59型機銃が4丁隠されており、一個連隊を養えるだけの米もあったことが判明。

サンディ・サル・マニーを殺されて憤る隊員バニーは、仲間の制止の声も聞かず、彼らを殺した疑いがあるベトナム人の青年を銃で殴り殺害。またマニーの喉を切った疑いがあるとして、ベトナム人の青年と一緒に暮らしていた老婆も殺そうとします。

バーンズたちは村人全員を村の外に集め、村長による通訳を介して尋問しました。これに対し村長は、「武器は北ベトナム軍の部隊から預かった。だけど奴らは最近来ていない」と答えます。

その村長の言葉を信じられないバーンズは、村長から武器を隠していた本当の目的を吐かせようと、村長の妻を銃殺した上で娘を人質に取りました。するとそこへ、集落から村に来たエリアスが合流し、村人を銃殺したバーンズに怒り、彼に殴りかかります。

これまでも方針の違いから、たびたび対立することが多かった2人。隊員たちが止めに入る中、エリアスはバーンズに「お前は刑務所に送ってやる」と叫び、バーンズもまたエリアスに「殺してやる」と叫び、隊員たちの目の前で袂を分かちました。

以下、『プラトーン』ネタバレ・結末の記載がございます。『プラトーン』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。


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その後、プラトーンは村を焼き払い、村人たちを拘束・連行していきました。その間にテイラーは、村人の少年少女を強姦しようとする隊員たちの姿を目の当たりにし、「お前たちはケダモノだ」と罵り、強姦されそうだった2人を助けていました。

アメリカ陸軍の陣地に帰還したプラトーン。エリアスは民間人を殺したバーンズを軍法会議にかけるべく、上官であるハリス大尉にバーンズの所業と、上官のウォルフ中尉が彼の民間人殺しを止めもしなかったことを告発しました。

バーンズの民間人殺害を機に、エリアスとバーンズ、どちらにつくかでプラトーン内で派閥が完全に別れてしまいます。

バーンズを支持する派閥には、プラトーンの古参兵レッド・オニールと、バーンズと同じく民間人を殺したバニーと他3名。対するエリアスを支持する派閥には、民間人を虐殺し強姦する隊員たちに辟易とするテイラーが加わることになりました。

派閥によって隊は半々に分裂し、士気も落ちてしまったプラトーン。隊内には疑惑と憎悪が渦巻いており、もはや誰と戦っているのか分からない状態でした。

そんなある日、プラトーンが密林のジャングルの中を歩いていると、草むらに隠れて待ち伏せていた北ベトナム軍に襲撃されます。激しい銃撃戦が繰り広げられていく中、最初に犠牲になってしまったのは、隊員のガーター・ラーナーとウォーレンでした。

草むらに隠れ、味方の同士討ちを狙う北ベトナム軍の罠にまんまと嵌められてしまったアメリカ陸軍第2小隊は、砲兵隊に誤って味方の位置を教え攻撃を指示してしまいます。そのせいで、味方の砲撃を食らったプラトーンの隊員たちが次々と倒れ、衛生兵の元へ運ばれていきました。

それに気づいたバーンズは、砲撃を指示する第2小隊の兵士を怒鳴りつけたのち、砲兵隊に攻撃を中止するよう命じます。

一方エリアスは、「敵は背後から襲ってくる」と睨んで、バーンズが指名した隊員のクロフォードとオニール、テイラーを連れて迎撃しに行きました。

エリアスは側面を守るため、1人で100m先の川岸へ向かい、テイラーたちは背後から襲ってくる敵を迎え撃ちます。その結果、テイラーは1人、オニールは2人敵を倒しましたが、クロフォードが敵に撃たれて負傷してしまうのです。

バーンズは激しい銃撃戦の中、戦場に散らばったプラトーン全員に、後ろに控えるアメリカ陸軍第3小隊がいる教会に、負傷者を連れて撤退するよう命じます。そして、バーンズはテイラーたちに「俺がエリアスを呼び戻す」と言い、渋る彼らを無理矢理撤退させました。


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エリアスはその頃、たった1人でジャングルの中を駆け抜け、迫りくる敵を次々と倒し続けていました。いつどこから敵が襲ってくるか分からないジャングルの中で、エリアスはバーンズの姿を見て安堵の表情を浮かべますが、自分に銃口を向け続ける彼に、思わず浮かべた笑みが消えてしまいました。

その瞬間、バーンズは銃を2発発砲し、撃たれたエリアスはその場に倒れ込んでしまいます。

テイラーはオニールたちと一緒に教会へ撤退しましたが、エリアスのことが心配で、再びジャングルの中へ。その途中、彼はバーンズと遭遇し、バーンズから「エリアスは死んだ」と告げられました。しかしテイラーは、「100m向こうで死んだ」というわりには、エリアスが殺された場面も彼の遺体も見ていない様子のバーンズに違和感を覚えます。

その後、プラトーンは負傷者と戦死した仲間の遺体を運び、救助ヘリに乗って撤退。テイラーたちが救助ヘリの中から見たものは、大勢の敵に追いかけられ逃げ惑うエリアスの姿でした。

体中に傷を負い、左腕が動かせず武器も持てない丸腰の状態で走るエリアスは、背後から襲う敵の格好の的となってしまいます。エリアスの救助に向かおうとした救助ヘリも、それに気づいた敵に襲われ、その場から飛び去ってしまいました。

自分が助からないと悟ったエリアスは両手をあげ、天を仰ぎながら絶命しました。この瞬間、テイラーはバーンズがエリアスの生存を黙っていただけでなく、彼を殺そうとわざと戦場に残してきたことを悟りました。

陣地へ帰還後、テイラーはバーンズの派閥に入っていない隊員たちに、「バーンズがエリアスを撃ったに違いない」と話し、バーンズへの報復を呼びかけます。するとそこへ、バーンズ本人が話に割り込み、テイラーたち全員にこう言いました。

「この俺を殺せるのか? 人を殺した経験があるのか? 笑わせるなヤク中どもが」「エリアスはクズで、偽善者だった」「命令通りに動く者はいい兵隊だ、命令に逆らわない者が1人でもいれば、その軍隊はダメになり皆やられてしまう」

「だから俺は、誰であろうと命令に逆らう奴は許せない」「それでもエリアスの仇を討ちたいなら、俺は今1人だから、この場にいる6人で殺してみろよ」……バーンズの挑発に乗ったテイラーは、本気で彼を殺そうと襲いかかりましたが、返り討ちにされてしまいます。

翌日。プラトーンは昨夜敵と激しい銃撃戦を繰り広げた、カンボジア国境から2キロ離れた谷へ派遣されました。そこはアメリカ陸軍第1中隊が大損害を受け、続く第3中隊も敵に夜襲された場所でもありました。

谷には友軍部隊もいましたが、プラトーンが敵を誘き寄せる囮だったのです。その証拠に、北ベトナム軍の第141師団が近くに潜伏していました。しかも昨夜の戦闘で捕まえた捕虜は、アメリカ軍が作った「たこつぼ」と呼ばれる塹壕の場所も、プラトーンが仕掛けた地雷の場所を記した地図を持っていたのです。

休息をとるテイラーは、エリアスを撃ち死に追いやったバーンズに、彼の仇を討てず自暴自棄になってしまいます。

テイラーは、同年代の若い黒人の隊員キングにこう言いました。「エリアスのような正しい者が殺されて、バーンズのような奴がのさばるこの社会で、俺たちは黙って見ているだけで、あとは死を待つしかないのか?」と。

それに対しキングは「関係ねえさ、生きて帰れればいい。そうすりゃあ、あとの一生は楽しく暮らせる。あんまり深く考えすぎるな、英雄ぶってムチャするなよ」と答え、テイラーを励ましました。

一方バーンズは、オニールから「今度の戦いは生きて帰れない気がする。だから3日後の休暇を繰り上げて、本国に帰還する最終便のヘリに乗せてくれないか?」と懇願されますが、「皆いつか死ぬ」と言い拒否しました。


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その後、通信が途絶えた第3小隊が全滅。その日の夜は、夜襲を仕掛けてきた北ベトナム軍の大部隊に第1小隊が全滅させられ、挙句の果てに塹壕の位置が記された地図を持っている敵に、隊員ロドリゲスがいた塹壕もろともロケット砲でやられてしまいました。

塹壕を襲撃されてしまったバニーは重傷を負い、テイラーと帰国命令が下ったキングの代わりに補充された、隊員フランシスがいる塹壕に命からがら逃げ込みます。バニーは「数百の敵が、凄い勢いでこっちへ向かってくる! 皆やられた」と叫び、テイラーたちにも逃げるよう促し、その場を立ち去っていきました。

バニーが去った後、テイラーとフランシスは仕掛けた地雷を起爆させ、機銃で向かってくる敵を迎撃していきます。

そこへ、ロケット砲による爆撃が襲来。間一髪のところで塹壕から脱出したテイラーは、一緒に脱出したフランシスを置き去りにして、単身特攻し敵を銃殺しました。そんなテイラーの姿を見て、自らを奮い立たせたフランシスも、彼と一緒に機銃を撃ちまくり、敵を迎え撃っていきます。

他の塹壕にいる1人の黒人の隊員の元へ向かい、一緒に戦うよう叫ぶテイラーですが、彼は恐怖感に煽られ塹壕を飛び出してしまい、木の幹に頭をぶつけて倒れたところを敵に殺されてしまいました。

テイラーたちが守る防衛線を突破した北ベトナム軍は、後方地帯に侵攻。さらに敵の自爆攻撃で、大隊長たちがいる司令部を爆破されてしまいます。テイラーたちが守る防衛線も、バーンズがいる後方地帯の陣地も敵の襲撃を受け、次々と仲間が殺されてしまいました。

激しい銃撃戦の中、敵に包囲された陣地の塹壕にいたウォルフ中尉は、上空にいる空軍と連絡を取り、陣地の上を爆撃するよう指示します。これにより、空軍は超低空からの爆撃を開始。陣地の上やテイラーたちがいる防衛線に爆撃が降り注ぎました。

夜が明け、爆撃と敵の夜襲から生き残ったテイラーは、傷を負ったボロボロの体で落ちていた銃を拾い、瀕死の状態で倒れていたバーンズを発見。

しかしテイラーは、衛生兵を呼ぶよう訴えるバーンズに銃口を向けます。そして、全てを悟ったバーンズが「やれ」と言った瞬間、彼は引き金を引きバーンズを銃殺しました。

その後、テイラーは救助に駆けつけた援軍によって救出されました。テイラー同様、激戦を生き残ったフランシスやプラトーンの隊員たち、他の小隊の隊員たちが次々と救出されていきました。

しかし生き残った人数よりも、遥かに多い戦死者の数。生き残れたウォルフ中尉は、多くの部下たちの遺体が、1つの大穴へと埋葬されていく様を呆然と眺めていました。

同じく生き延びたオニールは、やっと帰還できると期待に胸を膨らませていましたが、戦死した小隊長の代わりに第2小隊を任され、そのまま戦場に残ることになりました。

戦場に残る仲間たちに見送られながら、二度負傷したテイラーとフランシスは、他の負傷兵と一緒に救助ヘリに乗り、病院へ搬送されていきました。

その後、戦場を後にするテイラーの独白で、物語は幕を閉じていきます。「今から思うと、僕たちは自分自身と戦っていたんだ。敵は自分の中にいた」

「僕の戦争は終わった、だけど思い出は一生残るだろう」「正しい者と悪い者の反目はいつまでも続くだろう。時として僕は、彼らの間の子のような気さえする。」

「生き残った僕らには義務がある。戦場で見たことを伝え、残された一生を努力して、人生を意義あるものにすることだ」

映画『プラトーン』の感想と評価


PLATOON(C)1986 ORION PICTURES CORPORATION. All Rights Reserved

エリアスによる「罰」とバーンズによる「報復」

正義感が強く、軍人として何があろうと民間人を殺してはならないと考えるエリアスと、命令に背く者は誰であろうとも許さない戦鬼と化したバーンズ。

対照的な2人は隊内で対立し続けた果てに、エリアスはバーンズを軍法会議にかけて罰しようとするのに対し、バーンズはエリアスを戦場の混乱に乗じて殺すことで報復をしました。

その結果、エリアスはバーンズの策略によって戦場へ置き去りにされただけでなく、大勢の敵に背後から撃たれ続けて、もう自分は助からないと絶望しながら死んでしまいました。

それをただ救助ヘリの中から見ていることしかできなかったテイラーの心情を考えると、観ているこちらも胸が痛くなるほど辛く、助けてあげられなかった歯がゆさを感じます。

過酷な戦場で麻痺し、摩耗してゆく理想と人間性


PLATOON(C)1986 ORION PICTURES CORPORATION. All Rights Reserved

理想を抱いてアメリカ陸軍に志願したテイラーを待ち受けていたのは、「理想」という「想像」を超えるベトナム戦争の過酷な現実でした。

休む暇もなく塹壕を作らされたり、密林のジャングルの中で夜通し敵を待ち伏せしたり、敵味方が混在する戦場で銃撃戦を繰り広げたりする日々。塹壕の場所や地雷を仕掛けた場所を知られてしまい、数百の大部隊で夜襲を仕掛けられる恐怖。

それはどんな屈強な兵士といえど、恐怖で足が竦んで動けなくなったり、戦場から逃げ出したくなったりするほど過酷で、心身ともに堪えるものばかりです。

その結果待ち受けるのは、酒や麻薬による苦痛や恐怖からの逃避。そして逃避し続け、戦場の感覚に麻痺したことで生じる、人間性の摩耗。そしてそれが、気高い理想を抱いていたはずのテイラーがバーンズに銃口を向け、引き金を引いてしまった原因の一つでもあるのです。

まとめ


PLATOON(C)1986 ORION PICTURES CORPORATION. All Rights Reserved

理想を抱いてアメリカ陸軍に志願した若い兵士が、ベトナム戦争を通じて想像を超える戦争の過酷な現実を知るという、アメリカの戦争ドラマ作品でした。

本作の見どころは、白人に比べて劣悪な扱いを受ける黒人の若い兵士たちとテイラーが、ベトナム人への虐殺や強姦など、戦争の狂気を体験していく点です。

テイラーたち若い兵士たちよりも、幾多の戦場を駆け抜け生き抜いてきたバーンズたち古参兵が、隊を2つに分裂するほどの派閥争いを繰り広げていきます。

もはや誰が敵か味方かも分からない、混沌としたベトナム戦争。何を善とし悪とするかで‟敵”が決まることが、テイラーが物語のラストで言っていた「敵は自分の中にいる」の本当の意味なのかもしれません。

緊迫感に満ちた戦場と隊内部の対立や戦争を生き抜こうとする兵士たちの日常、ベトナム戦争の恐ろしさを細部までリアルに描いた戦争ドラマ映画が観たい人にオススメな作品です。





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