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Entry 2021/09/08
Update

映画『父親たちの星条旗』ネタバレ結末感想とラストあらすじ解説。実話の“英雄に作り上げられた真実”をクリント・イーストウッド監督が描く問題作

  • Writer :
  • 秋國まゆ

硫黄島の戦いをアメリカ側と日本側の視点から描いた映画史上初の2部作第1弾。

クリント・イーストウッドが製作・監督を務めた、2006年製作のアメリカの戦争ドラマ映画『父親たちの星条旗』。

太平洋戦争最大の激戦だったといわれる「硫黄島の戦い」にて、死闘を繰り広げた硫黄島の摺鉢山の山頂に星条旗を打ち立てた6人の兵士たちの「その後」とは、具体的にどんな内容だったのでしょうか。

星条旗を打ち立てた6人の兵士が写った写真の真実、そして戦場を生き残りアメリカ本土へ帰還した者たちのその後の人生を描いた戦争ドラマ映画『父親たちの星条旗』のネタバレあらすじと作品情報をご紹介いたします。

映画『父親たちの星条旗』の作品情報


(C)Warner Bros. Entertainment Inc. and DreamWorks LLC.

【公開】
2006年(アメリカ映画)

【原題】
Flags of Our Fathers

【原作】
ジェームズ・ブラッドリー、ロン・パワーズ『硫黄島の星条旗』

【監督】
クリント・イーストウッド

【キャスト】
ライアン・フィリップ、ジェシー・ブラッドフォード、アダム・ビーチ、バリー・ペッパー、ジョン・ベンジャミン・ヒッキー、ジョン・スラッテリー、ポール・ウォーカー、ジェイミー・ベル、ニール・マクドノー、メラニー・リンスキー、ロバート・パトリック、トム・マッカーシー、クリス・バウアー、ジュディス・アイヴィ、スコット・リーヴス、スターク・サンズ、ジョセフ・クロス、ベンジャミン・ウォーカー、マイラ・ターリー、アレッサンドロ・マストロブーノ、ジョージ・グリザード、ハーヴ・プレスネル、ジョージ・ハーン、レン・キャリオー、クリストファー・カリー、ベス・グラント、コニー・レイ、アン・ダウド、メアリー・ベス・ペイル、デヴィッド・パトリック・ケリー、ジョン・ポリト、ネッド・アイゼンバーグ、ゴードン・クラップ、カーク・B・R・ウォーラー、トム・ヴェリカ、ジェイソン・グレイ=スタンフォード、ブライアン・キメット、デヴィッド・ホーンズビー

【作品概要】
許されざる者』(1993)や『ミリオンダラー・ベイビー』(2005)、『ハドソン川の奇跡』(2016)、『運び屋』(2019)などのクリント・イーストウッドが監督を務めたアメリカの戦争ドラマ作品です。

ジェームズ・ブラッドリーとロン・パワーズによるノンフィクション本『硫黄島の星条旗』と、ジョー・ローゼンタールが撮影した報道写真をもとに、カナダの映画監督・脚本家・プロデューサーであるポール・ハギスらが脚色。イーストウッド率いるマルパソ・カンパニーと、スティーヴン・スピルバーグ監督が率いるドリームワークスらが製作した作品でもあります。

『ラストサマー』(1997)や『誘拐犯』(2000)、『デルタフォース』(2020)などに出演するライアン・フィリップが主演を務め、共演は『ロミオ&ジュリエット』(1997)や『猟奇的な彼女 in NY』(2008)のジェシー・ブラッドフォードです。

映画『父親たちの星条旗』のあらすじとネタバレ


(C)Warner Bros. Entertainment Inc. and DreamWorks LLC.

アメリカ・ウィスコンシン州で葬儀屋を営む老人ジョン・“ドク”・ブラッドリーは、ある日突然倒れ、「あいつはどこだ、どこに行ったんだ?」とうわ言を口にします。

ドクの息子ジェームズ・ブラッドリーは、そんな父親を救急車に搬送させた後、父親のことを知るために、父親の戦友たちを訪ねてみることに。

まずは元米海兵隊の大尉デイヴ・セベランスから、ジェームズは父親が米海兵隊の衛生下士官として参加した、太平洋戦争最大の激闘だったといわれる「硫黄島の戦い」について、戦争当時の話を聞きました。

「戦場で撮られた劇的な写真は、時に戦争の勝敗すら決める」「あの日、撮られた写真の中のたった1枚が、歴史を変えた」

1944年12月。米海兵隊の衛生下士官ドクは、米海兵隊のフランクリン・スースリーとハーロン・ブロック、海兵隊の一等兵ラルフ・“イギー”・イグナトウスキーとアイラ・ヘイズらと共に、ハワイのタラワ基地にて訓練を受けていました。

タラワ基地での訓練後、米海兵隊の第28海兵連隊と第5海兵師団は、1万2000人の日本軍の兵士が死守している領地、硫黄島に侵攻するために出航。

セベランス大尉率いる第28海兵連隊と補給部隊は、硫黄島に上陸後、島全体を攻撃できる小さな丘、摺鉢山の山頂を陥落させることが与えられた任務でした。

硫黄島までの道中、マイク・ストランク軍曹が、セベランス大尉から第2小隊を率いる隊長に任命されました。同時にマイクは「海兵隊のレイニー・ギャグノンは前線に向いていない」と言うと、セベランスは自身の伝令係にすると言いました。

硫黄島へ上陸する日の前夜、兵士たちをリラックスさせようと、艦隊のラジオからジャズが流れますが、かえってそれが兵士たちの不安を煽ることになってしまいました。

翌日、1945年2月19日。3日間に及ぶ海兵隊の砲撃が始まり、ドクたちは、車両人員揚陸艇LCVPや水陸両用トラクターのLVTで、硫黄島の海岸に上陸。

思ったよりも海岸が静かだったため、イギーはドクに「防衛する日本軍の兵士たちは全滅したのでは?」と話していました。

しかし、それは日本軍が仕掛けた罠だったのです。イギーやドクたち第2小隊が前進した直後、掩蔽豪に待ち伏せしていた日本軍の機関銃が一斉射撃を開始。

さらに上陸間近の海兵隊の船にも、日本軍は掩蔽豪から重砲を発射しました。海兵隊もすぐさま機関銃や戦車などを使って迎撃しましたが、掩蔽豪に潜む敵の位置をすぐに把握できず、犠牲者が続出する一方でした。

機関銃と重砲が絶え間なく火を噴く海岸は、やがて虐殺された海兵隊員の死体で埋め尽くされていきます。そんな中、ドクとイギーは負傷者の救助に当たっていました。


(C)Warner Bros. Entertainment Inc. and DreamWorks LLC.

それから2日後。海兵隊は、日本軍の重砲や機関銃での攻撃を受けながらも前進し、摺鉢山の陥落を目指します。ドクは激しい銃撃戦が続く中、戦場を駆け抜け、数名の海兵隊員の命を救いました。

2月23日。日本軍からの攻撃が落ち着いたところで、海兵隊の軍曹ハンク・ハンセンの小隊が摺鉢山の山頂に到着し、星条旗を掲げ、海岸や艦船から海兵隊の声援を受けます。しかしその直後、ハンクたちは山頂付近に登ってきていた、日本兵からの攻撃を受けるのです。

ハンクたちが無事敵を倒した後、海岸に海兵隊の長官ジェームズ・フォレスタルが到着。彼は摺鉢山の山頂に掲揚された星条旗を見て、「今後500年の海兵隊の象徴となり、将来いい値打ちになるあの星条旗を手に入れたい」と言いました。

その伝令を受けたセベランスは、レイニーとマイク率いる第2小隊に、別の星条旗と交換するべく、摺鉢山の山頂に向かわせます。

従軍カメラマンのジョー・ローゼンタールは、レイニー・ドク・マイク・フランクリン・ハーロン・アイラの6人が、2枚目の星条旗を掲揚した瞬間を撮影しました。

3月1日。第2小隊は塹壕で待ち伏せをしていた日本兵から、機関銃による攻撃を受けます。第2小隊が激しい銃撃戦を制したと思ったその瞬間、先頭にいたマイクは、海兵隊の砲弾に見舞われ、瀕死の状態に陥ってしまうのです。

すぐさまドクが治療に駆けつけるも、マイクは胸の傷が元となり、死んでしまいました。その後、ハンクが機関銃で胸を撃たれ戦死。その直後に、ハーロンも味方の誤射によって戦死してしまいました。さらにフランクリンが撃たれ、駆けつけたアイラの腕の中で息を引き取りました。

それから二晩経った後、ドクが負傷した海兵隊員を助けている間に、一緒にいたイギーが日本兵に拉致されてしまいます。

そしてその数日後、ドクは塹壕内で日本兵に拷問され、虐殺されたイギーの遺体を発見。これで8人いたドクたち第2小隊は、ドク・フランクリン・アイラの3人だけになってしまいました。

さらに数日後。摺鉢山で勝負がついたと思っていた海兵隊は、迫撃砲や機関銃の弾が四方八方から飛んでくるため、立ち往生してしまいます。

そんな中、ドクは首に被弾した仲間の衛生兵を助けようとしますが、懸命な治療もむなしく、彼は治療中に死亡。

その直後、ドクも砲撃によって右足を負傷。それでもドクは、衛生兵を呼ぶ海兵隊員の治療に当たりました。やがてドクは野戦病院に送られ、アイラたちと一緒に戦場を生き残りました。

以下、『父親たちの星条旗』ネタバレ・結末の記載がございます。『父親たちの星条旗』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。


(C)Warner Bros. Entertainment Inc. and DreamWorks LLC.

硫黄島の戦いが終了し、ローゼンタールが撮影した、摺鉢山に星条旗を刺したアメリカ兵6人の写真が新聞の一面を飾りました。

タラワ基地までの帰路の途中、レイニーは上司に、ローゼンタールの写真に写る人物たちの名を問われ「マイクとドク、フランクリン。自分とハンク、アイラの6人」だと回答。

それを聞いたアイラは「ハンクは最初に星条旗を刺した時にいたのであって、自分たちと一緒に写真を撮られた人物はハーロンだ」と間違いを訂正した上で、「自分の名前を伝えたら殺す」とレイニーを脅迫します。

ハーロンの母親は、ローゼンタールの写真を見てすぐに、息子だと確信し涙を流しました。

ローゼンタールが写真を撮影した数週間後、写真に写った半数が死亡。生き残ったドク・レイニー・アイラは故郷に凱旋後、7回目の戦時国債キャンペーンの広告塔に起用されました。

戦時国債キャンペーンの広告塔に起用された3人は、ワシントンDCでの金星賞の授賞式にて、星条旗を死んだ他の3人の母親に贈呈します。そこで母親たちが何か話せば、金が動く……そうしてニューヨークのタイムズスクエア、晩餐会、シカゴに行って資金集めが続けられました。

ドクたちは授賞式に、ハンクの母親が間違って、国旗を掲揚した6人の中の遺族として呼ばれていることに気づきました。

ドクたちは説明してくれた財務省のバド・ガーバーに「ハンクが掲揚したのは本物の旗の方。我々と一緒に写っているのはハンクではなく、ハーロン。我々6人が掲揚した星条旗は、その初めの旗を交換したもの。その2枚目の星条旗が、報道された写真だ」と間違いを訂正します。

これを聞いたバド・ガーバーは怒り、「戦債ツアーなんてただの茶番だ」と非難するアイラを含め、3人にこう言いました。

「今回は名付けて“勝利の第7次国債”、“弾も買えないから金をくれ”っていうのが本音なんだがね。前回は国債が全く売れず、紙幣を増刷した」

「ドルは今や紙くず同然。借りる宛てもなくなったから、軍艦も戦車も作れない。機関銃もバズーカも手榴弾もだ、これでも茶番だと言うのか?」

「何としてもこのキャンペーンで、140億ドル集めないと、今月中に終戦だ。日本の要求を全てのんで許してもらうしかない」

「アメリカ国民は、君たち6人が星条旗を掲揚した姿を写した写真を見て、“日本との戦争に勝てる”と希望を抱いた」「だが君たちは、その希望よりも写真に写っている人物の名前の方が重要なのか?」

「まあ好きにすればいい。間違いを認めたら、それだけが注目され、終わりだ。」

バド・ガーバーの説得により、アイラたちはハンクが写真に写っていないことを、誰にも言わないことに同意しました。

バド・ガーバーや監督係のキース・ビーチに引率され、アイラたちはワシントンDCからタイムズスクエア、晩餐会に出向き、資金集めのためのスピーチを披露しました。

戦債ツアー中、レイニーの婚約者が壇上に上がり、その日の夜にホテルで開かれた金星賞の授賞式に3人と一緒に参加することもありました。

授賞式にて、ドクたちは戦死した3人の母親とそれぞれ会いました。ドクはその時、ハンクの母親と会い、彼女から「写真に写っているのは本当に自分の息子なのか?」と尋ねられるも「記憶が曖昧で誰が誰だか……」と言って誤魔化します。

レイニーが上手く立ち回る一方で、アイラはマイクの母親と会い、彼を思い出して思わず泣き崩れてしまいました。

そんな3人はパーティーから出されてしまい、バド・ガーバーたちより一足早く、宿泊するホテルに戻ることに。アイラはホテルに戻ってからも、硫黄島での戦いがフラッシュバックして苦しみます。

その日以降、アイラはシカゴにある球場「ソルジャーズ・フィールド」で行われる、摺鉢山の山頂を模したハリボテの山に、星条旗を掲揚することを拒んだり、酒が飲めないことで警官たちと揉めたりと散々でした。

それでも、ドクがアイラを連れ戻し、無事ソルジャーズ・フィールドでの式典を終えました。


(C)Warner Bros. Entertainment Inc. and DreamWorks LLC.

しかし終わってすぐ、ずっと酒浸りだったアイラが吐いたところを、式典に来ていた海兵隊の司令官アレクサンダー・ヴァンデグリフト将軍に見られてしまい、「海兵隊の恥さらしだ」と罵られた彼は戦場に戻されてしまうのです。

キースからそのことを伝えられたアイラは、「撃たれまいとしただけなのに、英雄扱いされるのは耐えられない。マイクこそが本物の英雄だ」と言い、ヴァンデグリフト将軍からの命令を快く引き受けました。

戦債ツアーはアイラなしで続行されることになり、ドクとレイニー、キースの3人は、戦場に向かったアイラを見送りました。

後日、レイニーはドクに付添人を頼み、戦債ツアーに同行していた婚約者と結婚しました。

戦債ツアー終了後、ドクは手術をしました。そして戦争が終わった後、故郷に戻ったドクはまず、のちに彼の妻となる女性に求婚。

アイラは戦地でのことを忘れて、生きようとしていました。しかし不運にも、小作農として働くアイラには不要である、星条旗を掲揚した英雄という名声が付き纏い続けました。

アイラはそのことで苦しみ、アルコール依存症となり、警察沙汰を繰り返してしまいます。

戦争から6~7年経ったある日、留置所から釈放されたアイラは、徒歩とヒッチハイクでアリゾナからテキサスへ向かい、ハーロンの父親の元を訪ねました。

道路脇で歩くアイラの姿を、当時セールスマンとして働いていたキースが目撃しましたが、家路を急いでいたため、車を止めてあげられませんでした。

ハーロンの死後、息子を戦地に送った夫を責めたハーロンの母親は、家を出ていってしまいました。

アイラは、ハーロンの父親に写真の真実を告げ、その場を立ち去っていきました。それから間もなく、アイラは野外で酔いつぶれ、死んでしまいました。

ハーロンの父親は、離れて暮らす妻に、そのことを伝えます。それから間もなく、ハンクの母親も、マスコミから写真の真相を聞きました。

レイニーは戦債ツアーでできたコネに縋ったものの、結局彼が過去の英雄であったため、就職に繋げることは出来ませんでした。

その後レイニーは、地元の警察官募集にも落ち、何度か転職を重ね、最後は用務員として一生を終えました。

1954年、米海兵隊の戦没者追悼記念碑の除幕式が行われた日が、レイニー・アイラ・ドクの3人で会う最期の日となってしまいました。

この時、真実を聞かされたハーロンの母親は出席しましたが、最初の旗を掲揚したハンクの両親は、招待されませんでした。

アイラが死んだ同じ頃、結婚し葬儀屋を営むドクは、朝早くに車で家を出て、同じウィスコンシン州に住んでいるイギーの実家を訪問。

イギーの母親は、息子の最期がどうだったのか知りたがっていたからです。ドクはイギーの最期を、彼の母親に伝えましたが、それは事実ではありませんでした。

結局ドクは、自身の妻にも真実を打ち明けることなく、1994年にこの世を去りました。

ドクは雇い主の引退を機に、葬儀社を買い取り、商売と家族に残りの人生を捧げました。

ドクは死の淵に立たされてもなお、イギーの死の真相を伝えられなかったことを悔やみ続け、倒れてからずっと、ジェームズのことを呼んでいました。

「イギーのことを捜していたんじゃない、お前に謝りたいことがあって捜していたんだ。いい父親じゃなくて悪かったな」

「星条旗を立てた後、山を下りて海水浴に行かせてもらったことがある。地獄の戦闘の後で、子供みたいに水しぶきを上げていた」

「覚えているのは、その時のイギーの姿だ」そう言ったドクは、一滴の涙を流し、息を引き取りました。

父親の最期を看取ったジェームズは、こう思いました。「父の言う通り、英雄なんてものはいない。皆、父のような普通の人間だ」

「父が、英雄と呼ばれるのを嫌がっていた気持ちが分かる。英雄とは、人間が必要にかられて作るものだ」

「そうでもしないと、命を犠牲にする行為は理解しがたいからだ」「だが父と戦友たちが、危険を冒し傷を負ったのは、仲間のためだ」

「国のための戦いでも、死ぬのは友のため。共に戦った男たちのためだ」「彼らの栄誉をたたえたいなら、ありのままの姿を心にとどめよう。父がそうしたように」

ドクが仲間たちと一緒に、硫黄島の海で海水浴を楽しむ姿を最後に、物語は幕を閉じました。

映画『父親たちの星条旗』の感想と評価


(C)Warner Bros. Entertainment Inc. and DreamWorks LLC.

硫黄島の摺鉢山の山頂に立てられた星条旗と、それを立てた6人の米海兵隊員たち。その姿を撮影したローゼンタールの写真が、アメリカ国内に希望をもたらしたのですが、写真に収められたドクたちの心情は複雑です。

レイニーが誤って、最初の旗を立てたハンクを6人目として挙げてしまったため、ハーロンの名前は新聞に載っていません

しかも、ドクたちが山頂に立てた星条旗は、軍の上層部が最初に立てた旗を欲しがったため、急遽交換した2枚目の旗だったのです。

しかし、その真実をバド・ガーバーに伝えたものの、戦場に必要な資金調達ができなくなると説得され、やむを得ず3人の心に秘めておくしかありませんでした。

特にアイラとドクは、“真実”を伝えられないもどかしさと、硫黄島での地獄の戦いがフラッシュバックすることで、戦債ツアー中も戦後も苦しみ続けてしまいます。

アイラはハーロンの父親に真実を告げたのち、アルコール依存症に苦しみ屋外で死亡。レイニーは就職活動が上手くいかず、用務員として一生を終えてしまいます。ドクもまたイギーの笑顔を思い浮かべながら、息子に看取られこの世を去りました。

苦しみ続けた末に真実を伝えられたアイラの最期と、ずっと戦争のことも星条旗のことも、誰にも真実を話せなかったドクの最期は、観ているのが辛くなるほど悲しいものです。

まとめ


(C)Warner Bros. Entertainment Inc. and DreamWorks LLC.

硫黄島の摺鉢山の山頂に、星条旗を立てた6人のアメリカ兵の「その後」を描いた、アメリカの戦争ドラマ作品でした。

本作の見どころは、太平洋戦争最大の激戦だったといわれる、米海兵隊と日本軍による硫黄島の戦いと、星条旗を立てた男たちの“真実”です。

ドクの戦友たちが語る硫黄島の戦いは、和やかに行われたタラワ基地での訓練とは打って変わり、激しい銃撃戦が繰り広げられ、凄惨な光景が広がっています。四方八方から飛んでくる機関銃や重砲の攻撃を掻い潜り、日米の兵士たちが命を懸けて戦う姿に胸が熱くなります。

いつどこで、何が起こるか分からない戦争の恐ろしさを、大戦後に「英雄」へと祭り上げられたドクたちの苦悩する姿から知ることが出来ます。

摺鉢山の山頂に立てられた星条旗と、それを立てた6人のアメリカ兵の姿を撮影したローゼンタールの写真。そこに秘められた真実が、のちに亡くなった戦友の代わりに英雄扱いされる、ドク・レイニー・アイラを苦しめることになるとは、予想外の展開でした。

仲間のために命懸けで戦った米海兵隊員たちの姿、そして彼らに待ち受けていた思いがけない苦しみと哀しみを描いた映画が観たい人に、とてもオススメな作品です。






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