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Entry 2021/08/04
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映画『ホテルレイク』あらすじ感想と評価解説レビュー。韓国のホラー最新作は“情念の修羅場”を寓話的な世界観の恐怖で描く

  • Writer :
  • シネマルコヴィッチ

韓国ホラー映画『ホテルレイク』は、2021年8月13日(金)よりシネマート新宿とシネマート心斎橋にて公開!

謎に潜んだホテルレイクには、3つの奇妙なルールがあった。ひとつ「絶対に上を見上げてはいけない」。

ふたつ「絶対に一人で歩き回わってはいけない」、みっつ「絶対に405号室に入ってはいけない」。

韓国最新作のホラー映画である本作には、ドラマ『メモリスト』『王になった男』などのイ・セヨンがハン・ユミ役としてホラークイーンを演じています。

また共演は映画『犯罪の女王』のパク・ジヨンがホテルの社長役を務め、映画『チェイサー』のパク・ヒョジュがホテルの唯一のメイド役に挑みます。

美しいセヨン演じる主人公ユミが奇妙な女性の姿を目撃したことにはじまり、やがて、ホテルに隠された“不思議な迷宮”へとユミが堕とされたことで、彼女にまつわる因縁の恐怖の扉が開くホラーミステリー。

韓国発の恐ろしさの追求には、新鋭ユン・ウンギョン監督が脚本から演出までを担当しています。

映画『ホテルレイク』の作品情報


(C)2020 SMILE ENT & ISU VENTURE CAPITAL & ES PICTURES & INDIESOTRY. All Rights Reserved.

【日本公開】
2021年(韓国映画)

【原題】
호텔 레이크(翻訳:ホテルレイク)

【脚本・監督】
ユン・ウンギョン

【キャスト】
イ・セヨン、パク・チヨン、パク・ヒョジュ、パク・ソイ、チョン・スジ

【作品概要】
テレビドラマ『メモリスト』『カイロス 運命を変える1分』などで活躍を見せたイ・セヨンが主演を務めた、韓国発ホラー映画。

共演は『犯罪の女王』のパク・チヨン、『チェイサー』などに出演したパク・ヒョジュが脇を固めます。

映画『ホテルレイク』のあらすじ


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ある日、ハン・ユミは養護施設に呼び出されます。

理由は父親と離婚し母親が亡くなり、その母が他の男性との間に宿した妹ジュを引き取って欲しいというのです。

身寄りのないジュは、ユミが引き取る他に手がなく、ユミは渋々ではあったが、仕方なく受け入れます。

しかし、ユミは仕事が忙しいこともあり、自動車を運転し、叔母の経営するホテルに向かい、妹ジュを預けることにしました。

その道すがら“奇妙な人影”を見かけますが、車を降りてその場所に近づきますが、そこには誰の姿もありませんでした。また、ユミはホテルに着いてからも自身の幼き頃の光景を見たりと違和感に気が休まりません。

一方でジュは、施設とは異なり、見慣れない広いホテル内を興味津々で走り回ってしまい、ユミのことはお構いなしです。

ユミはホテル内にいるはずのジュを探して、あちらこちらと歩き回りますが見つかりません。

やがてユミは、ホテル地下にあるボイラー室の階段を降りて行くと、“あの人影”を再び目撃します。ホテルを訪れる際に途中の道端で見た女性のようでしたが…。

映画『ホテルレイク』の感想と評価


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本作『ホテルレイク』ではイ・セヨン演じるハン・ユミが、父親の異なる妹ジュを養護施設から預かることから、不可思議な恐怖の連鎖が始まっていきます。

ユミにとっては年齢の離れたジュの存在は、まるで離婚して自分とは会うことがなくなった母親を思い出さずにはいられない状況へと陥っていきます。

それは母親が同じであることであることも然りですが、幼いジュの面倒を見ることによって、自身の中にある母性を感じること。またジュを見ていることで自分の少女時代も夢想するからです。

これらによって、叔母の営むホテルレイクを舞台に女性同士の関係に不均衡さが生じていきます。ホテルの社長で叔母、そして唯一のメイドとして働く女性、ユミが開けてしまった因縁の過去とその執念とはどのようなものなのか……。

後半からラストに向けて加速していく恐ろしい情念に注目です。

また、これらの恐怖を具現化したホテルという建物の設定や、美術の小道具による寓話的な世界観などプロダクションデザインにも注目。そしてそれらを撮影監督あるチョ・ジョンインがスピーディかつ、柔軟さのあるカメラワークで活写しています。

ジョンインは、マ・ドンソクが、おかっぱ頭の料理人を演じた映画『スタートアップ!』を撮影したことでも知られています。


(C)2020 SMILE ENT & ISU VENTURE CAPITAL & ES PICTURES & INDIESOTRY. All Rights Reserved.

まとめ


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韓国最新作のホラー映画『ホテルレイク』に登場するイ・セヨンが演じるユミは、どこか「不思議な国のアリス」を彷彿させてくれます

それはウサギの頭を持つ人形の登場や、そして目隠しをした鬼ごっこの際に鏡の世界に入るくだりなどの演出によって、そのように感じさせるのかもしれません。

また、ユミとジュという、異なる父親を持った年齢の離れた姉妹も、少女アリス的な身体構造の収縮する逆転化として同一性すら感じさせてくれます。

何より、ラストに近づくにつれて、ユミの迷い込んだ“不思議の国”とも言える“小部屋”で起きたことは、不可解な行動が極度の緊張感みなぎる流血のシークエンスを迎えます。

映画を観る者を没入させ、加速させる恐怖の根幹とは何であるのか必見です。

ホラー映画『ホテルレイク』は、8月13日(金)よりシネマート新宿とシネマート心斎橋にて公開!

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