Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

連載コラム

Entry 2021/05/16
Update

映画『ストレンジ・ハウス』ネタバレあらすじ感想とラスト結末の評価。本格ホラーミステリーで呪われた家の秘密を暴く|Netflix映画おすすめ38

  • Writer :
  • 糸魚川悟

連載コラム「シネマダイバー推薦のNetflix映画おすすめ」第38回

夏が近づくに連れて恋しくなるのは爽やかでありながらもどこかジメジメとした「ホラー映画」。そこに「田舎町」と「青春」の要素が加われば、夏の風物詩として完璧な作品と言えます。

映画『ストレンジ・ハウス:呪われた家の秘密』はマルティナ・ヴィルトナーによる児童小説を原作にしたサスペンスをダニエル・プロチャスカが手掛けた作品です。

あっさりと鑑賞することの出来る夏の風物詩の要素を兼ね揃えたホラーミステリ映画『ストレンジ・ハウス:呪われた家の秘密』(2021)を、ネタバレあらすじを含めご紹介させていただきます。

【連載コラム】「Netflix映画おすすめ」記事一覧はこちら

映画『ストレンジ・ハウス:呪われた家の秘密』の作品情報


Netflix ストレンジ・ハウス:呪われた家の秘密

【原題】
Das schaurige Haus

【配信日】
2021年5月14日(オーストリア、ドイツ合作映画)

【監督】
ダニエル・プロチャスカ

【キャスト】
レオン・オーランディアニ、ベンノ・ロスコフ、ユリア・コーシッツ、マリ・ヴァイヒスラー、ラース・ビッテルリッヒ、ミヒャエル・ピンク

【作品概要】
マルティナ・ヴィルトナーによる児童小説を原作に製作されたオーストリアとドイツによる合作映画。

監督を務めたダニエル・プロチャスカは本作で長編映画監督デビューを果たしました。レオン・オーランディアニ、マリ・ヴァイヒスラーらが出演するヤングアダルト向けサスペンス。

映画『ストレンジ・ハウス:呪われた家の秘密』のあらすじとネタバレ


Netflix ストレンジ・ハウス:呪われた家の秘密

国境沿いの田舎町「パート・アイゼンカッペル」に越して来たサビネ一家。

紹介時の画像と異なりかなり寂れた家には、オーナーの私物があるため開けてはいけない屋根裏部屋がありました。

長男のヘンドリックは、母親の都合で都会から田舎町へと引っ越すことになり、友達やSNSでのバズりとは無縁の生活になったことを恨んでいました。

その夜、屋根裏部屋へと続くドアに巻かれた塩を取っ払ってしまった次男のエディーが、壁に絵を書き始める不思議な行動を見せます。

翌日、隣家に挨拶に行くサビネでしたが、隣家のドアの前には塩が巻かれており、隣人の婦人は「どうせすぐ居なくなる」と名前すら教えてはくれませんでした。

ヘンドリックは街で知り合った青年フリッツから、サビネ一家が越して来た家が、数十年前に毒キノコを使って一家の母であるアマリアが一家心中を行ったとされるポルツマン一家の住居であったことを聞かされます。

その日の夜、エディーが意識を失った状態で再び壁に絵を描き始め、ヘンドリックはその様子を動画に記録します。

フリッツに動画を見せると、フリッツはエディーが呟いている言葉がスロバニア語であることを分析し、スロバニア語を翻訳できる少女イダに翻訳してもらうことになります。

イダはエディーが「ママは無実」と呟いていると翻訳し、フリッツはその言葉から一家心中事件で死亡したポルツマン一家の息子の霊がエディーに取り憑いたと推測。

翌日、ヘンドリックの家を訪れたイダとフリッツは、フリッツの主導によって降霊の儀式を行います。

するとエディーにポルツマン一家の息子ローランドが取り憑き3人を屋根裏部屋へと案内します。

ポルツマン一家の次男ローランドと長男ラルフの部屋であったその部屋から、フィルムと日記の隠された本を見つけた3人。

フリッツの持っている再生機器を使いフィルムを再生すると、そこには隣人のシーロス婦人がポルツマン一家の家政婦として働いている映像が映し出されます。

映像には事件を起こしたとされるアマリア夫人に対し夫が愛情を注いでいる様子はなく、むしろ夫はシーロスにプレゼントを渡していました。

フリッツはエディーに取り憑いたローランドの言葉を信じるならば、真の毒殺犯はシーロスではないかと考え、シーロスの家へと3人で侵入しますが、シーロスにその現場を咎められてしまいます。

シーロスに直接事件のことを言及すると、彼女はアマリアの様子がおかしくなった時期に家政婦を辞めたとだけ話し3人を追い払います。

その日の夜以降、ヘンドリックは悪夢を見始めイダも彼の姿が別人に見える時があると言い始めます。

フリッツはポルツマン一家の長男ラルフがヘンドリックに取り憑いたと考え、ヘンドリックが寝ることでラルフの人格に切り替わることを証明するため実験を行います。

フリッツの想像通り寝ることでラルフに人格が切り替わり、フリッツとイダはラルフから望みを聞き出します。

ラルフは「復讐」「殺人」「母親」と話し、我に帰ったヘンドリックとフリッツとイダは、ラルフとローランドが母親のアマリアも何者かに殺されたと考えており、その復讐を望んでいると考えました。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『ストレンジ・ハウス:呪われた家の秘密』のネタバレ・結末の記載がございます。『ストレンジ・ハウス:呪われた家の秘密』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。


Netflix ストレンジ・ハウス:呪われた家の秘密

週末、村の祭りの日の夜、パーティ会場に向かう途中でヘンドリックはポルツマンの夫がシーロスに渡したナメクジのペンダントと同様のペンダントを着けた不審な行動をする人物を見つけます。

その話を聞いたイダとフリッツはシーロスがパーティ会場にいることから、ポルツマン一家の家政婦はシーロス以外にも居た可能性に気づき、その人物こそが真の毒殺犯であることを察します。

ヘンドリックは不審人物の車に乗り、不審人物の家へと辿り着きます。

その人物は町に住む女性であり、その女性がポルツマンの夫と不倫していたことを指し示す手紙を見つけて脱出します。

途中で出会ったサビネ一家に家を手配した不動産屋のロケルにヘンドリックは助けを求めますが、ロケルが毒殺犯である女性とポルツマンの夫との間に出来た息子であることに気づきヘンドリックは逃走します。

ロケルは真実を知ったヘンドリックから手紙を取り返すため猟銃を持ち、逃げるヘンドリックを追跡。

逃走の途中でイダと遭遇したヘンドリックは2人で崩落の危険性のある「オビア洞窟」へと逃げ込みます。

一方、サビネは突然エディーがスロバニア語を話し始めたことを不審に思い、パーティ会場に居るスロバニア語を話すことの出来る村人からエディーの言葉がヘンドリックの危機を知らせる物だと翻訳して貰います。

オビア洞窟へと逃げ込んだ2人でしたが、雨によって浸水し始める鍾乳洞の岩間にヘンドリックの足が引っかかってしまいます。

命までを奪う気は無かったロケルでしたが、ヘンドリックの現状を知ると助けることなく洞窟を脱出。

ヘンドリックはイダだけを洞窟から逃し、逃げ出したイダはロケルの家へと向かっていたフリッツとサビネに助けを求めます。

警察も救助に加わり、翌朝ヘンドリックは洞窟の中から助け出されました。

ローランドはエディーの身体を乗っ取ると、警察に連行されようとしているロケルの母親とロケルに近寄ります。

ロケルの母親はエディーにローランドが取り憑いていることを察すると、「あの日、子供たちは家にいないはずだった」と後悔の言葉を述べます。

数日後、一家心中の事件は再度捜査が行われ、事件は当時家政婦として働いていたロケルの母親によるもので、不倫相手の夫人アマリアを狙った毒が誤ってポルツマン一家全員を殺害してしまったものだったと判明。

殺人犯とされていたアマリアへの嫌疑も晴れ、ローランドとラルフと同じ墓に埋葬されていなかったアマリアは2人の息子と同じ墓の下に埋葬されました。

墓を訪ねるヘンドリックたちの前にローランド、ラルフ、アマリアの霊が現れ、事件を解明したヘンドリックたちに対し晴れやかな笑顔を浮かべていました。

映画『ストレンジ・ハウス:呪われた家の秘密』の感想と評価


Netflix ストレンジ・ハウス:呪われた家の秘密

青春ホラーの定番を詰め込んだ安定の作品

映画における「田舎町」といえばホラーやミステリとの相性が良く、スティーヴン・キングの小説を映画化した「IT」シリーズや、連続殺人犯を追う少年たちの奮闘を描いた『サマー・オブ・84』(2019)などさまざまな名作が「田舎町」を舞台として来ました。

日本ではNetflix独占配信作となる映画『ストレンジ・ハウス:呪われた家の秘密』も、主人公のヘンドリックが「田舎町」に引っ越して来るシーンから物語が始まります。

引越し先の古びた家で起きる怪奇現象と、取り憑かれた弟が見せ始める不審な行動。

やがてその現象がその家で発生した一家心中事件に繋がっていく本作は、ヘンドリックを始めとしたティーンの活躍も目覚しく、前述した作品同様に「青春ホラー」としての魅力が光る作品になっていました。

心霊とミステリを組み合わせたジュブナイルミステリの魅力

本作は単なる心霊ミステリの枠には収まらず、家で発生する心霊現象の謎が一家心中事件の本当の真犯人の謎へと繋がっていくミステリ要素が見所の「心霊ミステリー」映画となっています。

ヘンドリックの弟エディーに取り憑いた霊が見せる奇妙な行動を紐解くうちに、明らかになる「ポルツマン一家心中事件」に残された不審点。

しかし、その謎を追う内にヘンドリック自身もエディーに取り憑いた霊とは別の霊に取り憑かれ始め、自身の思惑とは違った行動を取り始める恐怖に苛まれ始めます。

霊の目的とポルツマン一家心中事件の真犯人、双方を追うヘンドリックたちの活躍を描いたジュブナイルミステリの行方があっさりとしながらも晴れやかで暖かな余韻を残す作品でした。

まとめ


Netflix ストレンジ・ハウス:呪われた家の秘密

心霊現象に立ち向かいながらも現実で発生した事件の謎も追う作品は、邦画にも中条あやみ主演作『劇場版 零 ゼロ』(2014)と言った作品が存在します。

同じティーンの活躍を描いた作品ながら2つの作品には国や文化と言う圧倒的な差を生む大きな要素があり、似た展開でありながらも恐怖感の描き方にそれぞれの国のホラー映画の特徴がはっきりと現れています。

ホラー映画に多い嫌な余韻を残すことなく、ホラーの定番要素をたっぷりと楽しむことのできる映画『ストレンジ・ハウス:呪われた家の秘密』はNetflixで独占配信中。

ぜひぜひ、類似作品と共に本作を楽しみ、各国の映画の描き方の違いを家で検証してみてください。

【連載コラム】「Netflix映画おすすめ」記事一覧はこちら




関連記事

連載コラム

映画『ある船頭の話』感想レビューと評価解説。オダギリジョー×柄本明の問題作を“風”によって見つめる|シニンは映画に生かされて16

連載コラム『シニンは映画に生かされて』第16回 はじめましての方は、はじめまして。河合のびです。 今日も今日とて、映画に生かされているシニンです。 第16回にてご紹介させていただく作品は、俳優として世 …

連載コラム

映画『特捜部Q知りすぎたマルコ』ネタバレあらすじ感想と結末の評価解説。人気北欧ミステリーシリーズ最新作がキャスト一新で登場!【未体験ゾーンの映画たち2022見破録20】

連載コラム「未体験ゾーンの映画たち2022見破録」第20回 映画ファン待望の毎年恒例の祭典、今回で11回目となる「未体験ゾーンの映画たち2022」が今年も開催されました。 傑作・珍作に怪作、本格ミステ …

連載コラム

【ネタバレ感想】ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーの無名キャラクターがもたらした奇跡の大ヒットを解説|最強アメコミ番付評18

こんにちは、野洲川亮です。 『キャプテン・マーベル』『アベンジャーズ/エンドゲーム』『ヘルボーイ』と続々と予告が公開され、楽しみも増えてきています。 今回はマーベル・シネマティック・ユニバース「MCU …

連載コラム

エヴァは終わらない?庵野秀明プロフェッショナルでの言葉から再考×オタクとしての“収集”とこれからの“意志/意思”【終わりとシンの狭間で12】

連載コラム『終わりとシンの狭間で』第12回 1995~96年に放送され社会現象を巻き起こしたテレビアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』をリビルド(再構築)し、全4部作に渡って新たな物語と結末を描こうとした …

連載コラム

韓国映画『群山:鵞鳥を咏う』あらすじと感想レビュー。中国朝鮮族への言及と飛び交う様々な言語|OAFF大阪アジアン映画祭2019見聞録14

連載コラム『大阪アジアン映画祭2019見聞録』第14回 3月8日から17日まで10日間に渡って催された第14大阪アジアン映画祭も無事閉幕。 アジア圏の様々な国の多種多様な作品51本が上映され、グランプ …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学