連載コラム「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」第34回
深夜テレビの放送や、レンタルビデオ店で目にする機会があったB級映画たち。現在では、新作・旧作含めたB級映画の数々を、動画配信U-NEXTで鑑賞することも可能です。
そんな気になるB級映画のお宝掘り出し物を、Cinemarcheのシネマダイバーがご紹介する「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」第34回は、ジャスティン・リー監督が演出を務めた、映画『ブレイブ・ソルジャーズ ヒュルトゲンの森』です。
ドイツとベルギーの国境にある、ヒュルトゲンの森を舞台に繰り広げられるアメリカ軍vsナチス・ドイツ軍の戦いを、ジャスティン・リー監督が描いた2018年製作のアメリカの戦争アクションドラマ映画、『ブレイブ・ソルジャーズ ヒュルトゲンの戦い』。
ナチス・ドイツ軍の捕虜として囚われた米軍兵士たちが、ナチスの一瞬の隙を突き、広大な森林の中で脱走劇を繰り広げていく姿とは、具体的にどんな内容だったのでしょうか。
ヒュルトゲンの森を舞台に、命懸けでナチスを撃とうとした米軍兵士の激闘を描いた、アメリカの戦争アクションドラマ映画『ブレイブ・ソルジャーズ ヒュルトゲンの戦い』のネタバレあらすじと作品情報をご紹介いたします。
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CONTENTS
映画『ブレイブ・ソルジャーズ ヒュルトゲンの森』の作品情報
【公開】
2018年(アメリカ映画)
【監督・脚本】
ジャスティン・リー
【キャスト】
エイダン・ブリストウ、マシュー・ジェームズ・マッカーシー、コービン・バーンセン、ジョニー・メスナー、ララ・トーマス・デュセイ、ケイト・コンウェイ
【作品概要】
『キル バード 森に潜む反逆者』(2020)の作品編集に携わった、ジャスティン・リーが監督・脚本を手掛けた、アメリカの戦争アクションドラマ作品です。
「メジャーリーグ」シリーズや『マネークラッシュ』(1997)、『キスキス,バンバン』(2005)などに出演するコービン・バーンセンが、主演を務めています。
映画『ブレイブ・ソルジャーズ ヒュルトゲンの森』のあらすじとネタバレ
1944年12月、ドイツとベルギーの国境。補給不足によって戦力が低下し、ナチス・ドイツ軍に打倒すべく連合軍に参加したアメリカ軍は、苦戦を強いられていました。
連合国とナチス・ドイツ軍の戦場となったのは、ドイツとベルギーの国境にある「ヒュルトゲンの森」です。
「ヒュルトゲンの森」とは、130平方キロに及ぶ密林地帯で、難攻不落の地でした。
さらにその森は、雨天と骨と魂に刺さるような寒い冬を迎え、冷たすぎる空気で体が温まりません。
それはまるで、ヒュルトゲンの森全体が、米軍とナチス・ドイツ軍の兵士を含む生き物全てを、敵視しているようでした。
こうしたこともあってか、米軍兵士にとってヒュルトゲンの森は、まさに「死の森」といえるでしょう。
そんな身も凍る寒い冬のヒュルトゲンの森の中、ナチス・ドイツ軍の捕虜として囚われてしまった米軍兵士たちが、強制的に歩かされていました。
その米軍兵士たちは、グレッグ・ファルコン軍曹率いるレンジャー部隊の5人です。
ファルコン軍曹は友人のマイケル・ボストン、ゴールドマンらレンジャー部隊と共に、ナチス・ドイツ兵4人に所持品や武器を奪われ、冷たい森の中で墓穴を掘るよう命じられます。
唯一持つことを許されたのは、墓穴を掘るように使うスコップだけです。
ファルコン軍曹たちは黙々と墓穴を掘る作業をしながら、ナチス・ドイツ兵4人に英語が通じないことをいいことに、脱走する計画を企てました。
ところが、ナチス・ドイツ兵4人は英語が分からないながらも、ファルコン軍曹たちが何かを企んでいることに気がついたのでしょう。
ナチス・ドイツ兵4人は作業を中断させ、ファルコン軍曹たちに膝をつかせます。
その直後、ファルコン軍曹の仲間の1人を銃殺、もう1人を首を掻っ切って殺したのです。
これに怒ったファルコン軍曹が雄たけびを上げ、一瞬ナチス・ドイツ兵4人が怯んだ隙を突いて、ファルコン軍曹・マイケル・ゴールドマンが反撃に転じ、敵4人を殺します。
しかしその揉み合いの末、ゴールドマンが重傷を負ってしまうのです。マイケルが彼を担いで、その前をファルコン軍曹が先行する形で、近くの米軍の救護所へ向かいました。
米軍の救護所に到着後。銃創3ヶ所、胸に2発貫通、肺に血がたまっていたほどの重傷を負ったゴールドマンは衛星兵に治療されましたが、懸命な治療もむなしく死んでしまいます。
一気に友と仲間を3人も失ってしまったことと、劣勢を強いられている絶望的な戦況を思い、絶望し悲嘆にくれるファルコン軍曹とマイケル。
そんな彼らに声をかけ、励ましてくれたのは、ゴールドマンを治療した女性衛生兵のジャッキーとロレーヌでした。
ファルコン軍曹たちに補給食を渡し、一緒に食事をとりながら、ジャッキーたちはこう言いました。
「誤った思想を持つ悪魔が、世界に入り込んできた」「だから私たちは男も女も関係なく、彼らと戦うしかない」
「人類のために、世界を守るの。より良い世界に変えられなければ、今までの苦労が全て無駄になってしまう」
「それこそ終わり、人類の負けよ」
そう話すジャッキーたちもまた、補給線が絶たれてしまったことにより、兵士たちへの補給物資はおろか、医療物資も不足してしまったことで危機に陥っていました。
まさに補給物資を絶やして殲滅しようとする、敵の思惑通りに事が進んでしまったのです。
ファルコン軍曹たちは、ジャッキーたちと話したことで少し元気を取り戻し、新たにレンジャー部隊に転属してきた兵士アーチャーと共に、彼が持ってきてくれた補給物資と武器を手に戦う覚悟を決めました。
もうナチスの旗が歴史書でしか見ない日が来るように、そこに「自由が独裁に勝った」と書かれるように…。
ファルコン軍曹はその後、自身の母親へ1通の手紙を書き記していました。
「今戦っている敵のナチス・ドイツ軍は防御を固め、徹底抗戦の構えだ」
「敵は凶暴でまるで怪物のよう。どうして同じ人間に、こうも憎しみを抱けるのか?」
「どうか祈って。レンジャー部隊のために、俺のために」「全員が健康で無事に帰還できるように」
そう書き綴ったファルコン軍曹の元へ、近づき声をかけたのはマイケル。彼は家族に心配させないよう、敢えて手紙を送らないことにしていました。
ファルコン軍曹たちが他愛もない話をしていると、突如付近の敵の砲撃隊から、迫撃砲が撃たれ、救護所に襲い掛かってきます。
ファルコン軍曹たちは咄嗟に地面に寝そべり、迫撃砲を回避しながら発射地点を探り当て、辺りに立ち込める白煙に紛れてその場所へ向かいました。
ファルコン軍曹たちは砲撃隊3人を殺し、救護所へ帰還したのですが、敵の砲撃によって救護所は壊滅。ジャッキーやロレーヌ以外の衛星兵に死傷者が出てしまっていたのです。
映画『ブレイブ・ソルジャーズ ヒュルトゲンの森』の感想と評価
1944年の第二次世界大戦後期。ヒュルトゲンの森の中で、連合軍と共に戦うアメリカ軍が、森に潜むナチス・ドイツ軍と戦う物語でした。
漠然と強い印象があるアメリカ軍でも、敵のナチス・ドイツ軍の策略か、補給線を絶たれて大ピンチに陥ってしまうのです。
そんなアメリカ軍の意外な一面に驚きますが、それでもなお諦めず、仲間のために国のために戦ったファルコン軍曹たちの勇姿こそ最高の見どころとなっています。
ナチス・ドイツ軍も長引く戦争の中、徐々に戦力を失われているとはいえ、劣勢を強いられたアメリカ軍よりも、機関銃を持った兵士や狙撃手など強敵がまだ沢山いるのです。
給油所にも当然、その敵は多くいる可能性があるにも関わらず、仲間を無事後退させるために足止めしようと名乗り出たレンジャー部隊。
ファルコン軍曹・マイケル・アーチャーの3人だけで、敵地へ向かう場面や戦う場面は、もう終始ハラハラドキドキするスリルが味わえます。
早くもアーチャーが、ナチス・ドイツ兵の狙撃手にやられてしまったのは残念でしたが、彼の分も奮闘するファルコン軍曹たちの戦いは凄まじいものばかりです。
目的地の給油所制圧のみならず、給油所にいたナチス・ドイツ兵を複数人殺し、道中遭遇した敵も撃破。
その快挙は素晴らしく、ファルコン軍曹たちが繰り広げる銃撃戦と、「死の森」とまで言われたヒュルトゲンの森の中でする生死をかけた追いかけっこは、戦争アクション映画好きには興奮してたまらないことでしょう。
まとめ
補給不足により戦力が低下し、劣勢を強いられたアメリカ軍兵士が、最後まで諦めずナチス・ドイツ軍とヒュルトゲンの森で戦った、アメリカの戦争アクションドラマ作品でした。
アーチャーや物語の序盤に登場するレンジャー部隊3人の死は、あまりにも突然で悲しい事だったため、思わず言葉を失いました。
最後に残ったファルコン軍曹とマイケルの、最高の相棒コンビだけでも生き残って欲しかったのですが、残念ながらマイケルは帰還する前に命を落としてしまうのです。
マイケルが死ぬ瞬間の、彼とファルコン軍曹の最期の会話は、あまりにも辛く悲しいので、観ている人は全員号泣することでしょう。
ファルコン軍曹ももうだめかと思われた時の、コービン・バーンセン演じる米軍のアームストロング大佐の登場する場面。
アクション映画の大どんでん返しが好きな人には、思わず声を上げてしまうほど格好良く、大興奮します。
劣勢を強いられた米軍が、最後まで国のため仲間のために戦う戦争アクション映画が観たい人に、とてもオススメな作品です。