連載コラム「邦画特撮大全」第82章
今回の邦画特撮大全は、2021年2月20日(土)に劇場公開を迎えた『スーパー戦隊MOVIEレンジャー2021』から、『魔進戦隊キラメイジャーTHE MOVIE ビー・バップ・ドリーム』を紹介します。
シリアスな展開が続く終盤戦に突入したTVシリーズも、ついに2021年2月28日(日)に最終回を迎える『魔進戦隊キラメイジャー』。
そんなTVシリーズとは対称的に、本作『魔進戦隊キラメイジャーTHE MOVIE ビー・バップ・ドリーム』は楽しい娯楽編となっています。
CONTENTS
映画『魔進戦隊キラメイジャーTHE MOVIE ビー・バップ・ドリーム』の作品情報
【公開】
2021年(日本映画)
【原作】
八手三郎
【監督】
山口恭平
【脚本】
荒川稔久
【キャスト】
小宮璃央、木原瑠生、新條由芽、水石亜飛夢、工藤美桜、庄司浩平、古坂大魔王、水瀬いのり、鈴村健一、岩田光央、赤羽根健治、大河元気、長久友紀、吉野裕行、杉田智和、中村悠一、高戸靖広、桑島法子、緒方恵美、壇蜜
【作品概要】
現在放送中のスーパー戦隊シリーズ第44作『魔進戦隊キラメイジャー』の劇場版。監督は『魔進戦隊キラメイジャー』TVシリーズのメイン監督で、『仮面ライダー平成ジェネレーションズFOREVER』(2018)の山口恭平。また脚本もTVシリーズのメイン脚本家であり、これまで数多くのスーパー戦隊シリーズに参加してきた荒川稔久が務めています。
キャストは小宮璃央、木原瑠生、鈴村健一らレギュラーキャストが総出演。ゲストの敵キャラクター・ミンジョにはTV・映画・バラエティと多方面で活躍する壇蜜。ドリームストーンの声にはアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』(1995)の主人公・碇シンジ役で知られる緒方恵美。
同時上映は『機界戦隊ゼンカイジャーTHE MOVIE 赤い戦い!オール戦隊大集会』と『騎士竜戦隊リュウソウジャー特別篇 メモリー・オブ・ソウルメイツ』。
映画『魔進戦隊キラメイジャーTHE MOVIE ビー・バップ・ドリーム』のあらすじネタバレ
浜に打ち上げられた熱田充瑠/キラメイレッドと射水為朝/キラメイイエロー、その相棒の魔進ファイヤと魔進ショベロー。
2人と2体は、ヨドン軍の魔女ミンジョが“ドリームストーン”に呪いをかけて作り上げた夢の世界“ユメーリア”へ閉じ込められていたのです。
悪夢から抜け出そうと画策する2人の前に、「ユメはわるくない」という砂の文字、そして白い服の少女が現れます。2人と2体はこの夢の世界の主と思しき、少女を追いかけます。
一方、現実世界にいるキラメイジャーたち。クリスタリア宝路/キラメイシルバーや多くの民間人も夢の世界に囚われていました。
人々を救うには、ドリームストーンの在処を探さなければいけません。
手掛りを探すため、マブシーナは夢の中へ。押切時雨/キラメイブルー、速見瀬奈/キラメイグリーン、大治小夜/キラメイピンクは、いざという時のため、眠らずにマブシーナと意識を繋ぐことによってユメーリアへと旅立ちます。
4人の前に現れたミンジョは夢の世界を自在に操り、瀬奈を射的の人形に、時雨の頭にかき氷器をはめ、小さくした小夜を金魚すくいの中へ放り込み苦しめるのでした。
映画『魔進戦隊キラメイジャーTHE MOVIE ビー・バップ・ドリーム』の感想と評価
TVシリーズがシリアスな終盤戦からついに2021年2月28日(日)に最終回を迎える一方で、さまざまな楽しい要素を取り込んだ「お祭り」作品となっている劇場版映画『魔進戦隊キラメイジャーTHE MOVIE ビー・バップ・ドリーム』。ロケ地やアクションも劇場作品用にスケールアップしています。
物語の舞台が「夢の中」ということもあり、キラメイジャーたちはさまざまな場所を移動します。充瑠と為朝が打ち上げられた砂浜、マブシーナたちが最初に辿り着いた縁日、戦闘シーンの崖など、スクリーン映えのする場所が選定されています。
さらにシリーズ序盤で敵によって滅ぼされたはずのクリスタリア宮殿、敵の本拠地ヨドンヘイムなど、「夢」という設定を最大限に活かし、普段はキラメイジャーたちが行くことのできない舞台も登場しました。
そして登場人物の衣裳も、TVシリーズではなかなか見られないものが数多く登場します。瀬奈と小夜の浴衣、時雨のハッピ姿、マブシーナと瀬奈のウェディングドレス、さらに充瑠の寝巻など、登場人物の思わぬコスチュームチェンジも見どころです。
アクション面では、中盤のレッド&イエローのVSミンジョ戦。ここではTVシリーズ以上にナパーム爆発が全面に押し出されています。
そしてクライマックスの巨大ロボ戦の舞台も、TVシリーズのようなビルが立ち並ぶ市街地ではなく臨海部の工場地帯であり、戦う時間も昼ではなく夜。夜の闇の中で工場の光がきらめく中の巨大ロボ戦は、「夢」という作品のテーマに相応しい幻想的な映像に仕上がっていました。
まとめ
『魔進戦隊キラメイジャーTHE MOVIE ビー・バップ・ドリーム』は、39分の短い上映時間に登場人物たちの見せ場や普段と違う魅力、ファンが楽しめる要素を凝縮させ、スクリーン映えのする映像で魅せた「お祭り」のような映画となっています。
次回の邦画特撮大全は…
次回の邦画特撮大全も引き続き『スーパー戦隊MOVIEレンジャー2021』から、『機界戦隊ゼンカイジャーTHE MOVIE 赤い戦い!オール戦隊大集会!!』を紹介します。お楽しみに。