2020年の映画おすすめランキングベスト5
選者:シネマダイバー糸魚川悟
2020年は新型コロナウイルスの影響により、映画業界にとっても厳しい1年となりました。
『ムーラン』や『ソウルフル・ワールド』のように映画館で公開されなかった映画や、『ブラック・ウィドウ』や『ナイル殺人事件』のように公開が大幅に延期になった作品もあり、特に映画館は大きな打撃を受けました。
しかし、そうした中でも「映画」は止まることなく進み続けました。今回はそんな2020年の公開映画の中から、特に心動かされた作品を5作選出させていただきました。
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CONTENTS
第5位『映像研には手を出すな!』
【おすすめポイント】
同名漫画を原作とした実写ドラマの続編となる『映像研には手を出すな!』は、アニメ製作や鑑賞の「楽しさ」を全編から感じることの出来る映画でした。
物語製作における設定の重要さや、リアリティと浪漫はどちらを重要視すべきなのかと言う「SF」作品の命題を中心とした論戦や語りは、「SF」が好きな人ほど頷きながらみてしまうような面白さがありました。
第4位『ホーンテッド 世界一怖いお化け屋敷』
【おすすめポイント】
「ジェットコースタームービー」と呼ばれる映画は多々あれど、なかなか存在しない「お化け屋敷」のような映画。
殺人鬼たちの経営するお化け屋敷に迷い込んだ若者たちの恐怖と脱出劇を描いた『ホーンテッド 世界一怖いお化け屋敷』は、まさにお化け屋敷を映像化したような作品でした。
人を殺すために作られた悪意満載の「お化け屋敷」による先の読めない「恐怖」と、相手が人間だからこそ立ち向かうことの出来る「熱さ」。「お化け屋敷」に入場後は息もつかせぬ恐怖と不安が包み込む、正統派スラッシャー映画の2020年の傑作と呼べる映画でした。
第3位『TENET』
【おすすめポイント】
「時間逆行」をテーマにコロナ禍真っ只中の映画館で久々に公開された大作SF映画『TENET』。
クリストファー・ノーラン監督作品らしい、全く新しい映像体験を味わうことの出来る本作は、時間の進行方向が逐一変化するため物語が難解ではありましたが、それゆえに自分なりの解釈や結論を見つける喜びも存在していました。
常に映画業界に革命を起こし続けるノーラン監督の革新的な演出に度肝を抜かれる作品です。
第2位『ミッドサマー』
【おすすめポイント】
生まれ育った環境の違いを乗り越えるためには「価値観の違いを許容すること」が大事だと言われています。しかし、いくら「価値観の違い」と言う言葉でまとめても他者からすると狂気にしか見えない物事も多くあります。
アリ・アスター監督の『ミッドサマー』は明るい映像で、価値観の違いによる狂気を嫌になるほど映し出していました。
暖かな色彩とは真逆の不穏で不快な物語を描く斬新な本作は、滅多に感じることの出来ない感情を内に生み出す狂気の作品です。
第1位『ビルとテッドの時空旅行 音楽で世界を救え』
【おすすめポイント】
無名だった俳優キアヌ・リーヴスが名を知られるきっかけとなったコメディドラマ「ビルとテッド」シリーズ。劇場版としておよそ29年ぶりとなる第3作目『ビルとテッドの時空旅行 音楽で世界を救え』は、世界各国で配信での公開となる中で日本では劇場公開されました。
緩い雰囲気の掛け合いは健在ながら、「音楽が世界を救う」を馬鹿正直に描いた本作は絵空事と分かっているのに抗えない感動を与えられます。
世界が協力し1つとならなければいけない現状だからこそ心に響く力強さを持った作品でした。
2020年注目の監督とキャスト
監督賞:外崎春雄
男優賞:ロバート・パティンソン
女優賞:ブリジット・ランディ=ペイン
【コメント】
2020年、人々が映画館に足を運ぶ機会を作ってくれた『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』に感謝を捧げないわけにはいきません。「原作漫画の最人気エピソード」「大人気アニメの続編劇場版」と言う高すぎるハードルを見事にクリアした外崎春雄の手腕は見事の一言につきます。
主演映画こそなかったものの、『TENET』での主人公の良き相棒役としての爽やかさ、『悪魔はいつもそこに』での下衆な牧師役を見事に演じ、俳優としての魅力をさらに引き上げたロバート・パティンソンに男優賞を。2022年公開予定の主演映画『ザ・バットマン』にも期待大です。
女優賞には『ビルとテッドの時空旅行 音楽で世界を救え』でキアヌ・リーヴス演じるテッドの娘を演じたブリジット・ランディ=ペインを選出。ドラマ「ユニークライフ」での演技で注目を集める彼女は、29年前にテッドを演じたキアヌ・リーヴスの演技の癖を自身の演技に組み込み、まるで29年前のテッドを見ているかのような感覚を受ける衝撃の演技を見せてくれました。
まとめ
2020年は、様々な業界にとって我慢の年となりました。それは映画業界も例外ではなく、撮影の中断や劇場公開の延期、そして配信への転向など重大な決断が必要となり、その決断の度にさまざまな賛否の声が業界内を駆け抜けました。
しかし、他者との交流が減ったからこそエンタメのありがたみをより深く感じる年であったことも事実です。
そうした「ありがたみ」を通じて、エンタメの在り方、映画の在り方を改めて考えることができた2020年を経て、果たして2021年は映画業界にとってどのような年となるのか。止まることのない映画の変化と発展が訪れることを願うばかりです。
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