連載コラム「未体験ゾーンの映画たち2020【延長戦】見破録」第11回
世界のあらゆるジャンルの映画から、佳作からヤバい作品まで紹介する、劇場発の映画祭「未体験ゾーンの映画たち2020【延長戦】見破録」。第11回で紹介するのは『VETERAN ヴェテラン』。
“Veterans Foreign Wars(海外戦役従軍軍人クラブ)”略してVFWに、退役軍人のジイさんたちが集まり、今夜も昔話に花が咲きました。
ジイさんたちが「近頃の若いモンは…」とボヤくのも当然。この街は麻薬常習者があふれ、犯罪組織と治安機関が戦いを繰り広げる交戦地帯となっていたのです。
その退役軍人たちが、ジャンキー集団がバトルを繰り広げる!シルヴェスター・スタローンのランボーだって、ベトナム戦争帰りで今だ現役。年寄りをナメた奴らは返り討ち!「三匹のおっさん」どころの騒ぎではない、過激な世直しバトル映画の誕生です。
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CONTENTS
映画『VETERAN ヴェテラン』の作品情報
【日本公開】
2020年(アメリカ映画)
【原題】
VFW
【監督】
ジョー・ベゴス
【キャスト】
スティーヴン・ラング、ウィリアム・サドラー、マーティン・コーブ、デビッド・パトリック・ケリー、シエラ・マコーミック、ジョージ・ウェント、トム・ウィリアムソン、トラビス・ハマー、フレッド・ウィリアムソン
【作品概要】
VFWにたむろしていた老いた退役軍人と、犯罪者集団との過激な攻防劇を描いた、打撃系バイオレンス・アクション映画です。SFホラー映画『人間まがい』(2013)と『マインズ・アイ』(2015)の、過激なバイオレンス描写で注目を集めた、ジョー・ベゴス監督作品です。
出演は『ドント・ブリーズ』(2016)の危ないジジイに、『アバター』(2009)の戦争狂傭兵隊長を演じたスティーヴン・ラングら、実に貫禄ある面々。2019年ブルックリン・ホラー映画祭で観客賞と、過激なジイさんたちを演じた俳優たち全員に最優秀男優賞が与えられた作品です。
映画『VETERAN ヴェテラン』のあらすじとネタバレ
アメリカでは麻薬系鎮痛剤オピオイド危機の後、”ハイプ”と呼ばれるドラッグに溺れる常用者が街にあふれました。彼らは”ハイプ”を得るためには、手段を選ばぬ行動に出ます。
その結果都市は交戦地帯と化し、犯罪者がたむろする無政府状態に陥っていました。
金曜日、午後12時20分。ある都市の郊外に巣食う麻薬組織のボスの下に、男が間もなく暴動になると駆け込んできます。騒ぎ立てる男の頭に、ナタを叩き込む女ギャングのガーター。
組織のリーダー、ボズ(トラビス・ハマー)は廃映画館の上階に立っていました。眼下には無数のジャンキーがたむろしています。
手下で実弟のローディーに、所持する大量の”ハイプ”を売り、18時間後にはこの場所を引き払うと伝えるボズ。そこに女が現れました。
女は麻薬を求めて現れた中毒者でした。うつろな目をした女の前で”ハイプ”を投げ棄て、欲しいなら取って来いと命ずるボズ。
悲鳴を上げ飛び降りた女が、墜落死する様をボズは冷酷に笑い見下ろします。
金曜日午後3時55分。老いた退役軍人のフレッド(スティーヴン・ラング)は、荒んだ街をピックアップトラックで走り抜けます。路上にはジャンキーたちが立っていました。
車のラジオは警察は頼りにならず、犯罪行為は自ら解決せねばならないと訴えます。
フレッドは1軒の家の前に車を停め、クラクションを鳴らします。現れた老いた黒人のエイブ(フレッド・ウィリアムソン)に兄弟と呼びかけ、車に乗せるフレッド。
2人はジャンキーが集まり騒ぐ廃映画館の隣にある、VFW(海外戦役従軍軍人クラブ)の看板がある酒場に向かいます。
酒場の敷地内には、古く無骨な軍用トラックが停めてあります。ホーキンスは相棒におめでとうと告げました。今日はフレッドの誕生日です。
車を停めたフレッドは、荷台で寝ていた男を叩き起こします。そこで寝ていたのは、彼らの仲間のウォルター(ウィリアム・サドラー)でした。
店に入ると、カウンターの中に入るフレッド。古いブラウン管テレビにつながれた、ビデオデッキに、VHSビデオを入れて再生します。
それは80年代風のレオタード姿の女が、エアロビクスをする古いビデオでした。これがカウンターに座るウォルターのお気に入りでした。
退役軍人たちが集まる、VFWの酒場はフレッドが経営しており共に戦った戦友たちが、我が家と呼んで集う場所でした。用意した酒を乾杯する3人。
その頃、隣の廃映画館に1人の女が入って行き、先程転落死した遺体に近づきました。その女リザード(シエラ・マコーミック)は、ボズを恨みのこもった目で見つめます。
金曜の午後6時30分。フレッドの酒場ことVFW支部第2494号に、多くの人々が集まります。スーツ姿のルー(マーティン・コーブ)は、エイブとウォルターに言葉をかけました。
中古車販売店を経営するルーは、誕生日の祝いに車を2%OFFで売ってやる、と自慢のセールストークで告げます。自分の誕生日が冗談のネタにされることを嫌がるフレッド。
大男のザブリスキー(ジョージ・ウェント)と、小柄なダグ(デビッド・パトリック・ケリー)も会話に加わり、フレッドは戦友たちにからかわれます。
その頃リザードは廃墟の中を歩き、ボズが金庫を置く部屋に迫っていました。
酒場ではウォルターが、俺たちは1969年には海外にいたと語り始めます。彼らの多くはベトナム戦争に従軍した退役軍人でした。
そこに軍服姿の、若い黒人兵が入ってきます。任地から自宅に戻る前に、ここがVFWの店と知って立ち寄ったショーン(トム・ウィリアムソン)を、老人たちは歓迎します。
ウォルターはショーンに、自分が19歳でベトナムに行った時の、フレッドとの出会いについて語ります。老人たちは何度も聞かされた話で盛り上がります。
自分は任期を終えるともう充分と感じたが、フレッドは平和な生活に耐えかね、結局5回従軍した、戦地でこそ生き生きする男だ、とショーンに教えるウォルター。
今日は戦地に慰問に来たときに眺めた、ミス1963年の娘の1人が、近くの店でポールダンスするとウォルターは告げ、誕生日プレゼントにそのチケットをフレッドに渡します。
店は早く閉めて、23時に皆でそれを見に行こうと言うウォルター。老人たちは下ネタで盛り上がりますが、いきなり店の電気が切れました。
隣の廃映画館では、暴動の影響かジャンキーが騒ぎ始めていました。ボズたちがいなくなった隙に、部屋に忍び込んだリザードは”ハイプ”の包みを全て奪いカバンに詰めます。
騒ぎが大きくなる前に、移動しようと決めたボズ。しかし戻ると”ハイプ”がありません。部屋に潜むリザードに気付き発砲しますが、彼女に逃げられました。
ダグは酒場の外の空気を吸っていました。フレッドは停電が直せず、今日の営業を諦めます。
一方ボズは廃墟内に放送を流し、麻薬中毒者たちにリザードがお前たちの大切なものを奪ったと告げ、彼女を殺した者には”ハイプ”をやる、と宣言します
女ギャングのガーターは、ボズが死なせた女はリザードの姉ルーシーだと教えます。イカレたジャンキーたちを兵隊にして、彼女を必ず殺して麻薬を奪い返すと言うボズ。
凶器を手にして追って来る、ジャンキーの群れからリザードは必死に逃げます。
酒場ではフレッドが最後の一杯を飲んだら、これでお開きだと宣言しますが、ウォルターは皆でポールダンスを見に行こうと、今も説得していました。
ウォルターは若いショーンにも一緒に行こうと誘いますが、彼は妻子がいると断ります。
外にいたダグは、隣の廃映画館の騒ぎに気付きました。それを仲間に伝えようとした時に、酒場に逃げ込んで来るリザード。
続いて入って来た男に斬りつけられたダグは、深い傷を負わされ悲鳴を上げます。フレッドはショットガンを発砲し1人を射殺し、残りを追い返しました。
男たちはダグをカウンターの上に横たえました。さらに多くのジャンキーが入ってきますが、その体にフレッドは斧を叩き込み、ウォルターは倒した相手の顔を踏み潰します。
裏口を閉めてくれと、フレッドはショーンに指示しました。さらに多くの麻薬中毒者たちが押し寄せてきます。扉をこじ開けようと伸びてきた腕に、斧を振り下ろすフレッド。
酒場に立てこもる事に成功したフレッドたち。ウォルターはわめき散らすルーを怒鳴り、負傷したダグの応急処置をします。
ザブリスキーは車を取ってくると言い外に出ます。しかし女ギャングのガーターに斬りつけられ、そして無数のジャンキーに襲われました。
フレッドはショットガンを発砲します。ガーターは挑発するように彼に剣を向けると去って行きました。仲間にザブリスキーの死を告げるフレッド。
ルーは冷静さを失い、ストリップバーに行くはずが暴徒に包囲され、まるでベトナム戦争のケサン攻防戦のような有様だと叫びます。
ウォルターは彼を叱りつけて落ち着かせますが、同時に負傷したダグが危険で、すぐに病院に向かう必要があるとフレッドに訴えました。
フレッドは戦場にいた時のように指示を出し、エイブに止血する布を探させ、皆にバリケードを気築かせて、非常用発電機を動かし襲撃に備えます。
ウォルターは2人になると、逃げ込んだ娘を引き渡せば解決するのでは、と相談します。それにお前は本当にそんな奴なのか、と告げるフレッド。
フレッドはウォルターに援護されて外に出て、ザブリスキーの死を確認し車に向かいます。
車に乗り込んだフレッドは、そこでガーターに襲われます。彼女からあれを返せ、と迫られますが、彼には何の話か理解出来ません。
ガーターから逃れたフレッドに男が襲いかかりますが、ウォルターがショットガンで射殺します。しかしジャンキーは無数にいます。
現れたショーンが拳銃で次々敵を射殺し援護しますが、走って迫る暴徒の前に、フレッドたちは酒場に戻るしかありません。
ショーンの腕前に感謝する2人に、彼は自分は第75レンジャー連隊所属だと告げます。この若い兵士がすっかり気に入ったフレッドとウォルター。
そしてフレッドは逃げてきたエリザベス、通称リザードに事情を尋ねます。外で女に襲われた時に、あれを返せと言われました。それが何か知りたかったのです。
何も答えないリザードに怒り、彼女を引き倒したルーをフレッドが殴ります。ルーに落ち着くよう言い聞かせ、謝ると出血した彼を洗面所に向かわせたフレッド。
その頃ガーターは、ボズに酒場の1人を殺したと告げていました。もう1人の腹心、大男のタンクは仲間のローディーは殺されたと報告します。
洗面所に入ったルーは、トイレの水が流れないと気付きます。貯水槽のふたを外して、中にカバンが隠してあると気付いたルー。
彼はカバンを持ち戻ります。中には”ハイプ”の包みが幾つも入っていました。とんでもない値で取引されるこの薬物が、外の連中の狙いと悟りました。
リザードはボズが自分の姉、ルーシーを殺したと告げ、その復讐に彼が持つ”ハイプ”を全て奪ったと説明します。
ルーはこれを外の連中に引き渡せば、全て解決できると提案しますが、リザードは今まで争いで、ボズの実の弟のローディーを殺したと告げました。
相手がVFWの退役軍人なら、死ぬのは得意だろうとうそぶくボズ。その彼の弟を殺した以上、子や孫やその先の代まで、彼が殺すと説明するリザード。
やっかい事を持ち込んだリザードをルーは責めますが、フレッドはお前も皆も、良い兵士だったと告げると、自分の指示に従うよう求めます。
アラモのように、立てこもって戦おうと言うウォルターに、アラモの守備隊は全滅したと告げるエイブ。その話を聞いて、重傷のダグも覚悟を決めました。
フレッドが銃の残弾を確認すると、心細いものでした。彼は工具箱を出して武器になりそうなものを探します。彼らは手製の手榴弾を作り、棒に釘を打ち付け、トラップを用意します。
覚悟を決め準備する男たち。リザードはこの酒場はどういう場所かフレッドに訊ねました。
ここはVFW支部第2494号、つまり俺たち退役軍人の家だと答えるフレッド。
自分たちはベトナムの泥の中で闘ったと、フレッドは教えます。さらに年上のエイブは朝鮮の凍りついた大地で、若いショーンは砂漠で戦い帰って来た、と続けます。
どこで戦ったかは関係ない、そしてこの場所に、俺たちの家が生まれたと彼女に告げました。
やがてジャンキーたちが、群れをなし酒場に押し寄せてきました。中の男たちは敵は突入してくれば勝機はあると、覚悟を決め武器を手にして持ち受けます…。
映画『VETERAN ヴェテラン』の感想と評価
参考映像:『Bliss』(2019)
インディーズホラー映画の監督として、世界中に熱狂的な信者を獲得しているジョー・ベゴス。その数は確実に広がり続けています。
その特徴は80年代のスラッシャー映画に影響を受けた、徹底した暴力描写。そのスタイルは「スパっと切断系」でも「中身見せますグロテスク系」でもなく、「とっても痛そう打撃・粉砕系」と言うべき描写の数々です(あくまで個人の見解による、趣味の悪い区分です)。
仲間たちと作り上げる、インディーズな環境で生まれたSFホラー『人間まがい』(2013)の暴力描写で注目を集め、次作のサイキック・ホラー『マインズ・アイ』(2015)でより過激に発展、映像は闇とネオンのような色彩をまとうスタイルに進化します。
仲間たちと製作するスタイルで映画で映画を作り続けるベゴス監督ですが、その才能は早くから注目を集めました。その1人がプロデューサーのダラス・ソニエでした。
彼はB級映画製作を映画製作会社を持つだけでなく、2018年から世界的に有名はSF・ホラー映画専門誌「Fangoria」を自社の支配下に収めた人物です。
『人間まがい』で彼に注目したダラス・ソニエは、ぜひ自分と映画を作ろうと言い続け、それが『VETERAN ヴェテラン』として実を結びました。本作はベゴス監督にとって、他のプロデューサーの下で、他人の脚本の映画を作る初の経験となりました。
一方本作と同時期にベゴス監督が発表した『Bliss』は、従来同様に、昔からの仲間たちと作った作品です。低予算ながら彼の個性が発揮された作品で、これも注目を集めました。
インディーズホラー映画の作り方
自作映画の脚本は自ら書き、その段階で各シーンの撮影現場をイメージし、どのような照明で映像を作うか考え、その結果思い悩むことなく、自作の撮影に臨んでいたベゴス監督。
そんな彼にとって、他人の脚本を映画化する作業は困難を伴うものでした。しかしそれは自分の課題であり、ジョン・カーペンターやマイケル・マン監督も、他人の脚本を映画化した傑作があると意識した上で、今回の作品に望んだと話しています。
しかし彼には出演だけでなく編集を担当するジョシュ・イーザーらのスタッフ、グラハム・スキッパーら常連俳優など、長らく仕事をした仲間がおり、彼らも本作に参加してくれました。
自身の製作会社の仲間を、バンドのように考えるベゴス監督。自分はバンドのリーダーだが、同じ方向を目指す仲間と組んでいる。映画は私たちのバンドのアルバムであり、これからも独自の映画を生み出すバンド、映画製作の仲間を維持したいと話しています。
こうして作られた『VETERAN ヴェテラン』には、従来の作品のSF色はありません。
本作にも過激な暴力描写と、『マインズ・アイ』で生まれた、初期ブライアン・デ・パルマ監督作品のような映像、テンポの良いカット割りが見せるリズムは健在です。
折角の「とっても痛そう打撃・粉砕系」の描写を、明るい画面でじっくり見たい、という方には少々不満が残るかもしれません。
しかしこれがベゴス流の映画。ロック音楽のように軽快に、次々見せる人体破壊の数々をお楽しみ下さい。残酷な描写は嫌ですか?この映画、苦手な人はそもそも近寄らないですよ。
この顔ぶれは「エクスペンダブルズ」越え!
従来のベゴス監督作品より、大きな規模のバイオレンス・アクション映画となった本作。その出演陣に、アクション・B級映画ファンは大興奮です。
主演のスティーヴン・ラングも凄いですが、ウィリアム・サドラーと言えば”史上最悪の胸糞映画”と評判の映画『ミスト』(2007)で、狂信的なババアに扇動され凶行に走る、危ないジジイを演じた人、といえば顔を思い出すでしょう。
『ベスト・キッド』(1984)シリーズの悪役、そして80年代にB級アクション映画に主演しまくって有名なマーティン・コーヴは、今もネタにされるトンデモ邦題映画『ランボー者』(1987)の名と共に、永遠に記憶されるであろう俳優です。
デヴィッド・パトリック・ケリーは数々の出演作より、『コマンドー』(1985)でシュワルツェネッガーに片腕で逆さ吊りにされ、「お前は最後に殺すと約束したな、あれは嘘だ」の名セリフと共に、あっさり始末された小悪党として有名です。
ドラマ「チアーズ」や「サタデー・ナイト・ライブ」で有名な、ジョージ・ウェントは少し毛色が違う俳優ですが、お化け屋敷ホラー・コメディ映画『ガバリン』(1986)で大暴れしています。
そして元アメフト選手にして空手家、70年代のブラック・エクスプロイテーション映画の大スターで、80年代はイタリア製B級アクション映画に出まくった伝説の男、フレッド・ウィリアムソン!
この顔ぶれに、B級アクション映画ファンは感極まるでしょう。よく判らない人は、引退しても今だ記憶に残る、人気プロレスラーが集合したようなものと思って下さい。
特に『ビルとテッドの地獄旅行』(1991)、「ビルとテッド」シリーズ最新作『Bill & Ted Face the Music(原題)』(2020)に出演の、シャレの判る男ウィリアム・サドラーの、嬉々として危ない物を振り回す姿は必見、人間は歳を取っても、かくありたいものです。
ところで本作のプロデューサーの1人、インディーズ映画製作で著名な人物が、常習的にセクハラ行為を行った、と追求される騒動が起きました。
その過程で本作のフレッド・ウィリアムソンにも、女性スタッフに対するセクハラ言動があったと疑われ、本人やプロデューサーのダラス・ソニエが釈明する事態が起きました。
大ベテラン俳優とはいえ、時代は変わりましたから、言動は注意して頂かないと…。ジョー・ベゴス監督にとって他人と映画を作る方が、自作の内容以上におっかない経験かもしれません。
まとめ
参考映像:ジョシュ・イーザー監督作『Gutter』(2018)
爺さん連中による、「とっても痛そう打撃・粉砕系」バイオレンス映画『VETERAN ヴェテラン』、こんな映画が好きな人には堪らない作品です。
全ての勇敢なアメリカ軍兵士と、VFW支部第2494号を我が家と呼ぶ人々に捧げられた本作。ベトナム帰りも充分お歳ですが、朝鮮戦争帰りが参戦するのは…パラレルワールドのお話でしょうか。
なお、組織としてのVFWは退役軍人の互助組織として機能していますが、本作のようなVFWから認定された酒場、米退役軍人にサービスします、という店は日本の米軍基地近くにも存在します。
ジョー・ベゴス作品のファンは、安心して楽しめる本作。初めて見て気に入った方は監督の盟友、グラハム・スキッパー主演の『人間まがい』、『マインズ・アイ』もご覧下さい。
なおグラハム・スキッパーは本作のローディー役、本作の編集も行ったジョシュ・イーザーはタンク役で出演し、ジョー・ベゴス組の健在をアピールしてます。
カッコいいお姉さんであり、見事な死に様を見せてくれるガーター役のドーラ・マディソンは、『Bliss』の主演女優です。彼女にも注目して下さい。
他監督作品の編集者としても、実績を積み重ねるジョシュ・イーザー、彼も短編映画『Gutter』を発表しています。この作品もなるほど、ジョー・ベゴス組らしいテイストです。
という事で、今さらながら『Gutter』にも、閲覧注意なシーンもありますからご注意を。ベゴス映画ファンなら、どんなシーンか想像出来ますね。
次回の「未体験ゾーンの映画たち2020【延長戦】見破録」は…
次回の第12回は、女トランスポーター、オルガ・キュリレンコはバイクに乗って悪を討つ!ハイスピード・アクション映画『ザ・クーリエ』を紹介いたします。お楽しみに。
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