連載コラム「SF恐怖映画という名の観覧車」profile100
遂に当コラムも今回で100回目を迎えます。
新型コロナウイルスという新たなる人類に対する脅威の発生が映画やドラマ、アニメ界に大打撃を与える中、「映像配信サービス」が真価を発揮しています。
今回は未来の世界を描いた大人気SFアニメシリーズの最新シリーズであり、NETFLIX独占配信となった『攻殻機動隊SAC_2045 シーズン1』ネタバレあらすじを交えご紹介させていただきます。
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CONTENTS
アニメ『攻殻機動隊SAC_2045 シーズン1』の作品情報
【日本公開】
2020年(NETFLIX独占配信映画)
【監督】
神山健治、荒牧伸志
【キャスト】
田中敦子、大塚明夫、山寺宏一、阪脩、喜山茂雄、曽世海司、玉川砂記子
【作品概要】
2002年に放映され大人気となったアニメシリーズ「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」を手掛けた神山健治が、シリーズのオリジナルキャストを終結させた完全新作アニメ。
新たに『APPLESEED』(2004)など、士郎正宗原作の3DCGアニメを手掛けた荒牧伸志が監督として参加しました。
アニメ『攻殻機動隊SAC_2045 シーズン1』のあらすじとネタバレ
2045年、戦争特需を生むため大国が始めた利益のためのサスティナブルウォー(持続可能な戦争)は、全世界同時デフォルトを引き起こし戦争従事者以外の人間は莫大な損害を被り、暴動や略奪、内乱が絶えずサスティナブルウォーは文字通り長く続くことになります。
バトー、イシカワ、サイトーに新たなメンバーであるスタンダード(以下スタン)を加えた草薙素子率いる傭兵集団「GHOST」は、レイド(略奪行為)を行う武装集団の拘束依頼を受け紛争と内乱の絶えない米国に集結していました。
一方、公安9課の解体後、「GHOST」へ参加しなかったことで日本の警備会社に勤めることになったトグサは、治安の悪くなった日本で腑に落ちない想いを抱え生きていました。
ある事件の犯人を拘束した日、内務省に勤める元公安9課のリーダー荒巻からの連絡を受けたトグサは、数年ぶりに荒巻と会うことを決めます。
内務省を訪れたトグサは荒巻より、帝都総理が公安9課を再始動させようとしていることを知ります。
妻と離婚したことで危険な任務への参加を躊躇わなくなったトグサは再始動の話を快諾し、草薙素子を含むオリジナルメンバーの収集を荒巻に命じられます。
武装集団との交戦中、素人丸出しの武装集団の武装が豪華なことに違和感を覚えた草薙は、内通者から「親切な金持ち」と呼ばれるパトロンが武装集団に大量の武器を提供したと聞きます。
激戦の末、武装集団の使う最新鋭の戦闘ドローンを停止に追い込み武装集団を拘束することに成功した草薙たちでしたが、ドローンは搭載していたミサイルを裕福層の住む民家へと発射しており、それを待っていたかのようなタイミングで現れた米国の特殊部隊に投降を指示されます。
ジョン・スミスと名乗る男の指示に従い草薙たちは自立型AI戦車タチコマを付近に隠し投降しました。
草薙たちを探すトグサはダークウェブに侵入し傭兵部隊「GHOST」の情報を集め、彼女たちがロサンゼルスを拠点としたPMC(民間軍事会社)である「オブシディアン」に所属していることを知ります。
オブシディアンはPMCの中でも信頼度の高い企業であり、所属している傭兵への攻撃を躊躇う兵士もいるほどでした。
荒巻にそのことを報告し実際にオブシディアンを訪ねるべくロサンゼルスへ向かったトグサは、オブシディアンの社長から「GHOST」のメンバーが行方不明となったことを聞きます。
ロサンゼルスの街を見て回るトグサは、戦闘があったとされる場所が綺麗に後片付けをされていたことから「GHOST」を拉致した人間たちは想像以上に大きな存在であると確信し、戦闘現場で草薙たちが残していったタチコマと再会。
草薙たちが拉致される現場の映像を確認し、どの組織の所属員とも顔の一致しないジョン・スミスの存在を知ります。
敵の正体を知るため覚悟を決めたトグサはタチコマに自身の位置情報をリンクさせた上で、インターネット上にジョン・スミスの動画をアップロードするように命じます。
アップロードされたジョン・スミスの映像は恐るべき速度で削除され、トグサは何者かの追跡を受け始めます。
追手のエージェント2人を倒したトグサは現れたスミスから情報を聞き出します。
彼らがNSA(アメリカ国家安全保障局)の人間であることや、「GHOST」のメンバーが極秘の任務中であることをスミスから聞かされたトグサがスミスからこの件から手を引くようにと念を押されます。
荒巻にスミスから聞いた情報を共有すると荒巻は直ちに共に働いた経験があるNSAのエイダと連絡を取り、草薙たちの解放を求めますが強力な権限を持つエイダですらこの任務に手出しをすることが出来ず、恐らく上層部はこの任務の終了後に任務と草薙たちごと消すはずだと荒巻に伝えます。
この任務の中止を命じることが出来るのが大統領のみであると理解した荒巻は帝都総理と会談し大統領へ直訴するように懇願。
草薙素子の重要性を理解した帝都総理は承諾し、荒巻は大統領からの委任状を持ちアメリカへと向かいます。
そのころ、草薙たちはスミスの命じた救出作戦を実行に移し始めていました。
救出対象とは名ばかりでこの作戦は戦闘ドローンによりミサイルが撃ち込まれた邸宅に住むパトリック・ヒュージと言う兵器開発会社のCEOの拉致任務であり、ヒュージは武装集団に最新鋭の兵器を渡していた「親切な金持ち」であると疑われる人物でした。
ヒュージを生け捕りにし、自身たちの命の担保としようとする草薙たちは念のためタチコマに自身の位置情報のみを共有します。
タチコマから草薙の位置情報を取得したと聞いたトグサはタチコマに乗り込みすぐに草薙たちのもとへと出発。
イシカワの解析によりヒュージは自身の会社の資産を売却するために、武装集団を使いミサイルを撃ち込ませ死を偽装しようとしていたことが分かります。
草薙たちに捕捉され投降を促されたヒュージは従わずに反抗を試みます。
銃の弾が発射される前にその軌道を読み避けているような動きをするヒュージは近接戦闘を得意とする草薙とバトーですら捕らえることが出来ず、さらに自身の部屋に隠していた戦闘用アームドスーツにより草薙たちは窮地に陥ります。
しかし、駆け付けたタチコマとトグサによりヒュージは動きを封じられます。
その隙に草薙は電脳へと侵入しヒュージを完全に掌握しようとしますが、侵入中に異常を感じ即座にイシカワにヒュージを射殺させました。
ヒュージの射殺を確認し駆け付けたスミスは任務を失敗とし草薙たちを始末しようとしますが、現場に現れた荒巻が大統領の委任状をスミスに見せると始末を中止。
荒巻の奮闘によって公安9課として、大統領の要請のもとに任務へと参加できることになった草薙たち。
草薙は公安9課のオリジナルメンバーではないスタンに疑似記憶を植え付けた上で別れを告げると、スタンはその場を去っていきました。
公安9課のメンバーはこの場に至り、初めてスミスから今回の任務の裏側の話を聞くことになります。
アニメ『攻殻機動隊SAC_2045 シーズン1』の感想と評価
本作は数ある「攻殻機動隊」を原作としたアニメ作品の中でも、2002年に放映された「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX(以下SAC)」シリーズの正統続編という形になっています。
ですが、本作は「SAC」特有の設定は殆ど登場しないため、原作を含む「攻殻機動隊」作品を1つでも鑑賞したことがある人は物語に入りやすい作品でした。
大国が始めた戦争特需を得続けるためのサスティナブルウォー(持続可能な戦争)が続く2045年を舞台に起こる、新たなるテロとの戦いを描いた『攻殻機動隊SAC_2045 シーズン1』。
「攻殻機動隊」のメインとなる公安9課のメンバーはリーダーの草薙素子を始め、軍人や傭兵などの戦闘のエキスパートが殆どです。
しかし、そんなあらゆる分野のエキスパートたちが揃う中で元刑事であり子供もいる異質なメンバーのトグサと言う人気キャラは、戦闘も電脳戦(サイバー攻撃や防御を行うハッキングのようなもの)もプロ中のプロには一歩及ばないと言う登場人物であり、人気の高いキャラでありながらも作品として非常に扱いにくいキャラといえます。
本作はそんなトグサが「なぜ重宝されるのか」を精神面や能力面において充分に描いており、「攻殻機動隊」のアニメ作品の中で彼の魅力が一番に描かれているとすら感じるほどでした。
まとめ
ジョージ・オーウェルの小説『1984』をベースに描かれた『攻殻機動隊SAC_2045 シーズン1』。
物語はまだ未完であり、結末はシーズン2へと続く……という終わり方をする本作ですが、終盤の展開はシリーズ最新作としての期待に答える出来でありシーズン2が今から楽しみで仕方なくなる作品でした。
NETFLIX独占配信となる『攻殻機動隊SAC_2045 シーズン1』をこのゴールデンウィークに一気見してみてはいかがでしょうか。
次回の「SF恐怖映画という名の観覧車」は…
いかがでしたか。
次回のprofile101では、地球に襲い来る怪獣を食べるという異色の特撮映画『三大怪獣グルメ』(2020)の魅力をご紹介させていただきます。
5月6日(水)の掲載をお楽しみに!