以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『あゝ、荒野【第3話】』ネタバレ・結末の記載がございます。『あゝ、荒野【第3話】』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。
バリカンの父・二木建夫は自殺クラブが用意している隠れ家で生活を始めていました。
その隠れ家には他にも何人かの人たちが生活しています。
クラブの一人が、なぜ自死したいのかと聞くと建夫は「自分の健全な精神を支えられなくなったから」と答えます。
そこへ、以前街頭インタビューをした電力会社に勤める、福島というサラリーマンも隠れ家での生活を始めることになります。
いっそ死なせてほしいと言う福島に、メンバーはここは死ぬところではなく生きるところだといいます。
クラブのリーダー・川崎は、同じメンバーの恵子にドローンの攻撃や自爆テロは相手の顔が見えないからできるので、自死も自分の顔が見えたらできないのではのではと語ります。
弟の形見のドローンを前に、恵子は本当は川崎の弟は生きていると聞いたと言いますが、川崎は何かの間違いだと否定します。
いよいよ、新次とバリカンのデビュー戦が始まりました。
客席には宮本と秘書の君塚がいます。
最初はバリカンの試合ですが、緊張のあまりか防戦一方。強烈なカウンターパンチを入れれたものの、相手と猛攻にノックアウトされます。
しかしドクターが見ると、バリカンは気絶した“ふり”をしていただけでした。
この様子にトレーナーの馬場は激怒しますが、バリカン一人になると、拳を握り始めます。
次の新次の試合ですが、試合直前に、彼は客席の君塚を見つけると様子が変わります。
彼女は新次を捨てていった母親でした。
新次はたった一回目のパンチで相手をT.K.Oさせ、華々しいデビュー戦を飾ります。
宮本と君塚が控え室に挨拶にくるも、新次はバリカンと、応援生きていた芳子と早々に去っていきます。
「自殺クラブ」が用意した隠れ家は、常に監視カメラで川崎によって見られてます。
川崎は、建夫に今度行われる文化祭で行う『自殺防止フェス』に協力してもらうといいます。
バリカンは図書館に行き、吃音の本を探しますが、その時恵子と川崎を遠くから見つけます。
そして新次の次の対戦相手が決まり、隆二と同じジムに所属する男と分かると、狂気じみた闘志を燃やしはじめます。
新次は芳子の部屋に訪れると、そこでボクシングと芳子に対してだけは真摯に向き合って行きたいと告白します。
2人は体を重ねあいますが、突然、試合2週間前の片目との約束を思い出しました。
新次は芳子を連れて外に出ると、そこには新次の親分であった立花と、彼を障害者に追いやった隆二が自分の幼い子供を紹介しているところに遭遇し動揺します。
後日、新次がランニングをしていると、そこで裕二と出くわします。
彼は自分が立花に暴力を振るった理由に、どれだけ立花の元で働いても認めてもらえなかったといいます。
さらに立花は祐二を許したといいますが、新次はもう2人だけの問題だと声を荒げます。
新次はリングの上で祐二を潰すと宣言し、2人はそのまま去っていきました。
夜になり、いよいよ自殺クラブが開催する文化祭のステージが始まります。ステージはリアルタイムでネット配信されており、視聴者がどんどん増えていきます。
舞台には4人の男女が首に縄を巻いて立っており、川崎はステージに上がると、観客に向かって自死に対して違う角度で見ることにしたと説明します。
それは誰にも見られぬまま命を絶つ無意味な死から、人に投げかける意味のある死を遂げる必要性をうたうものでした。
街頭インタビューで集めた自死志願者たちですが、自ら首を吊るように促されても、皆何かにつけて理由をつけたり、怯えて最期の一歩が踏み出せないなどして、誰も自死を選びません。
電力会社のコールセンター部長を務めていた福島は、最初は原発事故も全部自分のせいだと泣き喚き散らしておきながら、いざ舞台を降りれば突然観客に当り散らし、原発なんぞ知るかと暴言を吐きながら去っていきます。
最後に残されたのはバリカンの父・建夫でした。
元陸軍で、部隊を率いて戦場へ行ったこともある彼ですが、帰還後、彼の部下4人が自死を遂げてしまいます。
その自死によって、部隊長だった建夫は、各方面からバッシングを受けてしまいます。
川崎はそんな奴らに見せ付けるためにも意味ある自死を遂げるべきだといいますが、建夫は命に価値は英雄だろうが、人知れず自死した奴だろうが同じだと言い、自死を拒否します。
自分の意見に真っ向からぶつかってきた建夫や、建夫の意見に同調してブーイングをする観客に対し、希望は人を死に至らしめる最後の病だと叫びます。
怒りを露にする川崎は、ブーイングをする観客に向かって、自らが定義した意味ある自死を遂げてしまい、会場は騒然となります。
新次は次の試合に挑みますが、1ラウンド目は防戦どころか何度もパンチをくらい、バリカンたちをひやひやさせます。
相手を油断させるためか、新次はわざとやったことも無いサウスポーで最初のラウンドを行っていたのです。
さらに客席に祐二が来ていると分かると、新次は本来のスタンスに戻しますが、相手の足を踏んで距離を取れないようする反則技をします。
レフリーに気付かれるだけでなく、強烈なカウンターパンチを食らわし相手をノックアウトさせますが、新次は意識の無い相手にこれでもかとパンチを浴びせ続け、リングは物々しい雰囲気一色になります。
片目たちは必死で新次を相手から引き剥がしますが、祐二に向かって、リング上で殺してやると新次は絶叫するのでした――。