映画『フィッシャーマンズ・ソング コーンウォールから愛をこめて』は2020年1月10日(金)より、新宿ピカデリー・ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー!
イギリス南西部のコーンウォール地方にある、港町ポート・アイザック。その地に住む気心の知れた漁師たちが集まり、舟唄を披露する歌唱バンドが“フィッシャーマンズ・フレンズ”です。
地元で古くから伝わる歌を披露していた彼らが、2010年にデビューを果たすと、伝統フォークソングのアルバムで、初の英国チャートトップ10入りを果たす快挙を成し遂げます。
飾りっ気のない中高年漁師たちのサクセスストーリーが映画化されると、イギリスで異例のロングランヒットを記録します。
そのハートフルな映画『フィッシャーマンズ・ソング コーンウォールから愛をこめて』が、いよいよ日本に上陸します。
CONTENTS
映画『フィッシャーマンズ・ソング コーンウォールから愛をこめて』の作品情報
【日本公開】
2020年1月10日(金)(イギリス映画)
【原題】
Fisherman’s Friends
【監督】
クリス・フォギン
【出演】
ダニエル・メイズ、ジェームズ・ピュアフォイ、デヴィッド・ヘイマン、デイヴ・ジョーンズ、サム・スウェインズベリー、タペンス・ミドルトン、ノエル・クラーク
【作品概要】
イギリスに実在する舟唄バンド、“フィッシャーマンズ・フレンズ”のサクセスストーリーを、歴史ある港町コーンウォールを舞台にユーモラスに描いた映画です。
映画の顔である現役漁師ボーイズバンドの面々を、TVドラマ『ROME ローマ』や『ザ・フォロイング』で人気を獲得したジェームズ・ピュアフォイ、そしてデヴィッド・ヘイマンやデイヴ・ジョーンズといったイギリスを代表するベテラン俳優が演じます。
ひょんなことから彼らを売り込むことになる音楽マネージャー役は、『ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー』『1917 命をかけた伝令』のダニエル・メイズ。予期せぬ出会いから新たな人生を歩む男を演じています。
監督はクリス・フォギン。長編映画デビュー作『キッズ・イン・ラブ』で、ロンドンに住む若者の群像劇を手がけた彼が、今回は歴史ある漁師町を舞台に、ミドル・シニア世代の姿を描きます。
映画『フィッシャーマンズ・ソング コーンウォールから愛をこめて』のあらすじ
イギリス南西部のコーンウォール地方にある小さな港町、ポートアイザック。ここは漁師たち暮らす漁業の町であると同時に、大西洋を見渡す絶景を持つ観光地でもありました。
ロンドンの音楽業界で活躍する男、ダニー(ダニエル・メイズ)は、結婚間近の悪友の独身最後のお楽しみ旅行で、同僚や上司とともにこの町にやってきました。
羽目を外して騒動を引き起こしたダニーたちは、偶然浜辺で古くから伝わる舟唄を歌う漁師たちに姿を見かけます。それを目にした上司は、ダニーにこの中高年ボーイズバンドと契約を結べと命じ、彼を残してロンドンに帰ってしまいます。
ポートアイザックに残されたダニーは、民宿を経営するシングルマザー、オーウェン(タペンス・ミドルトン)を通じ彼らに近づこうとしますが、不用意な発言から彼女に嫌われます。それでもダニーの音楽にかける情熱に心動かされ、徐々に心を開き協力するオーウェン。
漁師たちの舟唄バンドの名は“フィッシャーマンズ・フレンズ”、リーダーはオーウェンの父であるジム。人間嫌いの偏屈なこの男と、ダニーは交渉を始めます。
バンドの見事な歌唱力と、メンバーであるオーウェンの祖父ジェイゴ(デヴィッド・ヘイマン)やその友人リードヴィル(デイヴ・ジョーンズ)らの素朴な人柄に魅了されてゆくダニー。
熱意が認められ、ついにバンドと契約を結んだダニー。オーウェンとの関係も親密さを増していきます。ところが彼は、上司から思わぬ意図を聞かされることになります。
このままでは、音楽業界でのメジャーデビューの話は立ち消え。ダニーは“フィッシャーマンズ・フレンズ”、そして大切な存在となったポートアイザックの人々のために立ち上がる!
映画『フィッシャーマンズ・ソング コーンウォールから愛をこめて』の感想と評価
実話を基に紡がれた人情劇
現役中高年漁師ボーイズバンドの、痛快なサクセスストーリーの実話を基にした映画、『フィッシャーマンズ・ソング コーンウォールから愛をこめて』。
僻地や寂れた町に暮らし、悩みを抱えながらも地道に生きる人々が、最後にはその誠実な人間性を武器にして成功をつかみとる。イギリスの映画やミュージカル作品の題材にされる、王道のストーリーを持つ心温まる作品がまた一つ完成しました。
当然ながらこの映画、事実を脚色・誇張して描いています。“フィッシャーマンズ・フレンズ”を売り込もうと奮闘するマネージャー・ダニーも、バンドのメンバーも実在の人物を基に創作されたキャラクターです。
しかしこの映画は実話から設定だけを借り創作した物語ではありません。本作の脚本チームは、“フィッシャーマンズ・フレンズ”のメンバーやマネージャーと取材の枠を越えた交流を重ね、彼らの冗談などを含む日常の語り口や、その人柄や人生に触れた上で登場人物を作り上げました。
こうして完成した劇中のキャラクターは、出演者にとっては実在の人物を演じる責任からの解放、観客にとっては身近に感じられる人物の創造を意味していました。
この脚本を手にしたのがクリス・フォギン監督。彼はこの作品を映画にする事を熱望し、その願いは後に叶えられることになりました。
伝統の舟唄と郷土への熱い思いを描く
劇中に登場する漁師たちが力強く唄う伝統のフォークソングは、仕事のリズムを保たせると同時に労苦から解き放してくれる、まさに昔ながらの労働歌。“ソーラン節”など日本の漁歌や舟唄と、同じものだとお考え下さい。
その歌詞は劇中にも紹介されていますが、郷土への愛情と誇りや、かつてその地に起きた歴史的な出来事などを歌う土地に根差したもの。それは聞く者に懐かしい感情を思い起こさせます。
イギリスで“フィッシャーマンズ・フレンズ”の、素朴で力強い歌声が広く支持されたのは、他の土地・異なる国に住む者にも大いに理解できます。
また映画は歌声と共に、今は観光地でもあるコーンウォールの地を美しく映し出すと共に、その地でコミュニティーを築き生きる人々の姿を描いています。
イングランド・ウェールズ・スコットランド、そして北アイルランドという、4つの“国”で構成された国家であるイギリス。サッカーやラグビーの人気の高まりと共に、日本人のイギリス各“国”に対する認識も高まってきました。
本作に登場するコーンウォールはイングランドの、南西部に属する地域。その地には、独自の文化を誇り独立心が強く、自らを“コーンウォール人”と名乗る人々が住んでいます。
自らの歴史を誇る人々だけに、“フィッシャーマンズ・フレンズ”の面々は、イングランド人に対し騒動を引き起こしますが、詳細は映画を見てのお楽しみ。同じ島国でも日本よりはるかに強い郷土意識を持つ、イギリスの人々の姿に改めて驚かされました。
ところでフォギン監督も同じイングランドの出身ですが、コーンウォールとは異なり北東部にあるダラム出身。この地に住む人々もまた、強い郷土意識を持っています。
そのような背景を持つ監督が、コーンウォールを舞台に伝統と暮らしを誇る人々の物語に、強く惹かれ映画化した事実に注目して下さい。
イギリスならどの土地でもパブで乾杯
地域による独自性の強さを誇るイギリスですが、どこに住む人々も“第2の我が家”、パブに集い盛り上がる習慣を持っています。
本作の登場人物もパブに集い、そこで様々な人間模様が展開されますが、同時にこのパブの存在が映画のストーリーの軸にもなっています。
映画に登場するパブは、実際にポート・アイザックに存在するゴールデン・ライオン・パブ。実際に地元の人々や、“フィッシャーマンズ・フレンズ”が毎夜集ったパブでロケが行われました。
出演者やスタッフはこのパブで地元の人々、そして実際の“フィッシャーマンズ・フレンズ”の面々と共に撮影に臨み、撮影が終わると共にパブで飲んで歌って過ごしたそうです。この一体感は画面からも感じ取れます。
牧歌的、伝統的な生活にもグローバル化の波が押し寄せ、昔ながらの生き方は成り立たないご時世。これもイギリスと日本も変わらぬ状況です。この世界共通のテーマの存在も、この映画を身近なものとして実感させてくれる要素となっています。
まとめ
日本を遙か離れたイギリスの、コーンウォールの舟唄バンド“フィッシャーマンズ・フレンズ”を描いた映画ですが、鑑賞すると実に身近に感じられる作品です。
イギリスで大ヒットしたこの映画は、現在続編の製作も決定したとのこと。見事な歌とストーリーを持つ本作は、『フル・モンティ』や『リトル・ダンサー』同様、ミュージカル化されてもおかしくないと考えています。
まだまだ発展しそうな映画、『フィッシャーマンズ・ソング コーンウォールから愛をこめて』は、いち早く見て損の無い映画です。
ところで映画の主役である実在のバンド、“フィッシャーマンズ・フレンズ”。彼らがデビューした時、多くのイギリスの人は思わず噴き出したそうです。
“フィッシャーマンズ・フレンズ”の単数形、“フィッシャーマンズ・フレンド”と言えば、イギリスでは19世紀から広く販売されている有名なミント系トローチ。喉に良く“漁師の友”の名の通り、船酔いを和らげるにも愛用されていました。現在もミント系タブレットとして販売しています。
この映画は当然船の上のシーンもあり、スタッフを船酔いで苦しめていました。撮影の舞台裏では間違いなく、“フィッシャーマンズ・フレンド”も活躍したでしょうね。
映画『フィッシャーマンズ・ソング コーンウォールから愛をこめて』は2020年1月10日(金)より、新宿ピカデリー・ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー!