ドラマ『大江戸スチームパンク』はテレビ大阪にて絶賛放送中、さらにテレビ放送終了後よりTSUTAYAプレミアムで配信がスタート!
江戸と似ているようで違う町“大江戸”を舞台に、蒸気を原動力として動く甲冑を身にまとい悪と戦う少年の奮闘を描いたSFコメディ時代劇『大江戸スチームパンク』。
本作は人気劇団「ヨーロッパ企画」が企画したオリジナル実写ドラマ作品。監督は映画『Sweet Rain 死神の精度』『トラさん~僕が猫になったワケ~』を手掛けた筧昌也、ドラマ「トモダチゲーム」「山本周五郎時代劇 武士の魂」を手掛けた永江二朗が担当します。
そして主人公・佑太を務めるのは、『十二人の死にたい子どもたち』や『アイネクライネハトムジーク』などに出演、若手の中でも要注目株とされている萩原利久さんです。
今回は萩原さんにインタビューを実施。作品、撮影の印象などとともに、撮影の様子やコメディへの挑戦への思いなどを語っていただきました。
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“遊び心”が凝縮された「大江戸」と住人たち
──出演オファーを受けられた際の、本作に対する第一印象をお聞かせ願えますか?
萩原利久(以下、萩原):最初にお話をうかがったときは、「蒸気力」「甲冑」「ヒーロー」「大江戸」といったキーワードの羅列に「どういうことだ?」と思ってしまいました(笑)。ですが実際に脚本を読ませてもらうと、とにかく面白かったんです。劇中で描かれる大江戸という町そのものを、“真剣”に遊び心で描いている印象を受けました。
おそらく、いろんな人の「こんなことをやってみたい」「あんなことをしたら面白いんじゃないか」といった思いが、詰まりに詰まった作品なんだと思いました。だからこそ、キャストである僕ら自身も「この町は“江戸”じゃない」「だから何でもありだし、何でもできちゃう」という気持ちになっていきました。
──実際にクランクインされた際には、その印象も変化していったのでしょうか?
萩原:もちろん脚本の時点でもいろいろなイメージを巡らせていたんですが、現場に入ったことで初めて実感できた情報が圧倒的に多かったですね。
平賀源内役を演じられた六角精児さんをはじめ、ほかのキャスト陣のビジュアルもそうですし、美術さんが製作された小道具に関しても、一つ一つにとてもこだわりを感じられました。特に源内さんの研究庵には、源内さんが外の国から持ってきたものとともに、「江戸にはなくて“大江戸”にしかないもの」が詰まっていました。そんな現場だったからこそ、クランクイン後の大江戸に対するイメージは非常に濃くなっていきました。
そういった細かな感覚は、実際に現場へ入ってみるまでは本当にわからなかったんです。それこそクランクイン以前は、コメディという慣れないジャンルも相まって「どうすればいいんだろう」とついつい身構えてしまっていたんですが、この『大江戸』に関しては、あの強烈なビジュアルをした登場人物たちが集まって真面目にしゃべり合っていることが、一番面白いのではないかと思うようになりました(笑)。
笑える場面でなくても、それぞれのビジュアルで面と向かって何かを言われると、むしろ笑えるようになるといいますか。足し算・引き算・割り算・掛け算といった風に、常に様々な組み合わせを考えはめ込んでいく楽しさを、現場ではとても感じていました。
“流れ”に乗れたコメディへの挑戦
──先ほど「身構えてしまっていた」と語られていましたが、現場に入られる前の萩原さんは「コメディ」というジャンルにはどのような思いを抱かれていましたか?
萩原:やっぱり演じるにあたって一番難しいジャンルではないかと思っていましたね。お芝居をする際、現場に入る前には必ず自分の中にある“引き出し”をたくさん用意していくわけですが、その上でコメディというジャンルは、どうしても一人だけじゃ演じ切れないんです。
会話における“間”やテンションなど、自分のみならず相手役が醸し出す微妙なニュアンスも、そのお芝居で笑えるかどうかの重要な要素じゃないですか。だからこそ、身構えたくてもそれはやり切れないと撮影前は強く感じていました。
──その反面、現場に入られたことで「これがコメディなんだ」と初めて実感できたということでしょうか?
萩原:そうですね。六角さんなどキャストの方々はやっぱり面白かったですし、みなさんが作ってくださった“流れ”にいい意味で乗らせていただいた感覚ですね。
また僕が演じた佑太という役柄は、“バカでまっすぐ”が最大の特徴です。どんどん“流れ”の向かう先へと突き進んでいく、逆に敢えて“流れ”に気づかずにビクとも動かないなど、ある意味では足し算と引き算で成り立っているキャラクター性は、まさしくコメディの醍醐味といえるものでした。そのため、現場に入り佑太を演じていく中で気づいたこと、発見したことは本当に多かったです。
ただ、実は僕も完成した作品をまだ観られていないので、現場でのお芝居がどのような形へと仕上がったのかと、今も結構ドキドキしています(笑)。ですが、もし完成した『大江戸』を観た際には、そこで感じられたものを今後も大切にしていきたいなと思っています。約1ヶ月間を大江戸の世界で過ごし、撮影が無事終わったときには大きな達成感といいますか、“区切り”のようなものを自分の中で感じられたので。
主人公の“人間くさい”ヒーロー像
──主人公の佑太とご自身の間に共感点はありましたか?
萩原:佑太というキャラクターは、彼を演じた僕に限らず、男の子ならみんな共感しやすい人物なのかなと思っています。たとえば、少年漫画の主人公たちに憧れを抱くことは、男の子なら誰しも通ってきている道じゃないですか。彼を演じるにあたって、それを芯に置いて役作りのイメージを拡げていきました。
もしかしたらそれが、自分と佑太の中にある“何か”において、一番近いものなのではと思っています。劇中の佑太は、最初の戦いで負けるとわかっていながら敢えて戦いますが、僕はその姿に対して「よく行ったよな、あそこまで弱かったら一回はまず考えるよな」と褒めたくなります(笑)。そのぐらい、佑太は本当に弱いんです。
また、ライバル的な存在である弥助(佐野岳)のように、何でもできてちやほやされる人間に対する佑太の羨望や嫉妬も、小学校のときは僕自身もよく考えていたような気がします。
──そこは全然ヒーローらしくないですね。
萩原:ですよね。ちゃんと他人を妬むし、弱音も吐くし。逆にそれが、人間らしくていいなと思えるんです。“ヒーロー”はとても強くてみんなの憧れる存在とされがちですが、佑太のように人間らしいヒーローもいていいんじゃないかなと。
また撮影期間中のことなんですが、エキストラとして現場に訪れていた男の子が、僕の甲冑姿を見てニコニコしながらも、話しかけていいのかどうかを迷っていたんです。5・6歳くらいの子だったんですが、お母さんと手をつないで。ですが、その子の姿を見たときに、「自分は今、大江戸という場所で“ヒーロー”として存在できているんじゃないか」と思えました。
だからこそ、ヒーローらしい完璧な存在ではないけれど、芯があってどこか人間くささもあるヒーローも僕は全然ありだなと感じられたんです。
不可欠な存在・平賀源内=大先輩・六角精児
──本作の物語の軸は主人公・佑太と平賀源内のやりとりですが、二人の“バディ”といえる関係性を萩原さんはどのように捉えたのでしょうか?
萩原:僕は本作について、アニメ作品の『ヤッターマン』をイメージしていたんです。「新しい発明品を武器に人を救っていく」という構成もそうですし、とにかく明るくて、でもどこかポンコツな主人公であるガンちゃんが、『大江戸』の裕太とすごくマッチしている気がしたんです。
また源内さんとの関係性については、いろいろな作品へのオマージュがあるとは思いつつも、『ドラえもん』的な関係が一番近いかもしれませんね。佑太はまさしくのび太。とにかく弱いですし、源内が言ってくることにはとりあえず文句で返しているんですよね(笑)。ですが、それも“人間らしさ”ですよね。確かに自分が裕太と同じ状況の中で、知らないおじさんにあれこれ指図されたらやっぱり文句も言いたくなりますし。その素直さもすごくいいなと思いました。
物語の前半部における源内さんは謎が多く、そもそも何をしていたのかもわからない存在なんですが、少しずつ素性が明かされていきます。そのため前半部の源内さんは、裕太からすれば本当に“変なおじさん”です。そして佑太も、“変なおじさん”源内さんに困惑しつつ、「まだよくわからないけれど、なんかヒーローになれちゃったし悪い気もしないので、とりあえずやってみよう」という感覚でヒーローを始めるんです。
そして1か月ほど、実際に撮影を続けていく中で、二人の間にある“バディ感”だんだんも出てきたといいますか、源内さんを演じる六角さんとふと並んだときに「あ、いつものコンビだ」と感じられることが撮影中にあって、それは嬉しかったですね。
──タイトルにも含まれている“パンク”という言葉からは、どのようなイメージを連想されましたか?
萩原:「六角さんとのコンビだからこそ、“パンク”という言葉がしっくりくるのかな」とは感じていますね。本作の雰囲気やテンションに、源内さんの内面が少なからず反映されているからかもしれません。
本作の世界観を代表するビジュアルである佑太の「蒸気力甲冑」も源内さんが製作したものですし、“パンク”というワードは佑太よりも源内さんに似合う言葉であり、源内さんがいるからこそ“パンク”がタイトルにも盛り込まれたのかもしれないと思っています。
一方で、劇中では「スチームパンク」という言葉は漢字で表記されているんですが、「蒸気力野郎」なんですよね。僕はその「野郎」こそが、“ヒーローだけど、人間くささを持っている”ということを表しているんじゃないかと思えたんです。普通のヒーローなら「野郎」という表記はまずしないでしょうし、そもそも“パンク”というワードもなかなか使わないはずなんです。
──六角さんの存在は、本作における役柄の重要性のみならず、コメディ作品である『大江戸スチームパンク』のお芝居を形作っていくうえでも非常に欠かせない存在だったといえます。
萩原:おっしゃる通りですね。本作の撮影において、六角さんにはとても助けてもらいました。源内チームとしてお芝居を作っていく際には、やっぱり六角さんが中心となって回してくれるといいますか、平賀源内という役柄が佑太にとっての“相方”だったこともあり、これ以上ないほど心強かったです。
僕からすれば六角さんは大先輩ですが、フレンドリーにコミュニケーションをとってくださる方でしたので、撮影序盤のころから何でもお話をさせていただきました。そういう意味ではとてもありがたかったです。
曲げてはいけないもの
──“弱さ”という人間らしさを持つ佑太ですが、彼が持つ一番の強さは“我慢強さ”なのかもしれません。その特長も萩原さんご自身と共通しているのでしょうか?
萩原:自分で言うのもなんですが、僕は口が非常に堅いんです。「言うな」といわれたら絶対に言わない。もちろん知っているが故に言いたくなる気持ちもやはり芽生えてしまうんですが、僕はどうも罪悪感に弱くて。どうしても悪いことができるタイプじゃないんです。
ですがその気質は、意外にも佑太に近いんじゃないかと思うんです。人の役に立ちたいという思い以前に、そもそも悪いことがどうしてもできない。だからこそ、誘惑や「もうやりたくない」という弱音にくじけそうになっても、“曲げてはいけないもの”を思い出してギリギリのところで踏ん張れる。それが佑太の強さなんだろうと感じていますね。
インタビュー・撮影/桂伸也
萩原利久(はぎわらりく)のプロフィール
1999年生まれ、埼玉県出身。2008年に芸能界デビュー。子役として活躍を続け、近年では『幽かな彼女』『恋仲』『3年A組-今から皆さんは、人質です-』など数多くの人気ドラマ作品に出演し、『電影少女-VIDEO GIRL MAI2019-』にて主演を果たします。
また映画作品においても、『暗殺教室』『ちはやふる-上の句-』『3月のライオン』『帝一の國』『あゝ、荒野』『十二人の死にたい子どもたち』『アイネクライネハトムジーク』『恐怖人形』と様々な話題作に出演し続けています。
ドラマ『大江戸スチームパンク』の作品情報
【放送・配信日時】
(テレビ大阪)毎週土曜日・深夜1時26分~1時56分 絶賛OA中
(TSUTAYAプレミアム)深夜テレビ放送終了後よりTSUTAYAプレミアムにて独占配信開始 ※他社見逃し配信を除
【監督】
筧昌也、永江二朗
【原案・脚本】
酒井善史(ヨーロッパ企画)
【キャスト】
萩原利久、六角精児、袴田吉彦、芦名 星、佐野岳、岡本夏美など
【作品概要】
江戸と似ているようで違う町“大江戸”を舞台に繰り広げられるSFコメディ時代劇。1998年に結成以降、コメディ作品を上演し続けている劇団「ヨーロッパ企画」が企画した、完全オリジナルの実写ドラマ作品です。
原案・脚本を担当したのは「ヨーロッパ企画」の酒井善史。監督は映画『Sweet Rain 死神の精度』『トラさん~僕が猫になったワケ~』を手掛けた筧昌也と、ドラマ『トモダチゲーム』『山本周五郎時代劇 武士の魂』を手掛けた永江二朗の二人が担当します。
主人公・佑太を務めるのは『十二人の死にたい子どもたち』『アイネクライネハトムジーク』などの萩原利久。本作にて初の本格コメディ作品に挑戦しています。そして佑太とバディになる発明家・平賀源内役に六角精児、他にも袴田吉彦、芦名 星、佐野岳、岡本夏美ら実力派が集結しています。
ドラマ『大江戸スチームパンク』のあらすじ
数百年の昔、遥か彼方の青い星にあったという、江戸と似ているようで違う町“大江戸”。太平の世の中、大江戸は様々な人々が暮らす、活気あふれる町でした。
鍛冶屋で修行中の佑太(萩原利久)は、「人の役に立ちたい」と思っているが腕っぷしはとことん弱い、ただの町人。しかし、彼はある日催された蒸気風呂我慢大会で、町の発明家・平賀源内(六角精児)と出会います。そして源内は自らが発明した、着た者の力を数十倍にまで高める「蒸気力甲冑」を佑太に与えることに。
一方、大江戸の町には天草四郎(袴田吉彦)率いる秘密結社「シマヴァラン」の魔の手が忍び寄っていました。佑太は蒸気力甲冑を身にまとい、「スチームパンク」となってシマヴァランに立ち向かいます。果たして佑太は、大江戸の町を守り抜くことができるのでしょうか!?
ドラマ『大江戸スチームパンク』はテレビ大阪にて絶賛放送中、さらにテレビ放送終了後よりTSUTAYAプレミアムで配信!