1984年に公開されたSF映画『ターミネーター』は、人気シリーズの原点。
“ヤツは誰にも止められない!”
未来からやってきた殺人マシーン『ターミネーター』による恐怖と戦慄に立ち向かう女性、サラと彼女を守ろうとする青年カイル。
カイルは何者か、そしてなぜターミネーターはサラを狙うのか?
アーノルド・シュワルツェネッガー主演の、映画史に燦然と輝く名作、映画『ターミネーター』をご紹介します。
映画『ターミネーター』の作品情報
TERMINATOR, THE © 1984 CINEMA ’84, A GREENBERG BROTHERS PARTNERSHIP. All Rights Reserved
【日本公開】
1985年(アメリカ映画)
【原題】
The Terminator
【監督】
ジェームズ・キャメロン
【キャスト】
アーノルド・シュワルツェネッガー、マイケル・ビーン、リンダ・ハミルトン、ポール・ウィンフィールド、ランス・ヘンリクセン、リック・ロソビッチ、べス・マータ、ディック・ミラー
【作品概要】
SFアクションの金字塔と呼ばれ、その後シリーズ化される、「ターミネーター」の第一作です。
主演のアーノルド・シュワルツネッガーにとっては代表作となり、監督のジェームズ・キャメロンはこの作品を期に高い評価を受け、躍進していきました。
未来からやってきた殺人マシーン『ターミネーター』とターミネーターに命を狙われる女性、サラと彼女を守るため未来からやってきた戦士カイルの戦いを描きます。
映画『ターミネーター』のあらすじとネタバレ
TERMINATOR, THE © 1984 CINEMA ’84, A GREENBERG BROTHERS PARTNERSHIP. All Rights Reserved
2029年、人類は機械の軍隊と熾烈な戦いを繰り広げていました。
その最後の戦いは過去である、ある日に始まろうとしています。
深夜のロサンゼルス、街はずれで突然、電光が走り、まばゆい光の中、全裸の男(アーノルド・シュワルツネッガー)が現れました。
男は、たむろする若者達に服を渡すようにいますが、若者達は聞く耳を持たず、ナイフで男に襲い掛かります。
しかし、男はナイフで刺されても眉一つ動かさず、若者たちを軽々と投げ飛ばし、拳で体を貫きました。
こうして服を手に入れた男は電話ボックスに入り電話帳で「サラ・コナー」と書かれたページを破り持ち去ります。
同じころ、ロサンゼルスの路地裏でも電光が走り、姿を見せた一人の青年(マイケル・ビーン)。
その青年も男同様、全裸でしたが、警察官に見つかり、逃げ出します。
青年は追ってきた警察の隙を突き、襲い掛かると拳銃を奪い、今が何年の何月何日か問いただします。
警官はいぶかしみながらも1984年10月12日だと答えました。
その後、応援の警官が駆け付けたことにより青年は再び逃げ、逃げ込んだデパートで身なりを整え、警察の目を躱します。
青年も男同様、電話ボックスに入ると電話帳から「サラ・コナー」を探しますが、すぐ電話帳を戻し、街の中に消えていきました。
以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『ターミネーター』ネタバレ・結末の記載がございます。『ターミネーター)』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。
翌朝、男は銃砲店を訪れ、店主を殺害、様々な銃器を持ち去り、一件の住宅へ向かい、住人の女性を殺害。
ハンバーガーショップで働くサラ・コナー(リンダ・ハミルトン)は同僚から同姓同名の「サラ・コナー」が殺害されたニュースを聞かされからかわれます。
その夜、ボーイフレンドとデートの予定があったサラですが、急遽、断られてしまい一人外出します。
その頃、ウエストハイランド警察署のエド・トラクスラー警部はその日起こった二件の殺人の奇妙さに眉をひそめていました。
殺害されたのはいずれも「サラ・コナー」で、電話帳の上から順に殺害されていました。
エドは次に標的になるであろうサラの自宅に繰り返し電話しますが電話はつながりません。
そこで、エドは、サラに気づいてもらうため記者会見を行います。
その会見を外出先のテレビで見たサラは近くの公衆電話においてあった電話帳を確認し、次の標的が自分であることに気が付き、警察に電話しようとしますが、公衆電話は壊れていました。
公衆電話を探し、街に出たサラですが、後ろをつけてくる青年の姿に気がつきます。
青年の姿に恐怖を覚えたサラは最寄りのディスコに飛び込み、ルームメイトに迎えに来てもらうように電話します。
その頃、男はサラの自宅に侵入していました。
男はそこに居合わせた、サラのルームメイトとその彼氏を殺害します。
立ち去ろうとする男ですが、留守電のメッセージとサラの身分証明書からサラの存在と居場所を知りました。
警察にも電話したサラはその場で待つように言われますが、ディスコに現れた男に銃を向けられます。
恐怖するサラを助けたのは、彼女を追っていた青年でした。
青年が持つ銃で何度も撃たれた男ですが平然と立ち上がり、逃げるサラを追いかけようとします。
青年は盗んだ車にサラを押し込み逃げますが、男も駆け付けたパトカーを奪い追いかけます。
男がサラの命を狙っていることを告げる青年。
理由は未来で起こる機械との戦争で人類を導く指導者、ジョン・コナーを排除するため、その母親になる予定のサラを殺害しようとしていたんです。
そのために未来から送られてきた殺人マシーン「ターミネーター」が男の正体でした。
青年もまた、サラを守るため未来からやってきた、カイル・リースと名乗ります。
カイルの話をにわかには信じられないサラですが、現実に襲い来るターミネーターから逃げるため、カイルに従います。
ターミネーターの執拗な追跡をかわし続けるカイルとサラ。
遂にはターミネーターのパトカーが壁に衝突、カイルとサラは難を逃れたように思えましたが、警察に囲まれてしまいます。
警察に連行されるカイルとサラ、しかし、壁に衝突したパトカーの中にはターミネーターの姿はありませんでした。
サラとカイルに事情聴取をするエドを始め警察は二人の言うことを「錯乱していた幻覚」「よくできた作り話」と言い、信じようとしません。
そこにサラを探すターミネーターが警察署を襲撃、応戦する警察官たちを次々と倒して行きます。
サラとカイルは襲撃の混乱に紛れ警察署を脱出、車を盗んで逃げだします。
ロサンゼルスの郊外まで逃げたサラとカイルは車を乗り捨て、トンネルに身をひそめます。
負傷したカイルの手当てをしながら、未来の話を聞くサラは自分が未来では偉大な指導者を育てた「伝説の人物」であり、未来の息子、ジョンの父親が戦争が始まる前に亡くなったことを聞きます。
自分はそんな人物ではないと否定するサラですが、懸命に自分を守ろうとするカイルに心惹かれ始めていました。
夜が明け、モーテルに部屋をとった二人はターミネーター襲撃の準備を始めます。
カイルが買い物に行った際、サラは母親にも危害が及ぶことを恐れ、電話で、訳を言えないが身を隠すように伝えます。
しかし、電話口にいたのはサラの母親の声を偽装したターミネーターでした。
サラはそうとは知らずにモーテルの電話番号を伝え、ターミネーターはモーテルの住所を知ります。
戻ってきたカイルはサラと共に手製の爆弾を作ります。
爆弾を作り終えたカイルにサラは未来に待っている人、愛する女性はいなかったのか尋ねます。
いないと答えるカイルは思わず、写真で見ていたサラに恋心を抱いていたことを伝えます。
想いの通った二人は体を重ねます。
この時、二人はジョンの父親こそがカイルであると気が付いていました。
その後、モーテルを出ようとする二人の前にターミネーターが現れます。
再び盗んだ車に乗り逃げ出す二人をターミネーターはバイクで追いかけます。
バイクから銃撃するターミネーターに手製の爆弾で反撃するカイルは見事、バイクを破壊、倒れたターミネーターは通りがかったタンクローリーに跳ねられますが、タンクローリーを奪い、追跡を再開します。
カイルは運転をさらに任せるとタンクローリーに飛び移り、爆弾でタンクローリーを爆破、タンクの薬品に引火し、大爆発を起こします。
勝利を喜ぶサラとカイルですが、炎の中に浮かぶ人影に驚愕します。
ターミネーターはまだ生きており、人間の表面が焼け落ち、機械の全身があらわになっても二人を追いかけます。
タンクローリーから飛び降りた際に負傷したカイルを引きずりながらも工場に逃げ込むサラですが、すぐにターミネーターに追いつかれてしまいます。
カイルはサラを一人、逃がすとターミネーターと決着をつけるべく立ち向かいます。
最後の爆弾をターミネーターの体に押し込み爆発させると、ターミネーターの体はバラバラになります。
カイルの元に駆け付けるサラですが、カイルはすでに息絶えていました。
しかし、ターミネーターは上半身だけになってもサラに追いすがろうとします。
逃げるサラは、プレス機の上に乗ったターミネーターを押しつぶし、遂にターミネーターを倒します。
数か月後、メキシコを走る車にはサラが乗っていました。
テープレコーダに生まれ来る息子、ジョンに向けたメッセージを録音しながら、大きくなったお腹を抱え旅をしています。
立ち寄ったガソリンスタンドで地元の少年が取ったインスタント写真を買います。
その写真こそ、未来でジョンがカイルに渡す写真でした。
空に立ち込める暗雲に嵐の予感を感じながらもサラは車を走らせます。
それはまるでこれからやってくる時代の「嵐」に立ち向かう強い意志を現しているようでした。
映画『ターミネーター』の感想と評価
本作はSF作品として以降のSF映画に影響を与える映画史に残る作品であるとともに、長く続くシリーズ第一作になります。
主演のアーノルド・シュワルツェネッガーをハリウッドスターに押し上げた作品であると共に『ターミネーター』は彼の代名詞にもなっています。
そんなアーノルド・シュワルツェネッガーが演じたターミネーターは殺人マシーンという設定だった訳ですが、人間の姿をしていながら、一切、感情がうかがえない不自然さや、銃で撃たれながらも平然と歩き続ける異様さを現していたアーノルド・シュワルツェネッガーの演技力、表現力の高さが感じられ、当時からスターの片鱗を見せていたことを感じさせます。
また、監督を務めたジェームズ・キャメロンの手腕にも感銘を受けました。
特に、ターミネーターが負傷した眼球を抉り出すシーンや自らの腕を切り開き、金属の駆動部を修理するシーンはコマ撮りで撮影されているんですが、一見、実写の映像化と勘違いするほどのリアルさです。
本作は未来からやってきたターミネーターが現在で襲い掛かるという点に着目されがちですが、一連の事件でサラが成長する姿を描いた作品でもあります。
物語の冒頭、普通の大学生だったサラですが、ターミネーターに襲われ、カイルに出会うことで運命を変えられ、始めは拒否しながらも最後には自分の運命に立ち向かう姿に勇気をもらいました。
特に、エンディングでメキシコを車で走るサラは大学生だったころからは考えられないほど逞しく感じられました。
まとめ
本作は製作費640万ドルとB級映画並みの低予算で製作されたにもかかわらず、世界的に大ヒットを記録し、続編の製作、続く作品によりシリーズ化されます。
後にヒットメーカーと称される、監督のジェームズ・キャメロンやこの作品で注目を受けるアーノルド・シュワルツェネッガー、リンダ・ハミルトンと優秀なスタッフ、キャストが集まり、まさに『ターミネーター』のように時代を超えて親しまれ、時代を変える作品になりました。
現実に2029年が近づいてきていますが、これからも新たなターミネーターが私たちの前に姿を見せることを期待します。