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Entry 2020/09/19
Update

『テネット』ネタバレ考察評価と結末までのあらすじ。ドラえもんのようなタイムトラベルと時間の逆行

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  • 20231113

映画『TENET テネット』は2020年9月18日(金)より全国ロードショー!

『メメント』(2000)では記憶を通して時間を描き、『インセプション』(2010)では夢の世界で、『インターステラー』(2014)では宇宙旅行を通じて、異なる時間の流れを描いたクリストファー・ノーラン監督。

本格的戦争映画『ダンケルク』(2017)でも、陸・海・空3つの視点を異なる時間で見せ、それを融合することで戦いの全貌を描き出しました。

そのノーラン監督最新作が『TENET テネット』。テーマはついに、時間の流れそのものになりました。誰も見なかった、想像しなかった映像世界が、今始まります

映画『TENET テネット』の作品情報


(C)2020 Warner Bros Entertainment Inc. All Rights Reserved

【日本公開】
2020年(アメリカ映画)

【原題】
TENET

【監督・脚本】
クリストファー・ノーラン

【出演】
ジョン・デヴィッド・ワシントン、ロバート・パティンソン、エリザベス・デビッキ、ケネス・ブラナー、マイケル・ケイン、アーロン・テイラー=ジョンソン、ディンプル・カバディア、ユーリ・コロコリニコフ、ヒメーシュ・パテル、マーティン・ドノヴァン、クレマンス・ポエジー

【作品概要】
仲間を救うために敵に捕らえられた、名もなき特殊部隊の男。彼にあるミッションを命じられます。それは未来から現れた敵と戦い、第三次世界大戦を阻止するものでした。

未来では“時間の逆行”を可能とする装置が開発され、人と物の未来からの移動が可能になっていました。それによって引き起こされる陰謀の阻止が、名もなき男に命じられます。

そしてミッションのキーワードは、TENET(テネット)…。果たして敵の正体は何者で、彼は世界の滅亡を阻止できるのか。

主演は『ブラック・クランズマン』(2018)のジョン・デヴィッド・ワシントン。彼の片腕となる男を『トワイライト〜初恋〜』(2008)の、「トワイライト・サーガ」でスターとなったロバート・パティンソン演じます。

物語の鍵となる女を『コードネーム U.N.C.L.E.』(2015)のエリザベス・デビッキ、敵役にクリストファー・ノーラン監督作『ダンケルク』(2017)のケネス・ブラナー、ノーラン作品に欠かせないマイケル・ケインらが出演しています。

映画『TENET テネット』のあらすじとネタバレ


(C)Tamasa Distribution

ウクライナの都市キエフの、観客で満員のオペラハウスが、テロリスト集団に襲われる事件が発生します。

対テロ特殊部隊が駆けつける中、早くから待機していた車両の中に、アメリカ人と呼ばれる”名も無き男”(ジョン・デヴィッド・ワシントン)がいました。

CIAのエージェントである彼は、対テロ部隊の突入に紛れて行動します。観客の中には行方不明のプルトニウム241を求め、潜入したスパイがいたのです。

突入開始後、スパイと接触し共に脱出しようとする”名も無き男”。しかし彼は突入した部隊が爆薬を仕掛け、観客ごと全てを吹き飛ばそうとする姿を目撃しました。

観客を救おうを彼は爆薬を回収します。敵に襲われ危うい時に、壁に命中した銃弾が逆行して戻る、奇妙な現象を目撃します。この現象のおかげで、彼は命を救われたのでしょうか。

観客席の爆薬は回収され、被害は最小限で済みました。しかし彼は敵の手に囚われます。

口を割ろうと制限時間を設け、彼に拷問を加える男たち。残された道は自殺することでした。隙を見て毒薬の服用に成功する”名も無き男”…。

彼が目覚めた時、君は死んだと語る男フェイ(マーティン・ドノヴァン)がいました。

彼は任務に最善を尽くし、テロから無関係な市民を救おうと行動し、敵に口を割らなかった”名も無き男”に、テストに合格したと告げます。

困惑する”名も無き男”に、彼は第三次世界大戦の危機から世界を救って欲しいと頼みます。ミッションのキーワードは「TENET」。その言葉の使い方次第で、未来が決まると言うのです。

謎を抱きながらも”名も無き男”は言葉に従います。彼は海上の風力発電所の作業員に紛れ、とある場所へと導かれます。

建物の地下で、女研究員のバーバラ(クレマンス・ポエジー)から、時間の逆行現象を見せられる”名も無き男”。

それは目の前に置かれた空の銃に、壁に打ち込まれた銃弾が戻ってくる、信じ難い現象でした。

彼はバーバラから、何者かが時の流れを逆行させる、エントロピーを減少させる装置を発明し、その影響でこの現象が起きたと説明します。

彼女は時の逆行を秘めた物は、操ることも可能だと示します。それは感覚的に掴みとり、引き出すしかないものでした。

この技術を開発した者、つまり未来人こそ世界の敵でした。彼らは時間を逆行して現代に様々なものを送り込み、何か破滅的なことを引き起こそうと企てていたのです。

この銃弾を使用した者が、敵につながると判断した”名も無き男”は銃弾の成分を調べさせ、インド製だと気付きます。

敵につながる人物はインドの武器商人だと睨んだ彼は、その男サンジェイ・シンに接近を試みます。

インドのムンバイに現れた”名も無き男”の前に、同じ組織の男ニール(ロバート・パティンソン)が手助けに現れます。

ニールは事前にリサーチしたのか、”名も無き男”が任務中は酒を飲まないと知っており、彼にダイエットコーラを注文します。

ニールが信用できる人物か疑念を抱きますが、彼の準備し用意した計画は完璧でした。

逆バンジージャンプの要領の技で、サンジェイ・シンの自宅であるビルに忍び込む”名も無き男”とニール。

しかしサンジェイ・シンは商売上の表の顔に過ぎず、武器取引はその妻、プリヤ(ディンプル・カバディア)が仕切っていました。

2人の実力を認めたプリヤは、ロシアの新興財閥を築いた、武器商人でもある男セイター(ケネス・ブラナー)こそ、この件の背後にいる人物だと教えます。

“名も無き男”はプリヤに、セイターに接触する仲介を求めますが、用心深い彼との接触は困難でした。

そこで仲介出来きる人物として、イギリス諜報部に近い人物クロズビー卿(マイケル・ケイン)を紹介します。

ロンドンに飛んだ”名も無き男”はクロズビー卿に接触します。ロシアの秘密都市スタルスク12の出身の危険な男、セイターに接触する術はありません。

またスタルスク12ではキエフのテロと同じ日、爆発事故が起きていました。やはりセイターが全ての背後にいるようです。

セイターには妻キャット(エリザベス・デビッキ)を通じ、接触すべきと語るクロズビー卿。

“名も無き男”は息子マックスを学校に送るキャットの姿を確認します。そして絵画の鑑定士として働く彼女に、”名も無き男”はゴヤの絵を見せます。

その絵は贋作で、同じ作者の描いた偽の絵画を、彼女は夫に売っていました。贋作者と図って夫に絵を売った弱みに付け込み、”名も無き男”はセイターに紹介させようとしたのです。

しかし彼女は、その事実はバレていると告げます。セイターはそれを武器に鑑定士である妻が不正を働いたと脅し、別れたら子供に合わせないと宣言し、彼女を暴力的に支配していました。

妻に接近した”名も無き男”に、嫉妬深いセイターはボルコフ(ユーリ・コロコリニコフ)ら、屈強な手下を送り込みます。

それでもキャットに連絡先を伝え、迫る手下たちを倒し脱出する”名も無き男”。

キャットの協力を得るには、彼女が夫に売った絵を回収するべきと考えた”名も無き男”は、ニールに行方を探させます。絵は税金を逃れるために、オスロ空港の保管庫に収められていました。

空港の保管庫は、税金逃れが目的の資産家にとって、格好の収蔵場所になっていました。そこに潜入し絵を回収しようと、”名も無き男”とニールは計画を立てます。

それは保管庫のあり建物に、金塊を運ぶ貨物機を衝突させ、空港の目をそれに引き付けた上でセキュリティを破り、絵を奪う大胆なものでした。

彼らの仲間マヒア(ヒメーシュ・パテル)が飛行機事故を引き起こした隙に、保管庫に潜入する”名も無き男”とニール。

目的の場所に着いた時、そこに銃が落ちガラス塀に銃弾の後があります。警戒する2人の前に奇妙な装置が現れます。

その中から黒い装備に身を固め、ガスマスクを付けた男が現れました。

時間を逆行する動きを見せるその男と、奇妙な戦いを繰り広げる”名も無き男”。戦いの果てに男は事故機のエンジンに吸い込まれたかのように姿を消します。

一方のニールも、同じ姿の男に遭遇します。その男は同じ時間の流れにいました。男を追跡するニール。

絵は回収出来ませんが、状況が判明するまで時間がかかるはずです。”名も無き男”はキャットに、絵を回収したと伝えます。

こうしてセイターに接触出来た”名も無き男”。しかしセイターは、彼を妻に近づく男として敵視していました。

“名も無き男”は自分をプルトニウム241を求める、腕と実力を持つ武器商人だと売り込みます。

実力を認め、自分の豪華ヨットに来るよう告げるセイター。しかし彼は妻キャットに問題の絵を見せます。何故か彼は襲撃の前に、オスロ空港から絵を回収していました。

キャットは自分を騙したと、”名も無き男”を責めます。彼女はキエフのテロの日、このヨットで夫と争っていました。

それでも真相を突き止めるまで、セイターへの接触を保ちたい”名も無き男”。

次の日、”名も無き男”とセイター、キャット夫婦は海上をトーネード(双胴の帆走高速ヨット)で走り楽しみます。しかしキャットは、隙を見て夫を海に落としました。

真相をつかむため、セイターが必要な”名も無き男”は彼を救います。信頼を得た”名も無き男”は、キエフのテロで行方不明になったプルトニウム241の奪取を任されます。

セイターは生まれ育った秘密都市スタルスク12で、爆発事故を起こし四散した核物質の回収で財を築きました。

汚い仕事を引き受け、汚い手を使ってのし上がったと打ち明けるセイター。

一方で”名も無き男”の行為でセイターから逃れられなくなり、夫の異常な支配欲の前にキャットは震えました。

プルトニウム241はエストニアの都市、タリンに運ばれる事になっていました。”名も無き男”とニールは、車で輸送される物質の奪取を計画します。

それは移送車両を大型車両で囲み、無線を妨害し停車させることなく、消防車を使って乗り移り奪い取るものでした。

プルトニウムの入るトランクの奪取に成功した”名も無き男”とニール。しかしトランクの中には、何か奇妙な物体が入っています。

彼らの前に、時間を逆行して進む車が現れ横転します。同じように逆行して現れた車には、酸素マスクを付けたセイターとキャットが乗っていました。

セイターは未来から来たのでしょうか。全てを把握しているかに見える彼は、キャットに銃を突きつけ、トランクを渡せと要求します…。

以下、『TENET テネット』のネタバレ・結末の記載がございます。『TENET テネット』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。


(C)2020 Warner Bros Entertainment Inc. All Rights Reserved

時間に逆行するセイターに、やむなくトランクを渡した”名も無き男”。キャットを救い出しますが、彼女は撃たれ負傷しました。

全て敵に読まれているかのような展開と、キャットが撃たれたことに怒った”名も無き男”は、ニールが裏切者かと疑います。

任務に失敗した彼の前に、同じ組織のメンバーが集まります。

プルトニウムのトランクに入っていた装置の名称はアルゴリズム。幾つかパーツに分かれ、最後の1つをセイターが手に入れました。

アルゴリズムが発動すると全世界の時間が逆行、通常通り時間の流れる世界は滅びます。未来人には、それを望む者がいるのです。

セイターが行動を予測したかのように現れたのは、時間を反転させる装置を使い、経験を踏まえて未来から過去に介入してきたからでした。

その陰謀を阻止する彼らの側にも、同じ装置がありました。それを使って、先ほどのカーチェイスに介入しようと考える”名も無き男”。

仲間は彼に説明します。時間が逆行する世界はエントロビーの向きが逆転する世界。前に進んでも、空気の流れは後ろから来る世界です。

つまりまともな呼吸は出来ません。逆行する世界のセイターたちが、酸素マスクを付けていた理由でした。

瀕死の傷を負ったキャットも、逆行世界なら傷は癒えていきます。彼女も逆行世界に送られます。

逆行世界の様々な注意を受けた名も無き男”は、車に乗りカーチェイスに参加します。セイターの車に迫ったものの、車は激しく横転しました。

先ほど通常時間で彼が目撃した、時間に逆行し横転した車に乗っていたのは、彼自身だったのです。セイターに火を放たれ、爆発する車。

“名も無き男”は助け出されます。逆行世界では爆発は高温を生じさせず、逆に熱を奪うものでした。彼は低体温症になっていました。

こんな世界では普通の人間は生きていけません。アルゴリズムの発動を阻止する必要を痛感する”名も無き男”。

同じ逆行世界に入ったニールと共に、彼は負傷したキャットを連れ、時間を反転させる装置があったオスロ空港を目指します。

キャットの怪我の治癒に時間の逆行は有効ですが、通常の流れと異なる時間で暮らすには困難が伴います。彼らは隔離された船内でオスロを目指します。

未来人が先祖である自分たちを滅ぼせば、自分たちが滅びるのではないか、と”名も無き男”は口にします。

過去を変えた時に未来に影響が出るか否かは、諸説あって現代人には判断がつきません。

未来人がいるのは我々が滅びない証拠、とも考えられますが、現代人も未来人も自分の世界で生存のために、最善を尽くすしかないとの結論に到達します。

オスロ空港に到着した彼らは、航空機事故に紛れて保管庫のある建物に突入を試みます。ここでは過去の経験が生きました。

エンジンの爆発に合わせて建物に飛び込む”名も無き男”。あの時彼が闘ったのは、自分自身だったのです。

そして時間を反転させる装置に飛び込んだ”名も無き男”は、追ってきた過去のニールと接触しました。

あの時ニールは、未来から現れた”名も無き男”と接触していたのです。

全てが終わった後、彼はニールになぜその事実を教えなかったのか、と尋ねました。

その時点で教えられても理解できない、何よりも無知こそが力だ、と答えるニール。

時間の逆行で傷の癒えたキャットも、自分の巻き込まれた事態の説明を求めます。

“名も無き男”とニールは、組織のメンバーと集まりました。

未来人が秘密を守るため、バラバラに過去に送ったアルゴリズム。未来人からの依頼を受け、それを回収し組み立てたセイター。

彼は未来人に協力することで財を成しました。アルゴリズムの起動には核爆発が必要です。

それを行うなら、彼の人生の出発点である廃墟の街スタルスク12と思われます。

キエフのテロが起きた日、爆発事故がありました。そこでアルゴリズム起動を図った結論するメンバーたち。

その場所に乗り込みアルゴリズムを回収し、同時にセイターを、装置の起動に成功したと信じた状態で死なせれば、彼の企ては阻止できるはずです。

今まで組織は敵の”挟撃作戦”、現在の敵と、その経験を踏まえて未来から時間を逆行して現れた敵に襲撃され、苦しめられてきました。

スタルスク12を通常時間の部隊と、タイミングを合わせ逆行時間の部隊と連携し、襲撃する計画を立てる”名も無き男”たち。

しかしキャットは打ち明けます。かつて放射性物質の回収で財を成したセイターは、その影響か末期のガンを患っていました。

自分の心臓が停止すると信号を送ることになっています。おそらく彼の死は、爆発のトリガーに設定されているでしょう。

爆発の日セイターとキャットはヨットで言い争い、彼女は息子と船を降りました。

その後のタイミングでヨットに戻り、爆発を阻止した後、セイターを殺す役割を与えられたキャット。

運命の日を前に、組織は部隊をレッドチームとブルーチームに分け再編成します。

レッドチームのリーダー、アイブス(アーロン・テイラー=ジョンソン)は作戦を説明します。”名も無き男”も参加しました。

ブルーチームはレッドチームの経験を元に、逆行時間で戦う部隊です。

ブルーチームの行動が読めず不安がるレッドチームに、更に別動隊が起爆の阻止に動くと説明されます。

この「二度と戻れぬ任務」を与えられた別動隊こそ、アイブスと”名も無き男”でした。

彼らはヘリコプターで出撃します。逆行時間の中にいるブルーチームは、ヘリに吊るされたコンテナの中にいました。

同じころマヒアとキャットは、セイターのヨットに接近します。この時間の自分が息子と共に船を降りたのを確認し、ヨットに乗り込むキャット。

彼女はマヒアが送るスタルスク12の任務完了の合図を待って、それまで夫の機嫌を取ります。

スタルスク12ではレッドチームが襲撃を開始します。敵は反撃しますが、そこに逆行時間のブルーチームが参戦します。

時間の交差する戦場で、今だかつて無い戦いが繰り広げられます。

マヒアの合図を待つキャット。その時までセイターに優しく接しますが、彼は上機嫌で取引相手と電話します。

その相手こそ”名も無き男”でした。彼の破滅的な行動を非難する”名も無き男”に、未来から破滅を望まれる我々こそ忌むべき存在だ、と応じるセイター。

地下施設に突入したアイブスと”名も無き男”。しかしニールの警告は届かず入り口は爆破され塞がり、2人は孤立して任務にあたります。

スタルスク12の最深部にある、爆破抗に到着したアイブスと”名も無き男”。

セイターが信頼する部下ボルコフが、そこに世界の時間を逆行する装置、アルゴリズムを爆破抗に降ろそうとします。

阻止しようとする2人は、鍵のかかった格子扉に行く手を阻まれます。手榴弾などが無いか格子扉の先に転がる死体を見ますが、何もなく扉は破れません。

いつまでも合図が来ないキャットは、耐えかねてセイターを撃ちました。

一方敵の反撃を受ける”名も無き男”。すると格子扉の向こう側の死体が立ち上がり、彼を助け扉を開けてくれました。

戦いの果てにボルコフを倒し、アルゴリズムを回収するアイブスと”名も無き男”。

キャットは倒れたセイターを海に投げ落とします。マヒアはその事実を”名も無き男”に伝えるしかありません。

爆発の時間が近づきます。レッドチーム、ブルーチームは作戦通り撤収します。

爆発を阻止できない以上、”名も無き男”とアイブスに逃げ道はありません。すると頭上からロープが降りてきました。

それは2人の状況を知るニールが降ろしたものでした。車に結ばれたロープに捕まり、アルゴリズムを持ち脱出するアイブスと”名も無き男”。

彼らはかろうじて大爆発から逃れました。するとアルゴリズムを分解し自らも持ち、”名も無き男”とニールにも渡したアイブス。

3人は誰も知らぬ地で、アルゴリズムを処分する役目を与えられます。さらに2人に、処分した場所を知る者は消すと告げ、いずれ殺しに行くとアイブスは宣言します。

仲間からも別れ、永遠に逃亡する役目を与えられた2人。これが「二度と戻れぬ任務」の正体でした。

ニールの装備を見て、格子扉の向こう側で死体を演じていた男は彼だと気付きます。ニールは更に時間を逆行して、”名も無き男”を助けていたのです。

彼の献身的な振る舞いに感謝する”名も無き男”に、この戦いの指導者は、実はあなただと告げるニール。

未来でニールをスカウトしたのは”名も無き男”でした。彼と信頼と友情を育んだニールは、使命を帯びて何も知らない”名も無き男”の前に現れたのです。

これから友情が始まる、という”名も無き男”に、この別れで友情が終わる、と答えて去るニール。これが本当に、2人の友情の終わりでしょうか。

少なくとも戦いの終わりではありません。

息子マックスを迎えに学校に現れたキャットの前に、車に乗ったプリヤが現れます。

彼女はセイターが殺された時間の流れを変えようと、キャットの殺害を企てていました。彼女も過去の破滅を望む、未来人の協力者でした。

その前に”名も無き男”が現れ、プリヤと手下を殺害します。こうして人知れず、世界はまた守られました。

今も人知れず人類の存亡をかけた、時間の流れを駆使した戦いは、続いているのかもしれません…。

映画『TENET テネット』の感想と評価


(C)2020 Warner Bros Entertainment Inc. All Rights Reserved

凄い映画です。ハマると何度も見直すハメになる、クリストファー・ノーランらしい作品といえるでしょう

“時間の逆行”という、話題の設定に皆が興味深々ですが、実は意外と地味です。あくまで『インセプション』や『インターステラー』に比べて地味、という話です。

逆に一見サラッと流れるシーンだけに、時間を逆行して再度、同じ場面を別の視点から見せられると、様々な仕掛けに気付かされました

その結果見終わってから、「あのシーンの意味は」「あのセリフの意味は」と考えさせられること多数。今もあれこれ思案しています。

あらすじネタバレを紹介しましたが、文字を読んでも映画に凄さは一切伝わらない、体験し自分で考えるべき作品でした。

映画が入替制でない時代なら、将に朝から晩まで、まさに映画館に座り続けたであろう作品です。

映像が話題のクリストファー・ノーランですが、希代のストーリーテラーでもあります。実は”時間の逆行”は、映像よりも物語に様々な仕掛けがあります。

映像に目を奪われず、しっかり物語を追いかけて下さい。でも映像に目を奪われて、物語の確認に再度見る。繰り返し見る”時間の逆行”行為に囚われるのは、ハマった観客でしょう。

まとめ

参考映像:エディット・ピアフの歌と『インセプション』テーマの比較

現代量子学や、物理学を駆使した物語である『TENET テネット』。難しい映画ではありません。むしろ素朴なSF的発想を確認させてくれた作品でした

漫画「ドラえもん」にあった、様々なタイムトラベル(トラブル)エピソードの数々を思い出させるような疑問の数々。

逆行世界の描写は、「もしも」の世界を追求する楽しさを再確認させてくれました。

本作を叩き台に、このテーマをより発展・追及した設定のSF映画が、今後続々誕生するのではないでしょうか。

実はこの映画を見た後、何かの仕掛けに気付いていないはずだと、自分自身に疑心暗鬼になっています。

エディット・ピアフの曲をスローで再生すると、ハンス・ジマー作曲のテーマ曲になる仕掛けがあった『インセプション』

『TENET テネット』の逆行時間の音声を、逆再生すると意味があるとか、絶対にそんな仕掛けがあると信じています。まだそこまで追求している人は、世界でもすくないでしょう。

これから、色んな発見が出てくるはずの『TENET テネット』。人より早く何かを見つける、そんな鑑賞法もある映画です。

映画『TENET テネット』は2020年9月18日(金)より全国ロードショー!





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