『ワンダヴィジョン』はDisney+で配信。
2019年に公開された『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)で壮大なクライマックスを迎えたMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)。
しかし、世界規模でブームとなったあの作品もMCUの全体構想の中では序盤に過ぎず、まだまだ刺激的な映画体験は続いていくことになります。
今回はMCU初の本編との繋がりを正式に持ったドラマシリーズ『ワンダヴィジョン』(2021)の「Episode1」と「Episode2」をネタバレあらすじを含めご紹介させていただきます。
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CONTENTS
ドラマ『ワンダヴィジョン』の作品情報
【原題】
WandaVision
【配信】
2021年1月15日(Disney+独占配信)
【監督】
マット・シャクマン
【キャスト】
エリザベス・オルセン、ポール・ベタニー、テヨナ・パリス、キャスリン・ハーン、カット・デニングス、ランドール・パーク
【作品概要】
アメリカンコミック「マーベル・コミックス」を映像化する企画「MCU」の「フェーズ4」開始作となる配信ドラマ。
監督を務めたのは「ファーゴ」や「ゲーム・オブ・スローンズ」、「ザ・ボーイズ」など大ヒットドラマのエピソードを数多く手がけてきたドラマ監督のマット・シャクマン。
ドラマ『ワンダヴィジョン』Episode1のあらすじとネタバレ
ウエストビューの片田舎の街に越してきた新婚のワンダとヴィジョン。
念動力とテレパシーの能力を持つワンダと「マインド・ストーン」を埋め込まれた人造人間であるヴィジョンは、お互いの能力を駆使し一般人として幸せに過ごしていました。
8月23日、カレンダーに身に覚えのない「ハート」のマークが記載されていることを見た2人。
ワンダは何の記念日かは思い出せないものの、今日が2人の記念日であることを確信し隣人のアグネスに記念日の過ごし方を相談します。
一方、勤務先である「計算サービス社」に出社したヴィジョンは人造人間ゆえの高い計算能力で仕事をあっさりと終わらせます。
しかし、ヴィジョンは長年勤めているはずのこの会社が一体何をしている会社なのかが分からず、同僚のノームに聞いても分からないままでした。
上司のハートから今日の食事会を楽しみにしていると言われたヴィジョンは、カレンダーの「ハート」が上司のハートとの会食であると理解します。
ハートは妻が会食に満足しなかったと言う理由だけで部下のジョーンズを首にするほどに粗野な性格であり、ヴィジョンは今夜の会食に自身の人生がかかっていると恐怖し始めます。
ドラマ『ワンダヴィジョン』Episode2のあらすじとネタバレ
深夜に物音で目覚めたワンダとヴィジョン。
ヴィジョンはここ数日、ウエストビューで不審人物の噂が流れていることから、不振な音に怯えますがその正体は木の枝が窓を叩く音でした。
翌日、近所付き合いの一環として町の資金集めの催しのショーに参加することを決めた2人はイリュージョンを練習します。
種も仕掛けもあるイリュージョンを行うことで2人は「普通の人間」であることを近隣住民に分かって貰う狙いもありました。
練習の後、家の庭に「S.W.O.R.D.」と言うロゴの書かれたヘリコプターのオモチャを見つけたワンダは「この世界」に違和感を持ち始めます。
隣人のアグネスから、資金集めの催しのリーダでもあり街での高い発言力を持つドッティを紹介されます。
ドッティは気難しくマナーを重視する傾向にあり、ワンダとはそりが合いませんでした。
ドラマ『ワンダヴィジョン Episode1/Episode2』の感想と評価
MCUの中でも重要な登場人物となる「ワンダ・マキシモフ」と「ヴィジョン」に焦点を絞った配信ドラマ『ワンダヴィジョン』。
11作目である『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(2015)で初登場した2人は13作目『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016)の戦いを経て結ばれますが、19作目の『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)で「サノス」によってヴィジョンが殺害されてしまいます。
『アベンジャーズ/エンドゲーム』でヴィジョンの無念は「アベンジャーズ」によって晴らされますが、ヴィジョンは死から戻ることはなくワンダは1人取り残されてしまいます。
「エンドゲーム」から約1年半後を描いた本作ではモノクロの世界で「ワンダ」と死んだはずの「ヴィジョン」が幸せな生活を過ごしている奇妙な空間が繰り広げられ、「Episode1」と「Episode2」では大きな疑問が残りました。
舞台はワンダの作り出した「虚構の世界」?
死亡したはずのヴィジョンが登場していることや、「アベンジャーズ」として活躍しているはずのワンダとヴィジョンが住民に知られていないことから『ワンダヴィジョン』で描かれている世界は「虚構」であると想定できます。
ワンダと言うキャラクターは原作となるマーベル・コミックス内で「X-MEN」シリーズの「ジーン・グレイ」と並び、ヒーローでありながら世界崩壊の起因にもなりかねない能力者として危険視されているキャラクターでもあります。
ワンダの力を持ってすれば「虚構の世界」を作り出すことは容易であり、ヴィジョンを失い悲嘆に暮れたワンダが自身の理想とする「ヴィジョンとの平凡な暮らし」を可能とする世界を作り出してしまった、とも考えられます。
「Episode1」内に挟まれる「トーストメイト2000」のCMはヴィジョンの製作者でもある「トニー・スターク」の会社「スターク・インダストリーズ」の製品であり、「Episode2」内に挟まれる時計のCMでは時計の名前がワンダを能力者として育て上げた悪の組織ヒドラの幹部「ストラッカー」の名前が当てられていました。
2人のルーツとも言える要素を盛り込んだ「虚構の世界」を作り出したのはワンダの妄想なのか、それともヴィジョンを現実世界に蘇らせるための意図しての物なのか。
1話ごとに明らかになる世界の真実から目が離せなくなる作品です。
気になる今後の展開を予想
MCUの登場人物「ドクター・ストレンジ」を題材とした映画の第2作『ドクター・ストレンジ・イン・ザ・マルチバース・オブ・マッドネス』(2021)は『ワンダヴィジョン』から直結した物語になることが明言されており、ワンダを演じるエリザベス・オルセンの出演も決定しています。
原作内の「アベンジャーズ: ディスアセンブルド」シリーズでは、ワンダが子供を失ったことで世界を改変させかねない暴走を繰り返し多数の死者を出した上でドクター・ストレンジによって制圧される、という物語が繰り広げられます。
現段階で『ドクター・ストレンジ・イン・ザ・マルチバース・オブ・マッドネス』のストーリーラインが原作内のどのシリーズを題材にするのかは明らかになっていませんが、ワンダがヴィラン化することも想定できます。
「Episode2」のラストに登場した「虚構の世界」に入り込んだ「防護服を着た男」と、色の付いた「虚構の世界」でのワンダの妊娠を思わせる変化。
ヒドラの手先とも思われる「防護服を着た男」が「世界」にどのような影響を及ぼすのか、ワンダの行く先に不穏さが漂います。
まとめ
モノクロな映像とセリフや行動に付け加えられる観客の爆笑の声から、アメリカの1960年代のコメディドラマを彷彿とさせるドラマ『ワンダヴィジョン』。
底抜けの明るさがあり観ててホッとするようなホームドラマ感を味わえるものの、全てに納得のいかない違和感と不気味さを漂わせます。
1話30分ほどで鑑賞できる気軽さで全9話が予定されている本ドラマは、作中全体にMCUのネタが満載なためシリーズファンぜひ見て欲しいオススメ作品です。