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【ネタバレ】八つ墓村(1977)あらすじ感想と結末の評価考察。渥美清×萩原健一が呪いに血塗られた連続殺人事件解決に挑む

  • Writer :
  • 谷川裕美子

連続殺人に渥美清演じる金田一耕助探偵が挑む

横溝正史の同名傑作ミステリーを映画化。数奇な運命に生まれた青年が、400年にわたる怨念が息づく生地を訪れ、続発する血腥い殺人事件にまきこまれます。

金田一耕助を演じるのは「男はつらいよ」シリーズで人気の渥美清。萩原健一、小川真由美、山崎努が出演します。

カラリとした口調の独特な雰囲気を持つ金田一耕助探偵が大活躍します。連続殺人事件の謎から目が離せなくなる本作の魅力をご紹介します。

映画『八つ墓村(1977)』の作品情報


(C)1977 松竹株式会社

【公開】
1977年(日本映画)

【原作】
横溝正史

【監督】
野村芳太郞

【脚本】
橋本忍

【編集】
太田和夫

【キャスト】
渥美清、萩原健一、小川真由美、花沢徳衛、山崎努、山本陽子、市原悦子、山口仁奈子、中野良子

【作品概要】
横溝正史の金田一耕助を主人公とする同名傑作ミステリーを、「拝啓天皇陛下様」シリーズの野村芳太郎が、同作でタッグを組んだ渥美清を主演に迎えて実写化。

400年前に惨殺された落ち武者らの祟りが残る八つ墓村を舞台に、血なまぐさい連続殺人事件解決に渥美清演じる金田一探偵が挑みます。共演は萩原健一、小川真由美、山崎努。

映画『八つ墓村(1977)』のあらすじとネタバレ


(C)1977 松竹株式会社

寺田辰弥は奇妙な新聞の尋ね人の呼びかけに応え、諏訪法律事務所を訪れました。そこには亡母の父・丑松が、辰弥を生まれ故郷の八つ墓村へ連れて行くためにきていましたが、その場で何者かの仕業で毒殺されます。

父方の親戚の未亡人・森美也子が代わりに迎えに来て、彼女の案内で辰弥は生れ故郷の八つ墓村の多治見家に向かいました。辰弥ははその豪家の後継者だと聞かされます。

辰弥は幼い頃、母・鶴子に連れられて村を去り、母は実の父の名を明かさずに病で亡くなっていました。

美也子が八つ墓村の由来を辰弥に話そうとすると、偶然行き会った探偵の金田一耕助が一緒に聞き入ります。

1566年、毛利に敗れた尼子義孝をはじめとする8人の落武者が八つ墓村にたどり着きました。

村人たちは賞金目当てに彼らをだまし討ちして皆殺しにします。義孝は末代まで祟ると言いながら死んでいきました。

8人誅殺の首謀者だった小左衛門は毛利家から財産を与えられて多治見家を築きましたが、祟りによって恐ろしい事件を起こします。村人は祠をたてて落武者たちを祀り、村は八つ墓村と呼ばれるようになりました。

辰弥は屋敷で、病気の異母兄・久弥、異母姉の春代、実権を握っている双子の伯母の小竹と小梅に会いました。

重い病にあった久弥は、突然病床で血を吐いて亡くなります。

しかし、県警がやってきて、その死に不審な点があるため解剖すると告げました。金田一が県警に解剖するよう進言していました。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには映画『八つ墓村(1977)』ネタバレ・結末の記載がございます。映画『八つ墓村(1977)』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。


(C)1977 松竹株式会社

離れに寝泊まりしていた辰弥は、夜中に双子の伯母たちが地下の鍾乳洞に行くのを知り、そっと追いかけます。

そこには鎧武者姿の久弥のミイラがいました。慌てて洞窟を飛び出し、辰弥は春代を連れてもう一度見に行きます。それは死蝋化した父の多治見要蔵でした。

要蔵は28年前に発狂し、32人の村人を惨殺していました。

要蔵は妻がいる身でありながら、若い鶴子を拉致して犯し、多治見家の離れに軟禁していました。鶴子は一年後に辰弥を連れて逃亡し、それが原因で要蔵は発狂しました。

やがて、丑松も久弥もストリキニーネで殺されていたことがわかります。

再会した金田一は、辰弥に32人殺しの多治見要蔵の子ではないことを教えます。

教師の工藤も、鶴子の子供の父は要蔵ではないと知っており、その事実を丑松に伝えていました。

辰弥が美也子と一緒に工藤に話を聞きに行くと、工藤は辰弥そっくりな男性が写った写真を見せてくれました。その後、戻ったら本当の父について話すと言って岡山出張に出かけていきます。

しかし、岡山から戻った工藤は、久弥の初七日の席で毒を盛られて死亡します。

その後、祟りじゃと叫んでまわっていた祈祷師の濃茶の尼が、自宅の祭壇の前で殺されました。

大勢の村人たちが、辰弥のせいで祟りが起きたと言って屋敷に集まってきたため、辰弥は洞窟に隠れようとします。

すると、洞窟で小梅がさらわれたと言って、小竹が助けを求めました。洞窟に降りると金田一がいました。二人は絞殺され水に沈められた小梅を発見します。

しばらく進むと警察が来ていました。傍らにはストリキニーネを渡していたと疑われていた久野医師が毒殺されていました。

警察も辰弥に、しばらく洞窟に身を隠すよう言います。

食事を差し入れにきた美也子と共に、辰弥は自身の生まれた場所だと母から聞かされていた「龍のアギト」を探します。ついにその場所を見つけた二人は、感動して口づけし、熱く抱き合いました。

ある日、女性の悲鳴を聞いた辰弥が駆けつけると、春代が洞窟で血まみれで倒れていました。彼女は犯人の指を噛んだと話し、あなたは私の本当の弟ではないと言って息絶えます。

伯母たちは久弥と春代に、要蔵は血液型を調べて鶴子の子が自分の子ではないことを確かめていたことを教えていました。

春代が洞窟に入ったことを聞いて心配する金田一のもとに、諏訪弁護士が書類を持って会いに来ました。

洞窟では、美也子が辰弥のもとにやってきました。彼は美也子が指を怪我していることに気づき、驚いて彼女を振り払います。美也子は恐ろしい顔に変わり、辰弥に襲いかかりました。

地上では金田一が、美也子こそ真犯人で、祟りを利用して財産を横領しようとしていることを明かします。

それから彼は、美也子すら知らない不思議な事実について話しました。要蔵の32人殺しの事件で一家皆殺しになったのは、落武者殺しを企んだ村の代表の子孫でした。呪いは皮肉にも要蔵によって達成されていました。

美也子は落武者の尼子義孝の子孫でした。もっとも呪われるべき多治見家の人間は、その美也子によって殺されました。

美也子が辰弥を殺そうとしたその時、洞窟が崩れ落ちます。洞窟から飛び出したコウモリの群を金田一らは驚いて見つめます。

小竹が経を上げていた部屋にコウモリが飛び込み、ろうそくを倒しました。屋敷は火に包まれました。

必死で洞窟から逃げ出した辰弥の目に、遠く離れた屋敷から炎が上がるの様子が映りましす。

その炎を、8人の落ち武者の亡霊たちが笑みをうかべながら見つめていました。

金田一は、辰弥の父が日本で実業家として成功していたことをつきとめましたが、父が尼子の子孫の可能性が高いことに気づき、こわくなって調べるのをやめていました。

金田一は何も知らない辰弥に、彼の父は南アメリカで実業家として成功しており、離れていても君の幸せだけは祈っているとだけ話しました。

映画『八つ墓村(1977)』の感想と評価


(C)1977 松竹株式会社

芳醇に香るホラー描写

次々に起こる血にまみれた連続殺人事件の謎解きと、芳醇な香りを感じさせるホラー描写が魅力的な一作です。

横溝正史作品ならではの、おどろおどろしい設定が観る者を引きつけます。名前からして恐怖に満ちた、深い山奥にある祟られた「八つ墓村」。古くからある豪家の多治見家、実権を握る双子の老婆、病で寝込んでいる異母兄、祟りじゃと叫んで村をまわる年老いた祈祷師。

一番恐怖を感じさせるのは、亡くなった多治見要蔵の存在です。圧倒的な悪として描かれる要蔵が本作の肝となっています。

2つの懐中電灯を頭に巻き付け、村中の人々を刀や銃で惨殺していく様は悪鬼のごとく。回想シーンに出てくる要蔵の鬼気迫る姿には度肝を抜かれます

やがて、兜姿の要蔵のミイラが屋敷の地下に通じる洞窟に存在することがわかります。小さな村の地下いっぱいに広がった鍾乳洞が独特の空気感を生み出し、恐怖のシーンでありながら芳醇な香りを感じさせるのです。

要蔵に惨殺された村人らが、落武者を殺した一族の末裔だったことが、金田一によって明かされます。そして、落武者狩りの首謀者だった多治見の末裔は、落武者の末裔である美也子に次々に殺されていきました。

美也子自身は自分が落武者・尼子の子孫だということを知りません彼女も祟りの犠牲者の一人だったことに戦慄を覚えます。

そして、なんと辰弥の実の父もまた、尼子の末裔だったらしいことに金田一は気づきます。しかし、金田一は「こわくなって」調査をやめました。納得の理由です。

渥美清は、決して前に出すぎることなく、カラッとした空気感で淡々と推理を進める金田一像を見事に作り出しています。こんなにも血なまぐさい作品でありながら、どこか爽やかさが感じられるのは、渥美清が醸し出す独特の明るさがあるからといえるかもしれません。

萩原健一と小川真由美の圧倒的な色気


(C)1977 松竹株式会社

メインキャストの辰弥と美也子を演じるのは、萩原健一と小川真由美魅力的な二人が醸し出す圧倒的な色気に当てられる作品です。

新参者・辰弥の案内役として、遠縁の未亡人の美也子は登場します。連続殺人事件が起こり、情報を集めるために協力し合ううちに二人の距離は縮まっていきました。

辰弥の生まれた地である龍のアギトを探して鍾乳洞を歩き回るシーンは神秘的です。非現実敵な空間で、辰弥と美也子の恋は青白く燃え上がります

しかし、辰弥は春代が噛んだ傷跡を見て、美也子こそが連続殺人の真犯人だと気づきます。突如美也子の美しい顔は一瞬にして般若に変化。逃げ惑う辰弥を執拗に追いかけるのです。

洞窟という異空間を駆け回る二人の姿は幻想的で、恐怖と共にその美しさに心奪われることでしょう。

惹かれ合った二人が迎えたあまりにも悲しい末路。しかも、二人が尼子の子孫として怨霊に取り憑かれていたとしたら……、一気に高くなるホラー感に戦慄を覚えずにはいられません

まとめ


(C)1977 松竹株式会社

横溝正史の傑作ミステリーを、名匠・野村芳太郎が見事に昇華させた名作『八つ墓村(1977)』

同作を映像化した作品が多々ある中、渥美清を金田一耕助探偵役に迎えたことにより、独特な味わいある個性ある一作となっています。

連続殺人の謎に複雑に絡まり合う怨念。金田一はその一本一本を丁寧にほぐしとって真実に迫った末、こわくなったと言って調べるのをやめてしまいます。

彼には本当は真実が何かよくわかっていましたが、だからこそ蓋を開けるべきではないと判断したのです。そんな人間味あふれる探偵の魅力の虜になること間違いなしの傑作です。




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